積算価格の重要性と継続的な銀行融資を引き出すための基本的な考え方

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不動産投資において不可欠な「積算価格」の概念を深く掘り下げ、その計算方法から金融機関の融資判断への影響、さらには長期的な資産形成戦略までを徹底的に解説します。最新の公的データと具体的な計算例を交えながら、読者の皆様が自身の投資を加速させるための実践的な知識を提供します。

この記事は以下のような方におすすめです!
  • 不動産投資で“積算価格”の重要性を今一度確認したい方
  • 土地と建物の評価方法(再調達価格・路線価・固定資産税評価額など)を具体的に学びたい方
  • 銀行が物件や個人資産をどう評価し、継続融資につなげる仕組みを知りたい方
  • 長期保有で「土地値比率」が資産形成に与える影響を理解したい方
  • 意外と見落としがちな積算価格低下要因(再建築不可/擁壁問題など)を把握したい方
  • 積算価格に関する疑問・悩みをまとめて解決したい方
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積算価格の重要性:なぜ不動産投資家が知るべきなのか

不動産投資において、物件の「価値」を測る指標は複数存在します。その中でも、「積算価格」は特に金融機関の融資判断に直結する重要な概念であり、投資家が長期的な資産形成を目指す上で不可欠な知識です。

なぜ積算価格の計算方法の知識が必要か?

不動産投資は多額の資金を要するため、金融機関からの融資が不可欠です。金融機関は融資の際、万が一の返済不能時に担保物件を売却して融資金を回収できるよう、その物件の「担保評価」を厳格に行います。この担保評価の根拠となるのが積算価格です。

積算価格は、金融機関が融資を行う際の担保評価の根拠として用いられます 。これは、積算価格が路線価 、公示地価 、再調達原価 といった市場変動を受けにくい客観的な数値をベースに算出されるためです。万が一、債務者が返済不能に陥った場合、金融機関は担保物件を競売にかけ、売却金から融資金を回収します 。この回収可能額の目安となるのが積算価格であり、金融機関にとっての「安全弁」としての役割を果たします。   

多くの金融機関では、融資額を積算価格の70~80%と設定する傾向があります 。この知識があれば、購入を検討している物件がどれくらいの融資を引き出せるかの目安を事前に把握でき、資金計画を立てやすくなります。積算価格は、物件が割安か割高かを判断する材料にもなります 。特に建物の積算価格は、同じ建物を新たに建築する場合にかかる費用(再調達原価)を基に算出されるため、この価格と実際の売り出し価格を比較することで、その不動産の「モノとしての価値」を客観的に評価できます 。   

なぜ積算価格の高い物件の追求が必要か?

積算価格が高い物件は、金融機関からの評価が高く、融資を受けやすいという明確なメリットがあります 。これは、特に不動産投資を継続的に拡大していく上で非常に有利に働きます。   

積算価格が高い物件は、金融機関からの評価が高まり、より多くの融資を受けられる可能性が高まります 。これは、金融機関が万が一の際に担保物件を売却して融資金を回収する際の目安となるため、リスクが低いと判断されるからです。不動産投資で資産を拡大していくには、新たな物件購入のための融資が不可欠です。積算価格の高い物件を保有することは、次の融資を受ける際の「与信力」を高め、安定した事業拡大を可能にします。   

利回りを追求した収益還元法だけではなぜダメか?(銀行評価が伸びないことの弊害、追加融資に苦戦する)

不動産投資において「利回り」は収益性を測る上で非常に重要な指標であり、投資家は収益還元法(DCF法など)を用いて物件の収益性を評価します 。しかし、金融機関の融資判断においては、収益性だけでは不十分な場合があります。   

収益還元法は、物件が将来生み出すであろう収益(家賃収入など)を基に現在価値を算出する方法です 。ホテルや店舗など、入居率や空室率が収益に直結する物件の評価に多く用いられます 。一方、積算価格は土地と建物を「モノ」として捉え、それぞれの価値を合算して評価する方法です 。収益を直接考慮せず、土地の路線価や建物の再調達原価をベースに算出されます 。   

金融機関は、融資の安全性を確保するため、収益性(返済能力)だけでなく、担保価値 も重視します。高利回りの物件は初期投資額が低いケースが多く、積算価格が低い場合があります 。このような物件は、需要が少ないエリアや建物の老朽化といったリスクを抱えている可能性があり、万が一の際に担保価値が低いと、金融機関は貸し倒れリスクを懸念します。収益性は高くても積算価格が低い物件ばかりを保有していると、金融機関からの担保評価が伸びず、追加融資を受けにくくなる弊害が生じます 。特に、融資を継続的に受けて事業を拡大したい投資家にとっては、この点が大きな足かせとなります。   

キャッシュフローと資産の蓄積のバランス

不動産投資の初期段階では、安定したキャッシュフロー(家賃収入から経費・ローン返済を差し引いた手残り)を重視することは非常に重要です。しかし、長期的な視点で見ると、資産の蓄積、すなわち担保価値の積み上げも同様に重要になります。

