「築古・ボロ物件で高利回りを狙いたいけれど、シロアリ被害が怖い」「シロアリ物件として安く出ているけれど、本当に買って良い物件なのか分からない」――こうした悩みを抱える個人投資家・大家さんのための実務記事です。
シロアリ被害は築古ボロ物件投資の最大のリスク要因の一つであると同時に、正しく見積もれれば大幅な指値根拠にもなる「機会」でもあります。本記事では、シロアリ駆除業者向けの一般論ではなく、これから物件を購入する側の視点に立ち、契約不適合責任(旧 瑕疵担保責任)の実務、購入時に必ず織り込むべき修繕予算の組み方、指値交渉の進め方、そして見落とされがちな修繕後の長期保証まで、不動産投資家として押さえておくべきポイントを網羅的にまとめました。
なお、ボロ物件・築古物件の探し方そのものについては 地方アパート経営の実務|高利回り築古の選び方・公庫融資・出口戦略 でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
- シロアリ被害物件は初心者は避ける。判断するなら被害把握+費用織り込みが必須
- 2020年4月の民法改正で「契約不適合責任」へ。期限は知った時から1年(宅建業者経由は引渡しから2年)
- 駆除費用相場は1坪6,200〜10,000円、30坪で13〜25万円。修繕費用は柱交換30万円・大規模修復50〜200万円
- 購入時は見積額の1.3〜1.5倍を上限予算として確保し、別枠で空室費用2〜3ヶ月分を見込む
- 修繕後は5年保証(施工保証+損害賠償保証)が業界標準。日本しろあり対策協会会員かを必ず確認
- 築古・ボロ物件への投資を検討している個人投資家/大家さん
- シロアリ被害を理由に指値が入った物件を、買うべきか判断したい方
- 購入後にシロアリ被害が発覚したときの売主との交渉(契約不適合責任)を押さえておきたい方
- シロアリ被害の修繕費用と、それを購入価格に織り込むための予備費の組み方を知りたい方
- シロアリ駆除後の長期保証の落とし穴を避けたい方
- 被害状況を確認せず「安いから」で即決
- 修繕費用を購入価格に織り込まない
- 契約書の免責特約をチェックせず
- 駆除業者を価格だけで選ぶ
- 結果:購入後に300万円超の追加費用
- 専門業者の床下点検+見積を購入前に取得
- 修繕見積額をそのまま指値根拠に
- 契約不適合責任条項を契約書に明記
- 日本しろあり対策協会会員業者を選定
- 結果:相場より20〜30%安く取得+高利回り化
🛑 シロアリ物件は買うな?投資家としての判断軸


ある程度、経験豊富な家主で無い限り、基本的にはシロアリ被害のある物件を購入するべきではありません。
ただし、不動産投資の世界では「シロアリ被害があるからこそ大幅な指値が通り、修繕後に高利回り物件として化ける」という戦略もあり得ます。実際に、ボロ物件再生で高利回りを実現している大家さんの中には、シロアリ被害物件を意図的に狙う方もいらっしゃいます。
判断の分かれ目は次の2点に集約されます。
- 被害の進行度を正確に把握できるかどうか
- 修繕費用とリスクを購入価格に織り込めるかどうか
この2つが満たせない場合は、利回りの数字に惑わされず見送る勇気を持つべきです。築古物件には他にも雨漏り・耐震・配管劣化など複合リスクがあり、判断軸は以下の関連記事もあわせて押さえておきましょう。
⚠️ シロアリ被害の物件のリスク
シロアリ被害が発生すると入居者への影響も大きいですし、万が一、建物が脆弱になり倒壊してしまったとしたら人の命に関わるかもしれません。
根本的に問題を解決するためには、現在の入居者に一時的に退去して頂くようお願いする必要がありますし、その際には退去費用も掛かります。加えて、修繕中の家賃減免や仮住まいの提供を求められることもあり、表面的な駆除費用だけでなく、ダウンタイム中のキャッシュフロー悪化までセットで見積もる必要があります。
