適応金利?基準金利?金利の仕組みを丁寧に解説します

融資戦略
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皆さんがマイホームを購入する場合、ほとんどの人が住宅ローンを組むはずですが、住宅ローンを組んで融資を受けると「金利」を支払う必要があります。

金利はとても大きな負担になります。

そして金利の仕組みはとても複雑です。

その理由としてこのようなことが考えられます。

  • ◯◯金利という言葉が多過ぎる
  • 沢山の専門用語が複雑に絡み合っている

今回は基準の決められる仕組みについて丁寧に解説してみました。最後までしっかり読んで頂くと、必ず理解できる内容になっているはずですので、是非、読んで頂ければと思います。

  • 金利の仕組みを正確に理解したい人
  • ローン返済についての考え方を理解したい人
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金利の仕組みを分かりやすく解説

僕たちがマイホームの購入後に支払う金利についてはさまざまな専門用語が出てきます。

専門用語が多過ぎて覚えるのが大変です。全て理解できなくても構いませんが、一通りの関連用語を整理してみます。

  • 適応金利の計算に関わる専門用語
    • 適応金利(実質金利または表示金利)
    • 基準金利(店頭表示金利)
    • 優遇金利
  • 適応金利に影響を与える専門用語
    • 長期プライムレート
    • 短期プライムレート(最優遇貸出金利)
    • 政策金利
    • 新発10年物国債の金利
  • 住宅ローンの返済プランに影響を与える専門用語
    • 変動金利、固定金利、固定金利選択型
  • 住宅ローンの返済方法に影響を与える専門用語
    • 元利均等返済、元金返答返済

住宅ローン融資を受けるということは、これらの数字の影響を受けるということになります。

金利の仕組みを理解する必要性は?

ですが、これだけ複雑であればこのように思う人も多いんじゃないでしょうか?

こんなに複雑であればわざわざ勉強して理解する必要無いんじゃないかな?

確かに平均すると住宅ローンを組むことなんて、一生のうち1回か2回程かもしれません。ですが、「金利」の定義が「適応金利なのか?」「基準金利なのか?」を正しく理解しておかなければ、間違った認識のまま比較することになり、その結果「安い金利で融資が組めた!」と喜んでいても、実際には高い金利が適応されてしまうかもしれません。

金利の種類を理解することは、各金融機関ごとの金利を正しく比較するために、とても重要になります。

金利を正しく評価するには?

金利とは数字です。ですが「◯◯金融機関の金利は1.5%」と聞いても、それだけでは情報不足です。例えば、次のような疑問が出てきます。

  • 変動金利なのか?それとも固定金利なのか?
    • この金利がローン返済期間中、ずっと続くのか?
    • 数年後、金利が上がってしまう可能性はあるのか?
  • 自分にも(誰にでも)この金利で適応されるのか?
    • 優遇金利の引き下げ幅の影響を受ける
  • この情報はいつまで有効なのか?

この辺りの解釈を間違えると、話が全然噛み合わなくなってきます。

この記事では主に、適応金利の計算とその基準となる(影響を与える)専門用語について解説します。

住宅ローンの返済に影響を与える専門用語については、是非、以下の記事を読んで頂ければと思います。

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適用金利と基準金利の違い

金利の話をしているとこのような言葉を耳にすることが良くあります。

最近は金利が安いからマイホームを買うには絶好のタイミングじゃないか?

住宅ローンの負担が家計を圧迫している。
金利はもっと安くならないだろうか?

ここで話している金利とは「適応金利」のことです。「適応金利」は「実質金利」や「表示金利」と呼ばれることもあります。

適用金利は以下の計算方法で算出されます。

  • 適用金利の計算方法
    • 基準金利(短期プライムレート+1%程)ー優遇金利(時期や個人属性に依存)

新たに「基準金利」と「優遇金利」という言葉が出てきましたね。

これらの専門用語について一つずつ解説してみます。

基準金利について

「基準金利」は「店頭表示金利」とも言われます。

基準金利は各金融機関が景気の動向をもとに独自に設定している金利です。

三菱UFJ銀行や三井住友銀行のような大手の金融機関では店頭表示金利とも呼ばれますが、最近はインターネットを利用したノンバンクなど、店舗を持たない金融機関も沢山あるため、基準金利と呼ばれることも多いです。

