繰り上げ返済の仕組みを徹底解説!返済総額の大幅削減に繋がります!

住宅ローン金利

この記事を読むのに必要な時間は約 11 分 56 秒です。

不動産を購入する場合、ほとんどの人が金融機関からの融資を受けることになります。

今回は住宅ローンの繰り上げ返済を中心に、返済総額を少しでも抑えるための取り組みについて簡単にまとめてみました。もし、現時点で、繰り上げ返済できるような手元資金が無かったとしても、その効果を把握しておく事で、その後の返済計画を検討する際、少なからず影響するはずです。

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投資用マンションの金利負担は想像以上に大きい

不動産投資に関わらず、不動産の購入に伴う住宅ローン金利は、とても大きな負担になります。

自分やその家族が住むために購入する住居用の住宅ローンの場合、ここ数年間はずっと1%以下を推移していますが、不動産投資の場合は一般的な住宅ローンとは違い、投資用マンション用のアパートローンを利用することになります。アパートローンの場合、属性などの条件によって大きく変動しますが、およそ2%〜3%程の金利が多いかと思います。

2%〜3%程であれば、それ程大きな負担では無いような気もしますが、融資金額が数百万〜数千万単位であることを考えれば、実は結構大きな負担になります。

繰り上げ返済をすることで、当初の予定よりも早いタイミングでローン残高を減らす事が、結果的に返済総額の削減に繋がります。

金利部分を減らすにはどんな返済計画が有効か?

当初の予定よりも早いタイミングでローン残高を減らす事で、金利部分の負担を減らし、最終的には返済総額の削減に繋がります。

それでは金利部分の負担を減らすためにはどのような方法が考えられるでしょうか。

一般的には、以下のような方法が挙げられます。

  • 購入時の頭金を多めにする
  • 返済期間を短めに設定する
  • 繰り上げ返済を利用する

そもそも借入金を抑える

繰り上げ返済は返済総額の軽減に有効ですが、ローンを組んで早々に繰り上げ返済をする位なら、そもそも購入時の頭金を増やし、少しでも融資額を抑える事で返済総額の軽減に繋がります。

可能な限り短い返済期間を設定する

返済期間を短くする事も返済総額を軽減するためにはとても有効です。

ただ返済期間を短くすれば、当然ですが、その分だけ分月々返済額の負担は重くなるため家賃収入や支出の他にもライフイベントなどをしっかり考慮し、無理の無い範囲で考えないといけません。

余裕があれば積極的に繰り上げ返済をする

そして実際にローンを組んだ後にできる対応として繰り上げ返済を利用します。

こちらも無理の無い範囲で計画的に行わなければなりませんが、あくまで返済総額の軽減だけに着目すると少しでも早く・少しでも多くが基準となります。

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基本的な返済の仕組みを理解する

投資用物件に限らず、不動産を購入する時は金融機関から借入額に応じたローンを組む事になります。繰り上げ返済の仕組みを理解する前に、まずはローン返済の仕組みを簡単にご説明したいと思います。

元利均等返済と元金均等返済

住居用物件でも投資用物件でも住宅ローンを返済する場合、以下の2つのパターンから返済方法を選択することになります。

  • 元利均等返済
  • 元金均等返済

元利均等返済の特徴

元利均等返済はローン残高に対して月々返済額に占める元金と利息の比率が一定です。

返済額(現金と利息の合計)が均等になり一定期間(金利が同じ間)返済額が変わらないです。

なので、月々返済額においてはローン残高が大きい返済開始当初が最も高い利息を支払い、ローン残高が減るにつれて徐々に支払う利息の額が減る仕組みです。

元金均等返済の特徴

一方、元金均等返済はローン残高に関わらず毎月同じ元金を返済します。

元金均等返済はローン残高の大きい返済開始当初の返済負担が重たくなってしまいます。

当初は元金残高が多いため、元利均等返済よりかなり高額な返済額となりますが、元金残高の減少に伴い徐々に返済額も減っていきます。

ちなみに、実は余り知られていないのですが、ローン返済額だけを比べた場合、元利均等返済よりも元金均等返済の方が返済総額は少なくなります。

基本的には元利金等返済が採用される

融資を受ける際、元利均等返済と元金均等返済については、ほとんど意識することは無いと思いますが、基本的には、ほぼ全ての人が毎月の返済額が一定額である元利均等返済を選択しているはずです。