なお、物件購入の判断軸であるキャッシュフローの基本は キャッシュフローの考え方は?物件購入時の大切な判断基準 をご覧ください。
📜 シロアリ被害と契約不適合責任(旧 瑕疵担保責任)の実務
2020年4月の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」へと名称・内容が改められています。中古物件売買の現場では、現在もこの契約不適合責任に基づいて、売主に対し以下の請求が可能です。
- 追完請求(修補や代替物の提供)
- 代金減額請求
- 損害賠償請求
- 契約解除
契約内容にシロアリ被害が「契約不適合」として残されている場合は、期限内であれば売り主側にシロアリ駆除や修繕の費用を請求できる場合もありますが、シロアリ被害がある(または過去にあった)事を把握した上で購入した場合は対象外となり、購入者側で費用を負担することになります。
📝 売主が個人か宅建業者かで免責ルールが変わる
ここは実務上、極めて重要なポイントです。
- 売主が個人の場合:売買契約書に「シロアリに関する契約不適合責任を免責する」旨の特約が入っていれば、買主は原則として責任追及できません。築古物件では「現状有姿」「契約不適合責任免責」とセットで売却されるケースが多いため、契約書面のチェックは必須です。
- 売主が宅建業者の場合:宅建業法第40条により、引渡しから2年以上の契約不適合責任を負わせる特約は有効とされ、シロアリ被害を全部免責する特約は実務上認められません。少なくとも引渡しから2年間は責任追及が可能と考えてよいでしょう。
責任追及の期間は、原則として「不適合を知った時から1年以内に通知」、宅建業者からの購入であれば最短でも引渡しから2年が確保されています。期間内に通知を怠ると、後から売主に費用を請求することができなくなりますので、引渡し後はできるだけ早期に専門業者の床下点検を入れておく事を強くおすすめします。
🛡️ 「既存住宅売買瑕疵保険」を使うという選択肢
契約不適合責任は売主への請求が前提ですが、売主に資力が無い・連絡が取れない等のリスクに備えるなら既存住宅売買瑕疵保険の活用も検討に値します。詳細は 大家のための既存住宅売買瑕疵保険|契約不適合免責の中古物件を守る費用・検査・税制連動と関西の実務 をご覧ください。シロアリも対象に含まれる商品があり、個人売主からの購入リスクを補完する強力な選択肢になります。
- 告知書:売主が把握している瑕疵を明示する書面。シロアリ記載があれば契約不適合責任は問えない
- 物件状況確認書:過去の修繕歴・防蟻処理歴が記載される。空欄が多い場合は要追加質問
→ 両書面のコピーは必ず保管。引渡し後トラブル時の証拠になります。
🐜 シロアリ発生の原因と発生しやすい築古物件の特徴
シロアリが発生する場所としては、まず「床下」が考えられますが、条件が揃えば他の場所でもシロアリは発生してしまいます。
また建物の構造としても、木造構造がもっとも被害に遭いやすいのは確かですが、鉄筋構造の物件でも少なからず木材は使用されているため、被害に遭う可能性が無い訳ではありません。築古物件の構造リスク全般については 旧耐震・新耐震・2000年基準の違い|81-00問題・上町断層・耐震基準適合証明書の実務 も併せて確認しておきましょう。
🌫️ シロアリが生息しやすい環境
シロアリが発生しやすくなる環境としては以下のような場所が考えられます。
- 湿った木材やダンボールなどが放置されている場所
- 気温が暖かく湿気が高い状態が続く場所(一般に5℃以上、湿度70%以上で活発化)
- 雨漏りや給排水管の漏水が長期間放置されている場所
- 外から侵入しやすい場所(地面から侵入経路までの高さが低ければ侵入しやすくなる)
