住宅ローン控除(住宅ローン減税)とふるさと納税は同時に併用できますが、1年目には確定申告が必須でワンストップ特例が無効化されること、住民税控除の上限は97,500円(旧136,500円ではない)であることを正しく押さえないと、控除枠の取りこぼしが発生します。
本記事では、国税庁・総務省・国交省・財務省の一次情報に基づき、2026年最新の3つの実装論点に絞って整理します:
- 1年目の落とし穴:ワンストップ特例が使えない/寄附金控除の記載漏れ事故
- 住民税控除上限97,500円:旧136,500円との違いと衝突パターン
- 2026年改正の最新ルール:5年延長/中古13年化/子育て世帯特例/ふるさと納税ポイント廃止
- 住宅ローン控除1年目は確定申告必須=ワンストップ特例が自動的に無効化。確定申告書でふるさと納税の寄附金控除を再記載しないと寄附金が無視される
- 2年目以降の最適解:年末調整+ワンストップ特例(5自治体以内)の組合せ
- 住民税控除上限は97,500円(令和4年以降入居)。旧136,500円は経過措置のみ
- ふるさと納税ポイント還元は2025/10/1から全廃(総務省告示第203号)。クレカ決済の通常還元はOK
- 2026年改正:住宅ローン控除5年延長/既存住宅13年化/子育て世帯特例(最大借入5,000万円・年35万円控除)
- 年収500万円帯×借入4,000万円超で住民税97,500円上限に衝突して控除消失のリスク
- 2026年に新築・中古でマイホームを取得し、ふるさと納税も継続したい方
- 住宅ローン控除1年目の確定申告で、ふるさと納税の処理を間違えたくない方
- 住民税控除上限97,500円の意味と衝突パターンを正確に把握したい方
- 令和8年度税制改正(5年延長・既存住宅13年化)の最新ルールを押さえたい方
- ふるさと納税ポイント還元廃止後の実質損益を判断したい方
⚠️ 1年目の最大の落とし穴:ワンストップ特例が無効になる
住宅ローン控除を初めて受ける年(1年目)は、必ず確定申告が必要です。給与所得者・個人事業主問わず、初年度のみ税務署に申告書を提出します(2年目以降の給与所得者は年末調整で完結)。
ワンストップ特例は確定申告で自動的に無効化される
ふるさと納税は、寄附先5自治体以内なら「ワンストップ特例」を使うことで確定申告を省略できる便利な仕組みです。しかし、確定申告をすると、それまで提出していたワンストップ特例申請書はすべて無効化されます。
住宅ローン控除1年目は確定申告必須なので、年末までにワンストップ特例申請書を5自治体に出していても、その効力は消滅します。確定申告書でふるさと納税の寄附金控除を再度記載しないと、寄附金が無視されて控除を受けられない事故が頻発しています。
- 住宅ローン控除を確定申告書(A or B)で申告
- 同じ申告書でふるさと納税の寄附金控除を再度記載(寄附金受領証明書を添付)
- マイナポータル連携(e-Tax)なら寄附金控除証明書のXMLデータ一括取得が可能
- 住宅ローンの年末残高証明書/登記事項証明書/売買契約書のコピー/住宅性能証明書を添付
1年目/2年目以降の使い分け
| 時期 | 給与所得者 | 個人事業主 |
|---|---|---|
| 1年目(初年度) | 確定申告必須+寄附金控除を申告書に記載/ワンストップ不可 | 確定申告必須(同上) |
| 2年目以降 | 年末調整で完結+ふるさと納税はワンストップ特例(5自治体以内)が最適解 | 毎年確定申告 |
ワンストップ特例 vs 確定申告 — 控除元の違い
| 項目 | ワンストップ特例 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 控除元 | 住民税のみ(所得税相当分も住民税で減税) | 所得税+住民税 |
| 住宅ローン控除との相性 | ◎(所得税枠を侵食しないため2年目以降の最適解) | △(住民税97,500円上限に衝突しロス発生可能性) |
| 提出期限 | 翌年1月10日必着(自治体宛) | 翌年3月15日(税務署宛) |
| 寄附先の上限 | 5自治体以内(同自治体への複数回寄附は1団体) | 制限なし |
| 医療費控除と併用 | 不可(医療費控除は確定申告必須) | 可 |