投資の初期フェーズでは、日々の運営を安定させ、手元資金を確保するためにキャッシュフローを重視する傾向があります。これは、急な修繕費や空室リスクに対応するための運転資金を確保する上で不可欠です。しかし、キャッシュフローだけを追求し、積算価格が低い物件ばかりを保有していると、資産(担保)が蓄積されず、将来的に融資で行き詰まる可能性があります 。金融機関は、投資家の保有資産全体を評価し、その資産と負債のバランスを重視します。積算価格の低い物件は、資産として扱われる割合が減少し、結果として追加融資が困難になるリスクがあります 。   

売却価格における積算価格の重要性

物件の売却時においても、積算価格は重要な役割を果たします。積算価格は、不動産の「本質的な価値」を示す指標の一つであり、市場価格や実勢価格とは異なることが多いものの 、売却価格の適正水準を判断する上で参考になります 。特に、近隣に類似の取引事例が少ない場合や、市場価格が大きく変動している場合に、積算価格は客観的な基準を提供します。   

次の買い手が融資を受ける際にも、金融機関は積算価格を重視します。売却をスムーズに進めるためには、買い手が融資を受けやすい物件であることも重要であり、積算価格が高い物件は、買い手にとっても融資が受けやすく、結果的に売りやすい物件と言えます 。   

純資産1億円の評価:実勢価格、再調達価格、固定資産税評価額、路線価など、算出方法による違い

「純資産1億円」という言葉を聞いても、その金額がどのような評価基準で算出されたかによって、実態は大きく異なります。不動産の評価には複数の方法があり、それぞれ目的と特性が異なります。

  • 実勢価格(市場価格): 実際に市場で売買される価格であり、需要と供給のバランス、景気、立地条件、物件の状態などによって変動します 。最も「時価」に近いと言えますが、個別の取引事情によって大きく変動する可能性があります 。   
  • 再調達価格: 建物を現在新たに建築する場合にかかる費用です 。建物の「モノとしての価値」を測る指標であり、積算価格の算出に用いられます。   
  • 固定資産税評価額: 固定資産税を計算する際の基準となる評価額で、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」に基づき、市区町村が3年ごとに評価替えを行います 。公示価格の概ね70%を目安に設定されます 。   
  • 相続税路線価: 相続税や贈与税を計算する際の基準となる評価額で、国税庁が毎年1月1日時点の評価額を7月に公表します 。公示価格の概ね80%を目安に設定されます 。   
  • 公示価格: 国土交通省が毎年1月1日時点の標準地の正常な価格を3月に公表するもので、一般の土地取引の指標となります 。   

これらの評価額は、それぞれ異なる目的で算出され、価格水準にも「公示価格 > 相続税路線価 > 固定資産税評価額」という序列があります 。   

金額以上に算出方法が大切な理由

純資産額が「1億円」と聞いても、その算出方法が異なれば、金融機関からの評価や、将来の投資戦略に与える影響は大きく変わります。例えば、実勢価格ベースの1億円と、積算価格ベースの1億円では、銀行が担保として評価する金額が大きく異なる可能性があります。

金融機関は、市場の主観的な変動を受けやすい実勢価格よりも、客観的で変動の少ない積算価格を担保評価の根拠として重視する傾向があります 。そのため、実勢価格では高値で取引されていても、積算価格が低い物件は、銀行評価が伸びず、追加融資に苦戦する可能性があります。算出方法を理解することは、単なる金額だけでなく、保有する資産の「質」を把握することにつながります。積算価格が高い物件は、融資を引き出しやすい「質の良い資産」と見なされ、長期的な資産形成において有利に働きます。   

イメージ案:積算価格と収益価格の概念図(天秤や二つの評価軸)

(図のイメージ:天秤の片方に「積算価格(担保価値)」、もう片方に「収益価格(キャッシュフロー)」が乗り、両方のバランスが重要であることを示す図。または、縦軸に「担保評価」、横軸に「収益性」を取り、物件をプロットする二軸評価のグラフ。)


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土地と建物それぞれの積算価格計算方法:具体的な算出ステップ

積算価格は、土地と建物のそれぞれの価値を算出し、合算することで求められます 。ここでは、具体的な計算方法とその根拠となるデータについて詳しく解説します。   

建物の積算価格算出方法:再調達価格と法定耐用年数

建物の積算価格は、「再調達原価」と「法定耐用年数」を用いて算出されます。再調達原価とは、その建物を現在の物価で新たに建築する場合にかかる費用を指します 。   

法定耐用年数から築年数を差し引き、面積ごとに再調達価格を決める

建物の積算価格は、以下の計算式で求められます 。   

建物積算価格 = 再調達原価 × 建物延床面積 × (法定耐用年数 - 築年数) ÷ 法定耐用年数

(専門用語解説:**再調達原価(再調達価格)**とは、対象となる建物を現在の時点で再建築・再購入する際に必要となる費用のことです。法定耐用年数とは、減価償却資産が利用に耐える年数のことで、税法上の資産価値がゼロになるまでの期間を指します 。)   

