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アパートの固定資産税はいくら?|一棟アパートと区分の計算例で読む課税明細書の見方と住宅用地特例1/6の確認

アパートの固定資産税はいくら?|一棟アパートと区分の計算例で読む課税明細書の見方と住宅用地特例1/6の確認 税務・節税・確定申告
この記事は約20分で読めます。

アパートや区分マンションを持つと、毎年4〜6月に市町村から固定資産税・都市計画税の納税通知書が届きます。金額は「評価額×1.4%」と説明されますが、届いた通知書を見ると、土地と家屋で課税標準額が別に書かれ、都市計画税の税率も市によって違い、区分マンションでは土地の欄に持分按分の小さな数字が並びます。年にいくらかかり、どの欄を見れば住宅用地の特例が効いているか分かるのかを、仮の評価額を置いた一棟アパートと区分マンションの計算例で書きます。

結論を先に言うと、年税額は「土地の評価額×6分の1(都市計画税は3分の1)」と「建物の評価額」を課税標準にして、固定資産税1.4%と都市計画税の税率を掛けた合計です。計算例として、仮に土地の評価額2,400万円・建物の評価額3,000万円の木造一棟アパート(都市計画税0.3%)とすると、年590,000円になります。土地は住宅用地の特例で評価額の6分の1になるので、築浅の物件ほど税額の大半は建物分になります。特例が効いているかは、明細の数字で確かめられます。計算式、特例の仕組み、令和8年度税制改正で令和13年3月まで延びた新築減額、償却資産、解体で特例が外れる仕組み、関西の売買精算の起算日まで、大家の実務に必要な順に整理します。取得時にかかる不動産取得税は投資用アパートの不動産取得税は経費にできるに分けています。

この記事は以下のような方におすすめです!
  • アパートや区分マンションの固定資産税が年間いくらになるのか、計算例で目安を知りたい方
  • 届いた課税明細書のどの欄を見れば、住宅用地の特例や新築減額が効いているか確認したい大家
  • 土地と建物のどちらに税金がかかっているのか、区分マンションの土地はなぜ小さいのかを理解したい方
  • 令和8年度税制改正で変わった新築住宅の減額要件(40㎡以上240㎡以下・令和13年3月まで)を確認したい方
  • 解体・空き家・償却資産・関西の精算起算日など、大家が固定資産税で損をする場面を先に知りたい方
🎯 30秒でわかる本記事の要点
  • 計算例の年税額:仮に土地の評価額2,400万円・家屋の評価額3,000万円の木造一棟アパート(10戸・築5年)で年590,000円、同じ土地で築30年・家屋500万円なら年165,000円、区分マンション1室(家屋300万円・敷地持分60分の1)で年71,000円。いずれも固定資産税と都市計画税(0.3%)の合計
  • 築浅ほど税額の大半は建物分。土地は住宅用地の特例で課税標準が評価額の6分の1(都市計画税は3分の1)になるため。明細の価格を6と3で割って課税標準額と一致すれば、特例が効いている
  • 課税明細書で見る欄は5つ:価格(評価額)、固定資産税の課税標準額、都市計画税の課税標準額、適用区分(住宅用地・新築減額)、相当税額。自治体ごとに書式は違うが項目は同じ
  • 都市計画税の税率は市町村で違う:上限0.3%の範囲で市町村の条例で決まり、0.3%より低い市町村もある。納期も市町村ごとに違う
  • 令和8年度税制改正:新築住宅の2分の1減額は令和13年3月31日まで延長、床面積は40㎡以上240㎡以下に変更。免税点は令和9年度から家屋30万円・償却資産180万円に引上げ
❓ 先に答え:アパートの固定資産税はいくらか

1章の計算例では、単身向けの木造一棟アパートで年165,000円(築30年)と590,000円(築5年)、区分マンション1室で年71,000円です(固定資産税+都市計画税・評価額は仮の値)。金額を大きく左右するのは建物の評価額で、土地は住宅用地の特例で6分の1に圧縮されるため、築5年の例では土地分は全体の1割強です。建物を解体して更地にすると、この6分の1が外れて土地分の固定資産税が最大4.2倍(理屈の上では6倍)に上がります。

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💴 1. 計算例|一棟アパート2件と区分マンション1室で年税額を出す

