「広告に出ているこの土地は、新築アパート用地として買う価値があるのか」。土地から一棟を狙うとき、最初にぶつかるのがこの問いです。完成済みの収益物件なら利回りが最初から載っていますが、土地は更地のまま。そこに何戸が建ち、いくらの家賃が取れ、建築費と合わせて総事業費がいくらになるかを自分で組み立てて初めて、買付を入れる価値があるかを判定できます。
前提は、30㎡の1LDKを6戸か9戸建てる小規模の木造3階建てです。進める順番は「戸数の決め方→3階建てが載るか(防火地域・木三共・長屋)→賃料→建築費→許容土地値の逆算→ボリュームチェック→設計と資金繰り」です。本文で示す市場データは、SUUMOに掲載された兵庫・大阪の売地9,439件と募集賃料7,221件を当サイトが2026年8月に集計したもので、母数と限界を添えて示します。
- 土地から新築一棟(小規模木造アパート)を初めて狙う個人投資家・資産管理法人の方
- 何戸のアパートを建てるべきか、土地を探す前に判断基準を持ちたい方
- 「いくらまでの土地なら成立するのか」を数字で出して指値・撤退を判断したい方
- 大阪・兵庫・京都・滋賀で土地を探し、接道3m台の旗竿地を長屋で成立させられるか判断したい方
- 建築費は延床と戸数に比例する費用が大半で、戸数を増やしても1戸あたりでは下がりにくい構造です。差が出るのは土地側です。
- 4戸が不利なのは戸数が少ないからではなく2階建てになるから。1戸あたりの敷地が3階建ての1.5倍以上要ります。基準は「3階建てが載る土地」。
- 許容土地値=(年間賃料÷目標利回り)−(建築費+付帯+諸費用)。建築費を概算の坪単価で固定すれば(本記事の計算例では総額坪85万円と仮置き)、土地の上限価格が一意に出ます。
- 資金繰りの山は「総額」ではなく、土地決済と着工金が重なる手出しのピークです。着工前に時系列で試算します。
- 3階建てが載るかは、防火地域・準防火地域の指定で決まります。防火地域は木造3階建てアパートではほぼ土俵外、準防火地域は準耐火(45分)で建ち、3階に住戸があれば木三共(1時間準耐火)か延べ200㎡未満ルートを選びます。狭小地ほど延焼ラインに入る窓が増えます。
- 接道は幅員と長さを分けて見ます。共同住宅は、大阪府では規模を問わず、兵庫県(神戸市を除く)では用途部分200㎡超で道路に4m以上。長屋は各戸の出入口が道路か敷地内通路(大阪府・兵庫県は幅3m以上)に面すること、戸建ては法の2mです。間口3m台の土地は長屋なら成立する余地がありますが、神戸市では、竿の幅が4m未満の旗竿地に長屋を建てるには耐火か準耐火が必要です。
- 面積帯を決め打ちして、広くて安い土地を検索から捨てている
- 指定容積率と坪単価だけで割安かどうかを決めている
- 防火地域・準防火地域や長屋の条件は、設計者に頼んでから知る
- 総事業費だけ見て、土地決済と着工金が重なる時期を見ていない
- 戸数から面積の下限だけを決め、土地に合わせて6戸か9戸かを選ぶ
- 前面道路で削った実効容積率と一種単価で比べる
- 3階建てが載るか(防火・木三共・延焼ライン・条例)を土地の段階で確かめる
- 許容土地値を逆算し、手出しのピークを時系列で試算してから買付に進む
- 🗺️ 1. 全体像――順番は「戸数の下限→賃料→建築費→土地」
- 🏗️ 2. 戸数の決め方――6戸か9戸か、4戸を避ける理由
- 🔥 3. 防火地域・準防火地域と木三共――3階建てが載るかは防火の指定と建物の規模で決まる
- 🔍 4. アパート用地の探し方――エリア・広さ・情報源・相場
- ⚡ 5. 簡易ボリュームチェック――机上の足切りと一種単価
- 💴 6. 賃料の置き方――査定の裏取りと、単身1LDKかファミリーか
- 🧱 7. 建築費の置き方――概算単価で固定し、変数を土地値に絞る
- 🎯 8. 許容土地値の逆算――この土地にいくらまで出せるか
- 📐 9. 詳細ボリュームチェック――設計者への依頼と法規・条例の裏取り
- 🛣️ 10. 接道で建てられる建物が決まる――4mなら共同住宅、3mなら長屋、2mなら戸建て
- 🚗 11. 駐車場――台数が客付けと戸数の両方を左右する
- 🧩 12. 狭小地・変形地・余剰地――安く仕込む代わりに設計で解く
- 🚫 13. 買ってはいけない土地――足切りの5象限
- 🏛️ 14. 現地・役所調査――買う前の裏取り
- 💰 15. 資金繰り――総額より「手出しのピーク」を時系列で試算する
- 🤝 16. 買付から契約へ――順序だけ押さえる
- ✅ 17. 買付前のセルフチェック
- ❓ よくある質問
- 📝 18. まとめ――順番を守れば、土地探しは速くなる
- 📖 この記事の根拠(出典・参考)
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🗺️ 1. 全体像――順番は「戸数の下限→賃料→建築費→土地」
土地探しから融資・建築・客付け・出口までの全工程は土地から新築アパートの始め方と流れ(全工程ガイド)にまとめています。そのうち土地探しとボリュームチェック、小規模の設計と資金繰りを、ここから順に掘り下げます。進め方は次の順で、各段階で「進む/捨てる/保留」を判断します。
- 戸数の下限を決める:1戸の広さと戸数を置いて、必要な土地面積の下限を出す(第2章)
- 3階建てが載るかを確かめる:防火地域・準防火地域、木三共か延べ200㎡未満ルートか、延焼ラインと条例の上乗せ(第3章)
- エリアと情報源を決める:賃貸需要・NG土地の除外・土地相場の把握(第4章)
- 机上で足切りする:簡易ボリュームチェックで延床と戸数を概算し、捨てる土地を切る(第5章)
- 賃料と建築費を置く:賃料は保守的に査定し、建築費は概算の坪単価で固定(第6・7章)
- 許容土地値を逆算して売値と比べる(第8章)→ 設計者の詳細ボリューム・役所調査で裏を取り(第9〜14章)、手出しのピークを試算して買付へ(第15・16章)
もう一つ、土地を確定する前にやっておくことがあります。融資の要件(戸数・構造・エリア・自己資金)を、金融機関に前倒しで確認しておくことです。設計までして融資が付かず断念、という失敗は土地からの新築で繰り返し起きています。戸数の想定を先に置くのは、この打診のためでもあります。
🏗️ 2. 戸数の決め方――6戸か9戸か、4戸を避ける理由
ここでは1戸30㎡の1LDK(10帖前後のLDKと4帖前後の寝室)を前提に、戸数の考え方を整理します。国の住生活基本計画が示す単身の最低居住面積水準25㎡を上回り、単身からカップルまで層を広く取れる間取りです。
📊 建築費は、戸数を増やしても1戸あたりでは下がりにくい
「戸数が多いほど共用部の費用を多くの部屋で割れるから、1戸あたりは安くなる」と考えがちですが、建築費の中身を分けると、そう単純ではありません。
建築費の多くは、延床面積に比例する躯体・外壁・内装と、戸数に比例する浴室・キッチン・給湯器・エアコンで構成されます。どちらも戸数を増やしたところで1戸あたりの金額は減りません。戸数で薄まるのは、戸数にも規模にも連動しない固定費(地盤調査・仮設電気・重機回送など)の部分だけです。薄まる原資が総額の一部にとどまる以上、戸数を増やしても1戸あたりの建築費は下がりにくい構造です。実際の差は建築会社と仕様で変わるため、規模の違う案を同じ会社・同じ仕様で見積もって比べます。


- 広い土地ほど坪単価が安く出やすい(買い手が限られるため。第4章で実測を示します)
- 3階建てにできれば同じ地面から1.5倍の床が取れる
大きく建てる効果は、建物ではなく土地の仕入れと使い方に出ます。
🏢 分かれ目は戸数ではなく「2階建てか3階建てか」
30㎡1LDK・建ぺい率60%で、1フロアの戸数と階数を変えたときの必要敷地を計算すると、階数が土地効率を決めていることが分かります。
| 計画 | 延床 | 必要敷地(建ぺい60%) | 容積の消化 | 1戸あたり敷地 |
|---|---|---|---|---|
| 4戸(1フロア2戸×2階) | 約140㎡ | 約117㎡=35坪 | 120% | 8.8坪 |
| 6戸(1フロア2戸×3階) | 約200㎡ | 約117㎡=35坪 | 180% | 5.9坪 |
| 9戸(1フロア3戸×3階) | 約300㎡ | 約167㎡=50坪 | 180% | 5.6坪 |
| 12戸(1フロア4戸×3階) | 約390㎡ | 約217㎡=66坪 | 180% | 5.5坪 |
3階建て同士なら、6戸でも9戸でも12戸でも1戸あたりの敷地はほぼ同じです。4戸だけが8.8坪で、他より5割以上多く土地を使います。4戸を1フロア2戸で組むと2階建てになり、同じ延床を得るのに建築面積が1.5倍必要で、建ぺい率の壁で敷地も1.5倍要る。しかも容積率を120%しか使えない。4戸が不利なのは戸数が少ないからではなく、2階建てになるからです。
12戸(1フロア4戸)には別の条件もあります。大阪府では、共同住宅に使う階の床面積が100㎡を超え、かつ住戸が4戸以上あると、主要構造部を準耐火構造にしない限り、直通階段が2本要ります(大阪府建築基準法施行条例45条の2)。1フロア3戸の9戸案は対象外です。
⚖️ 6戸と9戸は土地に合わせて決める――決めるのは面積の下限だけ
6戸と9戸の1戸あたり敷地は5.9坪と5.6坪で差は5%。土地効率では選べません。違いは、資金力・融資・空室リスク・候補地の母数です。
| 比較軸 | 6戸(延床約60坪) | 9戸(延床約90坪) |
|---|---|---|
| 必要な土地面積の下限(建ぺい60%) | 約110㎡(33坪)。実効容積160%なら約113㎡(住戸180㎡÷1.6。共用廊下・階段は容積率に算入されない) | 約165㎡(50坪)。実効容積160%なら約169㎡(住戸270㎡÷1.6) |
