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アパートローンの繰り上げ返済手数料と違約金|銀行の公式料金一覧と、する・しないの判断

アパートローンの繰り上げ返済手数料と違約金 融資・金利戦略
この記事は約13分で読めます。

アパートローン(不動産投資ローン)の繰り上げ返済手数料は、銀行によって無料から数万円の定額、繰上返済額の0.5〜2%まで大きく違います。さらに固定金利の期間中は、手数料とは別に違約金がかかるか、そもそも繰り上げ返済ができない商品が多くあります。住宅ローンの手数料表とは別の欄に書かれていることが多く、同じ銀行でも住宅ローンの数字をそのまま当てはめると間違えます。

この記事では、銀行・機構の公式資料(手数料一覧・商品概要説明書)を読んで、アパートローンの繰り上げ返済手数料と違約金を一覧にしました。あわせて、手数料を払ってまで繰り上げ返済するべきかを、利息・税金・利回り・手元資金の4点で確かめます。

❓ 先に答え:アパートローンの繰り上げ返済手数料はいくら?
  • 定額の銀行:5,500円〜33,000円が多い(三井住友信託5,500円、静岡11,000円、三井住友33,000円、関西の銀行の公表例では16,500円・33,000円など)
  • 率で取る銀行:オリックス銀行は繰上返済元金の0.5〜2.00%、スルガ銀行は融資から5年以内2.0%、SBJ銀行は2.000%
  • 固定金利の期間中:原則できない銀行と、違約金(繰上返済元金×2.0%、市場金利との差で計算する式など)を取る銀行がある
  • 無料:住宅金融支援機構の賃貸住宅融資(繰上返済制限制度を使った場合を除く)、インターネットバンキングなら無料とする銀行の商品など
この記事は以下のような方におすすめです!
  • アパートローンの繰り上げ返済手数料が、銀行ごとにいくらかを知りたい方
  • 固定金利の期間中に、繰り上げ返済や物件の売却を考えている方
  • 手数料を払ってまで繰り上げ返済するべきかを、数字で判断したい方
  • 返済額軽減型と期間短縮型のどちらを選ぶかで迷っている方
  • 住宅ローンの手数料表との違いを確かめたい方
🎯 30秒でわかる本記事の要点
  • アパートローンの繰り上げ返済手数料は、定額で5,500円〜33,000円の銀行が多い一方、繰上返済元金の0.5〜2%を取る銀行もあります。
  • 固定金利の期間中は、違約金がかかるか原則できない商品が多く、静岡銀行の商品概要説明書の計算例では違約金が5,402,465円になっています。
  • 同じ銀行でも、アパートローンの手数料は住宅ローンとは別の欄に書かれていることが多く、住宅ローンの数字はそのまま当てはまりません。
  • 残債3,000万円・金利3%・残り20年で1,000万円を繰り上げ返済する例では、減る利息は返済額軽減型で約331万円、期間短縮型で約611万円です。
  • 利息が減ると経費も減るので、減る利息のうち手元に残るのは、およそ「減る利息×(1−税率)」です。
📕 Before(読む前)
  • 住宅ローンの繰り上げ返済手数料の数字が、アパートローンにも当てはまると思っています。
  • 固定金利の期間中でも、手数料だけで繰り上げ返済できると思っています。
  • 繰り上げ返済で減った利息は、そのまま手元に残ると思っています。
📘 After(読んだ後)
  • 自分のローンの手数料・違約金が、定額・率・市場金利との差の式のどれかを確かめられます。
  • 減る利息・増える税金・ほかの使い道との利回り・残すべき手元資金を比べて、繰り上げ返済するかを決められます。
  • 返済額軽減型と期間短縮型を、キャッシュフローと減る利息の違いで選べます。

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🏦 銀行別:アパートローンの繰り上げ返済手数料と違約金(公式資料・2026年10月時点)

各行の公式の手数料一覧・商品概要説明書で確かめた数字です(消費税の扱いは各資料の表記どおり。率で取るものは不課税と書かれている例があります)。※印は、手数料表にアパートローンの商品名が書かれておらず、「事業性融資」などの区分から読み取ったものです。