木造、鉄骨、RC構造別の再調達価格単価

再調達価格は、建物の構造によって異なります。金融機関や保険会社によって単価設定にばらつきがあるため、あくまで目安として捉えることが重要です 。   

構造ごとの再調達価格
  • 鉄筋コンクリート造(RC造) 
    • 18万~25万円
  • 重量鉄骨造(S造)
    • 15万~20万円
  • 軽量鉄骨造(S造)
    • 12万~17万円
  • 木造(W造)
    • 12万~16万円

【前提条件】

  • 建物構造:RC造
  • 建物延床面積:650㎡
  • 築年数:25年
  • RC造の法定耐用年数:47年   
  • 再調達原価:19万円/㎡(の例を参考に、の範囲内から採用)   

【計算式】 建物積算価格 = 19万円/㎡ × 650㎡ × (47年 - 25年) ÷ 47年 = 19万円/㎡ × 650㎡ × 22年 ÷ 47年 = 12,350万円 × 0.46808... ≒ 5,780万円   

法定耐用年数は税法上の概念であり、建物の物理的な寿命や経済的価値とは必ずしも一致しません 。金融機関は、法定耐用年数を融資期間の目安とする傾向があるため 、法定耐用年数を超過した物件は融資が困難になる、あるいは融資期間が短くなることがあります 。投資家は、税法上の減価償却期間と、物件の実質的な収益期間、そして銀行の評価基準の間に乖離があることを理解する必要があるでしょう。特に築古物件では、積算価格上は価値が低くても、収益還元法では十分な価値を持つ場合があるため 、税務と融資、そして実際の収益性のバランスを見極めることが、賢い投資判断には不可欠です。   

土地の積算価格算出方法:公的評価額の活用

土地の積算価格は、主に「相続税路線価」や「公示価格」といった公的評価額を基に算出されます 。   

保有資産を評価する場合の考え方(実勢価格ではなく固定資産税評価額や相続税路線価を使うなど)

金融機関が投資家の保有資産全体を評価する際、特に不動産に関しては、実勢価格(市場価格)ではなく、より客観的で公的な評価額である相続税路線価や固定資産税評価額を用いることが一般的です 。これは、実勢価格が市場の需給や個別の取引事情によって大きく変動するのに対し、公的評価額は安定性と公平性が高いため、担保評価に適していると判断されるためです。   

固定資産税評価額、相続税路線価、公示価格のそれぞれの違いと関係性

これら3つの評価額は、それぞれ異なる目的と機関によって定められ、価格水準にも序列があります 。   

評価額定義目的算出機関・公表時期価格水準(公示価格比)
公示価格国土交通省が選定した標準地の正常な価格一般の土地取引の指標、公共事業用地買収の基準国土交通省(毎年1月1日時点を3月頃公表)100%(基準)
相続税路線価主に市街地の道路に面する土地の1㎡あたりの価格相続税・贈与税の計算基準 国税庁(毎年1月1日時点を7月頃公表) 約80%
固定資産税評価額市区町村が個別の不動産について評価した価格固定資産税・都市計画税、不動産取得税、登録免許税の計算基準 各市区町村(3年ごとに評価替え、1月1日時点を4月頃公表)約70%

計算例:土地の積算価格

【前提条件】

  • 土地面積:240㎡
  • 路線価:17万円/㎡(の例を参考に)   

【計算式】 土地積算価格 = 路線価 × 土地面積 = 17万円/㎡ × 240㎡ = 4,080万円   

土地の公的評価額は単に数値が異なるだけでなく、それぞれが特定の目的と地域特性に応じた「補完関係」にあります。公示価格は土地取引の「正常な価格」を示す基準であり、相続税路線価と固定資産税評価額は、それぞれ相続税と固定資産税という特定の目的のために、公示価格を基準に設定されています 。相続税路線価が設定されていない地域では、固定資産税評価額が補完的に使われることがあります 。これは、地域によって評価基準の「主役」が変わることを意味します。関西圏でも、都市部と地方部では土地評価の基準となる公的データが異なる場合があるため、投資対象エリアの特性に応じた適切な評価額の参照が不可欠です。特に地方物件では、相続税路線価がない場合も想定し、固定資産税評価額の活用方法も理解しておくべきでしょう。投資家は、自身の投資対象物件がどの評価基準に最も強く影響されるかを理解することで、より正確な積算価格を算出し、金融機関との交渉や将来の売却戦略に役立てることができます。   

【最新データ参照】2024年・2025年の公示地価・路線価データ活用法

不動産投資において、積算価格を正確に算出するためには、常に最新の公的データを用いることが不可欠です。公示地価と路線価は毎年更新され、その動向は不動産市場のトレンドを反映しています。