まず年税額を計算例で出します。計算例:仮に次の3件とします。評価額はいずれも説明用の仮の値で、敷地は全体が小規模住宅用地、都市計画税は上限の0.3%で計算しています。実際の評価額は物件ごとに違うので、自分の課税明細書の価格に置き換えて計算してください。

  • 例A:木造2階建て・単身向け10戸(1戸25㎡)・敷地330㎡・築5年。土地の評価額2,400万円、家屋の評価額3,000万円
  • 例B:例Aと同じ条件の土地に建つ築30年の木造アパート(単身向け10戸)。土地の評価額2,400万円、家屋の評価額500万円
  • 例C:RC造の区分マンション1室(専有30㎡)。敷地全体の評価額3億6,000万円・敷地の持分60分の1、家屋の評価額300万円
物件 土地の課税標準額(固定資産税/都市計画税) 家屋の課税標準額 税率(固定/都計) 年税額(固定+都計)
例A 木造一棟・築5年(土地2,400万円/家屋3,000万円) 400万円/800万円 3,000万円 1.4%/0.3% 590,000円(476,000+114,000)
例B 木造一棟・築30年(土地2,400万円/家屋500万円) 400万円/800万円 500万円 1.4%/0.3% 165,000円(126,000+39,000)
例C 区分マンション1室(敷地全体3億6,000万円・持分60分の1/家屋300万円) 100万円/200万円(持分按分後) 300万円 1.4%/0.3% 71,000円(56,000+15,000)

この3件から読めることが3つあります。

  • 築浅なら税額の大半は建物分。例Aは家屋分が420,000円(3,000万円×1.4%)で固定資産税476,000円の約88%、区分マンションの例Cも家屋分42,000円で固定資産税56,000円の75%です。土地は住宅用地の特例で6分の1に圧縮されているので、金額の主役は建物の評価額になります。建物の評価は再建築価格に経年減点補正率を掛けて決まり、築年が進むほど下がります。例Bのように家屋の評価額が500万円まで下がると、家屋分は70,000円で固定資産税126,000円の約56%になり、土地分の比重が上がります
  • 都市計画税の税率は市町村で違う。計算例は上限の0.3%で出しましたが、税率は市町村の条例で決まり、0.3%より低い市町村もあります。土地の課税標準額が固定資産税と都市計画税で1対2になっているのは、特例率が6分の1と3分の1だからです
  • 納期も市町村で違う。各期の納期限は市町村の条例で決まります。複数の市に物件があると納期がずれるので、口座振替にまとめる方が事故がありません

🧾 2. 課税明細書の見方|評価額→課税標準額→税額の3段で読む

納税通知書には、税額の合計が載る「納税通知書」の面と、土地・家屋ごとの内訳が載る「課税明細書」の面があります。読む順番は価格(評価額)→課税標準額→税額の3段で、住宅用地の特例や新築減額は「価格から課税標準額を出す段」で効いています。自治体ごとに書式は違いますが、見る欄は次の5つです。

欄 意味 計算例での値
価格(評価額) 市町村が固定資産評価基準で決めた評価額。宅地は地価公示価格の7割が目途、家屋は再建築価格×経年減点補正率 例Aの土地2,400万円、家屋3,000万円
固定資産税の課税標準額 価格に住宅用地の特例(6分の1・3分の1)と負担調整を当てた額。家屋は価格と同額 例Aの土地 400万円=2,400万円÷6(家屋は3,000万円のまま)
都市計画税の課税標準額 住宅用地の特例が3分の1(一般住宅用地は3分の2)なので、固定資産税の課税標準額の2倍になる 例Aの土地 800万円=2,400万円÷3
適用区分・特例 「住宅用地」「小規模住宅用地」「新築減額適用」「前年度で新築減額適用終了」などの表示。尼崎市は新築減額が効いていれば適用区分に「新築減額適用」、軽減税額欄に減額分が出る 土地に「住宅用地」または「小規模住宅用地」の表示
相当税額(税相当額) 土地・家屋ごとの税額。区分所有の土地は持分で按分した額が出る。年税額は百円未満切捨て 例Cの区分:土地14,000円/6,000円、家屋42,000円/9,000円→年税額56,000円と15,000円

区分マンションの明細で戸惑うのが土地の欄です。共用土地全体の価格と地積を書いたうえで、その下に持分按分後の課税標準額と税額を出す書式もあれば、土地の課税標準額を敷地全体で示し、納税通知書の面で持分按分後の税額を分けて表示する書式もあります。書式は違っても、区分マンションの土地の税額は敷地全体の税額に持分を掛けた額なので小さく、家屋分が税額の大半という構造は同じです。尼崎市のQ&Aにあるとおり、区分所有の家屋は廊下や階段などの共用部分も課税対象なので、課税床面積が登記の専有面積より大きく出ます。

読者

区分マンションの土地の税額が1万円台なのに、一棟アパートは土地だけで5万円以上あります。区分のほうが土地に税金がかからないということですか?

