相続時精算課税制度の仕組みを知って賢い節税対策をしよう

節税方法

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分 6 秒です。

贈与や相続について調べていると、相続時精算課税制度という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

正直、相続時精算課税制度は少し複雑な制度です。

何故、複雑かと言えば覚えるべきポイントが比較的沢山ある上に、以下のような断片的な情報が出回ってしまっているからです。

  • 節税対策になるらしい
  • 早いタイミングで財産の受け渡しができるらしい
  • 納税の先送りなので意味が無いようだ

そして、きっと沢山の疑問点が出てくると思います。

ですが、安心して下さい。

この記事では想定されるなくべく沢山の疑問点について丁寧にまとめています。

この記事さえ読んで頂ければ相続時精算課税制度の仕組みや、その他の疑問点がある程度、理解できる内容になっていますので、是非、最後まで読んで頂ければと思います。

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相続と贈与の違いは?

人から無償で財産を受け取る場合「」と「贈与」の2つに分けられます。

一定の金額を超えると「相続には相続税」「贈与には贈与税」の納税義務が課せられます。

まず、相続時精算課税の説明の前に「相続税」と「贈与税」の違いを理解する必要があります。どちらも同じような言葉ですが、「相続税」と「贈与税」の違いが理解できていないと必ず混乱していまします。

  • 相続税
    • 被相続人が死亡し相続が発生した財産についての課せられる税金
  • 贈与税
    • 贈与人が生きているうちに受贈者に対して無償で与えた財産について課せられる税金

つまり相続は非相続人(財産を与える側)が死亡しないと発生しませんが、贈与は贈与者(財産を与える側)が生きている間に財産を引き渡すことができます。

相続と贈与が発生するタイミングについて正しく理解しましょう。

相続税の計算方法

相続税はまず基礎控除額を計算します。

相続税の基礎控除額

  • 3,000万円+600万円×相続人の数

例えば相続人の数が3人(母親と子供2人)だった場合、基礎控除額は4,800万円になります。

  • 3,000万円+600万円✕3人=4,800万円

相続税の税率の適応

基礎控除額で控除しきれなかった場合は金額に税率を乗じて計算します。

相続税の速算表
法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超〜3,000万円以下15%50万円
3,000万円超〜5,000万円以下
20%200万円
5,000万円超〜1億円以下30%700万円
1億円超〜2億円以下40%1,700万円
2億円超〜3億円以下45%2,700万円
3億円超〜6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

なお、相続税の仕組みについては以下の記事で詳しく解説しています。気になる方は併せて読んで頂ければと思います。

贈与税の計算方法

贈与税の課税方式は以下の2種類に分けられる。

  • 暦年課税
  • 相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は申請が必要となる選択式であるため、特に申請をしなければ通常の暦年課税が適応されます。

この記事のポイントである相続時精算課税制度については後ほど、解説しますが、まずは通常の課税方式である暦年課税の仕組みについて説明します。

誰にでも適応される基礎控除

贈与税の基礎控除額は年間110万円です。

贈与額が110万円以下の場合は、贈与税は発生しませんし、申告書の提出も不要です。

配偶者からの居住用不動産に適応される配偶者控除

贈与税の配偶者控除は以下の要件を満たした場合、配偶者からの住居用不動産やその購入資金を贈与された場合、課税価格から2,000万円控除できる規定です。

  • 婚姻期間が20年以上である
  • 取得の翌年3月15日までに居住し、その後も居住する見込みである
  • 関連書類を添付した申告書を提出する
  • 居住用不動産の価格が2,000万円未満でも他の財産からは控除できない
  • 同じ配偶者から贈与を受けた財産で過去に同特性を適応している場合は適応されない

直系親族からの居住用不動産に適応される非課税制度

2015年〜2021年までの間に直系尊属(父母や祖父母など)から居住用の住宅取得のための資金を受け取った場合、受贈者は贈与を受けた翌年の3月15日までにその資金を一定の家屋の新築や増改築に充てて、継続的に居住することが見込まれる場合、以下の条件で非課税となります。