最新の公示地価・路線価データの確認方法と注意点

  • 公示地価: 国土交通省が毎年1月1日時点の標準地の価格を3月下旬に公表します 。2025年(令和7年)の公示地価は、2025年1月1日時点の価格が2025年3月19日に公表されました 。
    • 確認方法: 国土交通省のウェブサイト「地価公示・都道府県地価調査」などで確認できます。
  • 路線価: 国税庁が毎年1月1日時点の評価額を7月1日に公表します 。2025年(令和7年)の路線価は、2025年7月1日(火)に国税庁のウェブサイト「財産評価基準書」で公開される予定です 。
    • 確認方法: 国税庁のウェブサイト「財産評価基準書」内の「路線価図・評価倍率表」で確認できます。
  • 注意点:
    • 評価時点のずれ: 公示地価と路線価は、いずれも1月1日時点の評価ですが、公表時期が異なります。特に7月公表の路線価は、その年の相続税・贈与税の計算に用いられます 。   
    • 地域差: 地価の動向は地域によって大きく異なります。例えば、2025年の公示地価は全国平均で4年連続上昇、特に三大都市圏や都市部で上昇幅が拡大していますが 、関西圏内でもエリアによって変動の傾向は異なります 。投資対象エリアの具体的なデータを参照することが重要です。   

イメージ案:公示地価・路線価の公開スケジュール図

(図のイメージ:1月から12月までのタイムライン上に、公示地価(3月)と路線価(7月)の公開時期をマークし、それぞれの評価時点(1月1日)を明記する図。)


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継続融資と物件担保:積算価格が拓くレバレッジ戦略

不動産投資で資産を効率的に拡大していくためには、金融機関からの継続的な融資と、自己資金を温存したレバレッジの活用が不可欠です。この戦略の中核をなすのが、積算価格を基にした物件の担保評価です。

不動産投資における継続的な融資と頭金を温存したレバレッジの必要性

不動産投資は、自己資金だけで行うには限界があります。金融機関からの融資を活用することで、より大きな規模の投資が可能となり、自己資金の効率的な運用(レバレッジ効果)が期待できます。頭金を少なくし、融資比率を高めることで、自己資金に対する投資収益率(ROE)を高めることができます。しかし、そのためには金融機関が評価する担保価値の高い物件を選ぶことが重要です。最初の物件で融資を成功させ、健全な財務状況を維持することは、次の物件購入のための追加融資を受ける上で不可欠です。

フルローン、オーバーローンを実現するために

フルローン(物件価格全額の融資)やオーバーローン(物件価格以上の融資、諸費用含む)は、自己資金の温存を最大化し、投資効率を高める上で魅力的な選択肢です。これらを実現するには、物件の積算価格が重要な鍵となります。

金融機関は、融資の可否や条件を決定する際に、購入者の属性(年収・金融資産)に加え、物件評価を重視します 。特に、積算価格が高い物件は、担保価値が高いと判断され、より有利な条件での融資(フルローンやオーバーローンを含む)を受けやすくなります 。金融機関は、不動産の評価額に「担保掛目」をかけて担保評価額を算出します 。この掛目は金融機関によって異なり、一般的に70%~80%、厳しいところでは60%と設定されることもあります 。フルローンやオーバーローンを目指す場合、この掛目が物件の評価額に対してどれくらい適用されるかを事前に把握することが重要です。   

金融機関の独自計算による資産額と負債の割合の重要性

金融機関は、融資審査の際に投資家の保有資産を全て洗い出し、独自の評価基準で資産額と負債の割合(自己資本比率など)を算出します 。このバランスが、追加融資の可否に大きく影響します。   

金融機関が重視する財務分析の一つに「自己資本比率(純資産/総資産合計)」があります 。保有物件の積算価格が低い場合、資産として扱われる割合が減少し、自己資本比率が悪化する可能性があります。積算価格が低い物件ばかりを保有していると、金融機関の評価上、資産扱いとなる割合が減少し、結果として融資が受けにくくなる傾向があります 。これは、帳簿上の資産が減価償却によって減少していく一方で、負債(ローン残債)は緩やかにしか減らないため、資産と負債のバランスが崩れるためです 。   

銀行ごとの担保掛目差と与信評価の実務:「何割で評価されるか」の違いと影響

金融機関によって、不動産の担保評価における「掛目」や与信評価の基準は異なります。この違いを理解することは、融資戦略を立てる上で非常に重要です。

  • 金融機関のタイプと評価傾向:
    • メガバンク・信託銀行: 審査は厳しい傾向にありますが、高額融資が可能で金利は低い傾向にあります 。担保評価も厳格に行われます。   
    • 地方銀行・信用金庫: 金融機関によって評価基準が大きく異なります 。地域に密着した融資を行うため、特定のエリアや物件タイプに強い場合があります。   
    • ネット銀行: 審査は比較的易しい傾向にありますが、融資限度額は低い傾向にあります 。   
  • 掛目の違い: 一般的に担保掛目は70%~80%ですが、金融機関によっては60%と設定するところもあります 。同じ不動産を担保として設定しても、金融機関によって担保評価額が異なるため、複数の金融機関に相談し、見積もりを取ることが重要です 。   
  • 与信評価の実務: 金融機関は、物件の担保評価だけでなく、投資家自身の属性(年収、金融資産、勤務先、勤続年数など)や、これまでの不動産経営の実績・ノウハウも重視します 。個人の属性が良く、担保評価が高いほど、融資を受けやすくなります 。   

