日本政策金融公庫で賃貸経営は可能?2025年最新事情を踏まえた政府系金融機関の活用ガイド

融資戦略
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不動産投資を検討している方にとって、できるだけ低い金利で融資を受けられる金融機関はとても魅力的だと思います。

実は、政府系の金融機関には、民間の銀行に比べ低金利で融資を行っている機関がいくつか存在します。とくに注目度が高いのが日本政策金融公庫です。

また、マル経融資(小規模事業者経営改善資金)や商工組合中央金庫(商工中金)といった制度も、不動産賃貸業を事業として行う場合には活用の余地があります。

ここでは、それぞれの政府系金融機関の特徴や申請手続きなどをまとめつつ、1棟アパート投資をはじめとする不動産投資家にどのように役立つのか解説します。


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日本政策金融公庫の特徴

2025年時点で注目される理由

日本政策金融公庫は、政府が100%出資する公的な金融機関です。

もともとは「国民生活金融公庫」という名称でしたが、現在は日本政策金融公庫として、中小企業や個人事業主の事業支援を中心に行っています。

2025年時点においても、金利は比較的低く、一定の条件を満たせば不動産賃貸事業にも適用されるため、不動産投資家の注目を集めています。

低金利のメリットと金利水準

2024年や2025年の国内金利動向をみると、メガバンクや地方銀行では変動金利が2~4%台になることもあります。一方で、日本政策金融公庫の融資金利は1~2%程度で固定金利が多く、条件次第では1%を下回るケースもあります。固定金利ならば返済総額を見通しやすく、金利上昇リスクを回避しやすい点が大きなメリットです。

事業目的の融資

日本政策金融公庫は「投資」よりも「事業」を重視するため、単に不動産を買って値上がり益を狙う投機的な投資には融資が認められにくい傾向があります。賃貸経営を「事業」として計画し、一定の安定収益や社会的意義を説明できるかどうかが鍵です。申請時に提出する事業計画書では、家賃収入や修繕費の見通しなどをきちんと示すことが大切です。

融資金額の目安

初回融資は4,800万円前後まで、と言われることがありますが、あくまで実際の審査内容や物件評価によって変動します。1億円以上の大型物件を検討している場合は、日本政策金融公庫の上限だけでは不十分かもしれません。そのような場合は、地銀やマル経融資を組み合わせて資金を確保するやり方もあります。

返済期間

返済期間はおおむね15~20年程度が上限となっており、民間銀行に比べて短めです。例えば地銀などでは30~35年の融資も珍しくありませんが、日本政策金融公庫ではそこまで長期化されない場合が多いです。返済期間が短いぶん、月々の返済額は増えますが、低金利と合わさることでトータルの利息負担を抑えられるメリットがあります。

個人・法人問わず利用可

もともと個人事業主を対象としたイメージが強い機関ですが、法人として賃貸経営を行う場合も融資対象となります。法人所在地や事業実体のある地域(物件所在地)を基準にして、公庫の支店に申し込むケースが一般的です。

融資対象エリア

全国に支店があるため、関西をはじめ日本各地の不動産投資に対応できます。物件が所在する地域や法人の本店所在地を基準に審査されることが多いです。遠方物件を購入する場合でも、相談・申し込みが不可能というわけではありませんが、地域ごとの担当支店が変わるため、事前に最寄り支店へ確認するのがおすすめです。

女性、若者、高齢者への優遇

日本政策金融公庫は、女性や若者、高齢者に向けた優遇制度を用意しています。事業計画が明確かつ社会的意義が認められる場合には、一般融資よりも低い金利や、返済期間の延長などが適用されることがあります。ただし、こうした優遇制度は年齢や性別だけではなく、事業の実態や計画内容も厳密に審査される点に留意が必要です。

具体的な申請手続きの流れ

  1. 事前相談(電話または窓口訪問)
    最寄り支店に連絡し、融資を検討している賃貸経営の概要を相談します。新規創業資金に該当するか、あるいは設備資金枠なのか、女性優遇や若者優遇があるかなど、申請の前段階で大まかなアドバイスをもらえます。
  2. 書類の準備
    借入申込書や事業計画書、過去の決算書や確定申告書、納税証明書などを準備します。物件情報(売買契約書、重要事項説明書など)の提出も求められる場合があります。
  3. 面接
    書類審査の後、融資担当者との面接が行われます。賃貸経営の収益シミュレーションやリスク管理などを丁寧に説明できるようにしておきましょう。
  4. 融資決定・契約
    面接後、審査結果や融資金額、金利、返済期間が確定します。希望額より少ない提示となる場合もあるため、資金計画に余裕をもたせておくことが大切です。
  5. 返済開始
    融資実行後は返済がスタートします。固定金利が設定されるケースが多いため、返済期間中も金利が変わらない安心感があります。

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マル経融資の特徴

マル経融資(小規模事業者経営改善資金)の概要

マル経融資は、日本政策金融公庫とは別枠の制度として、商工会議所や商工会による経営指導を受けている小規模事業者を対象にした融資です。公庫の資金が原資となっており、担保や保証人が不要である点が大きな魅力です。ただし、融資限度額は2,000万円までに設定されているため、1棟アパート購入の全額を賄うには不十分かもしれません。

対象エリアと申請条件

基本的には全国の商工会議所や商工会が経営指導を行っている地域であれば申請可能です。小規模事業者の定義として、製造業なら従業員20人以下、商業・サービス業なら5人以下などの条件があります。創業直後の申請はできず、おおむね1年以上の事業実績が必要です。

