あなたは「インフレ」という言葉の意味を説明できますか?
日本はこれからインフレに向かおうとしています。インフレになると僕たちの生活にどんな影響が出てくるのか?またどのような工夫をすればより快適に暮らせるのかをまとめてみました。
デフレ時代からインフレ時代へ!
インフレやデフレと聞くととても難しいイメージですが、簡単に説明すると以下のような意味になります。
- インフレ(インフレーション)
- モノの値段が継続的に値上がりする(物価が上がる)状態
- デフレ(デフレーション)
- モノの値段が継続的に値下がりする(物価が下がる)状態
モノの値段が上昇すれば相対的にお金の価値は下がってしまいます。
100円だった商品が、1年後、インフレにより物価が上昇し200円に値上げされれば、現在の100円玉の価値は、1年後には50円分の価値になってしまいます。
日本はもともとインフレだった
1990年までの日本はインフレ時代でした。
高度経済成長に伴い人口は増え続け、給与もどんどん上がっていきました。そうすると皆の消費意欲が上がり、結果的に物価、不動産、株価なども連動して上がっていきました。この時代はコツコツと貯金をするよりも株や不動産をどんどん購入した人がどんどんお金持ちになっていきました。
バブル崩壊後にデフレ時代に突入
やがて1990年頃にバブルが崩壊し、日本のデフレ時代が始まりました。
物価が下がり相対的にお金の価値が上がるため、投資などをせずにコツコツと貯金していた人が資産を増やす一方、株や不動産をたくさん保有していた人は資産を大きく目減りさせてしまいました。
2012年以降は再びインフレに
2012年からはアベノミクスにより再びインフレに向かおうとしています。
2012年以降、インフレを目指すために、主に以下のような政策が実施されました。
- 2012年12月
- 第2次安倍政権が誕生
- 2013年1月
- 日銀が「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定める
- 2013年3月
- 量的・質的金融緩和を実施
- 2014年10月
- 追加の金融緩和を実施
これらの政策により株価はどんどん上昇し、不動産の販売価格も過去最高レベルになりました。
過去のインフレとの違いは?
バブル崩壊前の日本は長い期間ずっとインフレでしたが、2012年以降のインフレと比較すると以下のような違いがあります。
- バブル崩壊前のインフレ
- 通貨高(円高)で高金利→物価も上がるけど貯金しているとお金が増える
- 2012年以降のインフレ
- 通貨安(円安)で低金利→物価は上がるけど貯金してもお金は増えない
つまり、昔のインフレ時代ではコツコツと貯金していればしっかりとお金が溜まっていましたが、今の時代は定期預金、普通預金に関わらず貯金しても全然利子が付かないので、何か別の対策が必要になります。
お金の価値が下がると物価が上昇する
お金の価値をモノの価値は相反する関係にあります。
- お金の価値が上がればモノの価値は下がる
- お金の価値が下がればモノの価値は上がる
そして今回、2013年に日銀(日本銀行)は「マネタリーベースを2年間で2倍にする」という政策を発表し、2015年1月には見事、目標を達成させました。
マネタリーベースが増えればお金の価値は下がる
マネタリーベースとは世の中に供給されるお金の量で、以下の3つの合計のことです。
- 日本銀行券(10,000円札、1,000円札などの紙幣)
- 貨幣(100円玉、1円玉などの硬貨)
- 日銀当座預金(各銀行が日銀の講座に預けているお金)
2013年4月 | 2015年1月 | 2018年1月 | |
---|---|---|---|
日本銀行券 | 82兆8371億円 | 93兆0818億円 | 106兆7165億円 |
貨幣 | 4兆5368億円 | 4兆6562億円 | 4兆7917億円 |
日銀当座預金 | 47兆3674億円 | 178兆1360億円 | 368兆4894億円 |
マネタリーベース | 134兆7413億円 | 275兆8740億円 | 479兆9976億円 |
※数字はFP部の「お金の供給量を2倍にしちゃうよ!マネタリーベースって何?」の情報をもとにさせて頂きました。とても分かりやすい記事なのでマネタリーベースについて詳しく知りたい方にはとてもオススメの記事だと思います。
リスクを取りたくないは通用しない?
そもそも「2%物価上昇なんて実現できるのか?できないのか?」という問題はありますが、仮に物価が上昇していった場合、そのままの価値で現金を保有することは資産を目減りさせることにつながります。
日本人の所得は上がり続けるの?
