元利均等返済と元金均等返済の違いとリスクについて

融資戦略
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住宅ローンの返済方法には「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。

基本的には「元利均等返済」が選択されますが、実は「元金均等返済」の方が、返済総額は少なくなります。

  • 元利均等返済と元金均等返済の違いを知りたい人
  • 金利の仕組みを理解したい人
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元利均等返済と元金均等返済

住宅ローンの返済に影響を与える専門用語は大きく分けて2種類あります。

  • 住宅ローンの返済プランに影響を与える専門用語
    • 変動金利、固定金利、固定金利選択型
  • 住宅ローンの返済方法に影響を与える専門用語
    • 元利均等返済、元金返答返済

住居用物件でも投資用物件でも住宅ローンを返済する場合は「元利均等返済」「元金返答返済」の2つのパターンから返済方法を選択することになります。

なお、変動金利および固定金利の違いについてはこちらの記事で、詳しく説明しています。

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元利均等返済の特徴

元利均等返済はローン残高に対して月々返済額に占める元金と利息の比率が一定です。

返済額(現金と利息の合計)が均等になり一定期間(金利が同じ間)返済額が変わらないです。

なので、月々返済額においてはローン残高が大きい返済開始当初が最も高い利息を支払い、ローン残高が減るにつれて徐々に支払う利息の額が減る仕組みです。

元利均等返済のリスク

まず、元利均等返済の仕組みを理解する前に、変動金利型のポイントに触れてみたいと思います。

  • 半年ごとに金利が見直される
  • 返済額は5年間一定
  • 返済額の上限は1.25倍以上は上昇しない

ここで注意が必要なのは「返済額は5年間変わらないにも関わらず返済金利は半年ごとに変動する」ということです。

変動金利の場合でも「仮に5年後に金利が上昇したとしても返済額が上昇するのは1.25倍までだから安心だ」と考えられるかもしれませんが、厳密には少し違います。

ここで理解しておかないといけないのは「市場金利の上昇により本来支払わなければならない利息分を金利上昇率の上限設定(調整処置)により抑えている」ことです。

つまり、市場金利上昇により本来支払うべき利子部分と実際に支払う利子部分に差額が発生し、その差額を先延ばしにしていることになります。

さらに、継続的に金利上昇が続いた場合、支払わなければいけない利息金額だけでが返済額を上回る未払利息の危険性もあります。

変動金利である以上、金利上昇により返済総額が増えるリスクは発生するのは当然のことです。だけど、金利が上がっているにも関わらず元利均等返済の調整処置(1.25倍の上限)により、返済額が抑えられるのであれば、元金部分の返済がどんどん後回しになり、返済総額が増えるリスクが加わります。

調整処置による上限額の設定は安定して返済する上では心強いですが、その分、返済総額に圧し掛かってきては少し微妙な気もします。

勿論、変動金利である以上、ローンを組んだタイミングで返済総額がいくらになるのかは分かりませんが、金利やローン残高については定期的にチェックし、必要に応じて繰上げ返済など返済計画を見直すことは大切です。

基本的には元利金等返済が採用される

融資を受ける際、元利均等返済と元金均等返済については、ほとんど意識することは無いと思いますが、基本的には、ほぼ全ての人が毎月の返済額が一定額である元利均等返済を選択しているはずです。

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元金均等返済の特徴

一方、元金均等返済はローン残高に関わらず毎月同じ元金を返済します。

元金均等返済はローン残高の大きい返済開始当初の返済負担が重たくなってしまいます。

当初は元金残高が多いため、元利均等返済よりかなり高額な返済額となりますが、元金残高の減少に伴い徐々に返済額も減っていきます。

ちなみに、実は余り知られていないのですが、ローン返済額だけを比べた場合、元利均等返済よりも元金均等返済の方が返済総額は少なくなります。

また、元金均等返済の場合は、金利上昇に伴い返済額は増えますが、必ず決まった元金を返済するため、元利均等返済と変動金利による「返済額先延ばしのリスク」は発生しません。

返済当初の負担は大きいものの、実は元利均等返済よりリスクの小さい選択だと言えます。

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返済総額を減らすためには

ローンの返済は「元利均等返済」では無く、あえて「元金均等返済」を選択することで、返済総額を抑えることができますが、返済当初の負担が大きく、少し現実的ではありません。

それではローン返済開始後、返済総額を抑える取り組みにはどのような方法があるでしょうか。

繰り上げ返済による早期返済を

元金均等返済は元利均等返済と比べ当初の返済額の負担が大きくなります。

なので、元利均等返済を選択したとしても、その差額をもとに繰上げ返済を活用することで返済総額を抑えることが可能です。

勿論、最初から元金均等返済を選択しておけば、その方がより返済総額を抑えられますが、返済当初の負担額が大きくなってしまいます。

もし融資を受ける時期に資金に余裕がある場合は元金均等返済を選択するくらいであれば、少しでも頭金を増やり、借入額を抑えた方が効果的です。

繰り上げ返済をすると返済額やその他の条件によって手数料が発生するのが一般的です。手数料の負担額も考慮した上で「どのタイミングで繰り上げ返済するのが一番効果的か?」を考える必要があります。

住宅ローンの借り換えで金利を安くする

時期によっては、住宅ローンを借り換えることで金利を安くすることが可能です。

もし、住宅ローンの借り換えを検討する際は、一般的に以下のポイントを満たしているべきだと言われます。

  1. 現在の残高が500万以上
  2. 残存期間が10年以上
  3. 金利の低下が1%以上

もし安い金利の金融機関に借り換えができたとしても、借り換え時のタイミングによっては、借り換えに掛かる手数料などで逆にお金が掛かってしまう可能性も考えられます。

住宅ローンの借り換えを検討する時は「本当に返済総額が安くなるのか?」を慎重に判断する必要があります。また借り換える前に、現在の金融機関に金利交渉してみるのも有効です。

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大きな節約効果が期待できる

ここまでご説明してきた通り、住宅ローンの月々の返済額や返済総額を抑えるポイントは以外と沢山あります。

  • 頭金を増やして借入額を抑える
  • 変動金利を選択する
    • 金利変動のリスクは存在するが金利は抑えられる
  • 元金均等返済を選択する
    • 返済当初の負担は大きくなるが返済総額は抑えられる
  • 繰り上げ返済を活用して早期返済を目指す
  • 借り換えをおこない借入金利を抑える

日々の努力で生活費を抑えることも必要ですが、住宅ローンのような固定費については、少し工夫した「仕組み作り」をすることで生活費を大きく削減することができます。

考慮する点も多く、面倒に思えるかもしれませんが、効果は絶大なので、是非、積極的に検討してもらえたらと思います。

プロフィール

楽待新聞&不動産投資Libraryのコラムニストをしています。
普段、不動産投資家として考えていることや体験談などを掲載しています。
これから不動産投資を始めたい方や、賃貸経営初心者の方に対して、分かりやすい内容を心掛けています。

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