給与明細書の見方は簡単?実際の数字をもとに計算方法を徹底解説!

節税対策
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皆さんは自分の会社から支給されている給与明細の項目の意味をちゃんと理解できていますか?

正確に内容を把握している人もいれば、給与の残業代の合計と手取り金額くらいしか把握していない人も多いんじゃないでしょうか。

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給与明細書の見方を理解する

給与明細の内容は知っていて損はない知識ではあるものの、中々、全ての項目を理解するのは難しいですよね。

僕は会社員として給与を受け取っていた時は、毎月給与明細をもらうたびに一つ一つ内容は理解するようにしていました。

最初のうちは一度調べてみるだけでは、中々、理解するのは難しいですが、給与をもらい始めてから一年近く経ってくる頃には、全ての項目を正しく理解できるようになっていました。

給与明細の内容を理解する

今回は、実際に僕が2014年の1月分として支給された給与明細の数字をもとに内容を確認したいと思います。下の給与明細を見ていただくと分かるように、給与明細には基本的に4つの項目から構成されています。

  • 勤怠
  • 支給額
  • 控除額
  • 記事(差引き支給額)

形式は会社ごとに違いますが「勤怠」「支給」「控除」の3項目については、大体どこの会社でも必要となる項目です。「記事」については項目名が違ったり会社によっては記載が無い場合もありますが、大体、同じような内容が記載されています。

従業員が実際に受け取る給与の金額は、総支給額から国に対して税金や社会保険料を納めた天引き後の支給額を受け取ることになります。

給与所得はあらかじめ税金や社会保険料を収めた天引き後の支給額を受け取ります。
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勤怠(勤務時間)の見方

勤怠の項目には出勤日数や勤務時間の他、残業時間などが含まれます。支給額を計算する上で基準となる大切な数字なので、最低限ここだけでもチェックしておきたいところです。

要勤務日数と出勤日数

要勤務日数は勤務しなければいけない日数で出勤日数は実際に出勤した日数です。実際の出勤日数が勤務しなければいけない要勤務日数に満たない場合は、その分支給額から差し引かれてしまいます。ただ、多くの会社では有休制度があるため個人に割り当てられた有休を使い切るまでは支給額が直接差し引かれることはありません。

勤務時間

勤務時間は実際に勤務した時間です。お昼やすみの時間として45分〜60分程は自動的に時間を差し引かれたり、1日のうち一定時間以上働くと休憩の名目で非労働時間も計算されてしまうため、実際には会社にいた時間よりも少なくなります。

勤務時間は会社によっては15分単位だったり30分単位だったりしますが、この時間を基準として給与支給額が決められます。

残業時間

残業時間は、本来勤務しなければいけない時間を超過した時間のことで、この時間の分だけ時間外手当が支給されます。この明細書には要勤務時間(勤務しなければいけない時間)の記載がありませんが勤務時間から残業時間を差し引いた時間が要勤務時間になるはずです。

ただし目安として月間で45時間を超過したり年間と通して360時間を超過すると会社としても労働基準法や人件費(コスト面)などいろいろと問題になってしまいます。そのため、一定時間を超過すると申請しづらい空気になったり、長時間労働の報告書などを提出させられることもあります。

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支給額の見方

支給額の計算方法は基本給とその他の手当ての合計で計算されます。単純な足し算なだけなので意外と単純です。

基本給

給与のベースとなる金額です。残業代やボーナスの査定や退職金などを計算する時の基準となる金額なので、総支給額が同じでも基本給が少ないと残業代やボーナスの金額も少なくなってしまいます。

残業手当

残業時間に応じて支給されます。残業する時間帯によって「普通残業」の他に「深夜残業」や「休日出勤」など呼び方が変わり、会社にもよりますが、支給額も「深夜残業」や「休日出勤」の方が「普通残業」よりも多めになることが一般的です。

その他の諸手当て

残業手当の他にも会社独自の規定により、さまざまな手当てが支給されます。会社ごとに支給されるルールが違いますし、そもそも手当てが無い会社もたくさんありますが、一般的な手当てにはこのようなものが含まれます。

  • 資格手当
  • 住宅手当
  • 役職手当

資格手当は会社が推奨する資格を取得した時に支給される手当てです。また給与として支給される手当てではありませんが、会社によっては資格取得に掛かる費用(参考書の購入費用や受験費用)も支給してくれるところもあります。