非課税となる金額は「省エネ等住宅」か「省エネ等住宅以外の住宅」かによって変わりますが、その他にも消費税の税率(8%か10%か)によっても変わります。

消費税が8%の期間中の贈与税の非課税限度額
契約締結日省エネ等住宅省エネ等住宅以外
2015年1月1日~2015年12月31日1,500万円1,000万円
2016年1月1日~2020年3月31日1,200万円700万円
2020年4月1日~2021年3月31日1,000万円500万円
2021年4月1日~2021年12月31日800万円300万円
消費税が10%になった後の非課税限度額
契約締結日省エネ等住宅省エネ等住宅以外
2019年4月1日~2020年3月31日3,000万円2,500万円
2020年4月1日~2021年3月31日1,500万円1,000万円
2021年4月1日~2021年12月31日1,200万円700万円

贈与税の税率の適応

贈与税の計算は、贈与によって取得した財産の合計額から基礎控除額や配偶者控除などの金額を差し引いた後の金額に税率を乗じて計算します。

贈与税の速算表
基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
200万円超〜300万円以下15%10万円
300万円超〜400万円以下20%25万円
400万円超〜600万円以下30%65万円
600万円超〜1,000万円以下40%125万円
1,000万円超50%225万円

贈与税はとにかく高い!

相続税に比べて贈与税の負担比率はとても大きいです。

相続税がたくさん発生するような家庭では、少しでも相続税を抑えるために被相続人が生きているうち(生前)に財産を受け渡すことで、少しでも相続税の負担を減らそうと考える人がいます。

そのため、このような方法で相続税の支払いを免れることが無いように「贈与税」という考え方が生まれました。

そのため贈与税は相続税と比べるとかなり大きな負担率が設計されているのです。

相続税と比べると贈与税はとても割高な税率が設定されています。
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相続時精算課税制度とは

相続時税参加税制度とは「贈与税の特例制度」で親から子供への生前贈与をスムーズにおこない、世の中の経済を少しでも活性化することを目的に2003年に創設された制度です。

贈与者側としても自分が生きている間に財産の分配を明確にし、自分の死後、相続争い(争族)でもめないようにするためにも相続時精算課税制度を活用した生前贈与を選択することもあります。

相続時精算課税の特徴は以下の通りです。

  • 生前贈与時の贈与税を受贈者ごとに最大2,500万円まで特別控除とする
    • 複数年にまたがる贈与の場合は合計額(累計)が2,500万円まで特別控除とする
    • 通常の贈与税は贈与者ごとに1年間で110万円まで基礎控除となる
  • 特別控除額を超える部分に対しては、一律20%の税率が適用される
  • 相続発生時に生前贈与された財産もあわせて精算し課税される
  • 贈与税としては最大2,500万円まで控除されるが相続税としては課税対象になる
  • 株式や不動産のように価格変動がある財産については相続時ではなく贈与時の評価額を基準に計算される
  • 一度、相続時精算課税制度を選択すると、その後に暦年贈与に戻すことはできない
    • その後、通常の暦年贈与の110万円の基礎控除が受けられなくなる

「最大2,500万円まで非課税」というキーワードが誤解を招くようですが、上記でも記載されている通り、贈与税としては最大2,500万円までは特別控除され非課税になるが、将来的に相続が発生した(つまり相続人が死亡した)タイミングでは贈与された財産に対して、相続税として課税されます。

名前の由来は「贈与した際、最大2,500万円までは贈与税を非課税とし、相続時に非課税としていた贈与税も含めて精算して課税する制度」という意味になります。

相続時精算課税制度の利用要件

適応対象は贈与者が(その年の1月1日時点で)60歳以上の親(父母または祖父母)、受贈者が20歳以上の子(推定相続人)に限られます。

住宅取得等資金贈与に係る特例

2021年12月31日までは居住用の住宅を取得するための資金贈与を受けた場合は、贈与者の年齢要件が無くなり、親が60歳未満であっても相続時精算課税が適応されます。

手続きの流れ

通常の贈与であれば年間110万円(基礎控除額)以下までであれば贈与税は掛かりませんし、申告も不要ですが、相続時精算課税制度を選択する場合は受贈者は贈与を受けた翌年の2月1日〜3月15日までの間に、確定申告書類と一緒に「相続時精算課税選択届出書」を提出しなければいけません。

また、自身(受贈者)が贈与者の推定相続人であることを証明できるように戸籍謄本も併せて提出する必要があります。

相続時精算課税制度と併せて覚えておきたいポイント

相続時精算課税制度の注意点は以下の通りです。

小規模宅地等の特例制度が受けられなくなる

小規模宅地等の特例制度とは、非相続人と一緒に生活し生計をともにしていた相続人について、一定の条件を満たすことで相続税が最大で50%〜80%減額される制度です。

相続時精算課税制度を利用する場合、小規模宅地等の特例制度との併用はできないため注意が必要です。

孫への贈与は相続税の2割加算が適応される

相続時精算課税制度は受贈者が「一親等の血族」か「配偶者」以外である場合、相続税が2割加算されてしまいます。

一親等の血族とは子供か父母のことを意味します。

つまり孫への贈与の場合は代襲相続で無い限り、相続税が2割加算されます。

連年贈与はペナルティの対象になる?

