もう我慢の限界?賃貸管理会社の苦悩の日々とは?

不動産会社
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先日、賃貸管理会社に勤める友人と会話する機会があり、管理業務の難しさや苦労話を聞くことができました。

普段、賃貸管理会社に業務を委託していると、自分の物件に対してどのような対応がされているのか意識する機会が少ないですが、物件に入居者が住んでいる以上、日々、管理業務を担ってくれているため頭が下がります。

  • 賃貸管理会社の業務内容に興味がある人
  • 賃貸管理会社の変更を検討している人
  • 賃貸経営に関するトラブルで頭を抱えている人
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賃貸管理会社の役割

賃貸管理会社の業務内容としては主に以下のようなものが含まれます。

  • 入居者の募集と契約手続き
    • 入居者の募集、申込み時の入居者審査
  • 更新手続き
    • 新賃料交渉や更新契約書の作成
  • 解約手続き
    • 敷金精算、退去立会い、現状回復工事手配
  • 家賃徴収業務
    • 入金の確認、家賃滞納時の督促
  • 入居者クレーム対応
    • 入居後の設備故障などの状況確認、修繕手配

賃貸管理費は規模や管理内容にもよりますが、1棟物件の場合は家賃収入の3%〜7%程、区分マンションの場合は1戸3,000円〜5,000円程ですが、サブリース契約の場合は家賃収入の20%〜30%程になることもあります。

入居者の募集や更新、解約の手続き等、一般的な業務については特に苦労することもありませんが、家賃徴収業務やクレーム対応などは、いろいろとトラブルになることも多いようです。

管理会社からすれば入居者も物件所有者も同じお客様なのですが、いろいろな理由で苦労することも多いそうです。

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賃貸管理会社の苦悩の日々

賃貸管理会社が抱える問題や悩みについてもう少し具体的に掘り下げてみます。

家賃滞納は必ずある

多くの賃貸管理会社で家賃の徴収業務を行っていますが、家賃滞納者はほぼ必ず出てきます。

それでは実際にどのような人が家賃滞納トラブルを起こすのでしょうか?

すぐに思い浮かびそうなのは、年金暮らしで低所得の高齢者や外国人などをイメージするかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。

一概にどのような属性の入居者が滞納しやすいと言うことはありませんし、これまでは支払い期限までにきっちりと対応していた入居者が、急に滞納するようになることも多々あり、むしろ高齢者や外国人の方がルールや決まり事をしっかり守ってくれるそうです。

確認不足による設備トラブル

人間が生活する以上、設備に対するクレームも多いです。

例えば、エアコンや給湯器などの設備が使えないのであれば、明らかに物件所有者側の責任範囲であり、ご迷惑を掛けてしまっているため早急な対応が必要になります。

ですが、一方「水が出ない」などのトラブルで、真夜中に水道業者が駆け付けたところ、実際には「支払が遅れていたために水道を止められていた」なんて笑い話のようなことも意外とあります。

この場合、入居者側の完全な過失であり業者には調査費用の名目でお金を支払う義務があるはずですが、そのような話をすると「そんな説明は聞いていない」などと言って、支払いを拒否するようなケースもありさらにややこしくなります。

「そんなことは知らない」「そんな契約は結んでいない」などと平気で言ってくる入居者も多いため、管理会社としては口頭だけではなく、メールや書類でのやり取りとしたり、会話内容を録音したりと必ずエビデンスを残し、一つずつ「相手の逃げ道を塞ぐ」ことで、少しでも争いを有利に持っていけるような心掛けが大切です。

入居者死亡時の対応

長年、賃貸経営をしていると入居者の死に遭遇することもあるはずです。

この場合、未払いのものがあったり追加請求しないといけない費用があれば、当然ですが、連帯保証人である家族に対して請求することになります。

死因(寿命か?病気か?自殺か?など)にもよりますが、大切な身内を失い、悲しみの最中にいる家族に対して、このような話を持ち出すのはそれなりの気遣いが必要です。

いろんな意味で高いコミュニケーション能力が問われる仕事だと思いました。

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物件所有者とのトラブルも大変

トラブルと聞くと入居者や、その家族、保護者などを想像するかもしれませんが、家主の中にも対応に困る家主が一定数いるようです。

入居者獲得と賃料維持のジレンマ

特に年配(プライドを持ったベテラン)の大家に良くあるのは、賃料についてのトラブルです。

物件の品質を著しく下げているにも関わらず、家賃だけは維持したいと主張するケースです。

修繕費を抑えたい気持ちはとても良く分かりますが、何十年もクロスを張り替えなかったり、故障したエアコンを放置し続けずっと直さなかったりと、普通の家主としては考えられない対応の人もいます。

