心理的側面から考える不動産売却時の注意点

購入後の物件をどのように売却するかはその後の生活を快適に送るための大きなポイントになります。

高く売却することができればその分生活を豊かにすることができますし、次に購入する物件の予算を上がられるかもしれません。

また、不動産投資の場合はその物件を売却することで一定の投資結果が確定するため、どのような条件(売却金額や売却タイミングなど)で売却できたかによって「その投資が成功だったのか失敗だったのか?」を判断することになります。

買い手側の気持ちになることが大切

所有物件を売却する際、少しでも高い価格で売却したいと考えるのは当然のことです。ですが売却する人がいればその物件を購入する人(一般消費者や不動産販売会社など)が存在する訳です。

なので自分の希望する販売価格だけを主張するのでは無く、どのように歩み寄れば双方にとって良い売買に結び付けられるかを考えなければいけません。

新築プレミアムを引きずってはいけない

仮に購入した物件が新築物件だった場合、中古物件に比べてやや割高な価格設定になっているはずです。

販売価格が高くなってしまう理由は広告費や宣伝費、不動産販売会社側の利益分などが中古物件以上に上乗せされているからなのです。

ただ、いくら購入時に新築物件だったとしても数年後、数十年後に売却する時には当然ながら中古物件として取り扱われるため、物件価格の下げ幅を受け入れらない気持ちになるかもしれません。

また、これから物件を購入しようと考える側の心理としても「割高な新築物件を購入するか?比較的割安な中古物件を購入するか?」を検討する訳ですが、購入者側の新築物件へのプレミアム感を考慮すると、かなり割安で無い限り自身の所有している中古物件を選んでもらうことは難しいかもしれません。

新築物件の価格体系については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

マンション価格の高騰と割安マンションの見極め方
ここ最近、新築マンションの販売価格の推移が上がり続けています。 主な理由は「東日本大震災の復興需要」と「東京オリンピックの開催決定」に...

保有効果にとらわれないように注意する

実際に所有しているモノを、それを持っていない場合よりも高く評価してしまうことを「保有効果」と言います。

不動産の場合、長い期間保有し続けていた大切な物件であるため、それなりに愛着が生まれてしまいます。

投資用の物件ならそれ程でも無いかもしれませんが、住居用で購入した物件であれば今まで長年生活をしてきた思い出などもたくさん詰まっているはずなので、どうしても高い価値(価格)を付けてしまいます。

つまり同じ物件であるにも関わらず、保有しているかしていないかによってその物件に対する評価が変わってしまう訳なんですね。

ですが、それは買い手側からすればどうでも良いことです。つまり、その物件に買う価値があるのか無いのかをシビアに判断されることになります。

売り手側からすれば大切な物件なのは分かりますが、市場に出ると当然ながら客観的な評価を受けることになります。なので、余り独り善がりならないように冷静な価格設定をする必要があります。

問い合わせがあるからと言って安心はできない

物件を売却する時でも、賃貸用物件として情報を公開する時でも同じですが、購入希望者(または入居希望者)からの問い合わせや内覧の希望があるからと言って「設定金額が妥当である」と安心するのは軽率です。

何度も問い合わせや内覧の希望があるにも関わらず、それ以上の進展が全然無い場合は「他の契約できる可能性が高い物件をより相対的に安くみせるための回し物件(見せ玉)」として不動産業者に利用されているだけなのかもしれません。

購入希望者(または入居希望者)が現れない場合は「価格なのか?」「設備なのか?」「公開情報なのか?」など、どこに原因があるのかを分析し、それにあった適切な対処が必要となります。

実は「回し物件」にされているかも…内見があるのに空室が埋まらないその原因は?
1不動産業界には「回し物件」と呼ばれる物件があります。回し物件とは営業が入居付けしたい本命の物件をより良く見せるため悪い比較対象として利用される物件の事です。一度回し物件として扱われたら中々入居者の獲得も難しくなってしまうのでそうならないように注意が必要です。

類似物件として埋もれてしまわないために

不動産市場には常に沢山の物件が出回ります。

新築物件であれば候補となる物件は数件程度かもしれませんが、中古物件になると新築物件よりも数が多いため、いかに競合となる類似物件を抑えて契約まで結びつけるかがポイントとなります。

物件情報が掲載され続けることのデメリット

物件を売却する(または貸し出す)側の感覚として「最初はとりあえず高めに価格を設定して、もし買い手(または借り手)が見つからなかった場合は少しずつ価格を下げていけば良いのではないか?」と考えるかもしれません。

物件を高く売却する(貸し出す)ためには合理的な考え方のようにも見えますが、実は必ずしもそうとは限りません。

実はインターネットに掲載される情報には「鮮度」があります。

購入希望者の心理として長い間、同じ物件が掲載され続けていると「この物件はいつまで経っても売れない売れ残り物件では無いのか?」と考えます。つまり徐々に鮮度が落ちてしまう訳です。

