賃貸経営の基本!表面利回りと実質利回りの計算方法を徹底解説!

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投資の世界には「利回り」という言葉があります。

勿論、不動産投資の世界でももっとも大切な評価指数の一つです。

普段、株式投資や投資信託をしている人ならイメージしやすいですが、全く投資をしない人にとっては余り馴染みの無い言葉ですね。

「利回り」とは「投資金額(物件の購入金額)を1年間で何%を回収できるか?」を表す指標です。

今回は不動産投資における「利回り」の基本について丁寧に解説します。

  • 利回りの計算方法を理解したい人
  • 利回りの種類とその違いを理解したい人
  • 高利回り物件のリスクを知りたい人
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具体的なの計算方法

利回りには以下のような種類があります。まずは表面利回り(グロス利回り)と実質利回り(ネット利回り)について理解を深めて頂ければ十分です。

  • 表面利回り(グロス利回り)
    • 年間の家賃収入÷物件価格✕100
  • 実質利回り(ネット利回り)
    • (年間の家賃収入ー必要経費)÷総投資額(物件価格+購入諸経費)✕100
  • 真の利回り(FCR)
    • (年間の家賃収入ー空室損失ー必要経費)÷総投資額(物件価格+購入諸経費)✕100%
  • 自己資本配当率(CCR)
    • 税引前キャッシュフロー(BTCF)÷自己資本✕100%

つまり物件の販売会社などから「利回りは◯◯%」と言われた場合、それは「表面利回りなのか?」それとも「実質利回りなのか?」を必ず確認しなければいけません。

なお、真の利回り(FCR)と自己資本配当率(CCR)についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

表面利回りは「グロス利回り」、実質利回り「ネット利回り」と呼ばれることもあります。

表面利回りの計算方法

表面利回りについて具体的な計算をしてみます。

例えば、物件価格が1,000万円、月々の家賃が5万円の場合、家賃収入は年間で60万円です。

なので、1000万円の物件に対して年間の家賃収入が60万円なので6%の表面利回りになります。

6%と聞くと決して高くはありませんが、それでもまだまだ悪くない印象です。

実質利回りの計算方法

続いて実質利回りについて具体的な計算をしてみます。

実質利回りは、表面利回りに対して月々の管理費用、修繕積立金や固定資産税などの税金などの必要経費を家賃収入から差し引いて計算したものが実質利回りです。

同じように物件価格が1,000万円、月々の家賃が5万円だったとしても必要経費が年間15万円掛かってしまったとしたら実質利回りは大きく下がってしまいます。

1000万円の物件に対して実質的な年間の家賃収入が45万円となるため、実質利回りは4.5%になります。

賃貸経営の必要経費

計算方法からも分かるように実質利回りは必ず表面利回りよりも低くなります。

一般的な区分マンションの場合、実質利回りは表面利回りより1%程低くなります。そして表面利回りと実質利回りを分けるモノが「必要経費」です。

必要経費には主に以下のようなものが含まれます。

  • 固定資産税
  • 管理費、修繕積立金
  • 集金代行手数料
  • 投資用マンションローン返済に伴う金利

なお、固定資産税についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

利回りは変動するもの

できれば利回りは高い方が嬉しい訳ですが、一般的には利回りをある程度のポジションまでは緩やかに下り続けます。

計算方法からも分かるように利回りを変動させる要因には以下の項目があります。

  • 物件価格
  • 年間の家賃収入
  • 必要経費

この中で物件価格については購入後変わることはありません。物件を1,000万円で購入した場合、その価格は一生残り続けます。

一般的に新築物件に比べ、中古物件の方が物件価格が安いため利回りが高くなる傾向があります。

これはそもそもの販売価格が新築物件より中古物件の方が安いため同じような家賃体形だと自然と利回りが高くなる訳です。

一方、年間家賃収入や必要経費は年々変動するものです。

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利回りの前提は満室経営

ですが、利回りだけで決して物件を評価する事は出来ません。

なぜならここまでの話は全て毎月家賃収入を得られる事が前提で計算されていますので、家賃収入が得られない月があればその分利回りが下がってしまいます。

年間家賃収入を左右する2つのポイント

年間家賃収入は一年間を通じて得られる家賃収入の合計です。

月々の家賃が5万円の場合、年間家賃収入は5万円✕12ヶ月で60万円です。

ただし年間家賃収入は以下の要因で変動します。

  • 年間の空室率
  • 月々の家賃収入

つまり、もし年間の空室率か月間の家賃収入(またはその両方)が減ってしまうと年間家賃収入が減ってしまい、その結果、利回りも悪化します。

年間の空室率が悪化する要因

まずは年間空室率です。

賃貸経営に空室期間はつきものです。どれだけ適切な賃貸経営ができていたとしても、いつか入居者は退去してしまいます。

物件や共有部分の品質を維持し、適切な価格設定をしていたとしても「空室期間」をゼロにすることはできません。現在の入居者が退去した場合、対応すべき重要な取り組みが2つあるからです。

