皆さんは「TIBOR連動金利」という言葉を聞いたことはありますか?
賃貸経営をする場合、金融機関から融資を受けて物件を購入します。
変動金利や固定金利など金利の種類を悩むかもしれませんが、同じような金利の種類に「TIBOR連動金利」と呼ばれるものがあります。
- TIBOR連動金利について知りたい人
- 大規模な賃貸経営をしていて金利を低く抑えたい大口の投資家・企業
TIBOR連動金利について
TIBORはTokyo Inter Bank Offered Rateの略称で東京銀行間取引金利とも呼ばれます。
カタカナでタイボーと呼ばれることもありますね。
TIBORは金融機関の間でやりとりされる取引金利です。
もう少し具体的に説明すると「手元資金に余裕のある銀行から資金が不足している銀行に対して貸し出しする際に採用される金利」のことです。余剰資金を銀行間で有効に運用する手段であることもあり、極めて低めに設定された金利です。
同じような用語としてLIBORというのもあり、London Inter Bank Offered Rateの略称でロンドン銀行間取引金利のことのようです。
TIBOR連動金利の簡単な概要は以下の通りです。
- 一般社団法人全銀協(全国銀行協会)TIBOR運営機関が算出している
- 「日本円TIBOR」と「ユーロ円TIBOR」が存在する
- 日本円TIBOR…1995年11月より本邦無担保コール市場の実勢を反映
- ユーロ円TIBOR…1998年3月より本邦オフショア市場の円取引を反映
- 毎営業日の日本時間午前11時時点の市場実勢レートを算出
- 1週間物、1ヶ月物、3ヶ月物、6ヶ月物、12ヶ月物の5種類
- 「日本円TIBOR」と「ユーロ円TIBOR」ごとに有力銀行を選定
- 日本円TIBOR…15の有力銀行を選定
- ユーロ円TIBOR…14の有力銀行を選定
- 有力銀行うち上位2行と下位2行の値を除外して平均値を算出
- 各情報提供会社を通じて情報を公表している
より、詳しい情報は「全銀協TIBOR運営機関の公式サイト」にも掲載されています。
本邦無担保コール市場と本邦オフショア市場
コール市場とは民間の金融機関同士が短期的な資金の過不足を調整するための市場です。コール取引には以下の2種類があります。
- 有担保取引
- 無担保取引
一方、本邦オフショア市場とは国内の金融市場とは別に、規制や税制面などで優遇された内外遮断型の国際金融市場のことです。
リファレンスバンク一覧
日本円TIBOR、ユーロ円TIBOR、それぞれに対して選定された有力銀行から呈示されたレート結果をもとに全銀協TIBOR運営機関が連動金利を算出しているのですが、この有力銀行のことをリファレンスバンクと呼びます。
現時点でのリファレンス一覧は以下の通りです。
- 日本円TIBOR(15金融機関)のリファレンスバンク
- みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、横浜銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、新生銀行、あおぞら銀行、ビー・エヌ・ピー・パリバ銀行、信金中央金庫、商工組合中央金庫、農林中央金庫
- ユーロ円TIBOR(14金融機関)のリファレンスバンク
- みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、横浜銀行、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、ジェー・ピー・モルガン・チェース・バンク・ナショナル・アソシエーション、ドイツ銀行、ビー・エヌ・ピー・パリバ銀行、信金中央金庫、商工組合中央金庫、農林中央金庫
情報提供会社一覧
全銀協TIBOR運営機関によって算出された連動金利は各情報提供会社より公開されます。
現時点での情報提供会社は以下の通りです。
- リフィニティブ・ジャパン株式会社
- QUICK MONY
- 株式会社時事通信社
- ブルームバーグ・ファイナンス・エル・ピー
- 株式会社野村総合研究所
TIBOR連動とスプレッド融資
金融機関からの貸出金利の種類は大きく2種類に分かれます。
- プライムレード
- 短期プライムレート、長期プライムレートを基準として算出された貸出金利
- スプレッド融資
- 金融機関の資金調達コストに利鞘を加えた貸出金利
なお、変動金利や固定金利はプライムレートをもとに算出されます。プライムレートと適応金利の関係性についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
一方、スプレッド金利は、先程、ご説明した「TIBOR連動金利」を基準に算出されます。
スプレッド金利の具体的な計算方法は以下の通りです。
- 融資金利=TIBOR連動金利(基準金利)+スプレッド金利(利鞘)
スプレッド金利の特徴
スプレット金利の主な特徴は以下の通りです。
- 融資額が1億円を超えるような信用力の高い優良企業や大口の顧客にしか適応されにくい
- 固定金利や変動金利などと比べても金利が低い傾向になる
- 0.2%〜0.5%程の金利で融資を受けられる場合もある
- 借入期間は1年までの短期融資になる
- TIBOR連動金利が最長で12ヶ月であるため
融資を受ける条件や短期融資であるため、利用できる場面は限られそうです。
ですが、スプレッド融資の提案を受けることは「金融機関側としても今後も融資を拡大したい会社」として認められたという意味にもなります。
とても名誉なことなんですね。
もし、TIBOR連動金利を利用することができれば、キャッシュフローの面でも安定した賃貸経営ができそうです。
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