不動産投資が相続税対策が挙げられるのは有名な話です。
次の世代に財産を残せるのは一部のお金持ちの人たちに限られる話のように思えるかもしれませんが、最近はそうでもありません。2015年からは基礎控除額の改正により今まで相続税とは無縁だった人に対しても、納税義務が課せられるようになってしまいました。
相続の仕組みを理解しよう
相続税の計算方法は大きく以下のようなステップとなります。
- 相続対象を把握する
- 基礎控除額を計算する
- 課税遺産総額を計算する
- 法定相続分ごとに分割する
- 相続税を計算する
まずは相続対象となる現金や有価証券などを洗い出します。
そして次に、洗い出したそれぞれの相続財産に対して一つ一つ評価額を付けていきます。
この評価額をいかに抑えるかによって、課税される相続税の金額が大きく変わります。
なお、相続税の計算方法や仕組みについては以下の記事でもう少し詳しく説明しています。
不動産投資は相続税対策になる
不動産経営は相続税の対策としてとても大きな効果を発揮します。なので、一定以上の資産を保有している場合、何かしらの対策を行うべきです。
潤沢な資産がある場合は、その現金で不動産を購入することで相続税に対する節税効果が期待できます。
建物評価価格の計算方法
もし現金や預貯金で1億円持っていた場合、当然ながら評価額はそのまま1億円になります。
ですが、その1億円で不動産(土地と建物)を購入し不動産経営を行う事で、予想以上に評価額を抑える事ができます。
例えば、現金1億円の中から5,000万円を使いアパートを購入した場合、家屋は固定資産税評価額で評価され、およそ70%程となります。
また賃貸されるアパートは賃家と呼ばれ、借家権割合の30%分の評価が下がります。
計算式としては次のようになります。
- 固定資産評価額×借家権割合=建物評価額
実際の金額で計算すると以下の通りになります。
- 5,000万円×70%×(100%-30%)=2,450万円
5,000万円の現金が2,450万円分の評価額になるので大きな節税効果と言えます。
借地権割合を考慮した計算方法
またアパートの土地に関しては路線価を基準に計算され、不動産投資の場合「貸家建付地」とよばれ「居住権を考慮した評価額」を差し引いた評価額となります。
借地権割合は地域により異なりますがおよそ60%前後、借家権割合はアパート購入時と同様30%とすると5,000万円で土地を購入した場合、次のようになります。
- 土地購入額×(100%-借地権割合×借家権割合÷100)=土地評価額
実際の金額で計算すると以下の通りになります。
- 5,000万円×(100%-60%×30%÷100)=4,100万円
さらに小規模宅地の評価減の適用を受ける場合、200㎡までの部分は50%の評価減となるため、半分の2,100万円が評価額となります。
- 4,100万円✕50%=2,100万円
資産評価額を半分以下に削減
上記の計算により1億円の資産が半分以下に削減できました。
- 建物…5,000万円→2,450万円
- 土地…5,000万円→2,100万円
- 合計…1億円→4,550万円
これらの仕組みを上手く活用することで、保有資産(現金)の評価額を少しでも圧縮することができそうです。
いろいろと難しい言葉が出てきていますが、何故このような事になるのかと言うと、物件を購入し賃貸する事で住居用として保有するより利便性が悪くなるからです。
入居者がいる場合、自分の都合だけ使用方法を変えるのは難しいですからね。
なのでどうせ使い道の無い資産が沢山溜まっているのであれば、こう言ったテクニックもとても役に立つはずです。
相続税対策する時の注意点
ここではかなりざっくり計算していますが、それぞれのケースにより細かな数値や考慮する点も変わります。あくまで参考レベルですが、予想以上に評価額を下げる事ができたと思います。
相続税に詳しい税理士は意外と少ない?
税金対策の中でも相続税についてはとても幅広い専門知識が求められます。
評価方法は相続財産の種類によって変わりますし、税理士の数に対して案件数も少ないです。
つまり、税理士だからと言って必ずしも相続税対策を適切に対応できるとは限らないわけです。
悪徳業者に気をつける
賃貸経営をすると相続税対策になるのは間違いありませんが、だからと言ってどの物件を買っても良い訳ではありません。
特に2018年にはシェアハウスを運営するスマートデイズによる「かぼちゃの場所」問題が起きました。相続税の評価額を下げることはとても魅力的なことですが、闇雲に物件を購入すると大切な相続財産を台無しにしてしまうため注意が必要です。
タワーマンションも相続税対策には効果的
賃貸経営と並んで高い相続税対策が期待できるのがタワーマンション節税です。
賃貸経営をすることが相続税対策をする上でももっとも適している可能性は高いですが、必ずしも賃貸業として運営する必要はありません。仮に投資用物件を購入したとしても、良い結果が出せなかったり、運営自体が相続人の負担になってしまってはむしろ逆効果です。
そう考えると賃貸物件を購入するお金でタワーマンションを購入し節税するのも良い方法だと思います。
必ずしも物件を購入する必要はない
賃貸物件やタワーマンションを購入することで効果的な節税対策が期待できますが、いろいろと不安を抱えたままで物件を選ぶのもかえってストレスになると思います。
自分の家族に対して大切な資産を残すことも大切ですが、余りそこにこだわり過ぎず、ストレスにならない生活を意識すれば、自然と自分にとって良い判断ができると思います。
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