液状化現象の仕組みと被害に遭わないための備えについて

老朽化対策
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みなさんは液状化という言葉を聞いたことはありますか?

言葉だけではイメージしにくいかもしれませんが賃貸経営や老朽化リスクを考える上で液状化現象はとても大きなポイントの一つです。

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軽視してはいけない液状化のリスクとは?

投資用物件を購入する際にはさまざまなことを想定して購入判断を行います。

一般的な検討事項としては以下のようなものがあります。

  • 利回りや返済計画などの資金計画
  • 物件(室内や共有部分)の設備や品質
  • 利便性や安全性などの立地面

どれも大切な項目ですが、立地の問題は一度購入すると改善することができないので、慎重に検討する必要があり、その中でも液状化に対する事前調査は大きなポイントの一つです。

液状化は事前調査をすることで発生リスクを軽減できます。

液状化とはどんな現象か?

液状化とは地震などの強い揺れや大雨などにより、地盤内で砂と砂のすき間の水分を押し出され、バランスが崩れてしまう事です。

その結果、建物などが埋もれたり傾いたりし、その反動で下水管やマンホールなどが逆に浮き上がってくる場合もあります。

また、建物自体に問題が無くても、ガス・水道等のインフラ設備に影響が出る事があります。

区分所有のような小規模経営でも、液状化を無視できる訳ではありませんが、一棟物件のように一つの土地の上に多額の資産を投入する場合は、液状化によって、一気に全ての資産を失ってしまうかもしれません。

液状化が発生すると全ての資産を失ってしまうかもしれません。

液状化が発生しやすい地域

どのような地域でかつどのような条件下であれば液状化が発生しやすいのでしょうか。

一般的には以下の3点が挙げられます。

  • 地下水位が浅い地域
  • 地盤が緩い地域
  • 大規模な地震の発生

キーワードだけではイメージしずらいと思うので、一つずつ解説していきます。

地下水位が浅い地域

地下水位とは、平均海面(海水面)を基準として測った地下水までの深さのことです。地下水位が地表面から10m以内で地下水位が浅いほど液状化が発生する可能性が高くなります。

地盤が緩い地域

海岸や河口付近、埋立地などの砂密度が低く空気や水分を多く含んでだ地盤が緩い地域なども液状化が発生する可能性が高くなります。

大規模な地震の発生

一般的には震度5〜震度6程の地震によって液状化が発生しやすいと言われていますが、触れている時間が長くなるとその分、小さな震度の地震でも影響が大きくなります。

ハザードマップの活用

各自治体ごとに液状化のハザードマップが作成・公開されているところもあるので一度確認してみるのも有効ですが、過去には自治体のハザードマップでは危険度が低いとされている場所でも大きな被害を受けている例もありますし、先程、記載した発生事例からも分かる通り、日本で大規模な震災が起こった場合はほぼ必ず液状化の被害が確認されているため、これらの情報もあくまで参考レベルと考えても良いかもしれません。

液状化発生の仕組み

液状化現象が発生する仕組みについては以下のような順番になります。

  1. 地下水位が低く地盤が緩い地域では砂粒が支え合うことで安定を保っている
  2. 地震の振動により空気や水分を多く含んでいた砂粒がバラバラになってしまう
  3. 重量の重い砂粒が重量の低い水分の下に沈み込む
  4. 空気や水分が地上に吹き出す
  5. 地面の下に(吹き出した空気や水分の分の)隙間ができる
  6. 地面に亀裂ができたり地盤沈下が発生する
  7. 比重の重い建物がが沈んでしまう
  8. 比重の軽いマンホールや下水道などが浮き上がってしまう

液状化の発生事例

日本では大きな震災が起こるたびに液状化の被害が確認されています。

中でも有名な発生事例としては以下のようなものがあります。

液状化の発生事例
時期震災名事象
1995年1月17日阪神淡路大震災ポートアイランド、六甲アイランドで大規模な液状化現象が発生
2004年10月23日新潟県中越地震水田や湖沼を埋め立てた箇所等で液状化が発生
2011年3月11日東日本大震災関東地方(1都6県96市町村)で大規模な液状化が発生
2016年4月16日熊本地震阿蘇カルデラ内の黒川沿いにおいて側方流動に伴う液状化および噴砂が発生

東日本大震災では震源から離れた東京湾周辺の地域でも大規模な液状化の被害が沢山確認されており大きな不安要素になりました。

液状化は物件に深刻な影響を与える

建築基準法などにも液状化の対策は規定されていますが、万が一、液状化の恐れのある土地の上にある物件を購入してしまった場合、そこから対策をとる事はかなり困難となります。

たまに、インターネットやニュースなどでも、被害の状況を撮影した写真が掲載されていますが、本当に悲惨な状況もあります。

建物重量が比較的軽く、基礎が浅い戸建ての住宅(特に木造住宅)などは、傾斜や沈下などの被害を受ける可能性が高くなっています。一方、ビルやマンションの方が建築基準法による土地強度対策が設けられているため、比較的安定した作りだと言えます。

中でもタワーマンションなどの高層マンションなどの場合、鉄筋の杭を地面のより深いところまで打ち込んでいるため、液状化したとしても戸建の住宅に比べ建物自体が崩壊する心配は少なく、今後は建築技術を駆使することで液状化に対するリスクを軽減する方向に向いそうです。

個人で物件購入を検討する場合、中々詳細な調査を行う(依頼する)事は難しいかもしれませんが、せめて物件のパンフレットなどには一通り目を通してどのような地盤対策がされているかは確認してて損は無いはずです。

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賃貸経営をする上でも大きなリスクになる

リスク

一般的には不動産会社は液状化が懸念される土地に物件を建てる事は少ないですが、土地の購入後も地盤調査を行い必要に応じて地盤改良を検討する場合もあります。つまり、液状化のリスクを踏まえても、立地としてのメリットがあれば建てれらる可能性もある訳です。

ただ、場合によっては裁判で販売業者の施工責任を問うと言う事もあるため不動産会社側としても慎重な調査を行います。

現段階では、大きな被害を受ける可能性は低いかもしれませんが、不動産投資をする上でも大きなリスクの一つと言われます。

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