不動産経営は物件を購入したら終わりではありません。物件を購入することで今後の対応方針が大きく左右されるため「物件の購入」は不動産経営を行う上でとても大切な位置づけになりますが、あくまで一つの分岐点です。
今回の記事では今話題になっている「かぼちゃの馬車」の問題を受けて「物件の購入後、もしも想定外の自体が起こり正常な不動産経営を継続できない場合、どのような対策があるか?」について考えてみました。
ですが、ここでは「かぼちゃの馬車」を購入した被害者の方に対してだけでは無く、不動産投資全般で少しでも状況が改善できるような手段についてまとめています。
「かぼちゃの馬車」問題とは
2018年1月、首都圏で女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズが家主への賃料の支払いを停止しました。
多くの物件購入者がシェアハウス1棟辺り(10室〜20室程)およそ1億円〜2億円の販売価格に加え諸費用分までを金融機関からの融資でまかなっていましたが、今後の返済の目処が立たず大きな問題になっています。
かぼちゃの馬車の問題については以下の記事でもう少し詳しくまとめています。
物件を購入した後に取れる対策は?
「もし自分が誤った条件(価格、金利、購入物件など)で不動産の購入契約を結んでしまった場合、どんな改善方法があるだろうか?」と考えた時、少しでも被害の規模を抑えるために以下のような方法があると思います。
とにかく空室を埋める
「かぼちゃの馬車」の購入者の中でも駅から近かったり立地に恵まれた物件を所有している場合は、比較的高い入居率(利回り)が確保できているかもしれません。
ですが、条件的に不利な物件を保有している場合は、やっぱりどうしても空室率が増加傾向であるため入居者を確保し空室を埋める対策が必要です。
現時点で空室の数が多いのなら、別の仲介会社と再契約をしてどうにかして収入を得る方法を考えることになります。
勿論、将来的には入居付けや物件の運用を自分で管理(自主管理)することも可能かもしれませんが、今まで不動産経営の経験が無い素人が物件の購入に失敗し毎月赤字を垂れ流した状態で冷静な判断を下すことはとても困難なため、まずは暫定対応としてでも仲介会社と協力して月々の収入を安定させることが先決かと思います。
日本で考えられる最も大きな不動産リスクは空室リスクです。
空室を埋めて入居率を確保することは不動産の経営を行う上では基本中の基本です。
最も大切な対策だと言えます。
金融機関に金利交渉をする
ローン返済を進める上で金利の利率は大きな影響を与えます。
ローンの返済が滞ってしまったり返済できなくなってしまうと金融機関からしても大きな損失になるため金利交渉などの借り換えも含めた条件変更に応じてくれる場合もあります。
「金利を1%下げたからと言って対して状況は変わらない」と思うかもしれませんが、1億円以上の物件を30年以上のローンで融資を受ける場合、1%の金利の差は返済総額の面でも月々の支払い額の面でもとても大きな影響を与えます。
その辺りの計算方法も含めて「どれくらいなら自分にとって返済可能なのか?」を把握した上で金融機関に相談するべきでしょう。
金利の交渉が難しい場合は返済期間の延長交渉も有効です。返済総額は増えてしまうかもしれませんが、月々の返済額を抑える上では効果的です。
ただ、今回の「かぼちゃの馬車」による中心を担っていたスルガ銀行は条件(金利、返済期間、借り換え)の変更などはかなり難しいようです。僕は今までにスルガ銀行から融資を受けたことが無いので、詳しいことは分かりませんが、一度契約を結ぶと交渉に応じてもらえる可能性は低そうです。
売却することで被害額を最小限にする
本来、売却の検討は今の利回りやキャッシュフローなどをもとに損益分岐点を考慮し、少しでも利益が出るようなタイミングで売却できれば良いのですが、そもそも誤った条件で物件を購入してしまった場合は「被害額をいかに縮小できるか?」を焦点とした損切りの判断が求められます。
また残酷なことに、キャッシュフローが確保できていなかったとしても固定資産税は必要になります。月々の支出を少しでも抑えるためスピード感が求められます。
仮に同様の物件が大量に売りに出される場合、対応が遅くなったがために売却価格にも影響が出るとも考えられます。また、どちらにしても不動産のような高額の資産を購入すると、返済当初は利息を支払う比率が多きいため融資額の元本は中々減っていかないのでどちらにしても苦しい状況になります。なので早期に売却を進めてもかなり大きな売却損を出すことは覚悟しなければいけません。
法的な処置も検討する
今回の「かぼちゃの馬車」問題のように悪質な契約違反が認められる場合には法的な処置についても検討する必要があります。
この辺りについてはケースバイケースになると思います。
専門家(弁護士)に相談し、その上で「勝訴できそうなのか?」「裁判することによる費用効果はあるのか?」などを検討するようになるのかなと思います。
「かぼちゃの馬車」問題のように同じような条件の被害者が多数いる場合は「被害者の会」を結成して力を合わせることも可能かもしれません。
不動産経営をやる以上は「法律のことは全然分からない」とも言ってられないはずなので、自分の資産を守るためにも常日頃から取れる選択肢を沢山持っていなければいけないと思います。
二次被害に注意する
どこで情報を聞きつけたのか謎の業者(個人?)から連絡が来ることもあります。
これは「かぼちゃの馬車」の問題や不動産投資に関わらず、どこかで何かトラブルが起こると必ずこのような便乗商法を考える人が出てきます。
仮に悪意を持って詐欺を持ちかけてきた訳では無いとしても計画が甘かったりしたら想定通りの成果が出ないこともあるはずです。
現状が苦しいと藁にもすがる思いで助けを求めたい気持ちもあるかもしれませんが、その相談相手が本当に信用できるのかは客観的に判断しなければなりません。
自己破産を検討することも…
これらの方法で少しでも事態が改善できれば良いのですが、もし本当に毎月の支払いが困難でどうしようも無い時は、あくまで最後の手段として自己破産を検討するのも一つの方法だと思います。
自己破産についてはこちらの記事でもう少し詳しくまとめてみました。
困った時こそ中立的な意見に耳を傾ける
上記の全ての対策について言えることですが、悪徳業者を識別するのは難しいですが、契約を結ぶ前や何かお金を払う場合は必ず一度立ち止まるように気を付けましょう。
日頃から信頼できる大家仲間がいれば、相談者を探す上でもとても役に立ちます。ですが、いざ問題やトラブルが起こった時は、判断が遅れると被害がどんどん大きくなります。迅速な対応や判断が求められるため日頃から有効な情報をいち早くキャッチできるような準備が必要になります。
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