  • 新規入居希望者の募集、獲得
  • 退去後の部屋の修繕、クリーニング

新規入居希望者の募集、獲得

まず、現在の入居者が退去してしまった場合、次に住んでもらうための入居希望者を募集しなければいけません。

一般的には退去の連絡を受けたタイミングで次の入居希望者を募集するのですが、入居希望者を募集して契約まで結びつけるのに時間が掛かってしまえば、その分、空室期間が伸びてしまいます。

入居者獲得に影響を与える要因としては以下のようなものがあります。

  • 賃料の妥当性、競合物件の存在
    • 物件の品質、立地、管理状況等を踏まえて賃料が妥当化どうか?
    • 同じ地域で同一水準の競合物件がある場合、相対的な高いか?安いか?
  • 退去時期、入居時期
    • 引っ越しの繁忙期である2月〜3月であれば比較的入居者は見つかりやすい
    • 引っ越しの繁忙期が過ぎた5月〜6月以降は入居希望者も見つかりにくくなる

このような条件下で入居者の獲得が困難な場合は、家賃を下げるなど、何か入居者の満足度を上げるような取り組みも必要になります。

退去後の部屋の修繕、クリーニング

また、賃貸人の入れ替わりがあった場合は、それに伴い修繕やクリーニングの期間も必要になります。引っ越しの繁忙期であれば、修繕業者、清掃業者との調整がつきにくくなってしまうため、少し長い期間になってしまうこともあります。

そのため、現在の入居者が3/31に退去してしまったとしても、次の入居者を4/1から受け入れることは契約的にも物理的にも難しいのです。

入居者の入れ替わりの費用負担

このリフォームの費用も平均的には賃料の1ヶ月分から2ヶ月分になるため前もって覚悟しておかないと結構大きな金額になりますし、場合によってはそれ以上になる可能性だって十分にあります。

また、入居者付けを仲介会社に依頼する場合は仲介手数料も必要になります。

ただ仲介会社に支払う仲介手数料は入居時に入居者から頂く礼金と相殺できる場合もありその辺りは賃料も含めての価格設定次第になります。

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高利回り物件と安定性の関係性

投資効果を最大限に発揮するには、なるべく利回りの高い物件を購入すれば良い訳ですが、当然、単純に利回りの高い物件を購入すれば良い訳ではありません。

利回りが高い物件は、その想定利回りを実現するためのハードルもより高くなるからです。

利回りに執着しし過ぎることのリスク

所有物件の種類によって、ある程度、高利回りの物件と低利回りの物件に分かれる傾向があります。

僕の個人的な感覚としては以下のようなイメージです。

  • 想定利回りが低く販売価格が高い物件
    • 新築もしくは築浅の区分マンション
    • 駅から近い立地条件が良い物件
    • 東京や関西圏のような人口流入が見込める地域
  • 想定利回りが高く販売価格が安い物件
    • 築年数20年〜30年程の築古物件
    • 駅から遠く立地条件が悪い物件
    • 地方のような人口流入が見込みにくい地域

つまり、一般的には想定利回りが高い物件は、想定利回りが低い物件に比べて、空室リスクが高くなります。

仮に想定利回りが高かったとして、空室期間が長期間になったり、設定通りの賃料が取れなければ、結局は「絵に描いた餅」になってしまいます。

ただし、賃貸経営者としての能力が高ければ、空室リスクが高いと考えられるボロ物件でも安定した賃貸経営を維持し、その結果、高利回りの運用を実現できることになります。

修繕費用が積み立てられているかも大切

また中古物件の場合、表面利回りが20%~30%の高利回り物件であっても、十分な修繕積立金が準備されていなければ、大規模工事などを行う場合、物件所有者が工事費用を補うと言うような事もあるそうです。

購入直後に修繕費用を負担すること自体は別に悪いことではありませんが、それならばその分の費用を見越した価格設定で購入しないと後から計算が合わず後悔することになります。

利回りは判断材料と言うよりかは、あくまでも一つの基準として考えた方が良いかもしれません。

それでも上記のように簡単な計算方法で算出出来きます。覚えておくと各地域の大まかな相場なども身に付いてくるので便利ですよ。

キャッシュフローが得られなければ意味が無い

仮に実質利回りが10%だったとしても、物件の購入価格が100万円であれば必要経費を差し引いた年間のキャッシュフローは10万円にしかなりません。

逆に物件の購入価格が3,000万円であれば、実質利回りが5%でも、必要経費を差し引いた年間のキャッシュフローは150万円になります。

購入価格(物件所有者が負うリスク)が高いのだから、キャッシュフローが大きくなるのは当然ではありますが、余りに安過ぎる物件を購入すると高利回りは確保できたとしても、その物件を管理する手間は増え、投資効率が良いとは言えません。

この辺りのバランスは個人の価値観にもよりますが「高い利回りを実現できさえすれば賃貸経営として成功である」といえるかどうかは、少し微妙だと思います。

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