法定耐用年数を超過した不動産の銀行評価

法定耐用年数を超過した不動産は、銀行評価において特別な扱いを受けることがあります。

建物部分の価値と土地部分の評価

法定耐用年数を超過した建物は、金融機関によっては担保評価を「0円」と評価する場合があります 。これは、税法上の減価償却が終わり、帳簿上の価値がほぼゼロになるためです 。しかし、建物部分が無価値と評価されても、土地部分は固定資産税評価額や相続税路線価などに応じて、担保評価額が計算されます。土地は経年劣化しない「終身資産」としての価値があるため、その評価は維持されます 。   

法定耐用年数超過物件の収益計算への影響(金融機関による違い)

一部の金融機関では、法定耐用年数を超過した不動産の収益は「将来の継続的な収益性が担保できない」として、収益計算にカウントしない、あるいは大幅に掛目を入れることがあります 。これは、融資期間が残存耐用年数を超える場合に、銀行が審査上、その超過期間の家賃収入が見込めないと判断するためです 。   

地方銀行や信用金庫の考え方の傾向

都市銀行や上位の地方銀行は、保有物件の収益性を厳しく見る傾向が強く、法定耐用年数超過物件の融資に消極的な場合があります 。一方で、一部の地方銀行や信用金庫は、残存耐用年数にかかわらず比較的長期間の融資に対応するケースもあります 。例えば、大阪に地盤のある信用金庫では、残存耐用年数にかかわらず20~28年程度の融資が受けられる場合があるようです 。これは、地域密着型金融機関が、物件の個別性や投資家の属性をより柔軟に評価する傾向があるためと考えられます。   

新築アパート投資と減価償却・担保価値の長期的な考察

最近流行の新築アパート投資は、長期の融資期間を設定できるメリットがある一方で、減価償却による価値減少と担保価値のバランスを慎重に考える必要があります。

減価償却による価値減少と長期的な資産(担保)の積み重ね

新築アパートは、購入当初は高い減価償却費を計上でき、節税効果が期待できます 。しかし、減価償却が進むにつれて建物の帳簿価額は減少し、法定耐用年数を経過すると税法上の価値はほぼゼロになります 。これにより、長期的に見ると、資産(担保)の積み重ねが十分に行われているか、慎重に評価する必要があります 。特に、融資期間を長く設定した場合、残債の減少ペースよりも減価償却による資産価値の減少ペースが速くなり、担保評価が毀損するリスクがあります。   

新築物件の短期売却戦略(例:9%で建てて7%で売るイメージ)

このような仕組みもあり、新築物件は数年後に売却する「出口戦略」を前提とする投資家も少なくありません 。例えば、利回り9%で新築アパートを建て、減価償却による節税メリットを享受しつつ、数年後に利回り7%程度で売却するという戦略です 。これは、減価償却期間が終了すると所得税や住民税の負担が増えるため、その前に売却を検討するタイミングと重なることが多いです 。   

金融機関の保有資産評価基準:現金、株、投資信託、iDeCo、仮想通貨

金融機関は、不動産投資ローンの審査において、融資対象の不動産だけでなく、投資家が保有する他の資産についても評価します。これらの資産が「何割で評価されるか」は、金融機関によって異なります。

  • 有価証券の評価割合(金融機関による違い): 現金は当然ながら100%評価されますが、株式や投資信託といった有価証券は、その流動性や価格変動リスクに応じて一定の「掛目」で評価されます。例えば、国内株式の担保掛目は50%とする金融機関もあります 。投資信託も同様に、その種類(安定型か高リスク型か)によって評価割合が変わる可能性があります。   
  • 戸建ての多すぎる保有がマイナス評価になる可能性: 戸建て物件を多数保有している場合、金融機関によっては「売り向き(面倒臭い)」と判断され、マイナス評価になったり、融資を断られたりすることがあります。これは、戸建て物件は一棟アパートやマンションに比べて管理の手間がかかり、売却時の流動性も低いと見なされる場合があるためです。
  • iDeCoや仮想通貨の評価実態:
    • iDeCo(個人型確定拠出年金): iDeCoは、老後資金形成のための非常に税制優遇された制度ですが 、原則として60歳まで引き出しが不可能であるため 、融資の担保としてはほぼ無価値と見なされることが一般的です。流動性が極めて低いため、金融機関の担保評価には含まれないことが多いでしょう 。   
    • 仮想通貨(暗号資産): 仮想通貨は価格変動が非常に大きく、流動性も不安定であるため、一般的な金融機関の不動産投資ローンにおいては、担保としてほとんど評価されないか、極めて低い掛目での評価となります 。一部の専門的な金融サービスでは、ビットコインなどの暗号資産を担保としたローンも存在しますが 、これは不動産投資ローンとは性質が異なります。   

イメージ案:銀行の融資審査フロー図

(図のイメージ:融資審査のプロセスをフローチャートで示し、「申込者の属性」「物件評価(積算価格・収益価格)」「保有資産評価」の各要素が最終的な融資判断にどう影響するかを示す。)