贈与税を節税するために以下のように考える方も多いと思います。

複数年に渡って毎年基礎控除額の110万円ずつ贈与を繰り返せば贈与税が掛からなくて済むのでは無いか?

一見、とても良い考えに思えますよね。

ですが、長期に渡って毎年110万円ずつ贈与を繰り返すことが「連年贈与」と判断されれば、毎年分の合計金額を一括で贈与したして、とても高額な贈与税が課税される可能性があります。

贈与者と受贈者との間で(口約束も含めて)契約されている場合には、契約をした年に将来連年贈与を予定している金額が課税対象となってしまします。

ですが、一方、「予め期間を定めずに毎年110万円ずつ贈与を続け、結果的に10年間、贈与が続いた」ということであれば連年贈与には該当しないとされています。

少し屁理屈なようにも聞こえますが、連年贈与と判断されないために、贈与のたびに贈与契約書を作成したり、毎年の贈与金額や時期を微妙に変えるような工夫(?)をすると連年贈与と判断される可能性を抑えることができます。

相続開始前3年以内の贈与に注意

近い将来、相続が発生する(つまり相続人が死亡する)ことを想定して、生前贈与を検討する人も多いと思います。

ただし、このような相続税納税の回避を防ぐために、相続開始前3年以内に被相続人から贈与により取得した財産は、相続財産として加算されてしまいます。また、その財産分の贈与税がある場合は相続税額から控除されます。

相続を見据えた生前贈与を検討する際は、相続開始の時期(つまり相続人が死亡する時期)からある程度逆算した計画が必要になります。

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結局は節税になるの?

結局、相続税として納税させられるのであれば余り意味は無いのではないか?と思う人もいるかと思いますが、実際は効果があるのでしょうか?

相続税の基礎控除額がポイントになる

相続時精算課税制度を選択することによって以下のような効果があります。

  • 贈与税よりも相続税の方が基礎控除額が大きいため課税の負担が少なくなる
  • 贈与税よりも相続税の方が税率が低いため課税の負担が少なくなる
  • 相続が発生するまで待つ必要が無く、早いタイミングで財産を受け取れるため将来に向けた資産拡大が期待できる

相続時精算課税の効果にもっとも影響を与えるのは相続税の基礎控除額が大きなポイントになります。相続税の基礎控除額が「相続時精算課税制度を活用した後の課税対象額」より大きければ、そもそも相続税は発生しません。

こう考えると「相続時精算課税制度には大きな節税効果がある」と言えることが分かると思います。

財産を不動産にすることで評価額を圧縮できる

相続時精算課税制度に限った話ではありませんが、贈与や相続をする場合、財産を現金の状態で受け渡すのではく、不動産にして受け渡すことで、財産の評価額を大きく抑えることができます。

例えば、現金1億円は当然1億円として評価されますが、この1億円で購入した不動産を受け渡すと、(条件にもよりますが)評価額を40%〜70%程に抑えることもできます。

相続のために必要でも無い住宅(もしくは正常に運用できない投資用物件)を購入しても逆効果ですが、評価額を抑えることができれば、その分、贈与税や相続税の課税対象となる金額を抑えることができるので、大きな節税効果が期待できます。

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財産の贈与は早ければ早いほど良い

早くお金が手に入れば、そのお金を有効活用して資産運用や事業ができます。
つまり10年後の1,000万円より、今すぐに手に入る1,000万円の方が価値は大きいのです。

特にこれからインフレが進めば進むほど、その影響は大きくなります。

相続によりいずれ手に入る予定のお金なのであれば、相続時精算課税制度を上手く活用し、少しでも早いタイミングでの資産構築を目指すことが、将来的に大きな財産になるはずです。

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プロフィール

楽待新聞&不動産投資Libraryのコラムニストをしています。
普段、不動産投資家として考えていることや体験談などを掲載しています。
これから不動産投資を始めたい方や、賃貸経営初心者の方に対して、分かりやすい内容を心掛けています。

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