| 建築費(計算例:総額坪85万円と仮置き) | 約5,100万円 | 約7,700万円 |
| 総事業費の帯 | 7,000万〜8,000万円台 | 1億円前後 |
| 1室空室時の収入減(満室比) | ▲16.7%(2室で▲33.3%) | ▲11.1%(2室で▲22.2%) |
| 候補地の母数 | 35坪前後の土地は市場に多い | 50坪前後は減るが、坪単価は下がりやすい |
| 向く人 | 1棟目で融資が読めない・融資枠を温存したい・8,000万円台の売りやすい帯で出口を取りたい | 法人プロパーで融資が付く・規模拡大の実績を作りたい・空室を分散したい |
面積と同時に見たいのが間口です。ワンフロアに3戸を並べる9戸のプランは、間口が足りない土地では1フロアの戸数が減るか、共用廊下が長く伸びて建築費に跳ね返ります。共用部は貸せない面積なので、同じ延床なら共用廊下を短くできる形の土地ほど効率が良いという関係です。面積だけで候補に残した細長い土地が、プランに入れると戸数を落とすのはこのためです。
注意したいのは、戸数から決めるのは必要面積の下限だけで、上限を切らないことです。「6戸なら100〜150㎡」のように面積帯を決め打ちして検索すると、坪単価の安い広い土地を全部捨てることになります。6戸は110㎡でも250㎡でも建ちます。165㎡以上の土地が出てきたら9戸、110〜165㎡なら6戸と、土地に合わせて戸数を決めるのが正しい順番です。
🔥 3. 防火地域・準防火地域と木三共――3階建てが載るかは防火の指定と建物の規模で決まる
3階建てを基準に据えるなら、防火関係の法規は土地選びの段階で避けて通れません。規制は2系統あり、どちらも構造と建築費に効きます。1つは土地の地域指定(建築基準法61条)、もう1つは建物の用途(27条。3階に住戸があるアパート)です。長屋は27条の対象外ですが、61条は長屋にもかかります。
🗺️ 地域ごとに求められる構造――防火地域・準防火地域・22条区域
| 地域 | 建物の規模 | 求められる構造(施行令136条の2。22条区域は法22条・23条) |
|---|---|---|
| 防火地域 | 3階建て以上(地下を含む)か延べ100㎡超 | 耐火建築物か延焼防止建築物 |
| 2階建て以下かつ延べ100㎡以下 | 準耐火建築物か準延焼防止建築物 | |
| 準防火地域 | 地上4階以上か延べ1,500㎡超 | 耐火建築物か延焼防止建築物 |
| 地上3階か延べ500㎡超(1,500㎡以下) | 準耐火建築物(45分)か準延焼防止建築物 | |
| 2階建て以下かつ延べ500㎡以下 | 木造は延焼のおそれのある部分の外壁・軒裏を防火構造、その部分の窓・ドアを防火設備 | |
| 22条区域 | 規模を問わない | 屋根を火の粉で燃えない仕様に。木造は延焼のおそれのある外壁にも一定の防火性能 |
防火地域では、3階建てか延べ100㎡超のアパートは耐火建築物か延焼防止建築物になります。木造の延焼防止建築物で共同住宅を建てる道もありますが、内部を1時間準耐火・外壁を90分準耐火にし、境界に近い外壁ほど窓の面積の割合を小さく抑え(境界まで1m以下なら外壁の5%以下)、延べ100㎡を超えると100㎡ごとの区画とスプリンクラーが要ります(令和元年国交省告示194号)。3階に住戸を置けば27条側で木三共も使えないため、防火地域の土地は、木造3階建てアパートではコスト面でほぼ土俵外です。準防火地域なら、3階建ては準耐火建築物(45分)か準延焼防止建築物で建てられます。
建物が2つの地域にまたがる場合は、原則として厳しい方の規制が建物全体にかかります(建築基準法65条。防火壁で区切った部分は例外)。敷地がまたがっていても建物が片方に収まれば、その地域の規制だけで済みます。
🏙️ 建ぺい率の緩和と、大阪市の条例の上乗せ
準防火地域で準耐火建築物等以上、防火地域で耐火建築物等にすると、建ぺい率が10ポイント増えます(建築基準法53条3項。防火地域で建ぺい率80%の地域に耐火建築物等を建てる場合は、同条6項1号で建ぺい率の制限がなくなります)。敷地が準防火地域と指定のない区域にまたがっていても、建物をすべて準耐火建築物等にすれば敷地全体を準防火地域とみなして緩和を使えます(同条8項)。
逆向きに効くのが条例の上乗せです。大阪市は、建ぺい率80%が指定された第一種・第二種住居地域・準住居地域の全部と準工業地域の一部(防火地域を除く)で、建築基準法より厳しい防火規制を条例で定めています。
| 大阪市の対象地域で建てる建ぺい率 | 延べ面積 | 必要な構造 |
|---|---|---|
| 60%以下 | ― | 建築基準法どおり |
| 60%超〜80%以下 | 500㎡以下で3階以下 | 耐火建築物等か準耐火建築物等 |
| 500㎡超か4階以上 | 耐火建築物等 | |
| 80%超 | 規模を問わない | 耐火建築物等 |
角地などの緩和がある敷地では60%を70%、80%を90%と読み替えます。大阪市内の住居系で2階建ての木造アパートを防火構造で安く建てるつもりなら、建ぺい率を60%以下に抑えるか、準耐火を前提に建築費を置きます。同じ市のページには、第一種・第二種住居地域と準住居地域(風致地区を除く)では前面道路による容積率の係数が0.6であることも書かれています(第5章)。
🏢 3階建て共同住宅は27条――木三共か、延べ200㎡未満ルートか
3階に住戸があるアパートは、地域に関係なく建築基準法27条がかかり、特定避難時間(45分未満なら45分)以上の構造と、延焼のおそれのある部分の窓・ドアの防火設備が求められます。木造でこれを満たす告示の仕様が、いわゆる木三共(木造3階建て共同住宅。平成27年国交省告示255号)で、防火地域以外で次の条件がそろえば建てられます。
- 構造:1時間準耐火基準の準耐火構造。61条で準防火地域に求められる45分より一段重い
- 避難:各住戸に避難上有効なバルコニー等。主な廊下・階段が外気に開放され、住戸の廊下側の窓・ドアが防火設備なら不要
- 通路:居室の窓などがある外壁の側(道路に面した側を除く)に、道まで通じる幅3m以上の通路。全住戸のバルコニー、開放廊下と防火設備、上の階へ火が回らないためのひさし等の3つをすべて満たせば不要。2025年11月1日からは、区画を細かくするなどの重い追加措置をとった「火災抑制等建築物」なら1.5mでよくなった(令和7年告示998号)
- 準防火地域での上乗せ:3階の住戸の窓などに防火設備。ほかの開口部と90cm以上離すか、50cm以上突き出したひさし・そで壁で遮れば不要
もう1つのルートが、階数3で延べ200㎡未満にして27条の対象から外す方法です(27条1項1号かっこ書き・施行令110条の4、2019年施行の改正)。共同住宅では警報設備(告示198号の自動火災報知設備か特定小規模施設用自動火災報知設備。2025年2月の改正で、条件付きで受信機のない連動型も可)を付けることが条件です。30㎡×6戸は延床が200㎡前後に来るため、設計者に「200㎡未満に収めて27条の適用外にするか、準耐火で200㎡以上にするか」を最初に確認してください。除外されるのは「200㎡未満」で、ちょうど200㎡は対象になります。
200㎡未満ルートでも、外れるのは木三共の条件だけです。次の3つは残ります。
- 竪穴区画:階段などの竪穴部分を、間仕切壁と、遮煙性能を持つ常時閉鎖か煙感知で自動的に閉まる戸で区画する(施行令112条13項・19項2号)。準耐火建築物や準延焼防止建築物にした場合は、11項により準耐火構造の壁や防火設備での区画になる
- 準防火地域の構造:地上3階なので、61条で45分の準耐火建築物か準延焼防止建築物が必要
- 敷地内の通路:屋外への出口や屋外階段から道までは幅90cm以上の通路が要る(延べ200㎡以上なら1.5m以上。施行令128条)
ここで注意したいのが200㎡の数え方です。この200㎡は各階の床面積の合計で(施行令2条1項4号)、容積率の計算で共用廊下・共用階段を除ける規定(法52条6項)は使えません。一方で、外気に有効に開放された廊下は幅2mまで、条件を満たす屋外階段はそもそも床面積に算入されません(昭和61年建設省住指発第115号)。通達の条件は、開放部分の高さが1.1m以上かつ天井高の2分の1以上であること(屋外階段はさらに開放部分が周長の2分の1以上)です。加えて、廊下などの外側が隣地境界線から50cm以上、同じ敷地の他の建物や自分の建物の他の部分から2m以上離れていることを「外気に開放されている」条件とする行政庁の取扱いがあります。狭小地で外廊下や外階段が隣地に寄ると、床面積に算入されて200㎡の判定が変わることがあるので、開放性の扱いは建築地の行政庁に事前相談します。
消防法との関係もねじれます。共同住宅の自動火災報知設備は消防法施行令21条で延べ500㎡以上が義務なので、6〜9戸・30㎡のアパートは消防法だけを見れば義務ではありません。それでも200㎡未満ルートを使うなら、建築基準法の側の条件として警報設備が要る、という順番です。排煙設備も共同住宅は延べ500㎡超で義務です。開放できる部分が足りない居室(施行令116条の2第1項2号の排煙無窓)があると面積に関係なく対象になりますが、共同住宅の住戸で床面積200㎡以内ごとに準耐火構造の床・壁や防火設備で区画されていれば設置は要りません(施行令126条の2第1項ただし書1号)。住戸を区切る床・壁が準耐火構造でない計画では、窓の開けられる面積を設計者に確認します。
2階建てでも無関係ではありません。2階の共同住宅部分の床面積が300㎡以上になると27条1項2号がかかり、準耐火相当の構造と開口部の防火設備が要ります。30㎡の1LDKなら2階だけで9戸前後を並べる規模から効く条件で、6〜9戸の3階建てでは通常かかりません。