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土地値価格(土地値段)比率の重要性:長期的な資産形成の要

不動産投資における「土地値比率」は、長期的な視点での資産形成と、継続的な融資の可能性を考える上で極めて重要な指標です。建物が経年劣化する一方で、土地は劣化しない「終身資産」としての価値を持ちます。

残債減少と純資産増加のメカニズム

不動産ローンを返済していくにつれて、残債は年々減少します。この残債の減少分は、相対的に投資家の純資産を増加させる要因となります。ローン残債が減ることで、総資産(物件価値)から総負債(ローン残債)を差し引いた純資産は増加します。これは、帳簿上の資産価値向上だけでなく、金融機関からの与信評価の改善にもつながります。

建物価格の減価償却と担保評価の毀損リスク

一方で、建物部分は法定耐用年数に応じて減価償却が進み、その資産価値は減少していきます 。建物は時間とともに劣化し、その価値は減価償却費として費用計上されます。これにより、帳簿上の建物価格は年々減少します 。融資期間を長く設定した場合、残債の減少ペースよりも減価償却による建物資産の減少ペースが速くなることがあります。この場合、物件全体の担保評価が毀損し、結果として自己資本比率が悪化し、追加融資が困難になるリスクが生じます 。   

融資期間と減価償却のバランス

融資期間を長く設定することは、毎月の返済額を抑え、キャッシュフローを改善する上で有効な戦略です。しかし、減価償却による資産価値の減少とのバランスを考慮しなければなりません。融資期間を長くすると、毎月の返済額に占める元金返済の割合が小さくなり、残債の減少が緩やかになります。その結果、減価償却による資産の減少分が残債の減少分を上回り、担保評価が相対的に低下する可能性があります。

土地値が資産の下げ止まりとなる理由

土地は建物と異なり、経年劣化による価値の減少がありません。そのため、建物が減価償却によって価値を失っても、土地の価値が資産全体の「下げ止まり」として機能します。

土地は物理的に劣化しないため、建物のように減価償却によって価値が減少することはありません 。建物が老朽化し、その価値がゼロになったとしても、土地の価値は維持されます 。これにより、物件全体の資産価値が一定水準以下に下がるのを防ぐ「下支え」の役割を果たします。建物が無価値に近い「土地値以下物件」は、購入価格が安く初期投資を抑えられるだけでなく、将来的な値下がりリスクが少ないというメリットがあります 。売却時にも、土地の相場価格を基準に売却しやすいため、出口戦略が立てやすいと言えます 。   

土地値と継続的な融資の密接な関係

土地値が高い物件は、金融機関にとって担保価値が高く、継続的な融資を受けやすいというメリットがあります。土地は劣化しない資産であるため、土地値が高い物件は、金融機関にとって安定した担保価値を持つと評価されます。これにより、融資審査において有利に働き、より多くの融資を受けやすくなります。土地値の高い物件を保有し続けることは、投資家自身の長期的な与信力を維持・向上させることにつながります。これは、次の投資機会を捉える上で非常に重要です。

土地は劣化しない「終身資産」としての価値

土地は、そのものが持つ価値が時間経過によって物理的に失われることがないため、「終身資産」としての特性を持ちます。現金資産はインフレによって実質的な価値が目減りするリスクがありますが、土地は実物資産であるため、インフレに対するヘッジ(リスク回避)として機能する可能性があります 。土地は、建物のように建て替えが必要になることがなく、世代を超えて資産として継承しやすい特性を持っています。   

イメージ案:土地と建物の価値推移グラフ

(図のイメージ:横軸に「時間(築年数)」、縦軸に「資産価値」を取り、建物の価値が減価償却により直線的に減少していく様子と、土地の価値がほぼ横ばいで推移する様子を重ねて示すグラフ。ローン残債の推移も重ねて表示し、純資産の変動を示す。)


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積算価格が下がる要因:リスクを回避するためのチェックポイント

積算価格は客観的な評価指標ですが、特定の要因によってその評価が低下することがあります。これらの要因を事前に把握し、リスクを回避することは、賢い不動産投資において不可欠です。

銀行側が不動産を評価する場合の考え方(融資対象物件と既存保有物件)

金融機関は、新たに融資対象となる不動産だけでなく、投資家がすでに保有している不動産についても評価を行います。これは、投資家全体の財務状況とリスクを把握するためです。

融資対象の不動産は当然ながら担保評価の対象となりますが、既存保有物件も投資家の資産として評価され、与信判断に影響を与えます 。特に既存保有物件については、担保価値だけでなく、その物件が安定したキャッシュフローを生み出しているか(収支が回っているか)という収益性も重視される傾向があります 。積算価格が高くても、収支が回らないと判断されれば、追加融資が困難になることがあります 。   

再建築不可や確認書類不足が建物の評価に与える影響

物件に法的な問題や書類の不備がある場合、積算価格だけでなく、実勢価格や融資の可能性にも大きな影響を与えます。

再建築不可物件

再建築不可物件とは、建築基準法上の接道義務(幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していること)を満たさないなどの理由で、既存の建物を解体した場合に新たな建物を建てることができない物件を指します 。再建築ができない物件は、土地の活用が制限されるため、資産価値が著しく低下します 。再建築の不確実性から、金融機関は担保評価を低く見積もるため、住宅ローンや投資ローンの承認を得ることが非常に難しくなります 。現金購入できる買い手に限定されるため、売却も困難になります。   

