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不動産投資の諸費用はいくら?収益物件の購入費用を2026年の税率・期限で計算|仲介手数料の800万円特例

不動産投資の諸費用を2026年の税率と期限で計算 物件取得・評価・収益計算
この記事は約11分で読めます。

収益物件を買うときの諸費用は、「物件価格の7〜10%」「6〜8%」などと目安が書かれることが多いのですが、この割合を裏付ける統計はありません。実際の額は、物件の価格、土地と建物の固定資産税評価額、借入額、金融機関の手数料の決め方でほぼ決まります。とくに融資の事務手数料は、定額か「融資額の2.2%」かで数十万円単位の差が出ます。

この記事では、2026年10月時点の法令・告示・税率と軽減措置の期限をもとに、諸費用を1項目ずつ計算できるように整理します。

❓ 先に答え:5,000万円の中古アパートの諸費用はいくら?

価格5,000万円(税抜)、固定資産税評価額が土地1,800万円・建物900万円、借入4,500万円の場合(仮の前提)の計算です。

  • 仲介手数料(上限):約171.6万円
  • 登録免許税:63万円(土地27万円+建物18万円+抵当権18万円)
  • 不動産取得税:54万円(土地27万円+建物27万円)
  • 印紙税:3万円(売買契約書1万円+金銭消費貸借契約書2万円)
  • 司法書士報酬:10万円前後(全国平均の目安)
  • 融資の事務手数料:11万円(定額の例)〜99万円(融資額×2.2%の例)

ここまでで約313万〜401万円(物件価格の約6.3〜8.0%)。これに火災保険料、固定資産税などの精算金がかかります。

この記事は以下のような方におすすめです!
  • 収益物件の購入にかかる諸費用を、項目ごとに計算して資金計画を立てたい方
  • 「物件価格の7〜10%」といった目安の割合ではなく、実際の金額を知りたい方
  • 800万円以下の物件の仲介手数料がいくらになるかを確かめたい方
  • 投資用の物件で、登録免許税や不動産取得税の軽減が使えるかを知りたい方
  • 融資の事務手数料や、諸費用の税金上の扱いを比べたい方
🎯 30秒でわかる本記事の要点
  • 諸費用の割合を裏付ける統計はなく、実際の額は物件の価格、土地と建物の固定資産税評価額、借入額、金融機関の手数料の決め方でほぼ決まります。
  • 価格5,000万円・借入4,500万円などの仮の前提では、火災保険と精算金を除いて約313万〜401万円(物件価格の約6.3〜8.0%)でした。
  • 融資の事務手数料は、定額(11万円の例)か融資額×2.2%(99万円の例)かで、数十万円単位の差が出ます。
  • 登録免許税の土地の1.5%の軽減は投資用でも使えますが(2029年3月31日まで)、住宅用家屋の軽減税率は賃貸用のアパートや区分マンションには使えません。
  • 800万円以下の物件の仲介手数料は、媒介契約のときに説明と合意があった場合だけ、最大33万円(税込)になります。
📕 Before(読む前)
  • 諸費用は「物件価格の7〜10%」などの割合で見積もれば足りると思っています。
  • 賃貸用のアパートでも、登録免許税や不動産取得税の住宅用の軽減が使えると思っています。
  • 800万円以下の物件なら、仲介手数料は必ず33万円になると思っています。
📘 After(読んだ後)
  • 物件価格・固定資産税評価額・借入額から、諸費用を1項目ずつ計算できます。
  • 融資の事務手数料が定額か定率かを確かめ、金融機関の差を金額で比べられます。
  • 個人と法人で、諸費用の税金上の扱いがどう違うかを確かめられます。

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📋 諸費用の一覧と、いつ払うか

費用 払う時期 金額を決めるもの
仲介手数料契約時と決済時に分けることが多い物件価格(税抜)
印紙税売買契約時・金銭消費貸借契約時契約書の記載金額
登録免許税・司法書士報酬決済時固定資産税評価額、借入額
固定資産税・都市計画税の精算金決済時年税額と引渡日、精算の起算日
融資の事務手数料・保証料融資実行時金融機関の定め(定額か定率か)
火災保険・地震保険決済時まで建物の構造・所在地・補償内容・期間
不動産取得税取得後、都道府県から納税通知書が届いてから固定資産税評価額

💼 仲介手数料:上限の計算と「800万円以下」の特例

仲介手数料は、国交省の告示で上限が決まっています。売主・買主のそれぞれから受け取れる上限(税込)は、税抜価格の200万円以下の部分×5.5%+200万円超400万円以下の部分×4.4%+400万円超の部分×3.3%です(報酬告示)。400万円を超える物件なら「(価格×3%+6万円)×1.1」と同じになります。