インフレへの対策として、まずは「自分の所得を上げる」ことが考えられます。
仮にモノの値段が2倍になっても、自分のお給料もそれに伴って上がっていけば何も問題ありません。ですが、現実問題としてはお給料が上がっている実感を持てているのは経営者や大企業の社員のような一部の人達に限定されてしまっています。全ての人が同じように収入を増やすことは残念ながら現実的には難しいです。
お金は銀行に預けても意味がない
不動産を購入する際、金融機関からお金を借りるとおよそ1%〜4%程の借入金利が必要になります。
ですが、逆に僕たちの現金を銀行や信用金庫のような金融機関に預けても利子はほとんど付きません。普通預金、定期預金に関わらずにほとんどゼロだと考えて下さい。
つまり100万円を貯金しても、一年後もお金の価値はほとんど100万円のままであり、その中で物価の水準だけが上昇してしまっていた場合、結果的にお金の価値を減らす事になります。
金利はこれからも上がらない?
また住宅ローン金利が低水準をずっと維持していることからも分かるように、今後も金融機関の預金金利が上がる可能性はほとんど考えられません。
このままでは所得を上げることもできず、銀行の金利も当てにならないため、インフレになればなる程、生活が厳しくなっていくことになってしまいます。
何か対策を打つ必要が出てきます。
具体的な対策は資産運用
これからの貯金と投資についての考え方はこのように変わっていくと思います。
- 今までの貯金と投資の考え方
- 貯金をすると資産は増えないけど減りもしない。
- 投資はリスクがあるため資産を減らしてしまう可能性がある。
- 資産を減らさないためにはコツコツ貯金するのが一番安心できる。
- これからの貯金と投資の考え方
- 貯金をしても資産は増えない。むしろインフレによって間違いなく目減りする。
- 資産を守るためには貯金の一部を投資に回し正しい資産運用することが一番安心できる。
念のために補足させて頂くと、これらは「貯金を取り崩して不動産投資をしよう!」という趣旨の内容ではありません。不動産投資も資産運用の一つの選択肢になりますが、考え方を誤ると貯金で資産を目減りさせる以上のリスクを伴います。
どのように資産運用すれば良いかは人それぞれ考え方が違いますが、僕個人的には投資信託をオススメしています。資産運用に投資信託がオススメである理由についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
インフレ時代の正しい資産運用は?
アベノミクス以降、日本は少しずつインフレの方向に向かっています。
デフレの時は物価が下がり続けてしまうため、お金を持つ事が一番安全で「CASH IS KING」と言われていましたが、これからはその逆になります。
リスクを避けたいがために投資を一切せず預貯金だけでお金を貯める事が、結果的にリスクに繋がってしまう時代です。
政策がどこまで実現できるは分かりませんが、インフレによりお金の価値の目減りを回避するためにもお金以外の資産を運用することが大切です。
現金支給の年金制度もインフレ時代の影響を受ける
インフレになると貯金をしても貯金額が増えないため結果的に資産が目減りしてしまうことになります。
そう考えると現金支給の年金制度も同じようにインフレになるとその分価値が減ってしまいます。
僕は年金制度については、どちらかと言えば楽観的に考えていますが、仮に想定通りの現金を支給されたとしても、その現金自体の価値が下がってしまうことは避けられません。「もらえるのであれば安心」という考え方も間違いではありませんが「将来の100万円の価値は現在の100万円の価値と比較してどのように違うのか?」は景気動向を観察しながら見極めていく必要があります。
年金制度の仕組みについてはこちらの記事で丁寧にまとめていますので、もし良ければあわせて読んで頂ければと思います。
「貯金」するより「借金」が有利?
こう言ったインフレへ有効な対策の一つとして、意外かもしれませんが「借金」と言われます。
極端な話をすると、仮に物価が2倍になったら、お給料も2倍になり、現金の価値は今の1/2になります。つまり200万円借金してたとしたらそれは100万円の借金と同じ重みになります。
また資産を持つこともインフレには有効です。
200万円で車を購入し、仮に物価が2倍になったとしたら、その車には400万円の価値と考えられるからです。
勿論、資産は物理的に劣化していきますし、減価償却分を考えると必然的に車の価値も下がりますが、イメージとしてはこのようになります。
投資本来のリスクも忘れずに
とは言うものの、借金をすれば利子を払う必要があり、インフレになったからと言ってその分金利も膨れ上がれば結局リスクが高くなります。だけど逆にインフレになった後だと、金利が上がりローンを組みにくい(審査に落ちやすい)事もあります。
「借金したくないから貯めてから買う」という考え方だと、その頃にはインフレにより販売価格が上がってしまい、とても手が出せない金額になってしまっているかもしれません。
また同じインフレでもその背景にはいろいろな要因があります。例えば円安対策としては外貨を持つもの有効かもしれません。
インフレの事だけを対策するのは、本来の投資リスクを軽視してしまう事になりかねません。
ただどのような経済状況になっても、やはり分散投資はリスクを軽減すると考えられます。
「何でも良いから分散!」と言うのは意味はありませんが、しっかりリスクを理解(容認)出来るのであれば「100%現金主義」と言う人も5%でも10%でも良いので、資産を少しでも分散すると(良いか悪いかはともかくとして)少し価値観が変わるかもしれません。
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