著者

敷地全体の税額を持分で割っているだけです。1章の例Cは敷地全体の評価額が3億6,000万円で、6分の1の課税標準に1.4%を掛けた敷地全体の固定資産税は84万円。それを持分60分の1で按分した14,000円が土地分です。一棟アパートは敷地を1人で持っているので、土地分がそのまま自分の税額になります。どちらも「価格×6分の1×1.4%」の式は同じで、違うのは持分だけです。

📐 3. 計算式と税率|1.4%と0.3%、免税点は令和9年度から引き上げ

総務省の説明では、固定資産税は土地・家屋・償却資産の所有者に、価格(適正な時価)を課税標準として、標準税率1.4%で市町村が課税する税です。都市計画税は市街化区域内の土地と家屋に、上限0.3%の範囲で市町村が条例で定めた税率をかけます。

固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%(標準税率)

都市計画税 = 課税標準額 × 0.3%以下(市町村の条例で決まる)

土地の課税標準額 = 評価額 × 住宅用地の特例率(6分の1または3分の1)、家屋の課税標準額 = 評価額

  • 評価額の目安:宅地は地価公示価格等の7割を目途に評価(総務省)。家屋は同じ建物をその場所に新築する場合の建築費(再建築価格)に、築年数に応じた経年減点補正率を掛けて算定
  • 免税点:同一市町村内の課税標準額の合計が土地30万円・家屋20万円・償却資産150万円未満なら課税されない。令和9年度以後は家屋30万円・償却資産180万円に引き上げられる(令和8年度税制改正)
  • 賦課期日:その年の1月1日時点の所有者に課税。年の途中で売買しても納税義務者は1月1日の所有者で、売主と買主の精算は市は関与しない(尼崎市のQ&A)

🏠 4. 住宅用地の特例|6分の1・3分の1を明細の数字で確かめる

土地の税額を決めているのが住宅用地の特例(地方税法349条の3の2)です。住宅の敷地は、住宅1戸につき200㎡までの部分(小規模住宅用地)は課税標準が評価額の6分の1、200㎡を超え家屋の床面積の10倍までの部分(一般住宅用地)は3分の1になります。都市計画税はそれぞれ3分の1と3分の2です。

これが本当に効いているかは、明細の価格と課税標準額を割れば分かります。1章の例Aなら、土地の価格2,400万円に対して、固定資産税の課税標準額は400万円、都市計画税の課税標準額は800万円です。明細の数字が2,400万円÷6=400万円、÷3=800万円と一致していれば、小規模住宅用地の特例が効いています。土地の価格を通知書の面に載せていない書式でも、固定資産税と都市計画税の課税標準額が1対2になっていれば、住宅用地の特例が当たっていると読めます。

区分 面積 固定資産税の課税標準 都市計画税の課税標準
小規模住宅用地 住宅1戸につき200㎡までの部分 評価額×6分の1 評価額×3分の1
一般住宅用地 200㎡を超え、家屋の床面積の10倍までの部分 評価額×3分の1 評価額×3分の2
非住宅用地(更地・駐車場) — 評価額(商業地等は上限70%) 評価額