金融機関 商品(公式の呼び方) 一部繰上返済 全額繰上返済 固定金利の期間中
関西の銀行(公表資料を確認した6行)アパートローン、事業性融資・長期融資の欄など11,000円〜33,000円。インターネットバンキングなら無料の商品あり。固定金利で繰上返済額に応じて55,000〜110,000円の例一部繰上返済と同じ額の例が多い原則できない(やむを得ない場合は手数料+違約金)、または手数料とは別に違約金(市場金利との差で計算する式など)。記載がない例もある
三井住友銀行直担アパートローン33,000円※33,000円※原則できない。やむを得ない場合は清算金+手数料(清算金の額は商品説明書による)
三井住友信託銀行アパートローン5,500円(変動金利コース。期間短縮型のみ)5,500円(変動金利コース)固定金利コースは特約期間中できない。認められた場合の違約金は繰上返済元金×2.0%
静岡銀行アパートローン(保証人扱)11,000円11,000円固定金利期間中は違約金(商品概要に計算例)。残高200万円未満または借入から1年未満は手数料不要
横浜銀行アパートローン(一般口)33,000円(変更手数料)借入からの期間で3年以内3,300円/5年以内2,200円/7年以内1,100円/7年超は無料固定金利指定期間中は、約定利率で計算した利息が再運用利息を上回る分を手数料に加算。物件の売却を伴う場合は別途11,000円
オリックス銀行不動産投資ローン(変動金利型)繰上返済解約金=繰上返済元金×率(借入から1年以内2.00%/3年以内1.50%/5年以内1.00%/5年超0.50%)。1回50万円以上同じ率解約金のページでは、固定金利期間中は2.00%
スルガ銀行投資用不動産ローン(変動金利)融資から5年以内は繰上返済額の2.0%、5年経過後は6,600円5年以内は2.0%、5年経過後は11,000円―(変動金利のみ)
SBJ銀行ANY住宅ローン/ANY住宅ローンプラス(資金使途に賃貸用不動産を含む)返済金額の2.000%返済金額の2.000%―(変動金利のみ)
住宅金融支援機構賃貸住宅融資手数料なし手数料なし繰上返済制限制度を利用した場合、契約から10年間は繰上返済額の5%の違約金

※三井住友銀行は手数料表の「有担保型の証貸ローン」の欄からの読み取りです。関西の銀行の行には、「事業性融資」「長期融資」の欄から読み取ったものを含みます。金額は改定されることがあるので、申し込む前に必ず自分の金銭消費貸借契約書と銀行の最新の資料で確かめてください。

表から分かること

  • 同じ銀行でも住宅ローンとは別:たとえば三井住友信託銀行は、住宅ローンの書面手続きで一部16,500円・全額22,000円ですが、アパートローン(変動金利コース)は5,500円です。検索で出てくる数字が住宅ローンの欄のものでないかを確かめます。
  • 横浜銀行は一部繰上返済の方が高い:一部繰上返済は変更手数料33,000円、全額繰上返済は借入から7年を超えると無料です。
  • 率で取る銀行は金額が大きい:1,000万円を繰り上げ返済すると、オリックス銀行は借入から5年超で5万円(0.5%)、1年以内なら20万円(2.00%)、スルガ銀行の5年以内も20万円(2.0%)です。
  • ネットなら無料の銀行がある:関西の銀行には、インターネットバンキングで手続きすれば無料とする商品があります。

🔒 固定金利の期間中は「違約金」か「できない」

固定金利の期間中に繰り上げ返済すると、銀行は予定していた利息を受け取れなくなります。そのため多くの商品が、固定期間中の繰り上げ返済を原則認めないか、手数料とは別に違約金を取ります。表の銀行を方式で分けると、次のとおりです。

方式 銀行(公式資料の記載)
原則できない(やむを得ない場合は違約金・清算金)三井住友銀行、三井住友信託銀行(固定金利コース)、関西の銀行の一部
繰上返済元金×一定率三井住友信託銀行(認められた場合2.0%)、オリックス銀行(固定金利期間中2.00%)、住宅金融支援機構(繰上返済制限制度を使った場合、契約から10年間は5%)
市場金利との差で計算する式静岡銀行、横浜銀行、関西の銀行の一部(2024年4月に式を改定した例あり)