  • 1,000万円:39.6万円/3,000万円:105.6万円/5,000万円:171.6万円(いずれも税込の上限)

2024年7月からの「800万円以下」の特例

2024年7月1日から、価格が800万円以下(税抜)の宅地・建物の仲介では、通常の上限を超えて、30万円×1.1=33万円(税込)まで受け取れるようになりました(国交省「不動産業者が宅地・建物の売買等の仲介をした際に受け取ることができる報酬について」)。

  • 空き家に限らない:国交省は「使用の状態は問わない」としています。入居者がいる安い区分マンションや戸建ても対象です。
  • 売主・買主のどちらからでも:国交省は「依頼者の一方(売主若しくは買主)」から受け取れると説明しています。
  • 自動で上がるわけではない:媒介契約を結ぶときに、あらかじめ依頼者に説明して合意を得る必要があります(国交省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」)。報酬の額は媒介契約書面に書く事項です(宅建業法34条の2)。
  • 業者の受け取りは最大66万円:売主と買主のそれぞれから最大33万円なので、両方の仲介をする業者は合計で最大66万円を受け取れます。
  • 差が出るのは800万円未満:800万円ちょうどなら通常の上限も33万円です。500万円なら通常の上限23.1万円に対し、合意があれば最大33万円になります。

🏛 登録免許税:土地は1.5%、建物と抵当権は投資用だと本則

登記 課税標準 税率(投資用)
土地の売買による所有権移転固定資産税評価額1.5%(本則2.0%。2029年3月31日まで。個人・法人とも)
建物の売買による所有権移転固定資産税評価額2.0%
新築建物の所有権保存法務局の認定額(下記)0.4%
抵当権の設定債権金額(根抵当権は極度額)0.4%
  • 住宅用家屋の軽減税率(移転0.3%・保存0.15%・抵当権0.1%)は、個人が自分で住む住宅だけが対象です。賃貸用のアパートや区分マンションには使えません(租税特別措置法73条・75条、国税庁 No.7191)。
  • 新築の建物にはまだ固定資産税評価額がないため、法務局が定める「新築建物課税標準価格認定基準」で課税標準を計算します。木造の共同住宅の1㎡あたりの単価は、大阪法務局105,000円、京都地方法務局113,000円、神戸地方法務局103,000円です(各局の令和6年度基準)。

📝 印紙税:売買契約書は軽減あり、ローンの契約書は軽減なし

記載金額 不動産売買契約書(軽減後・2027年3月31日まで) 金銭消費貸借契約書(軽減なし)
1,000万円超〜5,000万円1万円2万円
5,000万円超〜1億円3万円6万円
1億円超〜5億円6万円10万円

契約書を電子契約(電磁的記録)で結ぶと、印紙税はかかりません(国税庁の質疑応答事例)。紙の写しでも、署名や押印があれば課税の対象になります(国税庁 No.7120)。

🏠 不動産取得税:土地は課税標準が半分、中古の賃貸住宅は控除なし

  • 税率は本則4%ですが、土地と住宅は2027年3月31日まで3%です。住宅以外の家屋(店舗・事務所など)は4%です(地方税法73条の15・附則11条の2)。
  • 宅地は、2027年3月31日まで課税標準が評価額の2分の1になります(地方税法附則11条の5)。
  • 新築住宅は1戸につき1,200万円の控除があります。2026年4月1日以降は、1戸の床面積(共用部分の按分を含む)が40㎡以上240㎡以下の場合が対象です(大阪府「不動産取得税」)。
  • 中古住宅の控除は、個人が自分で住む場合だけです。賃貸用の中古アパートの建物には使えません(同)。

冒頭の例では、土地が1,800万円×1/2×3%=27万円、建物が900万円×3%=27万円です。納税通知書が届く時期は都道府県によって違います。大阪府では、取得から20日以内に申告が必要で、20日以内に登記を申請した場合は原則として申告は不要です(大阪府「不動産取得税の申告」)。経費としての扱いは投資用アパートの不動産取得税は経費にできる|中古は建物軽減NG・土地軽減と租税公課で当年全額【2027年3月期限・関西】にまとめています。

読者
建物の不動産取得税は、なぜ控除を引かずに計算するのですか?
著者
中古住宅の控除は、個人が自分で住む場合だけが対象だからです。賃貸用の中古アパートの建物には使えないので、固定資産税評価額の900万円にそのまま3%を掛けます。

📅 固定資産税・都市計画税の精算:関西は4月1日起算の傾向

固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者に1年分が課税されます(地方税法343条・359条)。売買では、引渡日で日割りにして、買主が売主に精算金を払うのが一般的です。