📏 延焼ラインと狭小地――窓の多くが防火設備になる
準防火地域の2階建てや、3階建ての木三共で窓・ドアを防火設備にする範囲を決めるのが「延焼のおそれのある部分」、いわゆる延焼ラインです。隣地境界線・道路の中心線・同じ敷地内の別の建物との外壁間の中心線から、1階は3m以内、2階以上は5m以内の範囲を指します(建築基準法2条6号。公園・川などに面する部分は除く)。
30〜50坪の敷地に3階建てを建てると、隣地境界線まで数mしか取れないため、狭小地ほど外壁と窓のほとんどが延焼ラインに入り、防火設備の窓・ドアの数がそのまま建築費に乗ります。防火設備は一般のサッシより選べる製品が限られ、価格も上がりやすい部材です。差額の公的な統計はないので、見積もりで一般品との差を確認します。
2020年2月からは、外壁と境界線がなす角度に応じて距離を短く計算できるようになりました(令和2年国交省告示197号。使うかは任意で、使う場合は計算を確認申請の図書に示す)。ただし外壁が境界線と平行なら緩和はゼロで、角度が大きくても1階で0.5m、2階以上で1.0m縮むのが上限です。整形地に平行に建てる箱型ではほぼ効かず、効くのは境界が斜めに振れた変形地や旗竿地の斜めの辺です。
🗓️ 2025年4月の改正で変わったこと
2025年4月1日以降に着工する建物から、建築基準法と建築物省エネ法の改正が効いています。アパートに関係するのは次の4点です。
- 審査の区分:共同住宅部分が200㎡を超えるアパートは改正前から「1号建築物」、木造3階建ては規模を問わず改正前から「2号建築物」で、どちらも4号特例(構造審査の省略)の対象外でした。改正で新しく構造の審査が必要になったのは、200㎡以下の2階建てのアパートと長屋で、「新2号建築物」として構造と省エネの審査を受けます
- 構造計算:構造計算が必要な木造は、3階建て以上か延べ300㎡超。木造3階建ては規模にかかわらず必要で、2階建てでも延べ300㎡を超えれば必要になります
- 壁量:必要な壁の量を、屋根・外壁・太陽光パネルなど建物の仕様から見込んだ重さで計算する方式になりました
- 省エネ:すべての新築で省エネ基準への適合が義務になり、完了検査でも確認されます。検査済証が出るまで原則として入居させられない点も、新2号建築物に広がりました
工事中にこれらをどう確かめるかは、新築アパートの工事中チェックと施主検査に整理しています。
🔍 4. アパート用地の探し方――エリア・広さ・情報源・相場
📍 エリアの4条件と、実測で分かった2つのこと
エリアは、賃貸需要・競合供給・出口・自分の融資エリアの4つを重ねて決めます。人口や世帯の動態、駅勢圏や大学・工場・病院といった需要源を確認し、周辺の新築供給と空室で過剰供給エリアを避ける。そのうえで「次の投資家が買える利回りと融資の付く立地か」という出口の効きやすさを重ね、融資を引ける金融機関の営業エリアと一致させます。
ここに、当サイトが2026年8月にSUUMOの募集賃料7,221件(兵庫・大阪47市区、築5年以内・28〜34㎡・1LDK)を集計して分かったことを2つ添えます。
| 駅徒歩 | 1〜5分 | 6〜10分 | 11〜15分 | 16〜20分 |
|---|---|---|---|---|
| 募集賃料の中央値 | 68,000円 | 69,000円 | 67,000円 | 65,000円 |
一つ目は、駅徒歩と30㎡1LDKの家賃がほぼ無関係だったことです。駅近の高い土地を買っても家賃で回収できません。土地選定で駅距離にプレミアムを払う理由が、この間取りでは見当たりませんでした。二つ目は、安い土地のある町丁には30㎡帯の募集が無いか、市の中央値より1〜2割安いことです。市の家賃中央値を郊外の安い土地に当てはめると、架空の高利回りが出ます。個別の土地は、その町丁に同じ面積帯の募集が何件あり1LDKが含まれるかまで確認してください。
📐 必要な広さ――有効面積から戸数を逆算する早見表
建ぺい率60%・実効容積率180%以上、1戸30㎡+共用部で1フロアあたり約33㎡/戸として計算した目安です。駐輪場・ごみ置場込みで1戸あたり敷地6坪前後と覚えておくと、チラシの面積からすぐに戸数が読めます。
| 有効土地面積 | 建築面積(60%) | 1フロア戸数 | 3階建ての総戸数 |
|---|---|---|---|
| 33坪(約110㎡) | 66㎡ | 2戸 | 6戸 |
| 42坪(約139㎡) | 83㎡ | 2〜3戸 | 6〜9戸 |
| 50坪(約165㎡) | 99㎡ | 3戸 | 9戸 |
| 66坪(約218㎡) | 131㎡ | 4戸 | 12戸 |
実効容積率が160%しかない場合は延床が敷地の1.6倍までに制限されるため、上の表より戸数が減ります。50坪(約165㎡)×160%=約264㎡。共用の廊下・階段は容積率に算入されない(建築基準法52条6項)ので、この264㎡を住戸に使えますが、30㎡×9戸=270㎡には届かず、8戸が上限です。
🧭 情報の経路――ポータル・地場仲介・建築会社
探す経路は役割分担で使い分けます。ポータルは相場観の形成と定点観測(新着通知の初動と、掲載が長期化した物件への指値は機能します)。本命は地場の仲介会社で、表に出る前の情報は人間関係から回ってきます。見落とされがちなのが、投資用アパートを自社で手掛ける建築会社のルートです。
建築条件付き土地は原則避けます。建築会社を選べないと建築費を自分で固定できず、第8章の逆算そのものが崩れるからです。古家付き土地は解体費・残置物・アスベスト調査・滅失登記を必ず費用計上します。当サイトが2026年8月にSUUMOで詳細を集計した売地2,362件では、約半分が古家付きでした。一覧の表示だけでは古家の有無が分からないので、詳細ページの「土地状況」まで見る必要があります。
🏷 土地相場の調べ方と、面積と坪単価の逆相関
許容土地値と突き合わせる前提として、狙うエリアの実勢相場を先に掴みます。無料で使える一次情報は次の4系統です。
| 調べ方 | 使いどころ |
|---|---|
| 相続税路線価(国税庁) | 道路に付いた㎡単価。公示地価の約8割水準のため「路線価÷0.8」で実勢の目安に逆算。金融機関の積算評価にも直結 |
| 地価公示・地価調査・取引価格情報(国交省 不動産情報ライブラリ) | 標準地の㎡単価と、実際に売れた価格。用途地域とハザードも同じ画面で重ねられる |
| レインズの成約事例(仲介経由) | 売り出し価格より確度が高い。地場仲介に頼んで出してもらう |
| ポータルの売り出し価格 | 一次スクリーニング向き |
相場を見るときに知っておくべきなのが、小さい土地ほど坪単価が高いという逆相関です。当サイトが2026年8月にSUUMOの兵庫・大阪の売地9,439件を集計したところ、6戸向けの面積帯の中央値が坪60.0万円、9戸向けの面積帯が坪47.7万円でした。理由は買い手の層で、30〜40坪帯はマイホームの実需と建売業者が最も競合する帯です。アパート用地として狙う50坪前後は、実需との競合が薄れる帯でもあります。
同じ集計をもとに、関西の8%成立ラインも試算しました。9戸・建築費約7,700万円(第7章で仮置きする総額坪85万円で計算)・諸費用6%・市区の中央値家賃で表面8%に届く土地の上限は、兵庫で約2,250万円、大阪で約2,100万円。成立する更地が集まっていたのは明石・加古川・大東・泉佐野・貝塚・神戸市垂水区で、尼崎・伊丹・八尾・東大阪は6戸でも9戸でも届きませんでした。理由は戸数ではなく土地価格と家賃の比です(2026年8月時点の売り出し価格。入居率は考慮していません)。
⚡ 5. 簡易ボリュームチェック――机上の足切りと一種単価
簡易ボリュームチェックは、捨てる土地を数分で切るための机上計算です。使う数字は敷地面積・建ぺい率・容積率・前面道路幅員だけ。初心者が最も多く間違えるのが、採用する容積率は指定容積率ではなく「前面道路幅員から計算した値」との小さい方という点です(建築基準法52条2項)。前面道路が12m未満の場合、住居系用途地域の容積率は原則として幅員×0.4で頭打ちになります。ただし特定行政庁が指定した区域では住居系も0.6で、大阪市の第一種・第二種住居地域と準住居地域(風致地区を除く)は0.6です。4m道路・指定200%なら、0.4では160%、0.6なら指定どおり200%まで使えます。
| 前面道路の幅員 | 4.0m | 4.5m | 5.0m | 6.0m |
|---|---|---|---|---|
| 住居系の容積率上限(係数0.4の場合) | 160% | 180% | 200% | 240% |
- 採用容積率を確定:指定容積率と「前面道路幅員×0.4(住居系。商業系などは0.6。特定行政庁が指定した区域は住居系も0.6)」の小さい方。
- 概算延床=敷地面積×採用容積率×安全係数0.7〜0.85。斜線・日影・避難・駐輪場の反映で容積は使い切れないため、最初から目減りを織り込みます。
- 階数の検算:「使う建ぺい率×階数≒必要容積率」。建ぺい60%×3階なら容積180%前後が必要です。
- 概算戸数=概算延床÷(1戸専有+共用按分。30㎡1LDKなら33㎡前後)。
チラシの数字も鵜呑みにしないことです。仲介のチラシと建築会社のボリュームチェック図で、採用している容積率(指定容積率か、前面道路幅員で削った値か)が一致しているかを確かめます。ボリュームチェック図は営業提案であって確認済証ではありません。チラシ・図面・役所調査の3つを突き合わせてください。
💹 土地の割安・割高は「一種単価」で比較する