市場金利との差で計算する式は、借りたときの金利より今の市場金利(再運用の金利)が低いほど違約金が大きくなります。静岡銀行の商品概要説明書には、5千万円・固定10年・年6.5%で借りて4年後に残高45百万円を全額繰り上げ返済し、市場の金利が年4.5%(差2%)、固定期間の残りが2,191日という前提で、違約金が5,402,465円になる計算例が載っています(これに短期資金市場の中途解約コストが加わるとされています)。固定期間中の繰り上げ返済や売却を考えている人は、借りる前にこの欄を確かめておくべきです。

🧮 手数料を払っても繰り上げ返済するべきか:4つの見方

ここからは、残債3,000万円・金利3%・残り20年・元利均等返済のアパートローンで、1,000万円を繰り上げ返済する例で考えます(金利が変わらない前提の筆者の計算です)。

項目 繰り上げ返済しない 返済額軽減型 期間短縮型
毎月の返済額約166,400円約110,900円(年約66.6万円減)約166,400円(変わらない)
残りの返済期間20年20年12年
これから払う利息の合計約993万円約662万円(約331万円減)約382万円(約611万円減)
1年目の利息(経費になる額)約88.5万円約59.0万円約58.1万円

① 利息の減り方と手数料・違約金を比べる

この例では、減る利息(約331万〜611万円、残りの期間の合計)に対して、手数料は定額なら数千円〜数万円、率で取る銀行でも1,000万円の0.5〜2%で5万〜20万円です。変動金利で定額の手数料なら、手数料が判断を左右することはほとんどありません。判断が変わるのは、固定金利の期間中の違約金や、機構の繰上返済制限制度(5%=50万円)がかかる場合です。

② 税金:利息が減ると、経費も減る

借入金の利息は不動産所得の必要経費になりますが、元本の返済は経費になりません(国税庁「収支内訳書(不動産所得用)の書き方」)。繰り上げ返済で利息が減ると、その分だけ所得が増え、税金も増えます。上の例では1年目の利息が約30万円減るので、所得税と住民税を合わせた税率が30%の人なら、1年目の税金は約9万円増えます。減る利息のうち手元に残るのは、およそ「減る利息×(1−税率)」です。所得税率の区分ごとに、復興特別所得税と住民税10%を加えて計算すると、手元に残る割合は所得税10%の人で約80%、20%の人で約70%、33%の人で約56%、40%の人で約49%です(筆者の計算)。

読者
不動産所得が赤字の年でも、利息が減った分だけ税金は増えますか?
著者
赤字の年は事情が違います。赤字のうち、土地を買うための借入金の利息にあたる部分は給与などほかの所得と相殺できないので、この部分の利息が減っても、ほかの所得にかかる税金は増えません。

ただし、不動産所得が赤字の年は事情が違います。赤字のうち、土地を買うための借入金の利息にあたる部分は、給与などほかの所得と相殺できません(租税特別措置法41条の4、国税庁 No.1391)。この部分の利息が減っても、ほかの所得にかかる税金は増えません。

③ 利回りで比べる:繰り上げ返済は「借入金利で運用する」のと同じ

繰り上げ返済は、返したお金を借入金利と同じ利回りで、元本割れなしに運用するのと同じ効果です。上の例(金利3%)なら、返済額軽減型でも期間短縮型でも利回りは3%で、税金を考えると「3%×(1−税率)」になります。これを、預金の金利や、そのお金を次の物件の頭金に使った場合の税引後の利回りと比べて決めます。

④ 手元資金:返したお金は戻ってこない

繰り上げ返済したお金は、必要になっても同じ条件で借り直せるとは限りません。賃貸経営では、空室が続いたときの返済、給湯器やエアコンの交換、外壁や屋根の修繕など、まとまった支出が突然来ます。金融機関によっては、次の物件の融資で手元資金(預金)の額を見ます。繰り上げ返済は、こうした支出と次の投資に必要なお金を残したうえで、余った分で行うのが順番です。