43条但し書き

建築基準法第43条第2項但書き(43号但し書き)は、再建築不可物件に対する救済措置ですが、許可を得るには建築審査会の同意が必要であり、必ずしも許可されるとは限りません 。また、許可が得られても資産価値の低さは変わらないことが多く、ローンを組むことが依然として難しい場合があります 。   

確認書類不足

建築確認済証や検査済証などの重要な確認書類が不足している場合、物件の合法性や安全性が確認できないため、金融機関の評価が下がる要因となります。最悪の場合、融資自体が受けられない可能性もあります。

道路付け、形の悪い土地、擁壁、43号但し書きなど法令制限による物件価値の低下

土地の物理的な特性や法令上の制限は、積算価格に直接影響を与えます。

  • 道路付け(接道):
    • 接道義務: 建築基準法上の接道義務を満たさない土地(再建築不可物件)は、その価値が大きく下がります 。   
    • 間口の狭さ: 間口が狭く奥行きが長い土地(旗竿地など)は、使い勝手が悪く、間口狭小補正などにより評価額が減額されることがあります 。   
  • 形の悪い土地(不整形地): 不整形な土地やがけ地、騒音がひどい、日照時間が少ないなど住環境が良くない土地は、利用価値が著しく下がるため、評価額が減額されます 。   
  • 擁壁(ようへき): 道路や隣地との高低差がある土地は、造成や擁壁の造り替えに費用がかかるため、その分評価が低くなる可能性があります 。ただし、適切な擁壁が既に造成されており、見晴らしが良いなどの付加価値がある場合は、高く評価されることもあります 。   
  • 用途地域: 用途地域によって建てられる建物の種類や高さ、容積率などが厳しく制限されます 。建てられる建物の種類が少ない地域は、その分土地の利用価値が低く評価される傾向があります 。   

過去に不正をした会社などの物件への影響

不動産取引における過去の不正行為は、その物件の評価だけでなく、金融機関の融資姿勢にも深刻な影響を与える可能性があります。

住宅ローンを居住目的ではなく投資目的で利用するなどの不正行為は、刑法上の詐欺罪に該当する犯罪行為です 。発覚した場合、残債の一括返済、信用情報機関への記録(ブラックリスト入り)、刑事罰などのリスクがあります 。一部の金融機関は、建築偽装や融資書類偽装など、過去に不正に関与した会社が関係する物件に対しては、融資を行わない方針を取ることがあります。   

投資家は、自分がオリックス銀行や滋賀銀行などの特定の金融機関を利用するかどうかだけでなく、将来物件を売却する際に、次の買い手がその物件に対して融資を受けられるかどうかも考慮する必要があります。もし、不正に関わった物件であるために特定の金融機関が融資をしないとなると、買い手の選択肢が狭まり、結果として物件価格の下落につながる可能性があります 。   

積算価格の限界・リスク:実売却時との乖離や過大評価リスク

積算価格は客観的な評価指標である一方で、実際の市場価格(実勢価格)とは異なることが多く、その限界とリスクを理解しておく必要があります。

積算価格は「本質的な価値」に近いとされる原価法に基づく評価であり、現在の不動産市況や需要と供給のバランス、不動産会社の利益といった市場要因を直接反映しません 。そのため、積算価格と実勢価格の間には乖離が生じることが多く、特に投資用マンションでは積算価格が低くなる傾向があります 。積算価格はあくまで理論上の計算であり、実際の市場価格と一致しないことがあります 。例えば、積算価格が3,500万円の物件でも、市場の取引事例によっては2,000万円や4,300万円といった価格で取引されることがあります 。これは、売主の事情(急ぎの売却)や買主の主観的な評価(景観、住環境)が影響するためであり、積算価格はこれらの特殊な事情を考慮しないため、市場価格と大きく乖離する可能性があります 。   

「積算価格がいくらだから大丈夫」と積算価格のみに依存して判断することは危険です 。市場価格や収益性、そして専門家である不動産会社の意見を参考に、複数の指標を総合的に判断することが、不動産投資の成功には不可欠です 。   


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まとめ:積算価格を理解し、賢い不動産投資を

本記事では、不動産投資における「積算価格」の重要性、その計算方法、そして金融機関の融資判断や長期的な資産形成に与える影響について詳しく解説しました。

積算価格は、金融機関が融資を行う際の担保評価の根拠となる最も客観的な指標です。これを理解することは、融資の可否や条件を予測し、自身の資金計画を立てる上で不可欠です。高い利回りを追求する収益還元法と、担保価値を重視する積算価格は、不動産の異なる側面を評価します。特に継続的な融資を受け、事業を拡大していくためには、両者のバランスを考慮した物件選びが求められます。