- 床下換気口が塞がれている、もしくは外周部に植栽や物置が密着している建物
🏚️ 築古物件のシロアリリスクが高い特徴
不動産投資家として現地確認をする際は、「土地・建物のどこにシロアリを呼び込みやすい条件が揃っているか」を一通り確認しておく事が重要です。
- 築20年以上で、過去のシロアリ予防処理の履歴が確認できない木造アパートや戸建て
- 基礎が低く、布基礎で床下空間が狭い建物
- 玄関ポーチや浴室周り・洗面脱衣室など、地面と木部の距離が近い構造
- 建物外周にウッドデッキ・木製フェンス・薪などが直接土に接して置かれている物件
- 北側で日が当たらず、常時じめじめしている部位がある建物
これらの条件に複数当てはまる場合は、購入前に有償でも床下点検を入れておくべきです。
なお、防蟻処理に使用される薬剤の有効期間は概ね5年程度とされており、新築時に防蟻処理が施されていても、5年を超えた木造物件はそろそろ予防再施工を検討するタイミングになります。
🔍 シロアリ被害の確認ポイント(現地内見でやるべき事)
シロアリ被害を確認するためのポイントとしては以下のような方法があります。築古物件の購入前内見では、周辺環境調査と並行してこのチェックを必ず実施してください(参考:アパート全戸インターネット無料化の進め方|回線・業者・費用と空室対策の実務ガイド)。
🔬 蟻道(砂のトンネル)の確認
蟻道とはシロアリが活動するために作り出したトンネル型の通り道のことです。土や木材の他、シロアリの排泄物や分泌物などから作られます。
素人でも簡単に見分けることができるはずですが、蟻道が見つかったら近くにシロアリが生息している可能性が高いです。基礎の立ち上がりや床下換気口周辺、土台の側面などを重点的にチェックしてみてください。
🩹 予防駆除の施行痕の確認
シロアリ被害は一度発生した場合、再び被害に遭う可能性が高くなります。
予防駆除の施行痕(柱や土台に空けた小さな注入孔の跡)が残っている場合は過去にシロアリ被害に遭っている可能性が高いので、物件の所有者(または仲介会社)に詳しく話を聞き、現在の状態を適切に把握するべきです。
過去の施行記録(保証書・施工証明書)が残っているかも併せて確認し、保証期間が切れていないかどうかは必ずチェックしておきましょう。
🔨 木材を叩いてみる/羽アリ・フン・床鳴りも見逃さない
シロアリ被害が進行している場合、木材などが食べられていて中身がスカスカになっている可能性があります。木材を実際に叩いてみることで被害の状況が分かります。正常な状態であればコンコンという音、被害が大きい場合はスカスカの音になるはずです。
内見の際は、以下のサインも合わせてチェックすると見落としが減ります。
- 羽アリの死骸や羽の脱落:玄関・窓際・浴室付近に黒っぽい羽の残骸があれば要注意です。
- 木屑のような粉状のフン:アメリカカンザイシロアリが残す砂粒状のフンは、棚や床の上に落ちている事があります。
- 床鳴り・床のたわみ:歩いた時に異様にきしむ、沈み込むような感覚がある床は、土台や根太がやられている可能性があります。
- 建具の建付けの悪化:ドアや襖の閉まりが急に悪くなった部位は、構造材の歪みを示している可能性があります。
👷 怪しい場合は業者に依頼/インスペクションの活用
目視だけでは限界があるため、不安が残る物件はシロアリ駆除の専門業者または住宅診断士(ホームインスペクター)に確認を依頼しましょう。
2018年4月から中古物件売買時のインスペクション説明が義務化されており、活用しやすくなっています(詳しくは インスペクション説明の義務化で中古物件市場はどう変わる?)。地域によっては無料点検を請け負ってくれる専門業者もいるので、築古物件・ボロ物件の購入を検討する場合は手を抜かずに確認した方が良いと思います。
💴 シロアリ駆除・修繕費用の概算(購入判断のためのインプット)