商工会議所加入の条件と経営指導の頻度

マル経融資を利用するには、商工会議所や商工会で定期的な経営指導を受ける必要があります。一般的には1~2か月程度の指導を数回行うケースが多く、その後に融資の斡旋を受ける流れです。費用が無料の場合が多いですが、地域や商工会議所によっては年会費などが発生することもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

不動産賃貸業での使い方

不動産賃貸業も小規模事業の範囲内であれば、マル経融資の対象となり得ます。例えば、関西エリアで1棟アパートを購入し、小規模ながら安定収益を得る事業計画を作る場合、無担保・無保証人で追加資金を用意できる可能性があります。ただし、商工会議所の経営指導といっても、賃貸経営に特化した指導が行われるかどうかは地域の担当者次第です。


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商工組合中央金庫(商工中金)の特徴

概要と政府系・民間ハイブリッドの性格

商工組合中央金庫は、政府と民間が共同で出資する特別な金融機関です。主に中小企業組合や事業者を支援する目的で、比較的大口の融資も行うことができます。公的性格が強い一方で、民間銀行のように案件ごとに個別審査を行う仕組みも持ち合わせています。

対象エリアと不動産投資への適用

全国に拠点があるため、関西エリアでの不動産投資でも利用可能です。ただし、賃貸経営のうち、単なる投機目的だと判断されると融資は難しいことがあります。賃貸経営を安定した事業として展開する計画があり、法人化などで明確な収支管理をしている場合は相談してみる価値があります。

融資条件と申請手続き

商工中金では、日本政策金融公庫やマル経融資ほど明確な金利基準や無担保制度が設けられているわけではなく、個別の相談・交渉で条件が決まることが多いです。申し込み手続きとしては、事業計画書や決算書の提出、担当者との打ち合わせなどが基本になります。

大規模投資や法人経営者向け

1棟アパートの規模を超え、複数物件を同時に取得して事業化したい場合など、大きな資金需要があるケースでは検討余地があります。ただし、審査基準や手続き要件が公庫やマル経融資よりも厳密な場合もあり、案件の事業性をしっかり示す必要があります。


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日本政策金融公庫とマル経融資の共通点と相違点

マル経融資と日本政策金融公庫の一般的な融資には共通点もあれば、明確な違いもあります。たとえば、どちらも政府系金融機関を原資とする融資制度なので、民間銀行よりも比較的低金利・社会的支援目的が強いという共通点があります。一方で、申込窓口や担保・保証人の扱いは大きく異なります。

  • 申込窓口
    マル経融資: 商工会や商工会議所を通じて申し込む
    日本政策金融公庫の一般融資: 公庫に直接申し込む
  • 担保・保証人
    マル経融資: 無担保・無保証人
    日本政策金融公庫の一般融資: 担保や保証人が必要となる場合あり
  • 融資限度額
    マル経融資: 2,000万円が上限
    日本政策金融公庫: 数千万円~1億円程度(物件評価や審査内容による)
  • 対象者
    マル経融資: 小規模事業者(業種により従業員5人または20人以下)
    日本政策金融公庫: 中小企業や個人事業主など幅広く対応可
  • 経営指導の有無
    マル経融資: 商工会や商工会議所の経営指導を受けることが必須
    日本政策金融公庫: 経営指導は必須ではない
  • 創業時の利用
    マル経融資: 1~2年程度の事業実績が必要
    日本政策金融公庫: 創業融資制度があり、創業直後から利用可能

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民間銀行との違いや組み合わせの可否

不動産投資家にとって、政府系金融機関だけでは資金需要を満たしきれない場合もあります。1棟アパート購入において、民間銀行の長期融資やノンバンクの高額融資を組み合わせるのが一般的です。特に関西エリアであれば、地元の地方銀行や信用金庫との関係構築が重要になるケースも少なくありません。

  • 低金利だが融資上限や返済期間が限られる政府系
  • 融資可能額は大きいが審査が厳しい民間銀行
  • 担保や保証人要件が比較的ゆるいノンバンク(ただし金利が高め)

これらを適切に組み合わせることで、多額の資金調達と返済計画を両立させる例もあります。ただし、総借入額が大きくなるほど返済リスクが増すため、キャッシュフローの見込みをしっかりシミュレーションしておくことが欠かせません。


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まとめ

日本政策金融公庫、マル経融資(小規模事業者経営改善資金)、商工中金といった政府系金融機関は、金利面でのメリットや無担保融資などの優位性を持つ反面、融資額や返済期間に上限があったり、事業目的や事業計画の整合性を厳しく審査されたりする特徴があります。

とくに1棟アパートを購入する場合、金額が数千万円以上となるケースが多いため、これらの制度だけで賄えるかどうか事前に確認が必要です。

しかし、長期固定金利や社会的支援制度のメリットは大きく、上手に利用できれば、返済総額を抑えながら安定した賃貸経営を行うチャンスにもなります。

さらに、女性や若者、高齢者への優遇など、意外と知られていない特別措置が存在するため、自分が該当するかどうかを窓口で相談してみる価値があります。

関西エリアを含めて、どの地域でも基本的には同様の仕組みが利用できるため、まずは日本政策金融公庫や商工会議所(マル経融資)、商工中金の公式サイトや最寄りの支店を訪問し、詳しい説明を受けることをおすすめします。

民間銀行やノンバンクとの併用も含めて、自分の投資計画に最適な融資構成を見つけてください。しっかりとした事前準備と審査対策が、不動産投資の成功につながります。

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