坪単価だけでは投資用地の優劣は分かりません。買っているのは土地の面積ではなく「その土地に建てられる床の権利」だからです。比較のものさしは一種単価(容積単価)=土地価格÷(坪数×実効容積率÷100)、つまり容積率100%ぶんの床を建てる権利あたりの値段です。坪50万円・実効200%の土地の一種単価は25万円、坪40万円・実効100%なら40万円。坪単価では後者が安く見えて、建てられる床あたりでは前者が4割安い。計算には指定値ではなく、前面道路で削った後の実効値を使います。
割安か割高かの水準はエリアと時期で変わるため、同じエリアで売りに出ている複数の土地の一種単価を並べて比べます。
一つ注意があります。一種単価は容積を使い切る前提の指標です。6戸に固定して探すなら、容積300%の土地でも使うのは半分以下なので、土地価格を実際に建てる延床(約60坪)で割った「実床単価」で比べたほうが誤診が減ります。
💴 6. 賃料の置き方――査定の裏取りと、単身1LDKかファミリーか
収入側はAI賃料査定で個別に査定するのが出発点です。同じ計画でもサービスによって査定額に差が出るため、複数の査定で挟み、低い方を基準にします。あわせてポータルの募集事例を同一エリア・同一間取り・築浅で5〜10件集め、㎡単価に換算して水準を確かめます。募集賃料は成約賃料より高めに出るため、実勢は数%〜1割引いて見ます。新築プレミアムは2回転目以降で剥がれるので、立ち上げ時は高値を狙わず早期満室を優先します。
参考として、当サイトが2026年8月にSUUMOで集計した関西主要市区の募集賃料(築5年以内・28〜34㎡・1LDK・中央値)を示します。町丁単位では上下しますが、市区の水準感として使えます。
| 市区 | 中央値 | 市区 | 中央値 |
|---|---|---|---|
| 西宮市 | 83,000円 | 枚方市 | 72,000円 |
| 尼崎市 | 80,000円 | 明石市 | 70,000円 |
| 伊丹市 | 77,000円 | 泉佐野市 | 70,000円 |
| 神戸市垂水区 | 75,000円 | 加古川市 | 67,500円 |
間取りは単身向けの30㎡1LDKを基準に置いています。単独世帯の割合は2020年の38.0%から2050年に44.3%へ伸びると推計されており(国立社会保障・人口問題研究所2024年推計)、需要のベースは単身側に厚みがあるためです。ファミリー向けは郊外の駐車場必須エリアで強い一方、同じ延床で戸数が減り、1戸の退去で収入の4分の1が消えます。迷う立地では、建てたい間取りではなく、そのエリアで不足している間取りを募集件数から選びます。
🧾 面積の税ライン――1戸40㎡未満は取得税・固定資産税の軽減の対象外
間取り面積には、需要とは別にもう一つの判断材料があります。新築住宅の不動産取得税には課税標準から1戸あたり1,200万円を控除する軽減があり、新築住宅の固定資産税には3年度分を2分の1にする減額がありますが、貸家の共同住宅では1戸の床面積が40㎡以上でないとどちらも対象外です。標準的な30㎡1LDKはこの要件を満たしません。6戸なら建物の取得税でおおよそ80〜110万円の差になります。ただし40㎡に広げれば建築費・家賃単価・戸数のバランスが変わるため、税だけを理由に間取りを決めるのは順番が逆です。単身需要に最適な設計を軸に置き、39㎡台の設計になったときだけ40㎡に乗せる調整を検討する、が判断の型です。計算の仕組みは投資用アパートの不動産取得税は経費にできる|中古は建物軽減NG・土地軽減と租税公課で当年全額【2027年3月期限・関西】で実額つきで解説しています。
🧱 7. 建築費の置き方――概算単価で固定し、変数を土地値に絞る
スクリーニング段階の建築費は、概算の単価で固定します。本記事では計算のために、建築費を仮に延床坪85万円(総額ベース)、30㎡1LDKなら1戸850万円前後と置きます。実際の見積は建築会社・仕様・時期で大きく変わるため、見積もりを取った段階で置き換えてください。物件ごとに建築費を変えると土地の比較ができなくなるため、ここを固定して土地値だけを動かすのが一貫方針です。
「総額ベース」とは、本体工事に加えて付帯(給排水引込・地盤改良の予備費・設計・確認申請)・外構の基本部分・諸経費まで含んだ金額です。広告の坪単価は本体のみのことが多く、総額は本体の1.2〜1.4倍になります。見積書の構造と読み方は新築木造アパートの建築費はいくら?見積書の読み方で詳しく掘り下げています。
建築会社の見積書には「土地が道路とフラットである前提」といった条件が付き、隣地境界ブロック・土留め・残土処分・受水槽やブースターポンプ・浄化槽・行政指導による仕様変更が「別途」として金額に含まれていないことがあります。傾斜地や高低差のある土地、境界ブロックが無い土地は、見積の外側で数百万円が乗ります。解体費・登記費用・不動産取得税・仲介手数料・融資手数料・火災保険も、建築の見積とは別に計上します。土地を見る段階で「フラットか・境界ブロックはあるか・本管は前面道路にあるか」を確認しておくと、この上振れの大半は避けられます。
🎯 8. 許容土地値の逆算――この土地にいくらまで出せるか
計算の順序は、①戸数を置く→②査定賃料×戸数×12=年間満室賃料→③延床×坪85万円+土地値+諸費用=総事業費→④表面利回り=年間賃料÷総事業費。この式を「土地値について解く」と、最も実務的な逆算式になります。
−(建築費 + 付帯 + 諸費用)
通しのサンプルで見ます。30㎡1LDK×6戸・3階建て、延床約60坪、建築費は60坪×85万円=約5,100万円。賃料はAI査定で1戸月7.5万円が取れる立地とすると、年間満室賃料は540万円。取得時の諸費用を約450万円と置きます。目標利回りごとの許容土地値は次のとおりです。
| 目標表面利回り | 総事業費の上限 | 許容土地値 | 35坪換算の坪単価 |
|---|---|---|---|
| 7.0% | 約7,710万円 | 約2,160万円 | 坪約62万円 |
| 7.5% | 7,200万円 | 約1,650万円 | 坪約47万円 |
| 8.0% | 6,750万円 | 約1,200万円 | 坪約34万円 |
目標利回りを0.5ポイント動かすだけで、土地の上限は数百万円動きます。売値が上限を超える土地は、①指値で埋まるか ②賃料の取れるエリアへ変えるか ③計画(戸数・間取り)の最適化で埋まるか ④目標利回りを置き直すか、のどれかを判断し、埋まらなければ撤退します。逆算は「買う判断」と同じくらい「買わない判断」を速くする道具です。
指値の感度も知っておきます。この商品では土地が総事業費の2〜3割しかないため、土地を10%値引いても表面利回りは0.2ポイントしか上がりません。利回りを決めているのは建築費と賃料なので、土地の指値に労力をかけるより、容積を使い切れる土地を選び、複数社で相見積もりを取るほうが効きます。
表面利回りは満室前提・経費ゼロの数字にすぎません。上のサンプルで土地を1,400万円(35坪・坪40万円)で仕込めた場合、総事業費は約6,950万円で表面約7.8%、運営費を家賃の20%引いた実質は約6.2%。借入9割・金利3.0%・30年なら年返済は約317万円で、税引前の手残りは年約115万円です。ここで1室空けば年90万円の家賃が飛び、手残りは25万円まで細ります。小規模ほど自己資金と運転資金に厚みが要る理由がこの数字です。
📐 9. 詳細ボリュームチェック――設計者への依頼と法規・条例の裏取り
机上でYESになった土地だけ、設計者に詳細ボリュームチェックを依頼します。実際に建つ形状・戸数・各戸専有・駐車台数・専有率を確定させる工程です。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 費用 | 設計事務所で5〜30万円(簡易版3〜10万円)。建築会社の無料版もある |
| 期間 | 2〜3週間 |
| 渡す資料 | 公図・測量図・住宅地図・役所調査メモ・登記情報・用途地域と高度地区・希望する住戸プラン(30㎡1LDK等)・駐車場の必要台数 |
| 判明する項目 | 実現戸数・専有率・駐車台数・概算工事費・「高さ10m以下に収まるか」 |
依頼先には、建築会社の無料ボリュームと、中立な設計事務所の有料ボリュームの2系統があります。無料版は自社で建てる前提のため、容積を最大化するバイアスがかかりがちです。本命の土地は中立な設計事務所に有料で依頼し、無料版は参考値として併用する使い分けを勧めます。容積を無理に消化すると上階が細り、貸しにくい部屋になります。専有率(延床に対する専有部の割合)は、外廊下型の小規模木造なら85〜90%が一つの目安です。
📏 高さ制限は6階層――最も厳しいものが上限になる
木造3階建て(高さ9.5〜11m程度)に効く可能性のある高さ制限を、根拠ごとに整理します。全部が同時にかかり、最も厳しいものが上限になります。
| 制限 | 根拠 | 木造3階建てへの影響 |
|---|---|---|
| 絶対高さ制限(10m・12m) | 建築基準法55条 | 低層住居専用地域と田園住居地域のみ。3階建ては日影規制も受けるためほぼ建たず、土地探しの段階で候補から外す |
| 道路斜線 | 56条1項1号 | 前面道路が狭いと3階の道路側が削られる。建物を後退させると緩和(56条2項)。木造3階では道路から1.5〜2m程度の後退がほぼ必須 |
| 高度地区 | 都市計画(58条) | 絶対高さと高度斜線の両方。内容は自治体ごとに異なり、天空率が使えない |