大家に関係する運用は4つです。

  • 貸家でも適用される。仙台市のFAQが明記しているとおり、居住者が所有者かどうかは問わず、アパートも対象です。小規模住宅用地の範囲は戸数×200㎡で、5戸なら1,000㎡までが6分の1になります。1章の例Aは10戸で2,000㎡までが対象、敷地は330㎡なので、敷地全体が小規模住宅用地です
  • 床面積の10倍が上限。家屋の床面積の10倍を超える敷地は住宅用地になりません。広い残り地付きの物件で効いてきます
  • 入居者用駐車場は一体利用で特例に入れられる。税理士法人レガシィの解説にある例では、アパート300㎡と分筆された駐車場300㎡が別々に課税されていたものを、駐車場の契約者がほぼ入居者である実態を説明し、住宅用地等申告書を出して600㎡全体を6分の1にしています。外部に月極で貸すか入居者専用にするかで、駐車場部分の固定資産税が最大4.2倍(理屈の上では6倍)変わる論点です
  • 併用住宅は居住割合で率が変わる。居住部分が4分の1未満なら適用なし、4分の1以上2分の1未満で0.5、2分の1以上で1.0(5階建以上の耐火建築物は0.75の区分あり)。1階店舗のビルや店舗付きアパートは、この率を見積もりに入れます

🏗 5. 新築住宅の減額|令和13年3月31日まで延長、40㎡以上240㎡以下に変更

新築の住宅は、家屋分の固定資産税が3年間(3階建て以上の耐火・準耐火構造は5年間)2分の1になります。国土交通省のページによると、適用期限は令和8年度税制改正で令和13年3月31日まで延長され、床面積要件の下限が50㎡から40㎡に引き下げられました。財務省の大綱では上限も280㎡以下から240㎡以下に変わっています。認定長期優良住宅は5年間(同7年間)です。

項目 内容(令和8年度税制改正後)
減額 1戸あたり床面積120㎡までの家屋分の固定資産税を2分の1
期間 3年間。3階建て以上の耐火・準耐火構造は5年間。認定長期優良住宅は5年間・7年間
床面積 1戸につき40㎡以上240㎡以下(居住部分が2分の1以上)。東京都特別区内の特定都市再生緊急整備地域は下限50㎡のまま
適用期限 令和13年(2031年)3月31日までの新築
除外 令和11年4月1日以後に新築した住宅のうち、災害危険区域等・土砂災害警戒区域等の一定の区域内のものは対象外

大家が見落としやすい点が2つあります。第一に、1戸が40㎡未満のワンルームは減額の対象外です。20㎡台の単身向けアパートを新築しても家屋分は最初から満額です。第二に、減額が効いているかは課税明細書の適用区分で分かります。尼崎市の書式では「新築減額適用」と表示され、終わった年は「前年度で新築減額適用終了」と出るので、4年目(マンション等は6年目)に税額が上がるのは増税ではなく元に戻っただけです。認定長期優良住宅の減額は建築年の翌年1月31日までに減額申告書の提出が必要です。

🧰 6. 償却資産税|外構・舗装・ルームエアコンは別枠で申告

固定資産税は土地・家屋のほかに、事業用の償却資産にもかかります。東京都主税局の説明では、舗装路面、門・塀・緑化施設などの外構工事、看板、受変電設備、ルームエアコンなどが申告の対象で、課税標準額の合計が150万円未満なら課税されず納税通知書も来ません(令和9年度以後は180万円未満)。申告は毎年1月1日時点の資産を1月31日までに、資産のある市町村ごとに行います。

大家の実務では、駐車場のアスファルト舗装とフェンス、屋外の照明、後付けの宅配ボックスや防犯カメラが典型です。建物本体と一緒に減価償却していても、家屋の評価に含まれない構築物や設備は償却資産として別に申告します。免税点未満でも申告書の提出は求められるので、複数の市に物件を持つ大家は市ごとに1月の申告を固定業務にしておきます。

🚨 7. 解体・空き家で特例が外れる|税額が跳ねる仕組みと1月1日の判定

日本税務研究センターの相談事例は、アパートを取り壊して駐車場にしたら翌年の固定資産税が上がった、という質問に、家屋分の税額は減るが土地の住宅用地の特例が外れるため増加分の方が大きい、と答えています。1章の例Bで考えると、土地の課税標準額は400万円で固定資産税56,000円ですが、6分の1が外れると課税標準は理屈の上では6倍の2,400万円になります。更地や駐車場などの商業地等は評価額の70%が上限なので、上限まで上がると土地の課税標準は1,680万円、固定資産税は235,200円と今の4.2倍になります(負担調整で一気には上がらない場合があります)。家屋分の70,000円が消えても、固定資産税は年126,000円から235,200円へ増える計算で、家賃収入もゼロになるので、解体は税務上も重い判断です。

