小規模な不動産経営の場合、青色申告は利用できないと思っている家主の方はいませんか?
不動産経営では青色申告が可能なのは事業的規模の経営にしている場合に限ると思い込んでいる方がいるようですが、実は小規模な不動産経営でも青色申告を利用することは可能です。
ここでは不動産大家にとって難解である確定申告の仕組みについて、関連のある用語を交えて一つ一つ丁寧に解説していきたいと思います。
確定申告の仕組みを知ろう
初心者大家の方が「確定申告」と言う言葉を耳にした時、このように思うのでは無いでしょうか?
そもそも確定申告って何?
白色申告と青色申告は何が違うの?
本当に確定申告しないといけないの?
もし、しなかったらペナルティや罰則はあるの?
不動産経営者になったばかりの大家にとって、確定申告はとても大きな壁になります。
今まで会社員だった人が初めて投資用マンションを購入した場合や、相続として何の前提知識の無いままに不動産大家となってしまった場合、「確定申告」とはとてもイメージしにくい言葉だと思います。
ですが、一度仕組みを知ってしまえば、その後は少しずつ理解を高めていけるはずです。
細部まで理解するのは税理士のような専門家でない限り、なかなか難しいですが、経営者として最低限知っておくべきことを理解することで、経営にとってもプラスに繋がります。
そもそも確定申告とは?
確定申告とは個人の1年間(1月1日から12月31日)の所得に対して、国に納付するための税金を計算して税務署に申告する手続きのことです。
また申告とあわせて計算した税金を収める必要があります。
確定申告の提出期限は所得が確定した翌年の2月16日から3月15日の間で、この間に作成した確定申告書と計算した税金(納付金額)を支払うことになります。
※コロナウイルスの影響により、2019年度分の確定申告に限り、申告期限が2020年の4月16日(木)までに延長されました。
給与所得者の課税方法
確定申告の仕組みはなんとなく理解できたかと思いますが、「何故、不動産経営者になった途端、確定申告が必要になるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、不動産経営者になり不動産所得を得るようになったら、ちゃんとその分を確定申告として申請しなければなりません。
会社員として会社から給与を支給されている場合は、その所得は「給与所得」と呼ばれます。給与所得者は月々の給与を受け取るタイミングで所得税や住民税などが予め差し引かれた(源泉徴収された)分の給与を受け取るため、確定申告は不要です。
もし、全ての給与所得者がそれぞれ所得税や住民税を計算し、確定申告をすることになれば税務署の担当者からすると、とてつもない業務量になってしまいます。つまり、給与所得者の場合は、各個人による申請が現実的に不可能になるため申告手続きが簡略化されている訳です。
確定申告の提出が必要な人は?
給与所得者の場合、月々の給与から源泉徴収され、また、年末に年末調整(所得税額と源泉徴収額の精算手続き)を行うことによって納税処理を完了させます。
ただし、例え給与所得者でも確定申告の提出が必要になるケースがあります。
具体的には以下のような場合が考えられます。
- 不動産所得や事業所得のように給与所得以外の所得があった場合
- 給与所得が年間2,000万円を超えている場合
- 給与所得以外の所得(副業所得)が年間20万円以上の場合
- 2ヶ所以上の会社などから給与を受け取っている場合
- 住宅ローン減税を受ける場合(1年目のみ確定申告が必要)
つまり、会社員でも会社員以外でも不動産所得や事業所得などの所得が年間20万円以上ある場合は必ず確定申告が必要になる訳です。
納めすぎた税金が戻ってくる還付申告
もし給与所得者のように既に税金を納めている人で、不動産所得などのその他の所得がマイナスになった場合は納めすぎた税金が還付金として戻ってきます。
このように還付金が戻ってくるような確定申告のことを還付申告と呼びます。
先程、確定申告は所得が確定した翌年の2月16日から3月15日の間に提出する必要があるとお伝えしましたが、還付申告の場合は確定申告の提出期限とは関係無く、所得が確定してから、5年間の間は提出することが可能です。
特に不動産投資を始めた1年目〜数年間の間は購入時の初期費用や減価償却費などの必要経費が多いため、不動産所得がマイナス収支となることが珍しくありません。
実際に計算してみないと正確な収支は分かりませんが、意外と焦る必要が無い可能性もあるので、もし2月16日から3月15日を過ぎてしまったとしても、落ち着いて手続きを進めましょう。
なお、コロナウイルスの影響により、2019年度分の確定申告に限り、申告期限が2020年の4月16日(木)までに延長されました。
- 所得税の確定申告期限
- 2020年3月16日(月)→2020年4月16日(木)に延長
- 消費税の確定申告期限
- 2020年3月31日(火)→2020年4月16日(木)に延長
※「青色申告申請書の提出期限」や「贈与税の申告期限」については、特に申告期限の延長は無く、2020年3月16日(月)のままです。
青色申告と白色申告の違いについて
実は確定申告は以下の3種類に分けられます。
- 白色申告
- 青色申告(最大65万円控除)
- 青色申告(最大10万円控除)
白色申告は青色申告と比べてとても簡易な確定申告になります。
青色申告には必要な書類が沢山あるのに対して、白色申告に必要となる書類は圧倒的に少なくて済みます。確定申告初心者の場合は白色申告を選択するのも良いかもしれませんが、できれば少し複雑ではありますが、青色申告を選択した方がいろいろと恩恵を受けることができます。
白色申告制度を利用する場合は承認申請書の提出は不要ですが、青色申告制度を利用する場合は青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります。ですが、青色申告承認申請書を提出したからと言って必ず青色申告で確定申告を行わないといけない訳ではありません。
青色申告承認申請書を提出して白色申告することもできますので、不動産の規模に関係無く青色申告承認申請書は必ず提出しておくようにしましょう。
青色申告承認申請書の提出期限は青色申告を行う年の3月15日までです。ただし、1月16日以降に事業を始めた場合は、事業を開始してから2ヶ月以内に提出するすれば問題ありません。ちなみに3月15日(または事業開始から2ヶ月以内)までに青色申告承認申請書できなかった場合は翌年の確定申告では青色申告を選択することはできませんが、その次の年には青色申告を提出できるように、気が付いたタイミングで青色申告承認申請書を提出することを強くオススメします。
開業届けも忘れずに提出しよう
個人事業主やフリーランスのように事業所得を得ている人は開業届けを提出するタイミングで併せて青色申告承認申請書を提出することが多いと思いますが、不動産経営を始めた人の場合は意外と開業届けや青色申告承認申請書を提出していないことも多いと思います。
青色申告を行う場合は青色申告承認申請書とあわせて開業届けも必要になるため必ず忘れないように気を付けましょう。
青色申告は何が良いの?