なお、元利均等返済と元金均等返済については以下の記事で詳しくまとめています。

元利均等返済と元金均等返済
住宅ローンの返済方法には元利均等返済と元金均等返済があります。 元利均等返済は返済額(現金と利息の合計)が均等になり一定期間(金利が同じ間)返済額が変わらないです。 一方、元金均等返済は返済額のうち「元金」部分が均等になります。...

固定金利と変動金利

金利には元利均等返済と元金均等返済以外にも以下のような種類の金利がありますが、繰り上げ返済とは直接の関わりが低いため今回は説明を割愛します。

  • 固定金利
  • 固定金利選択型
  • 変動金利

なお、固定金利や変動金利の違いについては以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

変動金利が一番おすすめ!住宅ローン金利の決められ方と金利プランの比較について
住宅を購入し金融機関から住宅ローンの融資を受ける場合、どの金利プランを選択するかを決めることになります。今回はそれぞれの金利の種類について違いや特徴、注意点などをまとめてみました。
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繰り上げ返済をすると何が良いのか?

生活費や子供の教育費などをしっかりと確保する事は大前提ですが、もし手元に「すぐに利用する予定の無いまとまった資金」があれば、繰り上げ返済をすることで、返済総額を削減できます。

なお、他にも「内入れ」や「前倒し返済」と呼ばれることもありますが、全て同じ意味です。

元金部分とローン金利部分の返済イメージは?

ここからは、一般的に利用される元利均等返済の仕組みについてのご説明します。

以下のグラフでも分かるように、住宅ローンの返済は借入当初が一番金利の負担が大きくなります。

また、元利均等返済の場合、金利が変動しない限りは月々の返済額は変わりません。ただし、仮に同じ返済額だったとしても金利部分の占める割合(金額)については、返済当初が一番大きく、返済を進めるにつれて少しずつ少なくなっていきます。

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返済額に占めるローン金利と元金の割合いは貸出金利や返済期間によって変わります。

驚くことに、支払金利が高く返済期間が長い場合は「返済額に占めるローン金利の割合いが50%程」なんてことも珍しくありません。

実際、僕が最初に購入した投資用物件のローン返済表については以下の記事で公開しています。

金利の内訳を徹底解説!保証金の負担と金利設定の基準について
投資用物件の購入時に融資を受ける際、金利はとても大きな負担になります。ここでは金利設定の判断基準と利息や保証料により、どれだけ返済総額が大きくなってしまうか解説します。

繰り上げ返済をした後の返済イメージは?

まず最初にお伝えしたいことは、繰り上げ返済は元金に対して返済を進めるということです。

仮に100万円分の繰り上げ返済をした場合、元金部分の100万円に加えて、その100万円の部分に掛かるローン金利部分の返済をしたことになります。

つまり、実際には100万円しか使っていないのに100万円+ローン金利を返済したことになります。

つまり、以下のグラフからも分かるように、繰り上げ返済はローンの返済を開始してから、なるべく早いタイミング(赤の点線部分)で行う方が、ローン返済の後半(青の点線部分)で行うより大きな効果が得られる訳です。

kinri2

繰り上げ返済を行うと、その後の返済計画について次の2種類から選択することになります。

  • 返済期間短縮型
  • 返済額軽減型

当然、返済期間短縮型、返済額軽減型のどちらを選んだとしても返済総額を減らすことは可能ですが、返済総額を減らすという意味では、返済期間短縮型を選択する方がより大きな効果が得られます。

ただ、今後、近い将来に(車の買い替えや養育費などで)家計の負担が増えそうな場合は、返済額軽減型を選択し、月々の返済額を少なく設定するのも悪くは無いでしょう。

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実際にどの程度の効果があるのか?