  • 判定は1月1日。住宅用地かどうかは賦課期日(1月1日)の状況で決まります。12月に解体を終えると翌年度から特例が外れ、1月2日以降に解体すればその年度は特例が続きます
  • 建て替えは継続適用の余地。前年1月1日に住宅用地で、当年1月1日に建て替え工事に着手している(または着手が確実)など、市町村の要件を満たせば更地で1月1日を迎えても特例が続く運用があります。解体前に市町村の固定資産税担当課に確認します
  • 空き家の勧告で外れる。2023年12月13日施行の改正空家等対策特別措置法で、放置すれば特定空家になるおそれのある「管理不全空家」も、勧告を受けると住宅用地の特例の対象から外されます(国土交通省)。空室が多いだけでは外れませんが、廃屋化して住宅と認められなくなれば外れます
読者

築古アパートを年内に解体して、来年新築を建てる予定です。固定資産税はどう動きますか?

著者

年内に解体して1月1日に更地なら、原則は翌年度から土地の特例が外れ、土地分の固定資産税は最大4.2倍(理屈の上では6倍)になります。ただし建て替えなら、1月1日時点で建築工事に着手しているなどの要件を満たすと特例を継続できる運用が多くの市町村にあります。要件と申告様式は市ごとに違うので、解体の発注前に固定資産税担当課で「建て替え中の住宅用地の継続適用」の要件を確認し、着工日を1月1日より前に置く工程を組んでください。間に合わないなら、解体を1月2日以降にずらす方が確実です。

🔁 8. 評価替えと負担調整|3年ごとに評価、税額はなだらかに動く

土地・家屋の評価額は3年に1回の評価替えで見直されます。直近は令和6年度、次回は令和9年度(2027年)です。総務省の説明では、地価が上がって評価額が跳ねても税額が一気に増えないよう、住宅用地は前年度の課税標準額に「評価額×特例率×5%」を足した額まで段階的に引き上げ、商業地等(住宅用地以外の宅地)は負担水準が60〜70%なら前年度の課税標準額に据え置く仕組みです。地価が上がった年に税額がいきなり跳ねるのではなく、数年かけて上がるので、保有計画の収支は評価替えの年をまたぐ前提で見ておきます。家屋は経年減点補正率で下がる一方ですが、総務省によると家屋の評価基準が令和8年6月に改正され、令和9年度分から適用されます。

💳 9. 納付・経費・関西の精算起算日・払いすぎの確認

9-1. 納付と経費計上

納付は年4回で、各期の納期限は市町村の条例で決まります。口座振替なら第1期の振替日に全期一括で引き落とす設定もできます。賃貸用の固定資産税・都市計画税・償却資産税は不動産所得の必要経費(租税公課)で全額計上でき、売買時に買主が売主へ払う固定資産税の精算金は経費ではなく取得価額に含めるのが税務上の扱いです。売主側は受け取った精算金を譲渡対価に含めます。経費にできるのは、自分が納税義務者として納めた税だけです。

9-2. 関西の精算起算日は4月1日

固定資産税の課税は1月1日の所有者宛てですが、売買時の日割り精算の起算日は地域の商慣習で異なり、関東が1月1日、関西は4月1日を起算日にするのが一般的です。法律ではなく契約の取り決めが優先するので、関西で売買するときは契約書に「精算起算日:4月1日」と明記し、関東の雛形をそのまま使わないようにします。年度をまたぐ引渡しでは、納税通知書が誰に届くかと精算金の負担割合がずれやすいので、決済前に日数計算の前提を声に出して確認します。

9-3. 払いすぎの確認と不服申立て

固定資産税は市町村が計算する賦課課税なので、住宅用地の特例の適用漏れや併用住宅の按分ミスが起きることがあります。確認の手順は、①納税通知書が届いたら課税明細書の価格・課税標準額・適用区分の3欄を見て特例が効いているか割り算で確かめる、②疑問があれば毎年4月の縦覧期間に近隣の評価額と比較する、③評価額そのものへの不服は固定資産評価審査委員会へ審査の申出(納税通知書の交付後3か月以内)、④特例漏れなど計算のミスは市町村の窓口に申し出て是正と還付を求める、の順です。2章の5つの欄を毎年5分で見る習慣が、払いすぎを防ぐいちばん安い方法です。

❓ 10. よくある質問

Q1. アパートの固定資産税は家賃収入の何%くらいですか?

