不動産投資の話しをする時、最も良く使われる指数の一つに利回りがあります。
ただしそれでも「利回りにこだわり過ぎるな」だったり「利回りの高さだけで物件を選ぶと危険だ」などと言われます。
利回りを信用し過ぎると何が良くないのか?
利回りと一言で言ってもその種類はさまざまです。利回りには一般的に以下のようなものがあります。
- 表面利回り(グロス利回り)
- 実質利回り(ネット利回り、またはNOI利回り)
- 真の利回り(FCR)
- 自己資本配当率(CCR)
表面利回りや実質利回りは投資物件を評価するための重要な判断基準の一つですが、利回りだけを優先するとさまざまな懸念点があります。例えば以下のようなことが考えられます。
- 空率リスクが考慮されていないため想定通りの家賃収入を得られない
- 修繕計画が不十分であったために想定以上に経費が掛かってしまう
- 近隣の競合物件との家賃相場の兼ね合いで値下げしざるをえなくなる
これらは全て購入時の不注意や見通しが甘かったことが原因だと言えます。
勿論、長期的に詳細のことを予測するのは難しい部分もありますが、物件購入前の調査をしっかりとしていたら未然に防ぐことも十分に可能です。
利回りの種類や仕組みについては以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

販売会社が利回りを高く見せる仕組み
ただし、中にはもう少し悪質な利回り操作も存在します。
それは販売会社によっておこなわれる利回りを高く見せる偽装行為です。
例えば、1,000万円の物件に対して、家賃が6万円程しか見込める場合、表面利回りは7.2%になります。
- 6万円×12ヶ月÷1,000万円=7.2%
一方、同じ物件でも販売会社が家賃見込みを8万円として計算した場合、利回りは9.6%として宣伝することが出来ます。
- 8万円×12ヶ月÷1,000万円=9.6%
具体的には、最初の半年~1,2年程の間は、入居人から実際に頂く(募集額)である家賃6万円に販売会社が2万円上乗せして、まるで8万円の家賃収入があるように細工します。
その後、老朽化などを理由に入居の需要が減ってくると「家賃を6万円程にまで下げないと入居者を探すのは難しい」と言うふうに家賃設定を6万円に下げると言う手法です。
物件の販売価格と入居率の関係性
投資用物件の販売価格は想定される賃料によって大きく影響を受けます。
高い賃料が期待できる物件であれば、その分、物件の販売価格を高くしても同じように利回りも高くなります。
同じように販売時の入居率もやはり販売価格に大きな影響を与えます。
なので物件のポテンシャルは見込める場合でも、現状の入居率が低いような物件は、その分、販売価格を抑えられるため意外と狙い目かもしれません。
地域の家賃相場を把握することが大切
勿論、このようなやり方は、かなり悪質な方法ですが、実際に少なからずこのような業者もいるそうです。
なので、販売会社の主張する利回りについて疑問があれば、その地域の家賃相場を少し把握することで、ある程度、設定利回りに妥当性が無いことを見破れるはずです。
例えば、その地域で同じ水準の物件が6万円程で賃貸募集されているのに、その物件だけ8万円〜9万円で家賃が設定されているのであれば、明らかに信憑性の低い設定だということが分かります。物件の価値や設備の品質などを理由に賃料の高さの正当性を主張されるかもしれませんが、特にワンルームマンションのような一般的な投資用物件の場合は築年数が同じであれば中身はどれも似たような造りになるはずです。
販売会社からの情報はちゃんと疑うことが必要
勿論、冒頭で書いたような「空室リスク」や「修繕計画」などの問題もあります。
しかし、それ以前にこのようなインチキで悪質な方法に引っかかってしまっていては、その不動産投資は必ず失敗に終わります。
物件を紹介された時に期待出来る利回りが気になる気持ちは分かりますが、言われた数字をそのまま鵜呑みにするのでは無く、もう一歩踏み込んでその数字の妥当性を考える(疑う)クセが付けておくことも、良い物件選びをする上でとても大切な力になると思います。
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