💴 住民税控除上限97,500円の罠(旧136,500円ではない)
住宅ローン控除のうち、所得税から引ききれなかった分を住民税から控除できる金額には上限があります。これが本記事の最重要論点の一つです。
住民税控除上限の計算式
前年分の所得税の課税総所得金額等×5%(最大97,500円)(総務省/地方税法附則第5条の4の2)
旧上限「136,500円」は経過措置のみ
| 入居時期 | 住民税控除上限 | 適用条件 |
|---|---|---|
| 平成26年4月〜令和3年12月 | 136,500円(課税総所得×7%) | 消費税8%/10%適用分の経過措置 |
| 令和4年(2022年)以降入居 | 97,500円(課税総所得×5%) | 一律 |
古い解説記事に「住民税控除上限は136,500円」と書かれていたら誤情報です。2026年に取得・入居する場合は必ず97,500円で計算してください。
97,500円上限に衝突するパターン
所得税の段で「ふるさと納税が先に控除→所得税が小さくなる→住宅ローン控除を所得税で引ききれない→住民税側に押し出される」流れが発生します。住宅ローン控除の住民税側枠(最大97,500円)にぶつかると、引ききれない控除額が消失します。
- 年収500万円×借入4,000万円超×認定長期優良住宅
- 所得税額(住宅ローン控除前)約14万円
- 控除可能額28万円のうち約14万円が住民税側へ押し出される
- 住民税97,500円上限を超え約4万円が消失
- 年収700万円以上×借入4,000万円
- 所得税額(控除前)約34万円以上
- 控除可能額28万円が所得税内で完結
- 住民税側に流れず、ふるさと納税の枠もフル活用可
🆕 2026年改正:住宅ローン控除5年延長+既存住宅13年化
令和7年12月19日に与党税制改正大綱が公表され、12月26日に閣議決定。住宅ローン控除は2026年1月1日〜2030年12月31日入居まで5年延長されました(国土交通省「住宅ローン減税等の延長・拡充の閣議決定」)。
新築住宅・買取再販住宅(控除期間13年・控除率0.7%)
| 住宅性能 | 借入限度額(一般) | 借入限度額(特例対象個人) | 最大年間控除額(特例) |
|---|---|---|---|
| 認定長期優良・低炭素 | 4,500万円 | 5,000万円 | 35万円 |
| ZEH水準省エネ | 3,500万円 | 4,500万円 | 31.5万円 |
| 省エネ基準適合(2026・2027年入居のみ) | 2,000万円 | 3,000万円 | 21万円 |
| 省エネ非適合 | 原則対象外 | ― | |
既存(中古)住宅 — 令和8年度改正で控除期間13年化(目玉)
| 住宅性能 | 借入限度額(一般) | 借入限度額(特例対象個人) | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 認定長期優良・ZEH水準・省エネ基準適合 | 3,500万円 (現行3,000万円から引上げ) |
4,500万円(新設) | 13年(現行10年) |
| その他(昭和57年1月1日以後の新耐震基準) | 2,000万円 | 対象外 | 10年 |
※2026年5月時点で大綱・閣議決定段階。国会通過(所得税法等改正法)で確定するため、最終法案で借入限度額・控除期間が再修正される可能性あり。
子育て世帯・若者夫婦世帯(特例対象個人)の定義
入居年12月31日時点で次のいずれかに該当:
- 子育て世帯:年齢19歳未満の扶養親族を有する者
- 若者夫婦世帯:40歳未満で配偶者を有する者、または40歳以上で40歳未満の配偶者を有する者
床面積・所得・耐震要件
- 床面積:原則50㎡以上/合計所得1,000万円以下なら40㎡以上50㎡未満でも可(令和8年度改正で既存住宅にも拡大)
- 所得要件:合計所得金額2,000万円以下(超えた年は控除不可)
- 中古住宅:昭和57年(1982年)1月1日以後に建築(新耐震基準適合)
🎁 ふるさと納税:2025/10/1ポイント還元廃止後のリアル
総務省告示第203号(2025年10月1日施行)
総務省は告示第203号により、寄附者に経済的利益(ポイント等)を供与することを誘引する第三者を通じた募集を禁止しました。仲介手数料の膨張による地域支援額の目減りを抑えるのが目的です。
