去年(平成26年分)の確定申告の内容を見返しています。
今回は収支内訳書に記載されている内容を確認してみました。
白色申告に必要となる収支内訳書
収支内訳書は確定申告(白色申告)をする際に確定申告書と一緒に提出する書類です。
対象の期間(1月1〜12月31日)までの収入金額や必要経費などを記載します。
確定申告を青色申告で提出する場合はより詳細な決算書などの作成が必要になりますが、白色申告として提出する場合はより簡略化された収支内訳書を提出することで確定申告が可能です。
収支内訳書の概要
僕が去年、実際に提出した収支内訳書は以下の通りです。
そのため家賃や減価償却等の計算については単純で12ヵ月分で割ると少し誤差が出てしまいます。
あくまでも概算ベースとして見て頂ければと思います。
収入金額について
収入金額については主に以下のような項目が含まれます。
- 賃貸料(家賃収入)
- 入居者から頂く礼金や更新料
賃貸料は一年分の家賃収入です。
仮に家賃が6万円なら年間家賃収入は72万円ですね。
あくまで管理費や修繕積立費などは含めない家賃収入のみの合計です。
今回は入居者の入れ替わりや契約期間の更新は無かったため礼金や更新料はありませんでした。
必要経費について
収入金額が賃貸料(家賃収入)だけでしたが、必要となる経費の項目はかなり沢山あります。
主な必要経費には以下のような項目があります。
- 減価償却費
- 借入金利子
- 租税公課
- 損害保険料
- 管理費・修繕積立金
- 雑費
減価償却費はもっとも大きな経費の一つ
不動産や車のように高額な固定資産を購入した場合、1年間で使い切るのでは無く、数年間〜数十年間の間継続して利用することになります。
そのため経費として計上する場合も数年〜数十年に分割して計上することになり、この経費のことを減価償却費と呼びます。
不動産の減価償却費の場合、購入価格のうち物件価格と付属品価格に対してそれぞれ計算されます。土地については物件や付属品のように劣化したり寿命(減価償却期間)があったりしないため減価償却費は発生しません。
- 物件価格…定額法で減価償却費を計算
- 付属品価格…定率法で減価償却費を計算
- 土地価格…減価償却費が発生しない
物件価格については定額法での計算で法定耐用年数が47年で償却率は0.022倍です。
一方、付属品価格については定率法での計算で法定耐用年数が15年で償却率は0.133倍です。
それぞれ元となる基数に償却率を掛けて合計したものが減価償却費となります。ちなみに購入初年度の場合は取得価格が基数となります。
借入金利子は意外と大きな負担になる
借入金利子は物件購入時に金融機関から貸した住宅ローンの利息です。
返済が始まって最初の間は特に利息のボリュームが多くて辛いです。
ちなみに今回の投資用物件の融資元はジャックスで、貸出条件は以下の通りです。
- ローン残高…1,100万程
- 返済期間…20年間
- 貸出金利…2.47%(変動金利)
借入金利子ついては以下の記事でもう少し詳しく説明しています。
不動産の取得や維持に掛かる税金
租税公課としては不動産の取得・維持に必要となる税金全般として以下のような項目が含まれています。
- 不動産取得税
- 固定資産税および都市計画税
- 印紙税
不動産取得税の仕組みについては以下の記事でもう少し詳しく説明しています。
また固定資産税および都市計画税の仕組みについては以下の記事でもう少し詳しく説明しています。
最も大きな負担は損害保険料?
今回の支出内訳書の中では損害保険料が最も大きな経費になっています。
損害保険料の内訳については主に以下の項目が含まれています。
- 火災保険料
- 住宅ローン保証料
- 委託管理料
- 税理士報酬
火災保険料や地震保険料(未契約)については仮に初年度にまとめて複数年の長期契約を結んだ場合も経費計上の仕方としては年度ごとに分割して計上することになります。
同じく住宅ローン保証料についても毎月支払った分の保証料の一年分の合計を経費として計上します。
必要な経費は沢山ある
今回はこの他にも以下のような必要経費を計上しています。
- 管理費
- 修繕積立費
- 雑費
これら全ての必要経費を合計するとおよそ155万円程になります。
税金や保証料のように実際に支払っているもののあれば、減価償却費のように直接的には支払っていない経費もあります。
必要経費として計上できることは嬉しい限りですが、これらの経費を実際に支払っていることを考えるとやっぱり大きな負担感になりますね。
ちなみに物件購入時に必要となる諸費用については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。
不動産投資分の負債を損益通算
最終的に1,554,713円の経費から616,140円の家賃収入を差し引いた938,573円分が不動産による負債(赤字額)になります。
- 1,554,713円ー616,140円=938,573円
今回(平成26年度)はこのおよそ93万円の負債分を会社員としての給与(給与所得)から差し引いた課税対象額から納税額を算出していきました。
これが「不動産投資は節税対策になる」と言われる理由なんですね。
勿論、その後、払い過ぎた税金(還付金)もしっかり戻ってきましたよ。
節税効果は年々減少してく
初年度は減価償却費や借入金利子は大きいですが徐々に無くなっていきます。
また保険料や租税公課など初年度にしか発生しない経費もあるため翌年以降はここまで負債は増えることはありません。
この辺りの「節税効果の仕組みは」はしっかりと理解しておかないと後で痛い目にあうことになります。
管理費や修繕積立金のように毎年同じレベルの金額が必要になる項目もありますが、今回の経費の計上額はあくまで1年目の実績となります。
コメント
損害保険料ですが、10年分を経費として計上してないですか?
(経費になるのは、その年の期間対応分だけで、のこりは長期前払費用として資産計上し、毎年12か月分を保険料に振り替える必要があります。)
ご連絡、有難う御座います。
また返信に時間が掛かってしまい申し訳御座いません。
僕も確かに損害保険料の金額が高いなぁと思い、再度確認してみました。
ご指摘頂いた通り火災保険料は10年一括払いですが、経費計上は分割になりますね。
損害保険料の約40万円の内訳としては主に以下の項目が含まれています。
・火災保険料
・住宅ローン保証料
・委託管理料
・税理士報酬
この中では住宅ローン保証料が比較的高い割合を占めていました。
この年の住宅ローンにはジャックスからの融資を受けていますが、金利約2%のうち、約1%は利率、残りの約1%は保証料率となります。
気になったもので、すいませんでした。
委託管理費は、管理費・修繕積立金の管理費に含めたほうがわかりやすいですね。
保証料も保証期間で月割して経費処理だと思っていたのですが、
依頼している税理士さんはそのようにされてましたか?
ご丁寧に教えて頂き大変有難う御座います。
確かに委託管理費については項目名からしても「管理費」として計上する方が適切なような気がしますね。
住宅ローン保証料については言葉足らずの説明となっており申し訳御座いません。
こちらにつきましてはご指摘の通り保証期間の月割として計上しています。つまり実際に支払った実績ベースの認識です。
確定申告については将来的には自分で対応できるようにと考えておりますが、現時点では担当税理士が作成した内容となります。