| 北側斜線 | 56条1項3号 | 低層住居専用・田園住居は5m+真北方向の距離×1.25、中高層住居専用は10m+距離×1.25(日影規制の指定区域は除外)。北側が道路なら道路の反対側の境界線から測るため、北道路の土地ほど北側を高く取れる。中高層住居専用地域なら高さ10mまでは北側斜線がかからず、高さ11mの3階建てでも北側境界から0.8m離せば収まる計算。大阪府条例69条・兵庫県条例2条の2がかかる区域では、中高層住居専用地域の容積率100〜300%の区域が日影規制の対象区域に指定されているため、北側斜線ではなく日影規制(高さ10m超が対象)で見る |
| 隣地斜線 | 56条1項2号 | 住居系は高さ20mからの斜線なので、木造3階建てにはほぼ効かない |
| 日影規制 | 56条の2・条例 | 中高層住居専用・第一種/第二種住居・準住居などは「高さ10m超」が対象で、高さ10m以下に収めると外れるため設計目標になる。低層住居専用・田園住居は、軒の高さ7m超か3階建て以上なら高さに関係なく対象 |
天空率(建築基準法56条7項)は道路斜線・隣地斜線・北側斜線には使えますが、高度地区の高さ制限と日影規制には使えません。土地を評価するとき、道路斜線は「なんとかなる可能性がある」制限、高度斜線は「絶対にかかる」制限として区別します。京都市は市街化区域の約95%(令和8年4月23日現在の都市計画総括表で95.3%)が高度地区で、最高限度が10mから31mまで6段階に分かれています。神戸市・大阪市も複数種類を指定しており、高度地区は土地チラシに書かれていないことも多いため、必ず都市計画情報で確認します。
➕ 増える方向の緩和――角地・共用部の不算入
制限だけでなく、指定値より大きく建てられる緩和もあります。角地は建ぺい率が10ポイント増え(特定行政庁の指定要件あり・建築基準法53条3項)、準防火地域で準耐火建築物等にするとさらに10ポイント増えます(第3章)。共同住宅の共用廊下・共用階段は容積率に算入されません(52条6項。ただし第3章のとおり、法27条の200㎡判定にはこの規定は使えません)。角地は道路斜線の緩和(施行令132条)も効き、全戸を角部屋にしやすい反面、幅員6m未満の道路の角には2mの隅切りが要ります(大阪府条例5条など)。防火指定は都市計画課か各自治体の都市計画図で確認します。同じ広さ・同じ価格の土地でも、指定が1段違うだけで建てられる構造と建築費が変わるため、許容土地値の逆算に入る前に必ず防火の指定を確かめてください。
🏯 関西の条例――接道の上乗せと、奈良県の隣地からの後退
「窓先空地」(住戸の窓の前に避難用の空地を求める規制)は東京都建築安全条例の制度です。関西で土地の足切りに効くのは、共同住宅の接道・長屋の敷地内通路・路地状部分の幅員の規定と、奈良県の隣地境界線からの後退です。共同住宅の接道4m・長屋の敷地内通路3m・路地状部分の幅員といった府県・政令市別の条文は第10章の早見表にあります。戸数に直接効くのは奈良県の後退規定なので、先に試算します。
奈良県の条例20条は、共同住宅(重ね建長屋を含む)の用途部分の床面積が200㎡以上なら、外壁を隣地境界線から2m以上離すことを求めています(開口部の無い側面などは50cm以上。県の手引きによる)。間口10m×奥行16.5mの50坪の整形地(道路は間口側)なら、両側と奥の隣地から2mずつ離すと、建てられる範囲は6m×14.5m=87㎡。建ぺい率60%で99㎡建てられるはずが87㎡に制限され、1フロア3戸(約100㎡)の9戸プランは入りません。両側面を無開口にすれば後退を50cmに減らせますが、居室の採光(建築基準法28条)が別にかかります。奈良の土地は坪単価で安く見えても、一種単価では割高になり得ます。条例は府県だけでなく政令市・中核市も独自に持つため、最終的には所管の建築指導課への確認が必須です。都市計画道路の予定地にかかる土地は原則2階建てまでしか許可されない(都市計画法53条・54条)点も、3階建て前提では計画が成り立たないため早めに確認します。
🛣️ 10. 接道で建てられる建物が決まる――4mなら共同住宅、3mなら長屋、2mなら戸建て
土地チラシの「接道」欄の幅と長さは、その土地に建てられる建物の種類をほぼ決めます。建築基準法43条1項が求めるのは「道路に2m以上接すること」だけですが、同条3項が府県や政令市に条例での上乗せを認めており、関西の条例は共同住宅に対して規模に応じて「道路に4m以上」を要求しています。一方、各戸が直接外に出る長屋は特殊建築物ではないため共同住宅の4mはかからず、各戸の出入口が道路か敷地内通路(大阪府・兵庫県は幅3m以上)に面することが求められます。接道の長さは原則として法の2mですが、神戸市は袋路状道路だけに接する延べ150㎡超の長屋(耐火・準耐火を除く)にも4mを求めています(市条例22条1項10号)。これが「4m・3m・2m」の正体です。
📐 建築基準法の原則と、条例が上乗せする仕組み
| 根拠 | 内容 | 土地選定への帰結 |
|---|---|---|
| 建築基準法43条1項 | 敷地は道路に2m以上接する(自動車専用道路を除く) | 戸建て・長屋の最低ライン |
| 同43条3項 | 特殊建築物・3階以上・延べ1,000㎡超・袋路状道路のみに接する150㎡超などについて、条例で接道の幅員・接する長さを付加できる | 共同住宅と3階建てが上乗せの対象になる |
| 同別表第一(二) | 共同住宅・寄宿舎・下宿は特殊建築物。長屋は掲載なし | 同じ戸数でも「共同住宅」と「長屋」で要件が変わる |
| 同42条2項・3項・6項 | 幅員4m未満の既存道は中心線から2m後退(崖・川・線路沿いは反対側から4mの一方後退)。1.35m以上への緩和や幅員1.8m未満の指定は建築審査会の同意が要る | 2項道路では有効面積が減り、容積・建ぺいの算定からも後退部分が外れる |
🗾 関西の府県・政令市別の早見表(木造・小規模の新築を前提)
同じ関西でも府県と政令市で条文が違います。大阪市内は大阪府条例が適用され、市条例には路地状敷地・長屋・共同住宅の接道規定はありません。神戸市は兵庫県条例の適用除外で独自条例、京都市も市条例です。
| 区域 | 共同住宅の接道(上乗せ) | 長屋の各戸出入口 | 路地状部分(旗竿の竿)の幅員 |
|---|---|---|---|
| 大阪府(大阪市を含む) | 規模を問わず道路に4m以上(府条例66条・7条10号) | 道路に面する。床面積300㎡以下または耐火・準耐火なら幅3m以上の敷地内通路でも可(300㎡以下は道路から35m以内)。桁行25m以内(府条例6条。耐火・準耐火なら桁行の制限なし) | 幅員そのものの規定はない。共同住宅は66条の4m、長屋は6条の3m通路で実質的に決まる |
| 兵庫県(神戸市を除く) | 用途部分200㎡超は道路に4m以上・1箇所で(県条例4条)。出入口と階段は道路に面するか、幅3m×奥行20m以内/幅4m×35m以内の通路(16条・耐火/準耐火は除外) | 延べ300㎡以下かつ桁行25m以下なら、幅3m×奥行20m以内/幅4m×35m以内の通路で可(26条。耐火・準耐火の長屋は対象外)。木造の重層長屋は2階まで。延べ200㎡未満+警報設備、準耐火等なら3階可(25条) | 幅員そのものの規定はない |
| 神戸市 | 道路に4m以上(市条例22条)。2階以下かつ延べ200㎡以下は対象外。路地状敷地の場合は竿幅2m以上・奥行20m以下。出入口は兵庫県と同じ3m×20m/4m×35mの通路(32条) | 兵庫県26条と同内容(45条)。耐火・準耐火でない長屋は路地状敷地(竿幅4m未満)に建てられない(43条の2)。袋路状道路のみに接し延べ150㎡超の長屋(耐火・準耐火を除く)は4m接道の対象(22条1項10号)。木造の長屋は重層かどうかを問わず2階まで。準耐火、告示194号の仕様、延べ200㎡未満+警報設備なら3階可(44条) | 小規模共同住宅は2m以上×奥行20m以下(22条) |
| 京都府・京都市・滋賀県・和歌山県 | 滋賀県・和歌山県は規模を問わず道路に4m以上(滋賀は3階建てなら用途を問わず4m以上)。京都府・京都市は路地状敷地に原則建てられず、例外は用途部分200㎡以内で竿幅4m以上・長さ20m以下 | 京都府は木造長屋を5戸以下・2階以下に限定(耐火・準耐火なら幅3m以上の通路)。滋賀県は2階以下かつ6戸以下または耐火・準耐火なら3m通路。和歌山県は長屋の出入口規定なし | 京都府は長さ20m以内→2m/35m以内→3m/35m超→4m。滋賀県は奥行10m以下→2m/20m以下→3m/20m超→4m |
この表から、30㎡×6戸(延べ約200㎡)や9戸(約300㎡)の木造3階建て共同住宅を建てるなら、表の府県・政令市では、実務上「4m以上の接道」が前提と読めます。大阪府・滋賀県・和歌山県は規模を問わず、兵庫県は200㎡超、神戸市は3階建てか200㎡超で対象になり、京都府・京都市は共同住宅を旗竿地に原則建てられないとしています。奈良県は、共同住宅などの路地状部分の幅員を、長さ10m以下なら3m、10m超なら4mとしており(県の手引きによる)、隣地境界からの後退規定も第9章の試算のとおり戸数に効きます。政令市・中核市は独自条例を持つため、最終確認は建築地を所管する建築指導課で行います。
兵庫県で200㎡以下の共同住宅は4m接道の対象外ですが、県条例16条の「屋外に直接通ずる主要な出入口と階段の昇降口は道路に面する」は残ります。旗竿地で竿の奥に建てると、出入口は道路に面しません。そこで幅3m以上(奥行20m以内)の敷地内通路が要る、という順番です。接道の長さだけを見て「2mあるから建つ」と判断すると、設計に入ってから出入口の規定で止まります。
🏠 長屋と共同住宅の分かれ目――共用の廊下・階段があるか
建築基準法には長屋の定義がなく、共同住宅か長屋かは特定行政庁の取扱いで決まります。長屋は法27条の対象外で、接道の上乗せも共同住宅とは別の形でかかるため、同じ戸数でも「長屋」と判定されるかどうかで建つ土地が変わります。