  • 精算の起算日を1月1日にするか4月1日にするかは、法律に定めがなく、契約で決めます。不動産流通推進センターの相談事例は、首都圏は1月1日、関西圏は4月1日とする傾向があるものの、統一的な慣習ではないとしています。契約書で起算日を確かめます。
  • 精算金は、税金そのものではなく売買代金の一部として扱われます(消費税法基本通達10-1-6)。

⚖️ 司法書士報酬の目安

日本司法書士会連合会の報酬アンケート(2024年3月実施・税込・全国平均)では、土地1筆・建物1棟・評価額1,000万円の設例で、売買による所有権移転が56,678円、抵当権設定が42,699円です。物件の数や評価額、地域で変わるので、決済前に見積もりを取ります。

🏦 融資の手数料:定額か定率かで数十万円の差

金融機関(公式資料) 手数料の決め方 借入4,500万円なら
関西の地方銀行のアパートローンの例新規取扱手数料110,000円11万円
静岡銀行 アパートローン(保証人扱)融資金額×2.2%(消費税等込)99万円
オリックス銀行 不動産投資ローン融資金額の2.20%以内最大99万円

このほか、保証会社を使うローンでは保証料がかかります。借りる前に、事務手数料・保証料・団信の上乗せ金利を合わせた金額で比べます。金融機関の選び方は不動産投資ローン 横断比較【2026年版】|銀行系・ノンバンク系・信販系を属性別に選ぶ実践ガイドで扱っています。

🔥 火災保険:最長5年

損害保険料率算出機構は2021年、火災保険の参考純率を使える期間を最長10年から最長5年に改めました。これを受けて損害保険各社は、2022年10月以降に始まる契約の期間を最長5年にしています(各社のFAQ)。保険料の目安となる参考純率は2023年6月にも改定され、水災の料率が地域ごとに5区分になっています(損害保険料率算出機構)。同じ構造・面積でも所在地と補償の選び方で保険料が変わるので、見積もりで確かめます。

🧾 諸費用の税金の扱い(個人と法人で違う)

  • 個人:賃貸用の土地・建物にかかる登録免許税(登記費用を含む)と不動産取得税は、その年の必要経費になります。取得費に入れるかどうかを選ぶことはできません(国税庁 No.2215、所得税基本通達37-5・38-9)。
  • 法人:登録免許税や不動産取得税などは、取得価額に入れないことを選べます(法人税基本通達7-3-3の2)。
  • 仲介手数料は、購入のために要した費用として土地と建物の取得価額に含めます。建物分は減価償却で経費になります(所得税法施行令126条)。

経費にできるものの一覧は不動産投資の経費一覧|落とせるもの・落とせないもの・按分の判断基準と大家の実務【勘定科目別】にまとめています。

❓ よくある質問

Q1. 諸費用は物件価格の何%を見ておけばいいですか?

A. 割合の統計はありません。この記事の例では、火災保険と精算金を除いて約6.3〜8.0%でした。差が大きいのは融資の事務手数料で、定額の金融機関か定率(2.2%)の金融機関かで数十万円変わります。物件ごとに評価額と借入額で計算してください。

Q2. 800万円以下の物件なら、仲介手数料は必ず33万円になりますか?

A. なりません。33万円は上限で、媒介契約のときに説明と合意があった場合だけです。合意しなければ、通常の上限(500万円なら23.1万円)までです。

Q3. 登録免許税の住宅用の軽減は、アパートにも使えますか?

A. 使えません。住宅用家屋の軽減は、個人が自分で住む住宅だけです。土地の1.5%の軽減は、投資用でも個人・法人でも使えます(2029年3月31日まで)。

Q4. 諸費用もローンに含められますか?

A. 金融機関の判断によります。資金使途に諸費用を含められるかは、借りる前に確認します。諸費用まで借りると借入額が増え、毎月の返済と金利の負担が増えます。

📝 まとめ

収益物件の諸費用は、「何%」の目安ではなく、物件価格・固定資産税評価額・借入額・金融機関の手数料の決め方で計算します。登録免許税と不動産取得税は、投資用だと住宅用の軽減が使えない項目があり、土地の軽減には期限があります。800万円以下の物件の仲介手数料は、合意した場合だけ最大33万円です。

📖 この記事の根拠(出典・参照日2026年10月1日)

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執筆者 西本豪
執筆者:西本 豪(楽待新聞コラムニスト)

関西の不動産投資家。賃貸経営の体験と、法令・公的機関の資料をもとに、税務・融資・賃貸経営・法人運営の実務ガイドを発信しています。

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