基準金利は以下の基準をもとにして各金融機関ごとに独自に算出されています。

  • 変動金利…短期プライムレート(プラス1%程)
  • 固定金利…新発10年物国債の金利

下の折れ線グラフからも分かるように、変動金利の基準金利は1995年頃から2%台を推移していて、2009年以降はずっと2.475%を維持しています。

つまり、金融機関によって多少ばらつきはあるものの、基準金利はここ10年近くほとんど下がっていないのです。

※画像はフラット35の民間金融機関の住宅ローン金利推移(金利変動等)からです。

住宅ローン:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】

その理由は、2009年以降、短期プライムレートがずっと1.475%を維持しているからです。

変動金利は短期プライムレートにプラス1%した金利(1.475%+1.0%=2.475%)です。

つまり、基本的には短期プライムレート(1.475%)が変わらなければ、連動する基準金利(2.475%)も変わりません。

日本銀行は全ての金融機関の情報をもとに以下の3種類のプライムレートを好評しています。

  • 最頻値
    • 最も多くの銀行が採用したプライムレート
  • 最低値
    • 最も低いプライムレート
  • 最高値
    • 最も高いプライムレート

三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のようなメガバンクも全て、2009年1月より短期プライムレートはずっと最低値である1.475%のままです。(2019年3月31日時点の情報)

※短期プライムレートと新発10年物国債の金利については、後ほど丁寧にご説明します。

短期プライムレートは2009年以降ずっと1.475%を推移しています。
変動金利の基準金利は2009年以降ずっと2.475%を推移しています。

優遇金利について

優遇金利は基準金利から割引き(優遇される)金利のことで、ここ数年増加傾向になっています。

基準金利と同じように優遇金利についても各金融機関ごとに決められる金利ですが、契約のタイミングで金利が確定してしまいます。そのため、その後、世の中の景気動向などにより金利が下がっていったとしても、優遇金利はずっと同じ金利のまま推移することになります。

基準金利に比べ、優遇金利の方が金融機関ごとに違いが明確になります。その理由は金融機関ごとの戦略にもとずく差別化や今後の景気動向をどのように評価しているかによって考え方が大きく違ってくるからです。

個人の属性も重要な基準となる

住宅ローンは短期プライムレートの金利が基準として変動する訳ですが、上記でも述べた通りプライムレートとは優良企業に対して融資する際に適応される最も優遇された最優遇金利です。

なので一般の個人が金融機関から融資を受ける場合はプライムレートの金利で融資を受けられる訳では無く、プライムレートから個人の属性や信用度に応じて若干プラスアルファされた金利が適応されることになります。

金融機関によって評価基準はさまざまですが、属性や信用度には主に以下のようなものが含まれます。

  • 職業および勤続年数
  • 年収
  • 年齢
  • 対象の融資を受ける前の借入金の総額
  • 物件自体の収益性
  • これまでの投資実績

マイホームを購入する場合は、個人の属性や借入金などが融資の基準になりますが、投資用マンションローンの場合は、物件自体の収益性や投資家としてのこれまでの実績などが大きく影響するそうです。

他にも評価基準があるかもしれませんが、これらの情報を元に金融機関が個人ごとに金利条件を設定することになるため、安い金利でお金を借りれる場合もあれば高い金利でしかお金を借りられなかったり、そもそも融資自体を断られてしまう場合もあります。

適用金利について

「適応金利」は「実質金利」や「表示金利」とも呼ばれます。

先程、お伝えした通り、基準金利から優遇金利を差し引いた金利であり、月々の返済額や返済総額を左右する一番重要な金利でもあります。

  • 適用金利の計算方法
    • 基準金利(短期プライムレート+1%程)ー優遇金利(時期や個人属性に依存)

繰り返しになりますが、基準金利は2009年以降、長期間ずっと下がっていないです。

つまり、ここ最近の「低い適応金利」には「優遇金利」の増減が大きく影響していると言えます。

たまにこの「適応金利」のことを「優遇金利」と表現されていることがあります。適応金利は「優遇された後の金利」であって「優遇される金利」では無いので、混乱しないように注意が必要です。

変動金利なのに金利は下がっていない?

変動金利は世の中の景気動向によって金利が上がったり、下がったりする仕組みです。

ですが、先程もご説明した通り、ここ20年程は基準金利は余り変動していません。また、優遇金利は契約時に確定してしまい、その後、変動することはありません。

つまり、誤解されている方もいるかもしれませんが、このままの推移で基準金利が維持されることになれば、せっかく変動金利であるにも関わらず、適用金利が下がることはありません。

現在、住宅ローンが史上最低金利と言われているのは優遇金利の拡大が大きく影響しています。そのため、この史上最低金利の恩恵を受けるためには優遇金利が高くなるタイミングで借り換えをする必要がある訳です。

※画像はプレジデントオンラインの「住宅ローンの借り換えで得するのは今だけ」からです。

住宅ローンの借り換えで得するのは今だけ 16年2月以前の500万人にチャンス
確実に資産を増やす方法はあるのでしょうか。「プレジデント」(2018年1月15日号)では、10人の識者に「知っておきたいお金のキーワード」について聞きました。第3回のテーマは「住宅ローン金利」です――。(全10回)
変動金利でも基準金利が変わらない限り適用金利は下がりません。
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プライムレートと金利の関係