| 行政庁 | 長屋か共同住宅かの判断 |
|---|---|
| 大阪市 | 長屋は、廊下・階段などの共用部分を持たず、各住戸の主要な出入口が道路か有効幅3m以上の敷地内通路に面するもの。敷地内通路を住戸で共用しても長屋のまま。出入口が向かい合う通路は幅6m(建築基準法取扱い6-1〜6-3) |
| 堺市 | 共用の廊下・階段があれば共同住宅。ただし屋根のない廊下、手すり壁のない廊下などは共用部分とみなさない(共同住宅と長屋の判断について) |
| 京都市 | 廊下・階段・出入口などの共用部分のうち2つ以上を共用すると共同住宅(建築法令実務ハンドブック) |
重層長屋は、上下の階に別の世帯が入る長屋の一形態で、2階の住戸は専用の階段で直接外に出ます。上下階を1戸で使うメゾネットを並べた形とは別物です。兵庫県条例25条は「住戸又は住室の垂直方向に他の住戸又は住室の全部又は一部を有する長屋」と定義して木造の階数を制限し、大阪市の取扱い6-1(2026年4月版)は重層長屋を長屋の一形態として扱い、住戸間の床は界壁の規定と同等の仕様とすることが望ましいとしています。国土交通省の技術的助言(平成29年7月20日 国住指第1440号)は、戸建住宅と長屋はいずれも居住者が各住戸から直接または専用の階段で地上に避難できる構造なので避難規定上同じ扱いになっている、と説明したうえで、長屋の出入口の位置・路地状部分の幅員・戸数や階数を条例で強化している自治体が多いと整理しています。判定は自治体で違い、同じ図面でも市が変われば共同住宅になることがあるので、計画の最初に建築地の建築指導課で確かめます。
🏘️ 接道3mの土地は「長屋」で建てる――条件と限界
共同住宅が建たない間口3m台の土地でも、各戸が独立した玄関を持つ長屋(2階建ての重層長屋を含む)なら建てられる場合があります。根拠は上の表のとおりで、長屋には接道長さの上乗せがなく、代わりに「各戸の出入口が道路か幅3m以上の敷地内通路に面する」ことが求められます。旗竿地なら竿がその通路になるため、竿の幅が3m以上あれば長屋、4m以上あれば共同住宅、というのが大阪府・兵庫県での目安です。ただし条件があります。
- 規模の上限:3m通路で足りるのが延べ300㎡以下(兵庫・神戸は桁行25m以下も条件)に限られるのは、耐火・準耐火でない長屋です。大阪府は耐火・準耐火なら300㎡を超えても3m通路で可で桁行の制限もなく、兵庫県26条・神戸市45条は耐火・準耐火の長屋にはそもそも適用されません。大阪府は、耐火・準耐火でない長屋の桁行を、通路に関係なく25m以下に制限しています。30㎡×9戸=270㎡は木造でも入りますが、2階・3階の住戸の専用階段や玄関まわりの床面積を足すと上限に近づきます。
- 神戸市の旗竿地:神戸市では、耐火・準耐火でない長屋は路地状敷地(竿の幅が4m未満)に建てられません(市条例43条の2)。神戸市で竿の幅が4m未満の旗竿地に長屋を建てるなら、準耐火建築物以上が前提です。
- 階数:兵庫県25条は木造の重層長屋を原則2階までとし、延べ200㎡未満で警報設備を設けるか、準耐火構造等にすれば3階が可能です。神戸市は重層かどうかを問わず、柱かはりが木造の長屋を原則2階までとしており、3階にするには準耐火建築物にするか、準防火地域の木造3階建ての仕様(告示194号)にするか、延べ200㎡未満で警報設備を設けるかのいずれかが要ります(市条例44条)。3階建てで戸数を稼ぐ前提なら、準耐火のコストを最初から見込みます。
- 通路の奥行:兵庫県・神戸市は3m通路なら奥行20m以内、4mなら35m以内。大阪府は300㎡以下の長屋で道路から出入口まで35m以内。竿が長い旗竿地は、幅が足りても奥行で外れます。
建築費の面では、長屋は共用の階段室や廊下を持たない代わりに、2階・3階の住戸ごとに専用の階段が要ります。屋内に設ける専用階段は住戸の床面積に入り、共同住宅の共用廊下・階段のような容積率の不算入(建築基準法52条6項)もありません(外気に開放された屋外階段は、第3章の通達の条件を満たせば床面積に算入されません)。建築費が上がるか下がるかは建築会社と仕様で変わるため、ここでは第7章で仮置きした総額坪85万円を共同住宅の計算の前提とし、長屋は候補地ごとに見積を取ったうえで許容土地値を引き直す扱いにしています。共同住宅と長屋では消防設備や避難の要件が変わるため(界壁は施行令114条1項で、長屋・共同住宅とも準耐火構造で小屋裏・天井裏まで)、設計者に「この土地は共同住宅と長屋のどちらで何戸入るか」を最初に聞くのが早道です。


- 竿の幅が最小部分で3m以上あるか(門柱・電柱・越境物を除いた有効幅)
- 道路から各戸の出入口までが35m以内(兵庫は3m幅なら20m以内)に収まるか
- 延べ300㎡以下・桁行25m以下で何戸入るかを設計者に机上で出してもらう
検索条件で接道4m未満を一律に外すと、3m台の土地は最初から候補に残りません。安い土地には理由がある一方、その理由が「共同住宅が建たない」だけなら、長屋で成立する余地があります。
🚧 2項道路・私道――チラシの「接道」欄で確認する3点
接道の長さと幅を満たしていても、前面道路の種別で計画は変わります。
- 2項道路(幅員4m未満):中心線から2m後退した線が敷地境界とみなされ、後退部分は敷地面積から外れます(建築基準法42条2項)。道路の反対側が川・崖・線路なら反対側から4mの一方後退になり、削られる面積が倍になります。容積率の計算も後退後の4mで行います。
- 私道(位置指定道路・開発道路):建築基準法上の道路なら確認は取れますが、持分の有無と通行・掘削の承諾は別問題です。上下水道やガスの引込で他人名義の私道を掘る場合の承諾と、その承諾を次の所有者に承継する条項の有無は契約前に確認します。行き止まりの位置指定道路は延長35m以下が原則で、基準を満たさない古い道は位置指定を受けていない「通路」のことがあります。
- 公道でも道路でない場合:自動車専用道路は接道義務の道路から除かれ、河川や林道の管理用道路も建築基準法上の道路でないことがあります。道路管理課で「道路法の道路か」、建築指導課で「建築基準法42条のどの号か」を分けて確認します。
土地チラシの「公簿面積」と、セットバックや私道負担を除いた「有効面積」は別物です。後退部分が何㎡かは、買う段階で測量図に当たって確定させておきます。
🆘 43条2項2号(但し書き)の土地は原則外す
建築基準法上の道路に接していない土地でも、43条2項2号の許可を受ければ建築できる場合があります。ただし私道系の通路に面する共同住宅は簡易手続(同項1号の認定)の対象外で、許可には建築審査会の同意が要ります。包括同意基準の枠は特定行政庁ごとに違い、大阪府では共同住宅の敷地が許可の根拠の通路に4m以上接している必要もあります(府条例66条)。許可は建築物ごとで、道路になるわけではありません。出口で次の買主が同じ許可を取れる保証はなく、担保評価も道路に接する土地と同じにはならないため、土地から新築では許容土地値の計算に乗せません。既存建物を活かす再生投資での考え方は再建築不可物件は投資で買えるか|43条2項2号の許可・融資・担保評価・出口とボロ物件の3大リスクで扱っています。
チラシに「接道4m」とあっても、それが道路の幅員なのか敷地が道路に接する長さなのかは書き分けられていないことがあります。条例が見ているのは両方なので、2つの数字を分けて確認し、道路種別は建築指導課で、幅員の最小部分は現地の実測で裏を取ります(電柱・擁壁・門柱・越境物を除く)。
🚗 11. 駐車場――台数が客付けと戸数の両方を左右する
関西の郊外では、駐車場が無いと内見前に外されることがあります。判断材料は最寄り駅の徒歩分数・周辺の月極相場と空き・競合物件の駐車場の有無で、郊外の単身は1戸1台が基本、駅近・都市部は無し〜最小限でも成立します。
設計の核心は面積効率のトレードオフです。駐車場1台は通路込みで約5坪(軽で約4坪)必要で、専有30㎡(約9坪)の半分以上の床を圧迫します。35坪の敷地で4台取れば約20坪が駐車に消え、その面積に建てられたはずの戸数が機会損失になります。月極相場は郊外で月数千〜1万円台が中心で、駐車場代を別に取れても住戸ほどの坪収益は出ません。「駐車に取られる坪数×想定坪収益=機会損失」と「駐車場が無いことによる空室損」を比べて台数を決めるのが、戸数を削りすぎない設計です。図面上で「停められるが出せない」区画を作らないよう、間口・奥行と通路幅から出庫できる配置で確定します。
附置義務は誤解されがちで、6〜9戸は駐車場法系の附置義務も市のまちづくり条例の下限も下回ることが多く、台数は法の強制より客付けで決める場面が大半です(条例は都市計画課で確認)。税務では、1戸1台以上を確保して家賃に含めて貸すと消費税は非課税、家賃と別に駐車場使用料を取ると課税売上になります(国税庁タックスアンサーNo.6226)。
🧩 12. 狭小地・変形地・余剰地――安く仕込む代わりに設計で解く
整形地にこだわらないほど仕込みの幅が広がります。旗竿地・変形地は整形地より安く出やすい反面、重機や資材の搬入、足場、配管の引込で建築費が上がりやすい土地です。どれだけ安く、どれだけ割増になるかは土地と建築会社で変わるので、候補地ごとに見積で確かめます。相続税評価では、不整形地は不整形地補正で評価が下がります(財産評価基本通達20)。ただし第10章のとおり、大阪府では規模を問わず、兵庫県では用途部分200㎡超の共同住宅は道路に4m以上接する必要があり、間口4m未満の旗竿地には建ちません。竿の幅が3m以上あれば、各戸が直接外部に接する長屋(重層長屋)に用途を切り替えると建てられることがあります(神戸市では準耐火以上が前提。奈良県の2m後退規定は重ね建長屋も対象)。