ここまでは繰り上げ返済について、ざっくりとしたイメージをもとにお話してきました。

繰り上げ返済の具体的な成果について

ここからは、少し複雑になりますが、具体的な数字をもとに繰り上げ返済の効果を解説したいと思います。

※便宜上、少しでも計算を分かりやすくするため、金額は全て概算とします。

例えば以下の条件で融資を受けたとします。

  • 借入金額…1,500万円
  • 借入期間…30年
  • 借入金利…2%(固定金利)
  • 返済方法…元利均等返済

繰り上げ返済をしなかった場合

この場合、当初の予定通りに返済すれば360回(30年×12ヵ月)の分割払いで月々の返済額は55,442円程です。ちなみに、返済当初、返済額の内訳としては元金分が30,442万円程で残りの25,000円程が利息分となります。

その後、徐々に元金分に占める割合が大きくなり、全てのローンを返済した時、30年間で支払う返済総額はおよそ19,959,321円、利息分だけでは4,959,321円程になります。

繰り上げ返済をした場合

一方、同じケースで1年間予定通りの返済を行った後、100万円の繰り上げ返済を行い期間短縮型を選択したとします。

その場合、月々の返済額はやはり55,000円程と繰り上げ返済前と変わりませんが、月々返済額に占める利息分を減らし返済期間も短くなるため返済総額を抑える事が出来ます。

そこで、その仕組みを理解する上で、まず100万円の繰り上げ返済が何回分の返済に価するかを考えます。一見、100万円を55,000円で割り算するため18回程の返済になるかと考えてしまいそうですよね。

  • 1,000,000円÷55,000円=18.18回

ですが、月々のローン返済と違い繰り上げ返済の場合は100万円全てを元金部分だけに充てる事になります。

少しややこしいですが、もう少し詳しく解説します。

上記の返済予定の通り1年間返済を進めたとしたら、およそ以下のような金額になります。

  • 返済金額…約665,304円(元金分:約369,676円+利息分:約296,628円)
    • 55,442円✕12ヶ月
  • 返済金額に占める元金分…約369,676円
    • 30,442円+30,493円+30,544円+30,595円+30,646円+30,697円+30,748円+30,799円+30,851円+30,902円+30,954円+31,005円
  • 返済金額に占める利息分…約296,628円
    • 25,000円+24,949円+24,898円+24,847円+24,796円+24,745円+24,694円+24,643円+24,591円+24,540円+24,488円+24,437円
  • ローン残高…約14,631,324円
    • 15,000,000円ー369,676円

つまり、予定通りに1年間返済を進めた場合のローン残高は約1,460万程になっています。

また、返済当初の1ヶ月辺りの返済金額に占める元金は30,442円であるのに対して、12ヶ月目の1ヶ月辺りの返済金額に占める元金は31,005円であることが分かります。

13ヶ月目以降も、31,057円、31,109円、31,161円…と1ヶ月辺りの返済金額に占める元金部分は少しずつ増えていく訳ですが、その元金分を繰り上げ返済のために準備した100万円から差し引くと、なんと31回分の返済になり、また元金分と利息分を合わせた31回分に当たる月々返済額の合計は170万円以上になります。

つまり、今回の例では早期(返済開始から1年目)に100万円分の繰り上げ返済を行う事で返済総額として70万円以上軽減する事が出来た計算になります。

これは少し極端な例ですが、早期の繰り上げ返済を行えば返済総額を抑える効果が大きい事が分かります。仮に10年や20年経ってから同じように100万円を繰り上げ返済してもローン残高がかなり減っているため同じような効果は得られません。

なお、今回の計算については、先程上で定義した条件をもとに以下のローン返済のシュミレーションサイトを利用して算出しました。

  • 借入金額…1,500万円
  • 借入期間…30年
  • 借入金利…2%(固定金利)
  • 返済方法…元利均等返済

他にも同様の計算ができるサイトが沢山あるので、自分が使いやすいサイトを利用すれば良いと思います。

ローン返済(毎月払い)
元利均等または元金均等方式で、借入金から毎回の返済額と借入残高の表を計算します。
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繰り上げ返済の注意点