HOME4Uの解説は首都圏の木造8戸の想定で固定資産税・都市計画税が年間家賃収入の約8%、一般に5〜10%が目安としています。金額を決めるのは建物の評価額なので、同じ家賃でもRC造や築浅は高く、木造の築古は低くなります。届いた納税通知書の年税額を自分の家賃収入と比べる方が、目安の率より確実です。

Q2. 住宅用地の特例は申請が必要ですか?

原則は市町村が1月1日の状況で判定して自動で適用します。ただし、新築や建て替え、併用住宅、駐車場との一体利用のように現況が変わった場合は、住宅用地等申告書の提出を求める市町村があります。適用されているかは課税明細書の適用区分と、価格と課税標準額の比(6分の1・3分の1)で確認できます。

Q3. 区分マンションの固定資産税は、土地の分がほとんどないのはなぜですか?

敷地全体の税額を持分で按分しているからです。1章の例Cでは、敷地全体の評価額3億6,000万円に6分の1と1.4%を掛けた敷地全体の固定資産税84万円を持分60分の1で割った14,000円が土地分で、家屋分の42,000円と合わせた56,000円が固定資産税の年税額です。

Q4. 都市計画税がかからない物件もありますか?

都市計画税は市街化区域内の土地と家屋にかかる目的税で、市街化調整区域や都市計画区域外の物件にはかかりません。税率は上限0.3%の範囲で市町村が条例で決めるため、0.3%より低い市町村もあります。納税通知書の税率欄で確認できます。

Q5. 新築ワンルームアパートに新築減額は使えますか?

1戸あたりの床面積が40㎡以上240㎡以下(居住部分が2分の1以上)の住宅が対象なので、20㎡台のワンルームは対象外です。令和8年度税制改正で下限が50㎡から40㎡に下がりましたが、貸家住宅はもともと40㎡以上でした。適用期限は令和13年3月31日までの新築です。

Q6. 償却資産の申告を忘れていました。どうなりますか?

申告義務は1月31日ですが、忘れていた場合も遡って申告できます。無申告や過少申告が後から分かると、過去にさかのぼって課税される可能性があります。駐車場の舗装、フェンス、屋外照明、宅配ボックスなどが漏れやすいので、資産のある市町村ごとに申告書を出してください。免税点(150万円、令和9年度以後は180万円)未満でも申告書自体は求められます。

Q7. 評価額が高すぎると感じたら、どこに言えばよいですか?

評価額そのものへの不服は、納税通知書の交付後3か月以内に固定資産評価審査委員会へ審査の申出をします。特例の適用漏れなど税額計算のミスは市町村の固定資産税担当課に申し出て是正と還付を求めます。毎年4月の縦覧期間に、同じ市内の近隣の土地・家屋の評価額と比べてから動くと根拠を示しやすくなります。

🎯 まとめ

アパートの固定資産税は、1章の計算例(評価額は仮の値)で、単身向けの木造一棟が年590,000円(築5年)と165,000円(築30年)、区分マンション1室が年71,000円でした。土地は住宅用地の特例で評価額の6分の1に圧縮されるので、築浅の物件ほど税額の大半は建物分です。この特例が効いているかは、課税明細書の価格と課税標準額を割れば確認できます。

令和8年度税制改正で、新築住宅の2分の1減額は令和13年3月31日まで延長され、床面積は40㎡以上240㎡以下に変わりました。免税点は令和9年度から家屋30万円・償却資産180万円に上がります。解体や空き家の勧告で特例が外れると土地分の固定資産税が最大4.2倍(理屈の上では6倍)に上がるので、解体は1月1日の判定と建て替えの継続適用を確認してから発注します。

納税通知書が届いたら、価格・課税標準額・適用区分・相当税額の欄を見て、特例と新築減額が効いているかを確かめ、賃貸分は租税公課で経費計上し、売買の精算は関西なら4月1日起算で契約書に書く。この3つを毎年の固定業務にしておけば、固定資産税は管理できる費用になります。

📖 この記事の根拠(出典・参考)

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執筆者 西本豪
執筆者:西本 豪(楽待新聞コラムニスト)

関西の不動産投資家。賃貸経営の体験と、法令・公的機関の資料をもとに、税務・融資・賃貸経営・法人運営の実務ガイドを発信しています。

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