間口ぎりぎりの土地では、境界からの離隔が戸数を決めます。民法234条1項は「建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない」と定め、違反すると隣地の所有者は建築の中止や変更を求められます(着手から1年経過後または完成後は損害賠償のみ)。この50cmは外壁面から測るというのが裁判例の考え方で、屋根や庇の先端から下ろした点ではありません。一方、建ぺい率や容積率の計算に使う建築面積・床面積は壁の中心線(壁芯)で算定します(建築基準法施行令2条1項2号・3号)。図面の建物幅が外寸なら「外寸+1.0m」、壁芯なら「壁芯+壁の厚み1枚分+1.0m」が、必要な敷地幅の目安になります。
例外もあります。建築基準法63条は、防火地域・準防火地域内の建築物で外壁が耐火構造のものは、外壁を隣地境界線に接して設けられると定めており、最高裁もこの規定について民法234条1項の適用が排除される旨を定めたものと判断しています。ただし条文は「耐火構造」限定で、準耐火構造では当たりません。この50cmは建築確認では審査されない点にも注意が要ります(最高裁は確認申請の審査基準を定めたものではないと述べています)。確認が下りたことは、隣地からの請求を防ぐ意味にはなりません。なお古い解説では旧65条と書かれていますが、条番号が繰り上がって現在は63条です。
差別化の本命が余剰地・既存建物付きのパターンです。既存戸建てや平屋を解体せず賃貸して家賃を取りつつ、余剰地に新築する形で、土地一つから収益源を二つ作れます。更地化すると住宅用地の固定資産税特例(200㎡以下は課税標準が6分の1)が外れて税負担が跳ねるため、「残して貸す」判断は税効率でも効きます。注意点は、再建築・分筆の可否、それぞれの接道、上下水の引き直し、確認申請上の扱い、住宅ローン(既存)と事業融資(新築)の切り分けで、ここを買付前に設計者・金融機関と詰めないと、新築側に融資が付かない・分筆できないという手戻りが起きます。
既存建物付きで解体する場合の費用は、木造で坪4万〜5万円(延床30坪の2階建てで約120万〜150万円)が目安です。アスベスト含有建材の調査・除去、残置物、重機が入らない場合の手壊し、地中埋設物で上振れし、解体後は滅失登記が要ります。見積の読み方は新築木造アパートの建築費はいくら?見積書の読み方で扱っています。
- プラン入れ前に「安いから」で買付(実際に入る戸数が読めていない)
- 整形地と同じ坪単価・工期で収支を組む
- 余剰地を更地化してから考える(固定資産税特例が外れる)
- 買付前にボリュームチェックで実戸数・駐車配置・接道条例を確認
- 建築費は候補地ごとの見積で割増と解体費を織り込んで逆算
- 既存は残して貸し、余剰地に新築(再建築・分筆・接道・融資の切り分けを先に確認)
🚫 13. 買ってはいけない土地――足切りの5象限
NG土地は①法規・インフラ ②自然災害・地盤 ③立地・市場 ④権利・近隣 ⑤物理コストの5象限で確認します。即NGは、接道が足りない土地・無道路地/市街化調整区域・低層住居専用地域・都市計画道路の予定地/土砂災害特別警戒区域と浸水想定が深い土地/検査済証のない高い擁壁・がけ条例該当/境界未確定で売主に確定測量の意思がない土地です。
⑤の物理コストは発覚すると利回りを直撃します。擁壁のやり替えは数百万〜1,000万円級、地盤改良は工法で数十万〜200万円前後、上下水道の引込は本管が遠いと数百万円。造成地・埋立地・水路の近く・盛土の上は軟弱地盤の可能性が高いエリアです。建物側の目利きはアパート投資で買ってはいけない物件10選、地盤は地盤改良の費用相場と併せてどうぞ。
🏛️ 14. 現地・役所調査――買う前の裏取り
机上でYES、詳細ボリュームでも手応えがあれば、現地と役所で裏を取ります。窓口ごとに聞く内容を決めておくと半日で回れます。
| 窓口 | 確認すること |
|---|---|
| 都市計画課 | 用途地域・建ぺい容積・防火指定・高度地区の種類と数値・日影の対象区域と時間・地区計画・都市計画道路・角地緩和の指定要件 |
| 建築指導課 | 道路種別・幅員・セットバック・共同住宅の接道要件(府県条例+市条例)・43条2項2号の要否・私道の持分と掘削承諾の要否・建築計画概要書の閲覧 |
| 上下水道課 | 本管位置・口径・私設管・加入金(口径で決まる定額)・受水槽の要否。3階建てで直結給水できるかは市ごとに基準が違い、直結を認める市と、3階以上は受水槽が原則という市がある |
| 教育委員会(文化財) | 周知の埋蔵文化財包蔵地に入っていないか。入っていれば着手の60日前までに届出(文化財保護法93条1項)。記録作成のための発掘調査を指示されることがあり、その費用は原因者負担が原則 |
| 防災・ハザード | 浸水・土砂・盛土規制法該当(重ねるハザードマップで事前確認) |
埋蔵文化財は工程にも費用にも効きます。周知の埋蔵文化財包蔵地で土木工事をする場合は着手の60日前までの届出が必要で(文化財保護法93条1項が92条1項を準用し「三十日前」を「六十日前」と読み替え)、窓口は市町村の教育委員会です。保護上必要と認められれば記録作成のための発掘調査を指示され(同条2項)、その調査が終わるまで工事に入れません。費用は開発事業者の負担が原則(文化庁次長通知・平成10年9月29日)で、自治体によっては個人が自分の住宅を建てる場合に補助を設けていることがありますが、賃貸の共同住宅は原則として原因者負担です。包蔵地かどうかは教育委員会で先に確認します。
建築計画概要書を閲覧すると、隣地が過去にどんな緩和を使って建てたかまで読めます。現地では間口・高低差・越境・電柱・ごみ集積所・時間帯別の日当たり・水はけを確認し、境界標を測量図と照合します。
💰 15. 資金繰り――総額より「手出しのピーク」を時系列で試算する
諸費用は定義を切り分けます。本体以外の付帯工事(給排水引込・地盤改良・外構など)が本体の概ね2割、登記・取得税・火災保険・融資手数料などの諸費用が総事業費の概ね5〜10%。自己資金は1割が最低ライン、総工費の3割前後を持てると計画が安定します。
小規模で最も見落とされるのが支払いの「手出しピーク」です。建築請負の支払いは、着工3割・上棟4割・完成3割の「3・4・3」、着工4割・上棟4割・引渡し2割の「4・4・2」、契約1割・着工3割・上棟3割・完成3割の4回払いなど会社ごとの規定で決まり、契約時の支払いがない会社もあれば、着工時にまとめて4割を求める会社もあります。土地決済の自己資金と着工金がほぼ同時期に重なると、一時的に大きな現金が必要になります。
| 時点 | 主な支払い(第8章のモデル:土地1,400万・建築5,100万・諸費用450万) | 自己資金の手出し(つなぎ融資前提) |
|---|---|---|
| 売買契約 | 手付(土地の5〜10%) | 70〜140万円 |
| 土地決済 | 土地代1,400万円+仲介手数料・登記 | 土地先行融資またはつなぎで大半を立替。総事業費と融資額の差額入金をこの直前に求められることがある |
| 着工・上棟 | 建築の着工金・中間金(3・4・3なら1,530万+2,040万円) | つなぎで立替。諸費用は手出し |
| 竣工決済 | 残金+登記・保険・取得税 | 本融資実行で精算。自己資金の最終手出し |
このモデルで借入9割(総事業費約6,950万円の9割=約6,255万円。第8章の返済試算と同じ前提)なら、ピークの手出しは総事業費と借入の差額の約700万円前後で、諸費用約450万円もこの中に含まれます。土地決済・各支払い・竣工決済を時系列に並べ、どの時点で自己資金がいくら必要かを着工前に確認してください。予備費を総額の数%計上し、事業計画を盛りすぎないことも、土地決済直前の差額入金に耐える条件です。融資設計はオーバーローン完全戦略、金融機関の選定は関西の不動産投資ローンを参照してください。
小規模の「割高」は発注方法で覆せます。同一仕様でも会社によって総額が数百万円単位で開くため、複数社で相見積もりを取る効果は戸数が少ないほど大きくなります。比較するときは本体・付帯・外構・地盤・設計・諸経費の区分まで揃え、「本体だけ安いが付帯で逆転」する見積を見抜きます。
🤝 16. 買付から契約へ――順序だけ押さえる
良い土地は流れます。順序は買付証明でグリップしてから融資を打診するのが基本で、買付には融資特約と「プラン通り建築可能であること」を条件として付します。売買契約・建築請負契約では見積内訳を分解し、支払条件と「着工」「上棟」の定義を確認します。融資・契約・建築・客付け・出口の全工程は土地から新築アパートの始め方と流れ、施工会社の信用調査は工務店の倒産の前兆と契約前チェックリストに集約しています。
✅ 17. 買付前のセルフチェック
- ☐ 1戸の広さ(30㎡か40㎡か)と戸数の下限を先に決め、面積の上限は切っていないか
- ☐ 採用容積率を「指定と前面道路×0.4(指定区域は0.6)の小さい方」で出したか
- ☐ 3階建てが成立する土地か(低層住専・都市計画道路・高度地区・防火地域を確認したか)
- ☐ 木三共か延べ200㎡未満ルートか、延焼ラインに入る窓の数と条例の上乗せを設計者と確認したか
- ☐ 賃料を複数のAI査定と町丁レベルの募集実数で保守的に置いたか
- ☐ 建築費を概算の坪単価で固定し、許容土地値を逆算したか
- ☐ 接道の幅員と長さを分けて実測し、共同住宅4m・長屋3m・奈良の2m後退の条例を役所で裏取りしたか
- ☐ 土地決済+着工金が重なる手出しピークを時系列で試算したか
→ 2つ以上「☐」が残るなら、まだ買付は早い
❓ よくある質問
Q1. 何戸のアパートを建てるのが良いですか?