もし売り主側が売れない事態を打開するために販売価格を下げたとしても、今度は「この物件は長い間情報が掲載されているけど少しずつ値段が下がっているから、もう少し待てばまた下がるかもしれないな」と考えてしまうかもしれません。

また、そんな中、同じような条件の物件情報がもう少し安い値段で公開されると、どうしてもそっちに興味を持っていかれてしまいますし、もしその類似物件や部屋違いの同じ物件が安い値段で売れてしまうと、競合である自分の所有物件も自然とその価格相場に巻き込まれていくことになります。

値引き交渉を想定した高価格設定は逆効果?

買い手側(または貸し手側)の同じような心理として「購入したい(部屋を借りたい)と問い合わせがあってから交渉に応じれば良いのでは無いか?」と考えることもあるかと思いますが、こちらも必ずしも正しいとは言えません。

購入希望者(入居希望者)の心理としてはまずは自分の希望する条件に近い物件を絞り込みそこから値引き交渉を検討します。
※もともと論外の物件に対して値引き交渉をしたいとは思わないはずですよね?

つまり最初から候補対象としてそれなりに上位で選ばれなければ問い合わせ(値引き交渉)すらしてもらいないため結果的に機会損失に繋がります。

一般的に購入を検討する場合、購入希望者としては候補となる物件を3つ程に絞る傾向があります。なので対象エリアの競合物件の情報を把握し、少なくともTOP3を狙えるような条件で情報を掲載できると成約に結びつく可能性は大きくなると言えます。

勿論、強気な価格設定でも成約に結びつくこともありますが、それはその物件の希少性やポテンシャルが高かったからかもしれませんし、たまたまタイミングや運が良かっただけなのかもしれません。

結局は結果論となるためどちらが正しいとは言い切れませんが、闇雲に高い価格を設定することが必ずしも利益に結びつくとは限らないのです。

売り出し情報の鮮度は半年経過を目処に落ちていく

物件を売却する際は情報を公開し始めて半年が経過した頃から影響が大きくなると言われます。なので販売期間は3ヶ月以内を一つの目安として長くとも半年程で売却できるようなスケジュール感が良いと思います。

また賃貸契約の場合は当然ですがもっと期間が短くなります。

空室が続くということは(本来得られるはずの家賃収入が得られない訳なので)結果的に、その間、赤字を垂れ流すことを意味します。

必要以上に安くすることはありませんが、一日でも早く空室が埋まるようによりスピード感を持った対応が必要になります。

売却時には思い切った決断も必要になる

もし不動産の情報を公開し、すぐに購入希望者(または入居希望者)が現れた場合、心理的に「価格設定が安すぎたのかな?もう少し高くでも成約できるのではないか?」と考えてしまい、このままの条件で成約するのが勿体無い気持ちになるものです。

仮に値引き交渉などを受けた場合も「もう少し待っていればより良い条件での成約が期待できそうなので値引き交渉に応じるのは損だ」と考えるかもしれません。

ですが、先程ご説明した「情報の鮮度」のことを考えると必ずしもそうとは言い切れないということが分かります。

ここで変に欲張って「もう少し良い条件でも成約できるはずだ」と考えるとたちまち「その他多数の類似物件」のカテゴリーに含められてしまい「情報の鮮度」はどんどん落ちてしまうかもしれません。

確かに設定価格が安過ぎたから問い合わせを頂けたのかもしれませんが、目の前にいるお客様(購入希望者、または入居希望者)を断ることが本当に正しいかどうかは今一度考えなければいけません。

冒頭でも触れた通り不動産経営の場合、「物件を売却すること」は「一定の成果を確定させること」を意味します。

「もう少し高い金額でも売れたのではないか?」と考えると切りがありませんが、時には覚悟を決めて決断をする方がかえって良い成果に結びつくことも珍しいことでは無いはずです。

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人の心理的側面を理解する

普段、モノを買ったり売ったりする時は「これはコストパフォーマンスは良いのか?」だったり「この値段で売ると採算が取れるのか?」と割と論理的に考えるかと思います。

また仮に多少判断を誤ってしまっても金額自体がそれ程大きくなければ大した問題ではありません。

一方、不動産のような高額な売買については金額が高過ぎることもあり中々論理的に考えることが難しく感情や勢いで判断してしまう人も意外と多いです。

以下の書籍では心理学をもとに不動産に向き合う際の人間の心理を説明しています。

また売却時だけでは無く、購入時についても細かなデータをもとに分かりやすく解説しています。

不動産経営だけでなくマイホームを購入する際にもとても参考になる情報が沢山載っているので、これから不動産の売買を検討する方にとっては参考になると思います。

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