建物が減価償却によって価値を失う一方で、土地は劣化しない「終身資産」としての価値を持ち、資産全体の下げ止まりとして機能します。土地値比率の高い物件は、長期的な資産形成において安定性と融資の受けやすさをもたらします。再建築不可、不整形地、不正行為など、積算価格を低下させる要因を事前に把握し、リスクを回避する知識は、賢い投資判断に直結します。

積算価格は重要な指標ですが、実勢価格や収益性、市場動向、そして専門家の意見を総合的に考慮し、自身の投資目的や出口戦略に合致した物件を選ぶことが、不動産投資を成功させる鍵となります。

関西の不動産投資家の皆様が、本記事を通じて積算価格に関する理解を深め、より確実で持続可能な不動産投資を実現できるよう願っています。


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よくある質問(FAQ)

不動産投資家の皆様からよく寄せられる積算価格に関する疑問にお答えします。

Q1. 積算価格が高い物件は必ず良い物件ですか?

A1. 必ずしもそうとは限りません。積算価格が高い物件は、金融機関からの融資を受けやすいという大きなメリットがありますが 、それがそのまま高い収益性や市場での人気を意味するわけではありません 。例えば、積算価格は高くても、立地や築年数、設備などの要因で賃貸需要が低く、収益性が期待できない物件も存在します 。投資の目的(インカムゲイン重視か、キャピタルゲイン重視か、節税目的かなど)に応じて、積算価格、収益性(利回り)、実勢価格、将来性といった複数の指標を総合的に判断することが重要です 。   

Q2. 法定耐用年数を超過した物件でも融資は受けられますか?

A2. 物件の構造や金融機関の方針、投資家自身の属性によります。法定耐用年数を超過した建物は、金融機関によっては担保評価が「0円」となる場合がありますが 、土地部分には価値が残るため、土地値が高い物件であれば融資を受けられる可能性はあります 。また、融資期間は「法定耐用年数 – 経過年数」までが限度とされることが多いですが 、一部の地方銀行や信用金庫では、残存耐用年数にかかわらず比較的長期間の融資に対応するケースも存在します 。ただし、法定耐用年数を超過した物件は、決算書上の資産と負債のバランスが悪化し、追加融資が難しくなるリスクも考慮する必要があります 。   

Q3. 関西圏で積算価格を重視すべきエリアはありますか?

A3. 一般的に、土地の価値が安定している都市部や、再開発が進むエリア、あるいは市場価格と積算価格の乖離が比較的少ないエリアで積算価格を重視する意義は大きいです。関西圏では、大阪市、京都市、神戸市といった大都市圏の中心部や、交通アクセスが良い住宅地などが該当します。これらのエリアでは、土地の流動性が高く、万が一の際の担保価値も比較的安定しているため、金融機関も融資に積極的である傾向があります 。一方で、地方の人口減少エリアでは土地評価額が低く、金融機関の担保評価も低くなる傾向があります 。   

Q4. 積算価格と実勢価格の乖離が大きい場合、どう判断すべきですか?

A4. 乖離の方向によって判断が異なります。

  • 積算価格 > 実勢価格: 物件が市場で「割安」に売り出されている可能性を示唆します 。これは、売主が急いで売却したい、あるいは市場が物件の真の価値をまだ評価していないなどの背景があるかもしれません。融資を受けやすい一方で、市場での再販性や収益性を慎重に検討する必要があります。   
  • 積算価格 < 実勢価格: 物件が市場で「割高」に売り出されている可能性を示唆します。特に、収益還元法に基づく収益性が非常に高い物件や、特殊な需要がある物件で起こりえます。この場合、融資が積算価格ベースでしか出ない可能性があり、自己資金の割合が増えるリスクがあります 。投資家は、その「割高」な部分が、将来の収益性や資産価値向上で十分に回収できるかを慎重に判断する必要があります。   

Q5. 積算価格を自分で計算する際の注意点は?

A5. 自分で計算する際は、以下の点に注意してください。

  • 最新データの参照: 公示地価や路線価は毎年更新されるため、必ず最新のデータを参照してください 。   
  • 再調達価格の目安: 建物の再調達価格は、金融機関によって異なる目安があるため、あくまで参考値として用いてください 。複数の情報源を参考に、幅を持たせて評価するのが現実的です。   
  • 補正要因の考慮: 土地の形状(不整形地、間口の狭さ)、接道状況、高低差、用途地域などの個別要因は、積算価格に影響を与えます 。これらの補正を正確に行うには専門知識が必要な場合があるため、複雑な物件の場合は不動産鑑定士や税理士などの専門家への相談を検討しましょう 。   
  • 税法上の評価と銀行評価の違い: 税法上の評価額と金融機関の担保評価は、目的が異なるため必ずしも一致しません。自己計算はあくまで目安として捉え、最終的な融資判断は金融機関に確認することが重要です。

プロフィール

楽待新聞&不動産投資Libraryのコラムニストをしています。
普段、不動産投資家として考えていることや体験談などを掲載しています。
これから不動産投資を始めたい方や、賃貸経営初心者の方に対して、分かりやすい内容を心掛けています。

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