住宅手当は住宅を所有している場合や一人暮らしのために賃貸マンションに引っ越す場合に支給されます。そもそも制度自体設けられていない会社がある一方、実家に住んでいても支給される会社もあります。

住宅手当や社宅制度については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

社宅制度の節税効果は?住宅手当とどっちが得かを徹底比較!
会社が従業員に対して住居費を負担する場合、お給料に住宅費の一部を支給する住宅手当と会社が直接住宅費の一部を負担する社宅貸与の2パターンに大きく分けられます。社宅と聞くと社員寮のようにある程度大規模な会社をイメージしますが、賃貸物件を会社が借...

総支給額

総支給額は基本給と全ての諸手当ての合計金額であるため基本的に総支給額と同じ金額になります。

  • 200,000円+20,000円+30,000円+62,420円+1,178円+423円=314,241円

上の給与明細書では314,241円がいわゆるお給料と呼ばれる部分ですね。

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控除額の見方

給与明細の項目の中で、控除額の記載が一番複雑です。

給与明細の見方が分からない方の多くは、この控除額の内容が今一、ピンときていないはずですよね。

社会保険料

社会保険料には以下の項目が含まれます。

  • 狭義の社会保険
    • 医療保険
    • 介護保険
    • 年金保険
  • 労働保険
    • 労災保険
    • 雇用保険

医療保険

会社員と自営業(個人事業主)や仕事をしていない専業主婦などで加入できる医療保険の種類が違いますが、会社員の場合は健康保険に加入することになります。

  • 会社員:健康保険
  • 自営業:国民健康保険

医療保険を支払うことによって通院時の診察料が3割負担になります。なので会社を退職した場合や個人事業主の場合は個人で国民健康保険に加入しないと通院時の診察料が全額負担になってしまいます。

介護保険

これらの社会保険の他にも介護保険や労災保険があります。介護保険は40歳以上の人が介護サービスを受けるために負担する保険なので、僕の給与明細書には含まれていません。

厚生年金

公務員と会社員と自営業(個人事業主)とで加入できる年金の種類が異なります。会社員の場合は基本的には厚生年金に加入することになります。

  • 公務員:共済年金
  • 会社員:厚生年金
  • 自営業:国民年金

年金制度は現役時代に支払った年金額を定年後(65歳以降)の働けなくなった時期に受け取る保険のようなイメージです。若い現役世代が老後世代を支える制度ですが、支える側の現役時代と比べて受け取る側の老後世代の割合いが大きくなっているため僕たち現役世代は少しずつ受け取れる金額は減っていくと予想されています。

また支給時期についてもこの先先延ばしになる可能性が高く、今20代〜30代の僕たちが受け取る頃には65歳からの支給では無く、70歳や80歳からの支給になってしまうかもしれないですね。

また年金給付には以下の3種類があります。

  • 老齢年金
  • 障害年金
  • 遺族年金

よく「どうせ将来年金をもらえる保証なんて無い」と言う人もいますが、それは老齢年金を指して言っていることになります。ですが、実際には老齢年金の他にも障害年金や遺族年金も含めての年金制度であるため、その指摘は少し間違っています。

国民年金や厚生年金については以下の記事で詳しく説明しています。

いくらもらえるか把握してる?年金制度の仕組みを徹底解説!
少子高齢化が進む日本において年金問題は重要な課題です。ただ年金が支給される仕組みや計算方法については余り語られていないような気がします。今回は年金制度の特徴について分かりやすく解説したいと思います。

雇用保険料と労災保険

雇用保険料を支払っていることで、もし会社を退職し失業してしまった場合に失業手当てを受け取ることができます。失業した時に再就職までの生活を安定させ、就職活動を円滑に行える様に給付するものです。また労災保険に加入していることで業務時間内や通勤時に事故にあったり怪我をしてしまった場合に保険給付が行われます。

社会保険料の計算方法

これらの保険料は「標準報酬月額」✕「保険料率」で計算され、会社と従業員とで半分づつ負担します。

標準報酬月額は4月、5月、6月の支給額の平均をもとに算出されるため、対象月に支給される残業代等が低いと保険料も低くなります。上の給与明細書での社会保険合計の金額は「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」の合計金額になっています。