廃止対象 vs 継続対象
| 区分 | 取扱い |
|---|---|
| 楽天ポイント/さとふるマイポイント/ふるなびコイン/auPAYポイント等のポータル独自ポイント | 2025/10/1から付与禁止 |
| 自治体の返礼品(牛肉・米・電化製品等) | 継続(3割ルール内) |
| クレジットカード決済の通常還元(VISA/Master/JCB等) | 継続OK |
楽天グループは2025年7月10日に総務省告示の無効確認を求めて東京地方裁判所に提訴。係争中ですが、2026年5月時点では告示が有効に運用されています。ポイント還元ゼロ前提でふるさと納税を計画するのが現実的です。
📐 併用時の控除順序(所得税→住民税の流れ)
所得税:「ふるさと納税→住宅ローン控除」の順
- 課税総所得 −(ふるさと納税の寄附金控除=(寄附金−2,000円)×所得税率×1.021)
- 上記の所得税額 −(住宅ローン控除額=年末ローン残高×0.7%)
住民税:「住宅ローン控除→ふるさと納税」の順
- 住民税所得割 −(住宅ローン控除のうち所得税で引ききれなかった分。上限:課税総所得×5%、最大97,500円)
- さらに −(ふるさと納税の住民税基本分=(寄附金−2,000円)×10%)
- さらに −(ふるさと納税の住民税特例分=(寄附金−2,000円)×(90%−所得税率×1.021)。上限:住民税所得割×20%)
ふるさと納税限度額の計算式
住民税所得割×20% ÷(90%−所得税率×1.021)+ 2,000円(総務省)
所得税率20%帯(年収700〜900万円)なら住民税所得割×28.7% + 2,000円が概算の目安。実額はふるさとチョイス・さとふる等の公式シミュレータで確認してください。
💴 年収別シミュレーション(住宅ローン4,000万円・認定長期優良・特例対象個人)
| 年収 | 所得税額(控除前) | 住民税所得割 | ふるさと納税限度額 | 住宅ローン控除(年28万円)の状況 |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 約14万円 | 約24万円 | 約61,000円 | 住民税97,500円上限を超え約4万円消失 |
| 700万円 | 約34万円 | 約38万円 | 約108,000円 | 所得税内で完結/併用ロスなし |
| 1,000万円 | 約83万円 | 約63万円 | 約177,000円 | 所得税で完全消化/ふるさと納税枠も大 |
| 1,500万円 | 約181万円 | 約102万円 | 約385,000円 | 合計所得2,000万円超の崖に注意 |
※給与所得者・配偶者控除なし・社保15%・基礎控除48万円・給与所得控除考慮の概算。扶養親族数・iDeCo・小規模企業共済等で変動。
⚠️ ふるさと納税はやらない方がいいケース(誠実な警告)
- 住宅ローン控除1年目で年収500万円以下+借入4,000万円超:住民税97,500円上限に衝突して住宅ローン控除自体が消失するため、ふるさと納税の余地が小さい
- 退職・転職・育休等で年収が一時的に大幅減:限度額計算は「その年の所得」で確定するため、寄附後に年収が想定より低くなると自己負担増
- 医療費控除や雑損控除を予定している年:控除可能額が圧縮されるため、ふるさと納税の枠も連動して縮小
- 個人事業主で売上が読みにくい年:年末ぎりぎりに事業所得が確定するため、寄附時期と限度額のミスマッチが起きやすい
下記に当てはまるものをチェック。3つ以上当てはまったら、控除枠の取りこぼしリスクがあります。
- ☐ 住民税控除上限を「136,500円」と認識している
- ☐ ふるさと納税のポイント還元がまだあると思っている
- ☐ 住宅ローン控除1年目でもワンストップ特例が使えると思っている
- ☐ ふるさと納税限度額のシミュレーションをしたことがない
- ☐ 医療費控除や雑損控除を予定しているのに通常通りの限度額で寄附した
- ☐ 退職・育休・転職予定があるのに前年並みの限度額で寄附した
- ☐ 1年目の確定申告書でふるさと納税の寄附金控除を記載し忘れる可能性がある
→ 3つ以上当てはまる場合、控除額の一部が消失するリスクが現実的に高いです