ここからは「投資家として購入価格に織り込むべき費用」を概算するためのインプットを整理します。一般家庭向けの駆除費用相場をまとめた記事は他にも多数ありますので、ここでは購入判断に必要な要点だけ簡潔にまとめます。
💴 駆除費用の坪単価・坪数別の目安
- 1坪あたり:6,200円〜10,000円程度(バリア工法 6,200〜8,300円/ベイト工法 9,300〜12,000円)
- 20坪:約 9万円〜21万円
- 30坪:約 13万円〜25万円
- 40坪:約 17万円〜42万円
🔧 部位別の修繕費用相場(被害が出ている場合)
- 柱の部分補強(添え木等):1本あたり 1万円〜5万円
- 柱を1本まるごと交換:1本あたり 約30万円
- 土台部分まで被害が及んでいる場合の追加費用:約20万円
- 床下や壁の軽微な部分補修:1箇所 5万円〜15万円
- 大規模修復(複数箇所+床貼替を含む):50万円〜200万円
点検口が無い物件では、点検口設置で1箇所あたり3万円〜5万円が別途かかる点も注意です。
修繕費の詳細については、当ブログの修繕シリーズも参考にしてください。
- 大規模修繕の落とし穴|コンサルバックマージン10〜20%・実数精算追加4割・修繕費20万円ルール
- 【2026年版】大家のための内装修繕費・主要用語|原状回復の実費明細と相場を徹底解説
- 修繕費か資本的支出か?判定フローチャートと60万円・10%・7:3基準|国税庁通達で迷わない不動産投資家の実務ガイド(駆除+構造材交換は資本的支出になる可能性が高く、税務上のインパクトも大きいです)
💰 シロアリ物件購入時に見積もるべき修繕予算と指値交渉
下記の項目に当てはまるものをチェックしてください。
- ☐ 不動産投資の経験が3棟以下、または初めての築古物件購入
- ☐ シロアリ駆除業者から床下点検+見積をまだ取っていない
- ☐ 自己資金が物件価格の20%未満で、修繕予算の余力が限定的
- ☐ 売主からの告知書・物件状況確認書のコピーを受け取っていない
- ☐ 修繕中の空室期間(2〜3ヶ月分)の家賃損失を見積もっていない
→ 3つ以上当てはまったら、現時点での購入は危険です。本記事の判断軸と予備費の組み方を再検討してください。
ここが本記事の核心です。シロアリリスクのある築古物件を取得する際、「修繕費用+予備費+ダウンタイム費」の3つを購入価格と切り離して別建てで確保しておく事をおすすめします。物件購入時の諸費用全般は 不動産投資の諸費用は物件価格の何%か|仲介手数料・登記費用・税金・保険料の内訳と計算実例 も併せて確認してください。
📋 修繕費用の見積もり例(30坪・木造2階建)
仮に30坪・木造2階建ての戸建てで、床下にやや進行したシロアリ被害があった場合の概算は以下の通りです。
- 床下全面駆除(バリア工法):15万円〜25万円
- 被害部位の構造材交換(柱2〜3本+土台一部):80万円〜120万円
- 床下の防湿シート・換気改善:10万円〜30万円
- 内装の復旧(床貼替・畳交換等):30万円〜80万円
合計で 135万円〜255万円程度のレンジを見ておけば、想定外の二次被害が見つかっても致命傷を避けやすくなります。
🤝 指値(値引き交渉)の考え方
売主が「シロアリ被害あり」を認識している物件であれば、指値交渉の余地は大きくなります。一般的な指値の考え方は アパート投資で買ってはいけない物件10選|初心者大家が見抜くべき落とし穴と回避策 も参考にして頂きたいですが、シロアリ被害が判明している物件では、修繕見積額をそのまま値引き根拠として提示するのが王道です。
具体的には、
- 専門業者から床下点検+駆除+修繕の概算見積りを取得
- 見積書を根拠資料として、購入価格から差し引く形で指値を入れる
- 売主が拒否した場合は、契約書に「契約不適合責任を負担する」条項を入れて貰うよう交渉
