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ノンバンクから銀行・信金への借り換えはできる?返済期間の決まり方と審査で見られる点|諸費用と損益分岐の計算

ノンバンクから銀行への借り換え 返済期間と諸費用の計算 融資・金利戦略
この記事は約11分で読めます。

ノンバンクで借りた不動産投資ローンを銀行や信用金庫に借り換えられるかは、「ノンバンクで借りていること」そのものより、物件の担保評価と残っている借入の差、借り換え後に組める返済期間、これまでの返済に延滞がないかで決まります。ノンバンクの借入があるだけで銀行の審査に通らない、と定めた規制は、金融庁の調査(2019年)と各行の公表資料の範囲では見つかりませんでした。

とくに築年数が進んだ物件では、銀行が残りの耐用年数を基準に返済期間を決めると、金利が下がっても期間が短くなって毎月の返済が増えることがあります。この記事では、審査で見られる点、返済期間の決まり方、借り換えの諸費用、得か損かの計算を、金融機関の公式資料と金融庁の調査で整理します。

❓ 先に答え:ノンバンクから銀行へ借り換えられるか
  • 借り換えられるかを分けるのは、担保評価と残債の差、借り換え後の返済期間、延滞の有無、物件の収支
  • 銀行の返済期間は「残りの耐用年数」を基準にする例が多い。木造の築15年なら、税法の中古の計算(簡便法)で10年
  • 諸費用は、ノンバンクの中途解約手数料(公表例は、繰り上げて返す元金の最大2〜5%)、新しいローンの手数料、抵当権の登録免許税(借入額の0.4%)など
  • 得か損かは「保有する期間に減る利息」と「諸費用」で比べる。金利が1.9%下がる例では約2年で諸費用を回収、0.5%下がる例では約10.6年かかった
この記事は以下のような方におすすめです!
  • ノンバンクで借りた物件を、銀行や信用金庫に借り換えたい方
  • 借り換えを相談して、返済期間が短くなると言われた方
  • 借り換えの諸費用がいくらかかるか知りたい方
  • 金利差がどれだけあれば借り換えで得になるか計算したい方
  • これからノンバンクで借りるか迷っていて、出口を先に知りたい方
🎯 30秒でわかる本記事の要点
  • 銀行には、第一順位の抵当権や、担保評価の範囲内での融資を条件にする例がある。残債が評価を上回れば差額は自己資金
  • 金融庁の調査(2019年)では、融資期間を法定耐用年数以内に「必ず」設定する銀行は6%、「概ね3分の2以上の案件で」は50%
  • ノンバンクには、金利が上がると返済額を据え置いて返済期間を延ばす商品がある。延びた分だけ、借り換え先の期間との差が開く
  • ノンバンクの中途解約手数料は、公表されている手数料表に経過年数による段階の記載がない。銀行には年数で下がる例がある
  • 回収にかかる年数は、おおよそ「諸費用の率÷金利差」
📕 Before(読む前)
  • ノンバンクで借りていると、銀行には相手にされないと思っている
  • 金利が下がれば毎月の返済も下がると思っている
  • 「諸費用÷毎月の返済の減少額」で元が取れる時期を計算している
📘 After(読んだ後)
  • 担保評価・返済期間・延滞の3つで、借り換えの見込みを先に確かめられる
  • 借り換え後の返済期間を、構造と築年数から見積もれる
  • 保有する期間に減る利息と諸費用で、得か損かを計算できる

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🏦 1. 借り換えで銀行・信用金庫が見る点

見る点 公式資料・公的資料にある条件の例
担保評価と残債融資は自社の担保評価額の範囲内(オリックス銀行)。残債が評価を上回れば、差額を自己資金で埋める
抵当権の順位第一順位の抵当権を求める例がある(オリックス銀行・北陸銀行)。ノンバンクで二番抵当や共同担保を付けている場合は、それをどう外すかを借り換え先と確かめる
延滞の有無「直近1年以内に遅延の無い方」(オリックス銀行)などの条件がある
物件の収支と返済期間金融庁の調査結果は、物件が生む資金を主な返済原資とし、合理的な耐用年数に合った期間にし、家賃の下落などを織り込んだ完済までの試算をすることが重要だとしている
住所・勤務先地方銀行・信用金庫の商品には、営業区域内に住む・勤めることを条件にするものがある

ノンバンクの借入が審査でどう扱われるかを定めた規制は、金融庁の調査(2019年)と各行の公表資料の範囲では見つかりませんでした。一方で、銀行が加盟する信用情報機関(全国銀行個人信用情報センター)は、情報交流(IDEA)によって貸金業者の貸付残高を照会できます。個人で借りている場合、ノンバンクの借入残高と返済状況は銀行から見える前提で考えます。