📋 1年目の確定申告で必要な書類
- 住宅ローンの年末残高証明書(金融機関発行)
- 登記事項証明書(土地・建物)
- 売買契約書または工事請負契約書のコピー
- 住宅性能の証明書(認定長期優良・ZEH水準・省エネ基準適合)
- ふるさと納税の寄附金受領証明書(または特定事業者発行のXMLデータでマイナポータル連携)
- 源泉徴収票(給与所得者)
- マイナンバー確認書類
📖 この記事の根拠(出典・参考)
- 住宅ローン控除(新築・中古):国税庁 タックスアンサー No.1211-1/No.1211-3
- 住宅ローン控除1年目の申告:国税庁「マイホームを持ったとき」
- 住民税控除上限97,500円:総務省「所得税から住宅ローン控除額を引ききれなかった方」(地方税法附則第5条の4の2)
- 令和8年度税制改正(5年延長・既存住宅13年化):国土交通省「住宅ローン減税等の延長・拡充の閣議決定」/財務省「令和8年度税制改正の大綱の概要」
- ふるさと納税ポイント還元廃止:総務省告示第203号(令和6年6月28日改正、令和7年10月1日施行)
- ふるさと納税控除の仕組み:総務省「ふるさと納税のしくみ・税金の控除」
- 楽天訴訟:楽天グループ「総務省告示の無効確認訴訟提起のお知らせ」(2025年7月10日)
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. 住宅ローン控除1年目はワンストップ特例が使えますか?
A. 使えません。住宅ローン控除1年目は確定申告必須で、確定申告するとワンストップ特例申請書は自動的に無効化されます。1年目は確定申告書でふるさと納税の寄附金控除も合わせて記載してください。2年目以降は年末調整+ワンストップ特例の組み合わせが最適解です。
Q2. 住宅ローン控除の住民税上限は136,500円ではないのですか?
A. 令和4年(2022年)以降入居は一律97,500円です。旧上限136,500円は平成26年4月〜令和3年12月入居のうち消費税8%/10%適用分の経過措置で、現在の入居者には適用されません。
Q3. 年収500万円で住宅ローン4,000万円なら、ふるさと納税はやめた方がいい?
A. 住宅ローン控除自体が住民税97,500円上限に衝突して消失するリスクが高いケースです。住宅ローン控除分だけで税金がほぼ消化されるため、ふるさと納税の枠は限定的。完全に「やめる」必要はありませんが、限度額シミュレーションで枠を確認してから少額で試すのが安全です。
Q4. ふるさと納税のポイント還元はいつから廃止されましたか?
A. 2025年10月1日施行の総務省告示第203号により、ポータルサイト独自ポイント(楽天ポイント・さとふるマイポイント・ふるなびコイン等)は付与禁止になりました。クレジットカード決済の通常還元は継続OKです。
Q5. 2026年に新築マイホームを買う場合、控除期間は何年ですか?
A. 認定長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅は13年。省エネ基準適合住宅は2026・2027年入居までの限定で13年。省エネ非適合の新築住宅は原則対象外です。
Q6. 中古住宅でも控除期間13年になりますか?
A. 令和8年度税制改正により、認定長期優良・ZEH水準・省エネ基準適合の中古住宅は10年→13年に延長されました(2026年入居以降)。子育て世帯・若者夫婦世帯は借入限度額が4,500万円に拡大。
Q7. 子育て世帯・若者夫婦世帯の特例対象個人とは?
A. 入居年12月31日時点で①19歳未満の扶養親族がいる、または②40歳未満で配偶者がいる、または③配偶者が40歳未満のいずれかに該当する者。借入限度額が500〜1,000万円上乗せされ、年間最大35万円控除(認定長期優良住宅)が可能です。
Q8. 確定申告でふるさと納税の寄附金控除を記載し忘れた場合は?
A. 5年以内であれば更正の請求で還付を受けられます。気づいた段階で速やかに税務署に更正の請求書を提出してください。寄附金受領証明書は必ず保管しておきましょう。


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