  • 返済額軽減型:毎月の返済が減るので、毎月のキャッシュフローと返済の余裕(DSCR)がすぐ良くなる。減る利息は期間短縮型より少ない
  • 期間短縮型:減る利息が大きい。毎月の返済額は変わらないので、キャッシュフローとDSCRは改善しない。毎月の返済のうち元金の部分が増える(上の例で月約91,400円→約116,400円)ので、元金の返済が減価償却費を上回る時期(デッドクロス)は早まる

変動金利の上昇に対しては、繰り上げ返済ではなく、家賃の見直しや借り換えで対応し、繰り上げ返済は「いつでもできる余力」として手元に残しておく、という考え方を大家向けのコラムで書く投資家もいます。

毎月の返済の負担で困っている、次の融資のために返済の余裕を示したい、デッドクロスを遅らせたいなら返済額軽減型、手元資金に十分な余裕があって総額の利息を減らしたいなら期間短縮型が向きます。複数のローンを返済額軽減型で減らす場合は、年間返済額÷残債(ローン定数K%)が高いローンから返すと、毎月の返済が大きく減ります。考え方はローン定数とは?K%の計算式・早見表と正逆レバ判定|イールドギャップ実務ガイド【2026年版】にまとめています。

📝 繰り上げ返済の前に確かめること

  • 自分の契約書の条項:手数料・違約金は、商品の資料より自分の金銭消費貸借契約書が優先します。借りた時期によって計算式が違う銀行もあります(2024年3月以前の契約に旧い式を記載している例があります)。
  • 申し出の期限:三井住友信託銀行は手数料一覧で「14日前まで」、横浜銀行は「1週間前まで」など、事前の申し出が必要です。
  • 一部繰上返済の最低額:オリックス銀行は1回50万円以上です。
  • 固定金利期間の終わり:固定期間が終わるのを待てば違約金がかからない商品では、終わる時期に合わせる方が得になる場合があります。
  • 変動金利の「5年・125%」の有無:返済額を5年ごとに見直し、上がっても前の1.25倍までとする決まりは、三井住友銀行・横浜銀行などのアパートローンの資料にあり、SBJ銀行は「5年ルールや125%ルールは適用されません」としています。この決まりがあると、金利が上がっても毎月の返済は急には増えない代わりに、元金の減りが遅くなります。
  • 住宅金融支援機構の賃貸住宅融資:繰り上げ返済の1か月前までに申し出が必要で、手数料はかかりません(機構「繰上返済(賃貸住宅融資の場合)」)。

❓ よくある質問

Q1. 住宅ローンの繰り上げ返済手数料と同じですか?

A. 違うことが多いです。同じ銀行でも、住宅ローンはネットで無料、アパートローンは窓口で数千円〜数万円という例があります。手数料表のどの欄が自分の商品かを確かめてください。

Q2. 固定金利の期間中に、物件を売ってローンを完済したい場合は?

A. 全額繰上返済になるので、固定期間中の違約金や清算金がかかる商品があります。横浜銀行のように、売却を伴う場合に別の手数料(11,000円)を定めている銀行もあります。売却を考え始めた段階で、銀行に違約金の概算を出してもらうと安全です。

Q3. 繰り上げ返済と借り換え、どちらが得ですか?

A. 借り換えは、今のローンの全額繰上返済になるので、今の銀行の手数料・違約金に加えて、新しい銀行の事務手数料や登記費用がかかります。金利の差と残りの期間で、手数料を上回る利息の差が出るかを計算して比べます。金利の決まり方は不動産投資ローンの金利戦略|短期プライムレート・プロパー融資の決まり方と金利上昇シミュレーションで扱っています。

📝 まとめ

アパートローンの繰り上げ返済手数料は、定額で5,500円〜33,000円の銀行が多い一方、繰上返済元金の0.5〜2%を取る銀行もあります。固定金利の期間中は、違約金がかかるか原則できない商品が多いので、まず自分の契約書の条項を確かめます。そのうえで、減る利息・増える税金・ほかの使い道との利回りの比較・残すべき手元資金を確かめてから決めます。

📖 この記事の根拠(出典・参照日2026年10月1日)

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執筆者 西本豪
執筆者:西本 豪(楽待新聞コラムニスト)

関西の不動産投資家。賃貸経営の体験と、法令・公的機関の資料をもとに、税務・融資・賃貸経営・法人運営の実務ガイドを発信しています。

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