📅 2. 借り換え後の返済期間の決まり方

借り換え後の返済期間は、毎月の返済額を大きく左右します。公表されている例は次のとおりです。

  • 三井住友信託銀行(アパートローンの商品概要説明書):借り換えの場合は「借り換えの対象となるローンの残存期間内」かつ「原則、建物の法定耐用年数以内」
  • 北陸銀行(中古物件・他行からの借り換え):鉄筋コンクリート造は「法定耐用年数-築後経過年数+既経過年数×20%」以内(新築時の規定期間が上限)。鉄骨造・木造は「新築時の構造別規定融資期間-築後経過年数+既経過年数×20%」以内
  • 金融庁の調査(2019年3月公表、115行):融資期間を物件の法定耐用年数以内に「必ず」設定している銀行は6%、「概ね3分の2以上の案件で」設定している銀行は50%

税法の中古資産の耐用年数(簡便法:法定耐用年数-経過年数+経過年数×20%)で目安を出すと、次のようになります。

構造(住宅用の法定耐用年数) 築15年 築25年
木造(22年)10年4年
重量鉄骨・厚さ4mm超(34年)22年14年
鉄筋コンクリート造(47年)35年27年

実際の期間は金融機関ごとに違い、耐用年数を超える期間を本部の判断で認める例もあります(金融庁の調査)。それでも、築古の木造・鉄骨では、金利が下がっても期間が短くなって毎月の返済が増えることがあります。

📈 3. ノンバンク側の事情:金利が上がると返済期間が延びることがある

セゾンファンデックスの不動産投資ローンは、公式ページで「利率の変更に伴い、原則として毎月の返済金額は増減されませんが、返済期間・回数は最長35年・420回となる場合があります」と説明しています。金利が上がっても毎月の返済は変わらない代わりに、完済までの期間が延びます。

延びた期間は、借り換え先の銀行が認める期間との差になります。金利が上がった後ほど、借り換えると毎月の返済が増えやすいので、借り換えを考えるなら、今の残りの期間と、借り換え先で組める期間を先に並べます。

読者
毎月の返済が増えるなら、借り換えない方がいいのでは?
著者
毎月の手残りは減りますが、払う利息の合計は大きく減ることがあります。手残りが減っても家賃で返済を回せるか、減る利息で諸費用を何年で取り戻せるか、の2つで判断します。

💴 4. 借り換えの諸費用

費用 公表されている例(2026年10月1日時点)
今のローンの中途解約手数料(ノンバンク)セゾンファンデックス 3.0%以内、L&Fアセットファイナンス 2.00%(最低2万円)、AGビジネスサポート(不動産投資ローン)2.00〜5.00%、SBIエステートファイナンス 0〜3.00%。いずれも手数料表に経過年数による段階の記載はない
(参考)銀行の繰上返済の手数料オリックス銀行は1年以内2.00%から5年超0.50%へ、東京スター銀行は5年以内1.00%・5年超0.50%と、年数で下がる例がある
新しいローンの手数料定額の例(三井住友信託銀行のアパートローン77,000円など)と、借入額の2.20%以内(オリックス銀行)・2.2〜3.3%(東京スター銀行)などの定率の例がある
登録免許税抵当権の設定は借入額の0.4%、抹消は不動産1個につき1,000円(20個以上は2万円)。住宅用の軽減(0.1%)は自分が住む住宅だけで、賃貸物件には使えない
司法書士報酬日本司法書士会連合会のアンケート(2024年3月)で、抵当権設定の平均42,699円、抹消の平均17,470円(設例による)
印紙税(金銭消費貸借契約書)1千万円超5千万円以下は2万円、5千万円超1億円以下は6万円。紙の契約書を作る場合にかかる(オリックス銀行は「書面で契約する場合は印紙代が必要」と案内)

諸費用を新しいローンに含めて借りられる商品もあります(オリックス銀行は、借り換えの場合「現在のローン残債務に繰上返済手数料、諸費用…を加えた額」以内)。大きくなりやすいのは今のローンの中途解約手数料で、残債4,500万円の3%なら135万円です。新しいローンの手数料が定率の場合は、そちらが大きくなることもあります(下の例3:解約90万円・新規99万円)。

🧮 5. 得か損かの計算:保有する期間に減る利息と、諸費用を比べる

残債4,500万円、今の金利4.4%・残り27年のローンを、金利2.5%に借り換える場合で計算しました(2.5%は仮に置いた値です)。諸費用は、中途解約手数料3%(135万円)、新しいローンの手数料11万円、登録免許税(設定18万円・抹消2,000円)、司法書士報酬(日司連の平均)、印紙2万円で、合計約172万円(残債の3.8%)です。