  • 14,000円+23,968円+1,571円=39,539円

この場合、社会保険料の合計金額は39,539円になります。

課税対象額の計算方法

課税対象額は総支給額合計から社会保険証合計を引いた金額です。

  • 314,241円-39,539円=274,702円

ここから分かることは、お給料としては314,241円会社から受け取っているものの、社会保険料として39,539円が差し引かれていること、そして、その結果、税金を計算するための課税対象額が274,702円になっていることが分かります。

所得税と住民税

また所得税は会社があらかじめ給与から税金を天引きして代納する仕組み(源泉徴収)で控除されています。

所得税

所得税は毎月の給与で概算額を差し引かれ、正式な確定額は年末調整や確定申告によって決定されます。所得税の税率は所得が多い程、税率が高くなる超過累進課税が採用されます。

所得税の税率計算表
課税対象額税率(所得税)控除額
~195万円以下5%0円
195万円超~330万円以下10%97,500円
330万円超~695万円以下20%427,500円
695万円超~900万円以下23%636,000円
900万円超~1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超~4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

少し複雑ですが簡単に説明すると以下の手順で計算ができます。

まずは所得金額(給与収入の総額)から給与所得控除や社会保険料控除のような各種控除を差し引いて課税対象額を算出します。

  • 所得金額-所得控除額=課税対象額

次にその課税対象額に対しての税率をかけて、最後に控除額を差し引いた金額が所得税の金額になります。

  • 課税対象額×税率-控除額=所得税

税率と控除額については「所得税の税率計算表」に記載されています。

課税対象額や所得税については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

【2020年最新版】給与所得の課税対象額と所得税の計算方法をどこよりも詳しく徹底解説
所得税算出の基準となる課税対象額についてどこよりも詳しく説明します。給与所得と課税対象額の違いや各種控除額の計算方法を踏まえ誰でも簡単に所得税の仕組みが分かる内容になっています。

住民税

住民税の都道府県・市町村に払う税金で、前年分(1月1日〜12月31日)の所得を基準として計算されます。

以下の2つの金額の合計金額を収めることになります。

  • 所得割額
  • 均等割額

地域によって微妙に金額が変わるものの、大きな違いはありません。

所得割額は課税所得額の概ね10%(市町村民税6%、都道府県民税4%)で、均等割額はおよそ4,000円~6,200円程です。

控除計と控除合計の計算方法

控除の合計は社会保険の合計と控除計(所得税・住民税・生命保険などの合計)の合計から算出され、総支給額から控除額を差し引いたものが差引支給額となりいわゆる「手取り金」と言われるものです。

所得税と住民税とその他に民間の生命保険などに加入している場合はその生命保険料を合計したものが控除計の金額となります。

  • 7,390円+15,200円+4,985円=27,575円

また控除合計の金額は社会保険合計と控除計の合計になります。

  • 39,539円+27,575円=67,114円

この67,114円がお給料から差し引かれる金額になります。とても大きな金額ですね。

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記事(差引き支給額)

そしていよいよ最後に差引き支給額です。

いわゆるお給料から社会保険と税金を差し引かれた手取り金額のことですね。

計算方法は以下の通りです。

  • 314,241円-67,114円=247,127円

ここから分かることはお給料は314,241円だけどそこから社会保険や税金を差し引かれた結果、手取り金額は247,127円になったと言うことです。

30万円以上のお給料が25万円以下になってしまったと考えると悲しくなりますが、これが現実です。

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給与明細書の見方は難しく無い

普段はほとんど「手取り金」以外は余り意識していないかませんが、給与明細書の計算方法を理解するだけであればそれ程難しくありません。

そして一般の会社員の方はこの辺りまで理解できていれば十分だと思います。

ただもし本業以外に収入があれば確定申告など税金に関わる事も多くなるはずです。

その時には「何故、所得税はこの金額になるのか?」だったり「もう少し税金を抑えるようにするにはどのようの方法があるのか?」などを勉強すれば良いと思います。

給与明細の内容を理解できたからと言って、収入が増える訳ではありませんが、節税を意識する上では大きな第一歩になると思いますし、自分が頑張って働いた収入をどれだけ税金として国に対して納めているのかは誰もが知っていて良い内容だと思います。

毎月、5分だけでも給与明細書を確認する時間を作ればすぐに理解できるようになるので一度挑戦してもらえればと思います。

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