A. 建築費は戸数を増やしても1戸あたりでは下がりにくいため、差がつくのは土地側です。2階建てにしかならない4戸は1戸あたりの敷地が5割以上多く必要で利回りが伸びにくく、3階建て同士の6戸と9戸は土地効率がほぼ同じです。戸数から決めるのは必要面積の下限(6戸110㎡・9戸165㎡)だけで、165㎡以上の土地が出たら9戸、110〜165㎡なら6戸と、土地に合わせて決めます。最後は融資枠とリスク許容度の問題です。
Q2. 目標利回りはどのくらいに置くべきですか?
A. 利回りは目標ではなく逆算の入力値として使います。第8章の式に目標値を入れると土地の上限価格が出るので、エリアの実勢と突き合わせて現実的な水準を探ります。当サイトの2026年8月の集計では、9戸・市区の中央値家賃で表面8%に届く土地の上限は兵庫で約2,250万円・大阪で約2,100万円で、尼崎・伊丹・八尾・東大阪では6戸でも9戸でも8%が成立しませんでした。表面から運営費を引いた実質では1.5ポイント前後沈む前提で、返済後の手残りまで確認してください。
Q3. 許容土地値はどう計算しますか?
A. 許容土地値=(年間賃料÷目標利回り)−(建築費+付帯+諸費用)です。建築費を概算の坪単価で固定し(本記事の計算例では総額坪85万円と仮置き)、年間満室賃料を目標利回りで割って総事業費の上限を出し、そこから建築費と諸費用を引いた残りが、その土地に出せる上限価格です。売値が上限を超えるなら、指値・エリア変更・計画の最適化・目標の置き直しのどれで埋まるかを判断します。
Q4. 狭小地・旗竿地や、接道3mの土地にもアパートは建てられますか?
A. 「3m」が前面道路の幅員なら、42条2項の道路であれば中心線から2m後退して建てられます(後退部分は敷地から外れ、容積率は幅員4mで計算)。敷地が道路に接する長さが3mなら、大阪府・滋賀県・和歌山県は規模を問わず、兵庫県は用途部分200㎡超、神戸市は3階建てか延べ200㎡超で、共同住宅は道路に4m以上接する必要があるため建ちません。京都府・京都市は路地状敷地の共同住宅を用途部分200㎡以内・竿幅4m以上・長さ20m以下に限っています。竿の幅が3m以上あれば長屋(重層長屋)に切り替える選択肢がありますが、耐火・準耐火でない長屋は大阪府・兵庫県・神戸市で延べ300㎡以下が3m通路の条件で(兵庫・神戸は桁行25m以下も条件。大阪府は通路に関係なく桁行25m以下)、神戸市では路地状敷地そのものに建てられません。建築費は候補地ごとに見積を取って割増を織り込み、扱いは建築地の建築指導課で確認してください。
Q5. 長屋と共同住宅の違いは何ですか?重層長屋とは?
A. 法律に定義はなく、行政の取扱いで決まります。大阪市では、廊下・階段などの共用部分を持たず、各住戸の主要な出入口が道路か幅3m以上の敷地内通路に面するものが長屋です。堺市は共用の廊下・階段があれば共同住宅と判断し、屋根や手すり壁のない廊下は共用部分とみなしません。京都市は廊下・階段・出入口のうち2つ以上を共用すると共同住宅と判断します。重層長屋は上下に別の世帯が入る長屋で、2階の住戸は専用階段で外に出ます。長屋は建築基準法27条の対象外ですが、防火地域・準防火地域の規制と界壁の規定はかかります。
Q6. 準防火地域に木造3階建てのアパートは建てられますか?
A. 建てられます。準防火地域の地上3階建ては、45分の準耐火建築物か準延焼防止建築物にすれば建築基準法61条を満たします。3階に住戸があるアパートは別に27条がかかり、木造なら1時間準耐火に避難上有効なバルコニー等と通路の条件を加えた木三共で建てるか、延べ200㎡未満にして警報設備を付け27条の対象から外します。防火地域は3階建てなら面積を問わず(2階建て以下でも延べ100㎡超なら)耐火建築物か延焼防止建築物が必要になり、木三共も使えないため、木造3階建てアパートの土地としてはほぼ外れます。
📝 18. まとめ――順番を守れば、土地探しは速くなる
アパート用地の探し方は、突き詰めると「この土地に、いくらまでなら出せるか」を素早く出す作業です。まず1戸の広さと戸数の下限を置いて必要な土地の広さを決め、賃料を町丁レベルの募集実数で保守的に査定し、建築費を概算の坪単価で固定する。ここまで決まれば、許容土地値=(年間賃料÷目標利回り)−(建築費+付帯+諸費用)という逆算式が、売値と突き合わせるだけで「進む/捨てる/保留」を出してくれます。
土地の見方にも順番があります。指定容積率より先に前面道路の幅員を見て実効容積率を出す。坪単価ではなく一種単価で比較する。「3階建てが載る土地か」を最初の足切り条件にし、防火地域は外し、準防火地域なら木三共か延べ200㎡未満ルートかを先に決め、共同住宅の接道4m(大阪府は規模を問わず、兵庫県は用途部分200㎡超)、長屋の敷地内通路、奈良県の隣地からの2m後退を必ず見る。2階建てにしかならない土地は、どれだけ坪単価が安く見えても1戸あたりの土地コストでは高い土地になりがちです。
📖 この記事の根拠(出典・参考)
- 建築基準法・同施行令(e-Gov法令検索):2条6号(延焼のおそれのある部分)/27条1項1号・2号・別表第一(3階を共同住宅に使う建築物の耐火・準耐火要件と、階数3・延べ200㎡未満の除外)/43条3項(条例による接道の付加)/52条2項・6項(前面道路幅員による容積率制限・共用廊下等の不算入)/53条3項・6項・8項(角地・防火の建ぺい率緩和)/55条・56条・56条の2・別表第4(絶対高さ・斜線・天空率・日影)/61条・65条(防火地域・準防火地域)/42条2項(2項道路)/施行令2条1項4号・110条・110条の4・110条の5・112条11項・13項・116条の2・126条の2・128条・132条・136条の2・144条の4
- 防火・木三共の告示:平成27年国土交通省告示255号と、その改正(令和7年告示998号の新旧対照表・2025年11月1日施行、火災抑制等建築物は告示996号)/令和2年国土交通省告示197号(延焼のおそれのある部分の角度による緩和)と技術的助言/令和元年告示194号(延焼防止建築物)/施行令112条11項・13項(竪穴区画)
- 長屋の判断:大阪市建築基準法取扱い6-1〜6-5(2026年4月版)/堺市共同住宅と長屋の判断について/京都市建築法令実務ハンドブック/神戸市建築物の安全性の確保等に関する条例43条の2・44条・45条/兵庫県建築基準条例25条(重層長屋の定義)/国土交通省「火災時等における大規模重層長屋の危険性とその対応について」(平成29年7月20日 国住指第1440号・国住街第73号)/施行令114条1項(長屋・共同住宅の界壁)
- 大阪市「前面道路幅員による容積率制限及び大阪市建築基準法施行条例にもとづく防火規制」(2026年8月19日更新)
- 都市計画法53条・54条(都市計画道路内の建築許可・階数2以下)/民法234条(境界線から50cm)(e-Gov)
- 国土交通省:2025年4月施行の建築基準法・建築物省エネ法改正(4号特例の縮小・省エネ基準適合義務化)/住生活基本計画(単身の最低居住面積水準25㎡)/不動産情報ライブラリ/ハザードマップポータル
- 関西の条例(原文確認):大阪府建築基準法施行条例5条・6条・45条の2・66条・69条/兵庫県建築基準条例及びその解説(令和7年4月1日版)4条・16条・25条・26条/神戸市建築物の安全性の確保等に関する条例22条・32条・45条/京都府建築基準法施行条例4条・5条・6条の2・8条/京都市建築基準条例5条・8条・9条/滋賀県建築基準条例3条〜7条・11条/和歌山県建築基準法施行条例6条/奈良県建築基準法の手引き(令和7年度版)の隣地境界からの後退/大阪市建築基準法取扱い6-1〜6-3(長屋の解釈・敷地内通路)
- 建築基準法27条・令110条の4・110条の5と令和元年国土交通省告示第198号(警報設備=自動火災報知設備等)/平成27年国土交通省告示第255号(いわゆる木三共の1時間準耐火・バルコニー・周囲3m通路・開口部)/令112条11項・13項(竪穴区画)・令126条の2(排煙)・令128条(敷地内通路)/消防法施行令21条(共同住宅の自動火災報知設備は延べ500㎡以上)/昭和61年建設省住指発第115号(外気に開放された廊下・屋外階段の床面積算入)
- 民法234条・236条(境界線から50cm)と建築基準法63条(防火・準防火地域で外壁が耐火構造なら境界に接して設置可。旧65条から条ずれ)、最高裁第三小法廷判決(民法234条1項の適用が排除される旨を定めたものと判断)/文化財保護法92条・93条・184条(周知の埋蔵文化財包蔵地は着手60日前までに届出、窓口は都道府県・市の教育委員会)と文化庁次長通知(平成10年9月29日 庁保記第75号・原因者負担)
- 国税庁:財産評価基準書(路線価図)/タックスアンサーNo.6226(住宅の貸付け・駐車場付き住宅の消費税)/耐用年数表(木造住宅用22年)。総務省「固定資産税」(新築住宅の3年度分2分の1減額・住宅用地特例6分の1)
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)2024年推計」(単独世帯 2020年38.0%→2050年44.3%)
- 当サイトの集計:SUUMO掲載の兵庫・大阪の売地9,439件(詳細2,362件)と募集賃料7,221件(2026年8月23日時点)。賃料・土地値は時点で変動するため、実行時は個別に再確認してください
- スマサテ/ポルティ(AI賃料査定)、アットホーム・SUUMO・楽待・健美家(土地・賃料の確認)
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関西の不動産投資家。賃貸経営の体験と、法令・公的機関の資料をもとに、税務・融資・賃貸経営・法人運営の実務ガイドを発信しています。


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