また、周辺物件の相場を把握できていない家主もタチが悪く、謎のプライドで無茶な価格設定を主張する末に長期間の空室を招いてしまい、その結果、管理会社との信頼関係も崩れてしまうケースも多々あります。

入居者を巻き込むトラブルも

家賃設定が適切で無いだけであれば、家主が自分で自分の首を占めているだけですが、賃貸管理会社や入居者までも巻き込んでしまうパターンもあります。

特にリアルタイムでの対応が難しい会社員などの副業大家の場合、以下のようなトラブルが多いようです。

  • 交渉や問い合わせなどがあっても迅速に対応できない
  • 判断するまでに日も時間が掛かってしまう
  • 南京錠の番号が変更されている
    • 時間の都合上、内見ができない、または後回しになる
  • 契約成立した物件の情報が更新されていない
    • 既に契約済みの物件が掲載され続けている
  • 契約、審査後の条件変更
    • 喫煙者、ペットなどへの追加徴収など
    • せっかく決まった契約が白紙に戻ってしまう

これらは意外と致命的な問題であり、これでは周りには迷惑を掛けてしまうし、自分にとっても不利益にもなってしまうしと何も良いことはありません。

もし、心当たりがあれば、すぐに改善した方が良さそうです。

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仲介管理会社自体が抱える問題も

入居者や家主との間だけでは無く、仲介管理会社自体が抱える問題もあります。例えば以下のようなものが挙げれれます。

  • 離職率が極めて高い
    •  新入社員を受け入れてもすぐに退職してしまう
    • そもそも求人が来ない
  • 社員の能力が低下傾向にある
    • 能力の高い社員はすぐに独立してしまう
    • 入居者や家主との対応で人間関係に大きなストレスを感じてしまう
  • 休日や定時以降は対応できない(したくない)
    • 小さな仲介管理会社だと経営者や役員が対応するしか無い

まず、仲介会社の置かれている状況として「家主」と「入居者」の板挟みにあってしまうことが多く、どうしても精神的に厳しい立場に追い詰められてしまいます。

これは家主側も反省しなければいけない点かもしれません。

賃貸管理会社は家主の下請け業者ではありませんし、自分が「お客様だ」という意識が強過ぎると相手にされなくなってしまいます。

客の要望を全て聞いていると社員がどんどん離職してしまうからです。

賃貸管理会社側としても、確かにお客様は大切ですが、それ以上に自社の社員を大切にしなければ、健全な業務ができなくなってしまうのです。

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大家としてどう振る舞うべきか

大家が管理会社に対して批判的な意見があがりますが、同じように、もしくはそれ以上に管理会社も大家の対応に頭を抱えています。

その上で、自分の振る舞いや考え方は本当に問題ないのかを常に考える必要があります。

  • 無茶な家賃設定を押し付けていないか?
  • 値引き交渉ばかりしていないか?
  • お金さえを払っていれば大丈夫だと思っていないか?
  • 入居者の目線になって快適に暮らして頂けるように考慮できているか?

などなど、いくら考え出しても足りないくらいです。
(勿論、対応に満足できない管理会社も一定数いるのは確かですが…)

ビジネスである以上、修繕費は少なく抑えたいですし家賃は維持したいです。

それでもただケチるのではなくてお金を掛けるべきところと節約すべきところを線引きすることが大家の力量です。

時には意見が割れることもあるかもしれませんが、人としての当たり前の振る舞いが出来ていればちゃんとした信頼関係は確立されますし、その先には長期的な成功があると思いました。

プロフィール

楽待新聞&不動産投資Libraryのコラムニストをしています。
普段、不動産投資家として考えていることや体験談などを掲載しています。
これから不動産投資を始めたい方や、賃貸経営初心者の方に対して、分かりやすい内容を心掛けています。

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