金利の基準を決める上で大きなポイントになるのがプライムレートです。

プライムレートとは銀行などの金融機関が一部上場企業のような優良企業に対して融資する際に最も優遇された最優遇金利のことです。プライムレートは以下の2つに分けられます。

  • 長期プライムレート
  • 短期プライムレート

長期プライムレート

長期プライムレートは金融機関が優良企業に長期(1年以上)の融資を行う場合の最低金利です。長期プライムレートは日本の国債市場の影響を受けて変動します。

なお住宅金融支援機構が提供している「フラット35」などの固定金利は長期プライムレートを基準として設定されています。

短期プライムレート(最優遇貸出金利)

一方の短期プライムレートは短期(1年未満)の融資を行う場合の最低金利です。短期金融市場の取引をベースに独自に決められているため、金融機関ごとに若干の差があります。

民間の住宅ローンの算出方法は短期プライムレートに加え融資を受ける個人の属性などが基準となります。住宅ローンを借りる際に使われる「金利」と言う言葉は、一般的に「適用金利」のことを意味します。

  • 適用金利の計算方法
    • 基準金利(短期プライムレート+1%程)ー優遇金利(時期や個人属性に依存)

政策金利は銀行をお金を借りる金利

政策金利は日本銀行(中央銀行)が一般の金融機関に対して貸し付ける金利です。

仮に日本銀行が一般の金融機関に対して1.0%の金利でお金を貸し付けた場合、お金を借りた側の金融機関は1.0%以上の金利でお金を貸す必要があります。そうしなければ金融機関側が損してしまいます。

景気が悪い時は貸し付け金利を下げることで個人や各企業に対しての設備投資などを促し、景気を回復させます。一方、景気が良い時は、金利を上げることで過度な景気上昇を抑えています。

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家計の負担を減らすには?

住宅ローンの金利は家計の負担を大きく左右します。

まずは負担額の大きさを認識する

数字だけで考えると数%の話なので、大したこと無いように思うかもしれませんが、30年〜35年と長期間の住宅ローンを組むことを考えると、金利負担が返済総額に与える影響は想像以上に大きいものです。

まずはどれくらいの負担があるのかを認識することが第一歩になります。

負担額の大きさを認識した上で、どのような選択肢が適切かを考えれば良いと思います。

例えば、住宅ローンの組むタイミング、もしくは組んだ後で住宅ローンの負担を抑える方法には以下のようなものが挙げられます。

  • 住宅ローンを組むタイミング
    • 変動金利を選択する
  • 住宅ローンを組んだ後のタイミング
    • 住宅ローンの繰り上げ返済
    • 住宅ローンの借り換え

それぞれの特徴についてもう少し詳しく説明します。

変動金利と固定金利

住宅ローンの返済プランには主に以下の3種類に分かれます。

  • 変動金利型
  • 固定金利型
  • 固定金利選択型

金利を少しでも低くするには「変動金利」を選択するべきですが、変動金利は一定期間ごとに金利が変動する仕組みなので、将来、金利が上昇してしまうリスクも考えられます。

なお、金利の仕組みや違いについてはこちらの記事で詳しく説明しています。

住宅ローンの繰り上げ返済

住宅ローンを組んだ後にも返済総額を抑える仕組みがあります。

特に、住宅ローンの繰り上げ返済を活用すれば返済総額を大幅に抑えることが可能です。

勿論、無理し過ぎて家計を圧迫してしまっては本末転倒ですが、計画的な繰り上げ返済を進めることができれば、長期的にはとても大きな経済効果が期待できます。

住宅ローンの借り換え

返済総額を抑えるため、繰り上げ返済とあわせて検討したいのが住宅ローンの借り換えです。

繰り上げ返済の場合、ほぼ間違い無く返済総額の削減が見込めますが、住宅ローンの借り換えの場合にはいくつかの注意点を考慮しなければ、条件によっては逆効果になってしまう可能性もあります。

また、融資先の金融機関を変更することになるため、必要となる手続きも繰り上げ返済と比べると、少し複雑になってしまいます。

無理の無い範囲で対応しよう

返済総額を減らす仕組みは沢山ありますが、それぞれにデメリットも存在します。

  • 変動金利を選択する
    • 金利変動のリスクを受けることになる
  • 繰り上げ返済を利用する
    • 無理をし過ぎると生活費が圧迫させてしまう
    • その他の投資への機会損失になる恐れがある
  • 借り換えをする
    • 条件次第では逆効果になってしまう
    • 現在の金融機関との関係性が悪化する可能性がある

僕個人的には全て有効な方法だと考えていますが、どの選択肢も少なからず不安やストレスの掛かる取り組みです。

この辺りは個人ごとに意見が分かれるので、総合的に考えて「自分にとってどの選択肢が幸せになるれるか?」を考えれば良いと思います。

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