物件ごとの返済総額を抑えたいなら、繰り上げ返済は効果的な方法です。

ただ、繰り上げ返済にも注意点がありますし、不動産経営者の中にはそもそも繰り上げ返済なんてするべきで無いと考える人も多いです。

繰り上げ返済をする際に気を付けるべきことをいくつか挙げてみました。

事務手数料が必要になる

一時金を繰り上げ返済する場合、融資元の金融機関に対して事務手数料を支払う必要があります。

一律で金額が決まっている場合もあれば、返済開始からの期間やローン残高によって手数料が変動する場合もあります。ワンルームマンションの場合、およそ1万円〜3万円程が相場だと思います。

ただ、繰り上げ返済によって得られる総支払額の削減効果の方がはるかに大きいため、トータルで考えると、例え数万円程度の手数料を支払ったとしても、可能であればどんどん繰り上げ返済をする方が支払総額の削減に繋がるはずです。

返済する際の最低返済額が設定されている

繰り上げ返済をするためには、ある程度まとまった資金が必要になります。

こちらも金融機関によって異なりますが、最低返済額が50万円〜100万円程の準備金が無いと、繰り上げ返済をできない場合があります。

会社員や公務員の方ならボーナスや一時金を活用しても良いと思います。

ボーナスは月々のお給料に比べ、会社の業績や景気に左右されやすいため、それを当てにした返済計画はリスクが高いかもしれませんが、繰り上げ返済は自分の都合で自由に行う事が出来るので、資金に余裕がある時だけ検討してみるのも良いかもしれません。

本当に繰り上げ返済に使うべきお金なのか?

繰り上げ返済に関わらず、住宅ローンは一度支払ったお金をまた戻すことはできませんし、一度設定した月々の返済額を下げることも基本的にはできません。

なので「本当にそのお金を繰り上げ返済に使ってしまっても問題無いのか?」はしっかり考える必要があります。繰り上げ返済時には「今は必要は無い」と思っていても、事故や病気のような急な出費が必要になるかもしれません。

仮に手元に余裕資金が100万円あった場合、支払金利2%のローンに対して繰り上げ返済をする場合は2%分の効果がある訳ですが、もっと別の方法(例えば投資信託など)だったら利回りが5%以上期待できるかもしれません。

投資を行う以上、必ず期待した分の成果が出るとは限りませんが、後になって「他の方法にお金を使えば良かった」と公開しないようにしっかり判断する必要があると思います。

不測の事態に備えたゆとりのある返済計画が大切です。

レバレッジ効果を高めたいのなら逆効果になってしまう

繰り上げ返済をすれば勿論キャッシュフローは悪くなりますし、その結果レバレッジの効果も低くなります。

あくまで「1件辺りの返済総額」を考えた場合、繰り上げ返済は大きな効果があります。

ですが、繰り上げ返済をせずに、手元にあるの余裕資金を元手に他の物件の購入を検討するのもレバレッジ効果を最大化するには正しい判断です。

この先、資産規模の拡大を目指さないのであれば迷わず繰り上げ返済をすれば良いかもしれませんが、今後も資産規模を拡大するのであればキャッシュフローをどんどん溜めて、次の物件を購入できるように働き掛けるべきだと思います。

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自分の考え方を大切にする

投資をしていると「どの方法を選択すれば一番得か?」と考えてしまいがちですが、損得だけで判断するのでは無く、しっかりとバランスを考える必要があります。例えば以下のような点がポイントになると思います。

  • 自分にはどれ程の生活費が必要か?
  • どれだけのリスクなら負うことができるのか?
  • いつまでのどの位の資産を築きたいのか?

挑戦的な投資家であれば多少借金をしてでもレバレッジをたっぷり効かせて次々を物件を購入するべきかもしれませんが、僕のように「借金はできるだけ少なめにしてコツコツと資産を作りたい」と考えるのであればそれでも良いと思います。

返済総額を減らすことはとても嬉しいことですが、そのために自分や家族の生活費を切り詰めて無理をして繰り上げ返済をしているようでは幸せとは言えません。

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