その節税対策は大丈夫?いつか無くなる節税効果の仕組みを理解しよう

節税対策
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不動産投資のメリットの一つとして「節税の効果がある」ということが良く紹介されます。

今回は不動産投資をすることによって得られる節税効果について内容を確認してみたいと思います。

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不動産投資による節税効果

節税効果とは本来個人が支払うべき税金を少なくすることです。

もう少し具体的に説明すると会社員にしても個人事業主にしても法人にしても仕事をしてお金を稼ぐとその利益に対する所得税や住民税などの税金を国に収める必要があります。

会社員の場合は余り意識しないかもしれませんが、給与明細を確認すると月々の収入から所得税や住民税分の給料が差し引かれているはずです。

損益通算とマイナス収支

不動産投資による節税効果を理解する上で大切なポイントになるのが以下の2点です。

  • 損益通算
  • マイナス収支

仮に自分の務めている会社からだけ収入を得ている場合は給料(年収)を算出するのはとてもシンプルですが、それ以外にも事業所得や不動産所得があった場合はその全ての収入を合計した金額に対して所得税や住民税など金額を算出します。

このように複数の所得を総合課税として合計して課税額を計算する方法を損益通算と呼びます。

またマイナス収支とは文字通り収入がマイナスになることです。

もし不動産投資による年間の収入がマイナスになった場合はそのマイナス分を会社員として稼いだ給与所得や自営業者やフリーランスとして稼いだ事業所得から差し引くことで課税対象額を抑えることができます。

課税対象額については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

【2020年最新版】給与所得の課税対象額と所得税の計算方法をどこよりも詳しく徹底解説
所得税算出の基準となる課税対象額についてどこよりも詳しく説明します。給与所得と課税対象額の違いや各種控除額の計算方法を踏まえ誰でも簡単に所得税の仕組みが分かる内容になっています。

どうして不動産所得がマイナスになるのか?

本来、お金を稼ぐために不動産投資をしているのに、何故、不動産の所得がマイナスになってしまうのでしょうか?

それは不動産の経営によって得られる家賃収入以上に必要経費の方が高額になることがあるからです。

なお、不動産投資で発生する一般的な必要経費には以下のようなものが含まれます。

  • 貸付不動産等の修繕費
  • 租税公課(税金と各種賦課金の総称)
  • 管理費
  • 損害保険料
  • 減価償却費
  • 仲介手数料
  • 借入金利子

管理費や修繕積立金のように、毎年、一定の経費として計上できる項目もありますが、減価償却費や借入金金利のように徐々に減少していく項目もあります。

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節税効果は減少していく

繰り返しになりますが経費計上に伴う節税効果は初年度が最大になります。

初年度は物件購入に伴う初期費用の多くを経費として計上できますが、2年目以降はその効果も無くなってしまいますし、それ以外の経費についても年々減少傾向になっていきます。

節税効果が最も大きいのは減価償却費

減価償却とは複数年利用し続ける一定金額以上の資産い対して耐用年数(減価償却期間)に応じて少しずつ経費として計上する考え方のことです。

実際にはお金は減っていないけど、会計上は出費があるように考えられます。

減価償却が適応される耐用年数は物件の種類により異なります。

減価償却の法定耐用年数
物件の種類耐用年数
鉄筋コンクリート(RC)47年
重量鉄骨(鉄骨材4mm超)34年
軽量鉄骨(鉄骨材3mm超〜4mm以下)27年
軽量鉄骨(鉄骨造3mm以下)19年
木造22年

減価償却費については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

減価償却費の仕組みを徹底解説!譲渡所得との関係性と節税効果について
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借入金利子はローン残高と関連して減少していく

ローン金利も同じ考え方です。

元金に対して金利(2%~3%程)が課せられるので、徐々に金利は目減りしていき、勿論いずれなくなります。

金利が減っていくことはその分支出が減るので良いことなのですが、その分、経費として計上できる金額も同じように減っていくことになります。

借入金の金利については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

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減価償却費は実際にはお金は減っていないのに会計上は支出として計上できる経費です。

一方、固定資産税や都市計画税は毎年実際に支払わないといけない税金です。

経費として計上することで節税に繋がることは嬉しい限りですが、物件の規模によっては結構大きな支出となってしまうためどちらかと言うと負担感が大きな項目となります。

固定資産税と都市計画税については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

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物件購入初年度が経費が最大になる

特に投資用物件を購入した初年度はさまざまな初期費用が掛かりその多くが経費として計上できるため不動産所得がマイナスになる傾向があります。

大規模修繕やリフォームなど高額な支出が無い場合は例外的に経費として計上する金額が大きくなりますが、基本的には投資用物件を購入した初年度が最も経費が大きくなります。

そのため必要経費が家賃収入を上回るのはある一定の時期までで、いずれは損益通算した結果がプラスになるため課税額は増えます。

※勿論、その分、キャッシュフローが出ていれば問題無いことです。

実際に必要となる必要経費については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

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節税効果の本質を正しく理解することが必要

確かに不動産投資には大きな節税効果があります。

ただし初年度(または購入後数年間)の試算やシュミレーションを期待して「税金対策になるから!」というだけの理由で購入をするのは間違いです。

パンフレットやホームページには大きく「節税効果!」の文字が並びますが、それは一時的なことであり、その本質を正しく理解した上で物件を購入しなければいけません。

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