確定申告には白色申告と青色申告があります。なのに、わざわざ青色申告承認申請書を提出してまで青色申告を行う必要はあるのでしょうか?
そもそも青色申告制度とは?
青色申告制度とは納税者に正しい申告を行わせるため記帳習慣を確立させることを目的とする制度です。青色申告には次のような特典が認められています。
- 青色申告特別控除
- 青色事業専従者給与
- 各種引当金繰入
- 純損失の繰越控除または繰戻還付
青色申告特別控除とは不動産所得、事業所得または山林所得の金額から10万円または65万円が控除できる制度です。10万円の控除は青色申告者であれば誰でも適用されますが65万円の控除は一定の要件を満たしている必要があります。
小規模の経営でも青色申告制度は利用できる
「小規模な不動産経営の場合は青色申告制度を利用できない」と思っている方が結構いるようですが、実は事業規模に関係無く青色申告制度は利用することが可能です。
10万円控除の青色申告制度なら利用可能
ただし事業的規模の経営の場合は最大65万円控除の青色申告制度が利用できるのに対して、小規模な経営の場合は最大10万円控除の青色申告制度しか利用することができません。
不動産経営の事業的規模の目安は?
事業的規模の一般的な目安は「5棟10室」と言われています。同じ「5棟10室」でも収入規模はさまざまなので一概には言えないため、必ずしも「5棟10室」を満たしている必要はありません。
例えば区分マンションを8室しか保有していなくても1室の月間家賃が50万円であれば、8室の年間家賃収入は4,800万円になります。文句無しで立派な事業的規模ですよね。
- 50万円×12ヵ月×8室=4,800万円
逆に区分マンションを12室保有していても1室の月間家賃が2万円であれば、12室の年間家賃収入は288万円になります。これだと(数字上では)基準はクリアしていますが事業的規模とは言えません。
- 2万円×12ヵ月×12室=288万円
判断に迷った時は税務署に相談する
一概に保有物件数や年間家賃収入だけでは判断ができないケースも多いので、少しでも可能性があれば税務署に相談するべきです。
僕の場合はもっともっと小規模なので、残念ながらどう解釈しても事業的規模には到底及びません。ですが、それでも最大10万円までの控除を受けることができます。65万円と比べたら微々たる金額ですが、それでも控除額がゼロになるよりかは全然マシなので青色申告に挑戦することにしました。
青色申告承認申請書の記載について
青色申告承認申請書を提出する際、簿記方式を選択しなければいけません。
不動産経営が事業的規模の場合は、複式簿記で確定申告を提出することで、最大65万円の控除が適応されます。
一方、不動産経営が小規模であった場合は簡易簿記を選択し最大10万円の控除が適応されます。
勿論、複式簿記の方がお得なのですが、不動産経営の場合は事業的規模での経営と認められないと65万円控除は適応されません。
他にも備付帳簿名と言う項目があり青色申告のため備付ける帳簿を選択します。
かなり沢山あり最低限どれを選択すれば良いのか分からなかったので、電話で税務署に確認したところ以下の項目を選択(チェック)していれば問題無いとのことでした。
- 現金出納帳
- 経費帳
- 固定資産台帳
- 総勘定元帳
- 仕訳帳
それぞれの帳簿の役割は余り分かっていないのでこれから調べます。ただ選択したからと言って必ず用意しなければいけない訳では無いそうで、提出時に必要な資料が揃っていれば良いとのことでした。
提出先と提出方法は
提出先の税務署は原則として住所地の所轄税務署長なので、賃貸不動産の所在地の所轄税務署ではありません。
僕の場合は大阪市北区に物件を所有していますが、所在地が尼崎市(兵庫県)なので提出先も尼崎税務署市です。
また提出方法はいくつかあります。
最も一般的(?)なのは持参して直接手渡しする方法ですが、僕のように税務署の開庁時間(平日8:30~17:00)に持参するのが難しい場合は、郵送での提出の他、各税務署に備え付けられている時間外収受箱へ投函する方法でも良いです。
承認結果については青色申告承認所を提出した翌月末までに税務署より「あなたの青色申告は認めません」というような文書等が届かない限り問題無いそうで、これを「みなし承認」と言います。
僕はとても心配性で「控え」を手元に置いておきたかったため同じ書類を2部用意し、返信用封筒に切手を貼付して郵送しました。
こんなのPDFでできたら無駄な手間も出費も無くて良いのに…
帳簿の種類が多すぎていろいろ調べないといけませんが、とりあえずこれで来年(今年度分)以降、青色申告で確定申告できるはずです。
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