の3段階で進めると、売主・買主双方が納得しやすい着地点に持ち込めます。
- 「シロアリ被害があるから安くして」だけ
- 具体的な見積書を提示しない
- 感覚で「100万円引き」と提示
- 初回から大幅指値(30%超)
- 専門業者の見積書を根拠資料として提示
- 修繕費+将来予防費の合算で根拠化
- 「相場の◯%」ではなく金額ベースで提示
- 段階的指値(5%→10%→契約条項調整)
💼 修繕予算の置き方
シロアリ被害は、解体してみて初めて全容が分かるケースが多々あります。経験則としては、
- 見積額の1.3倍〜1.5倍を上限予算として確保しておく
- そのうち2〜3割は、想定外の追加修繕(雨漏り・配管漏水等の付随被害)用の予備費として必ず別枠で確保しておく
- 修繕期間中の家賃減免・空室期間(最低2〜3ヶ月分)もキャッシュアウトとして織り込む
という考え方で資金計画を組んでおく事で、想定外の追加コストにも耐えられる構造になります。
🛡️ 修繕・駆除後の長期保証と業者選び
シロアリ駆除は「やっておしまい」ではなく、長期保証と再発時の対応がセットで初めて価値が確定するサービスです。築古物件再生における業者選びの要点をまとめます。
📅 5年保証が業界標準
シロアリ駆除に使用する薬剤の有効期間は概ね5年とされており、これに合わせて業界標準の保証期間も「5年」になっているケースがほとんどです。
5年保証の中身は大きく分けて以下の2系統があります。
- 施工保証(再施工保証):保証期間内に再発した場合、無償で再駆除を行うもの。多くの業者が標準で提供しています。
- 損害賠償保証:再発によって建物自体に損害が発生した場合、修繕費用を一定額まで保証するもの。保証額は上限300万円〜1,000万円程度に設定されている事が多いです。
🔄 10年保証は本当にお得か
近年は「10年保証」を打ち出す業者も増えています。ただし、薬剤の有効期間自体は5年で変わらないため、10年保証の場合は中間で薬剤の追加施工を行う前提で保証契約が結ばれているケースが多く、長期に亘る点検料・薬剤再施工費用も総額で見ておく必要があります。短期キャピタルゲイン狙いの物件であれば5年保証で十分、保有期間が長い物件であれば10年保証+定期点検をセットで検討する、という使い分けが現実的です。
「シロアリの防除工事は、薬剤の効力期間や施工技術の差により、業者選択が極めて重要である。」
🎯 業者選びで必ず確認したい5つのポイント
- 「公益社団法人 日本しろあり対策協会」会員かどうか(薬剤・施工方法の信頼性の目安)
- 保証期間と保証内容(施工保証・損害賠償保証の有無、保証上限額)
- 使用薬剤の安全性データシート(SDS)開示の有無
- 見積書に「面積・薬剤量・工法・人工」が明記されているか
- 5年後の再施工費用の見込みを事前に提示してくれるか
価格だけで選んでしまうと、5年経って再施工が必要になった時に「保証が切れたので新規料金で」と高額請求されるケースもあります。トータルコスト(10年スパン)で比較する事を強くおすすめします。
❓ よくある質問(シロアリ物件 購入Q&A)
Q1. シロアリ被害のある中古物件は絶対に買ってはいけませんか?
A. 絶対NGではありません。被害の進行度を正確に把握でき、修繕費用と将来リスクを購入価格に織り込めれば、むしろ大幅な指値根拠になります。ただし初心者の方や、保有資金に余裕が無い方は見送るのが無難です。
Q2. 築何年以上だとシロアリリスクが高いですか?
A. 木造で防蟻処理の履歴が確認できない場合、築20年以上は要警戒です。学者の中には「築30年超の木造の半数にシロアリ被害がある」と指摘する方もいるほどで、築古物件の購入時は床下点検をデフォルトのチェック項目にすべきです。
Q3. 購入後にシロアリ被害が判明したら、誰が費用を負担するのですか?