例 毎月の返済 諸費用を取り戻す時期 5年保有したときの差し引き
期間を27年のまま借り換え237,579円 → 191,137円25か月目約242万円の得
期間が15年に短くなる借り換え237,579円 → 300,055円(月6.2万円増)24か月目約284万円の得
金利差0.5%(3.8%→3.3%、残り25年、手数料が解約2%+新規2.2%)232,585円 → 220,483円127か月目(約10.6年)約107万円の損

「得・損」は、保有期間に払う利息の差から諸費用を引いた額(税引前)。期間が短くなる例2の利息が少ないのは、元金を早く返す分も含まれるためで、毎月の手残りは減ります。売却や完済の時期が早いほど、取り戻せる利息は少なくなります。

「諸費用÷毎月の返済の減少額」で元が取れる時期を出す方法は、期間が短くなる借り換えでは分母がマイナスになって使えません。期間が同じでも、毎月の返済の減り方は利息の減り方より小さいので、例1では37か月と出て、実際(25か月)より遅く見えます。目安としては、取り戻すまでの年数 ≒ 諸費用の率 ÷ 金利差です(諸費用3.5%・金利差1%なら式では3.5年。毎月の利息を積み上げた計算では43か月=約3.6年)。

📋 6. 借り換えの前に準備すること

  • 返済実績:延滞がないことを条件にする銀行がある。何年の返済実績が必要かを公表している例は見つからなかった
  • 書類:金融機関の公表資料にあるのは、返済予定表、売買契約書、登記簿、固定資産の評価証明、確定申告書か決算書。レントロール(部屋ごとの家賃の一覧)を求められることもある
  • 担保の整理:共同担保や二番抵当がある場合、どれを外せば第一順位にできるかを確かめる

❓ よくある質問

Q1. ノンバンクで借りていると、銀行の審査に通りませんか?

A. ノンバンクの借入があるだけで審査に通らないと定めた規制は、金融庁の調査と各行の公表資料の範囲では見つかりませんでした。審査で見られるのは、担保評価と残債の差、返済期間、延滞の有無、物件の収支です。個人の借入なら、ノンバンクの残高は銀行が加盟する信用情報機関から照会できます。

Q2. 借り換えでなぜ返済期間が短くなるのですか?

A. 残りの耐用年数を基準に期間を決める銀行があるためです(2019年の金融庁の調査では、銀行の56%が、概ね3分の2以上の案件で融資期間を法定耐用年数以内にしていた)。三井住友信託銀行は、借り換えの期間を「借り換えの対象となるローンの残存期間内」かつ「原則、建物の法定耐用年数以内」としています。

Q3. 諸費用も借り換えのローンに含められますか?

A. 含められる商品があります。オリックス銀行は、借り換えの場合、今の残債に繰上返済手数料や諸費用を加えた額以内まで融資するとしています。ただし融資は担保評価の範囲内です。

Q4. ノンバンクの中途解約手数料は、借りてからの年数で下がりますか?

A. 公表されているノンバンク各社の手数料表には、経過年数による段階の記載がありませんでした(繰り上げて返す元金の最大2〜5%)。銀行には、年数で下がる例があります。

Q5. 金利がいくら下がれば借り換えた方が得ですか?

A. 一律の目安はありません。「保有する期間に減る利息」が「諸費用」を上回るかで決まります。取り戻すまでのおおよその年数は「諸費用の率÷金利差」で、諸費用が残債の3.5%なら、金利差1%で約3.5年、0.5%で約7年です(記事の条件で計算すると43か月・88か月)。

📝 まとめ

ノンバンクから銀行・信用金庫への借り換えは、担保評価と残債の差、借り換え後の返済期間、延滞の有無、物件の収支で決まります。ノンバンクで借りていることだけで断られる、という規制は、金融庁の調査と各行の公表資料の範囲では見つかりませんでした。

残りの耐用年数で期間を決める銀行では、築古の物件だと金利が下がっても毎月の返済が増えることがあります。ノンバンク側では、金利が上がると返済期間が延びる商品があり、その分だけ借り換え後の期間との差が開きます。

得か損かは、保有する期間に減る利息と諸費用で比べます。大きくなりやすい諸費用はノンバンクの中途解約手数料で、公表されている手数料表には年数で下がる段階の記載がありません。

📖 この記事の根拠(出典・参照日2026年10月1日)

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執筆者 西本豪
執筆者:西本 豪(楽待新聞コラムニスト)

関西の不動産投資家。賃貸経営の体験と、法令・公的機関の資料をもとに、税務・融資・賃貸経営・法人運営の実務ガイドを発信しています。

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