A. 売買契約書の内容次第です。売主が宅建業者なら引渡しから2年間、個人売主でも免責特約が無ければ知った時から1年以内に通知すれば契約不適合責任を追及できます。免責特約があると追及不可なので、契約書面のチェックは絶対に省略しないでください。
Q4. シロアリ駆除と修繕の見積もりはどう取れば良いですか?
A. 2〜3社から相見積もりを取り、「面積・薬剤量・工法・人工」が明記された見積書を必ず受け取ってください。地域によっては無料点検を実施する業者もあり、購入前の段階で見積もりを取れます。これがそのまま指値の根拠資料になります。
Q5. シロアリ物件で指値はどれくらい入れられますか?
A. 一般的な中古物件の指値相場は3〜5%、状況次第で1割前後ですが、シロアリ被害が判明している物件では、駆除+修繕の概算見積額をそのまま値引き根拠として提示できます。100〜200万円規模の指値が通るケースもあります。
Q6. 修繕後の保証は何年が標準ですか?
A. 業界標準は5年保証です。薬剤の有効期間が5年であることに対応しています。10年保証は中間で追加施工が前提になっている事が多いので、保証書の細部まで確認してください。
✅ まとめ:シロアリ物件で勝つための投資家チェックリスト
築古物件・ボロ物件をターゲットにした不動産投資において、シロアリ被害は「避けるべきリスク」であると同時に、正しく見積もれば大きな指値根拠になる「機会」でもあります。今回の内容を改めて要点として整理しておきます。
- 経験豊富な家主で無い限り、シロアリ被害物件は基本的に購入を避ける。判断するなら被害把握+費用織り込みが必須。
- 2020年4月の民法改正で、瑕疵担保責任は「契約不適合責任」へ。期限は知った時から1年(宅建業者経由は引渡しから2年)。
- 個人売主は免責特約により責任を回避できるが、宅建業者は宅建業法第40条により全部免責は不可。資力リスクには既存住宅売買瑕疵保険を併用。
- シロアリ駆除費用相場は1坪6,200〜10,000円、30坪で13〜25万円程度。修繕費用は柱交換30万円・土台+20万円・大規模修復は50〜200万円。
- 購入時は見積額の1.3〜1.5倍を上限予算として確保し、別枠で雨漏り等の付随被害用の予備費と2〜3ヶ月分の空室費用を見込む。
- 修繕後は5年保証(施工保証+損害賠償保証)が業界標準。10年保証は中間追加施工とセットで提案される事が多いため、保有期間との相性で選ぶ。
- 業者選びは「日本しろあり対策協会」会員かどうかと、見積書の透明性、再施工費用の事前提示の3点を重視。
シロアリ物件は決して甘く見るべきではありませんが、事前の徹底した調査と適切な予備費の組み方、信頼できる業者との長期的な関係構築があれば、十分にコントロール可能なリスクです。築古物件・ボロ物件の購入を検討される方は、是非、本記事の内容をご自身の物件評価チェックリストに組み込んで頂ければと思います。
📖 この記事の根拠(出典・参考)
- 契約不適合責任の規定:民法(債権関係)改正(2020年4月施行)/宅建業法第40条
- シロアリ駆除費用の坪単価相場:シロアリ110番/アサンテ/公益社団法人 日本しろあり対策協会の公開データ
- 修繕費用相場(柱・土台・床下):複数のリフォーム会社の公開価格表
- 5年保証の業界標準:公益社団法人 日本しろあり対策協会のFAQ
- 築古物件のシロアリ発生リスク:「築25〜29年で5件に1件」シロアリの雨宮・他複数の業界データ
- 築古ボロ物件再生・指値交渉の実体験:執筆者(楽待新聞コラムニスト)自身の所有物件運用実績より


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