賃貸契約を解約し住んでいた部屋を明け渡しをする時には基本的には敷金が返還されます。
契約時に支払ったお金とは言えお金が戻ってくるのは嬉しい限りです。
そもそも敷金ってどんなお金なのか?
賃貸住宅を契約する場合、主に以下の2つの言葉が出てきます。
- 敷金
- 礼金
最近では少しでも初期費用を減らせるように(要するに入居者を獲得しやすくするために)敷金や礼金が不要な場合もありますが、一般的には入居時には敷金や礼金を支払います。
また敷金と同じような意味で「保証金」と言う言葉もあります。
契約内容によって言葉の定義は多少違うかもしれませんが、簡単に説明すると「支払いが滞ったりした時の担保金」にもなりますし、退去時に修繕など必要になった場合に相殺されるお金にもなります。
ちなみに礼金は家主に対して「部屋を貸してくれて有難う御座います」って意味合いのお金なので…無ければ無いに越したことは無いお金です。できる限り値切ってやりましょう。
インターネットで部屋を検索する時は「敷金・礼金込みの金額」で物件を探すこともできますし、「敷金無し」や「礼金無し」の条件で物件を探すこともできます。
逆にお金を請求される事もある
しかし、余りに使い方が汚かったり、壁や床が破損されている場合は敷金が戻ってくるどころか逆に損害金を請求されることもあります。
入居時に支払った敷金の金額内で相殺できる場合は戻ってくるはずの敷金が減ってしまうだけですが、破損した箇所が事前に支払っていた敷金の金額を超えている場合は、追加で修繕費用を請求されることもあります。
国土交通省のガイドラインをベースに考える
「汚い」や「破損」の基準は国土交通省のガイドラインがベースとなります。
万が一、損害金が発生した場合でも、その責任範囲・請求金額の妥当性について、一般的な基準を設定したモノです。
平成10年3月に取りまとめられましたが、その後平成16年2月と平成23年8月に過去の裁判結果の事例やQ&A追加などの改定が行われてきました。
入居者や賃貸会社など賃貸借契約の当事者間での決まりもあるかもしれませんが、基本的にはこのガイドラインがベースとなります。
入居者側としても役に立つ情報になる
全て理解するのは難しいですが、こういうものがあるってことを知っておくと、敷金が思ったより戻ってこなかった時や、予想以上に高額の費用を請求された時に交渉する武器になるかもしれませんよ。
ちなみにガイドラインの位置付けなどについてはこちらのサイトに分かりやすく書かれていました。
原状回復は借りた時の状態に戻すことではない?
一般的には入居者が退去する時は家具・家電及び個人での設置物は取り外して退去しますよね。
要するに元の状態に戻す訳です。
これを「原状回復」と言いますが、原状回復とは賃借人が部屋を借りた当時の状態に戻して出て行くと言う意味ではありません。
僕たちの住む住宅は例外無く消耗品です。
扉を開けたり家具のレイアウトを帰ると床が傷ついたり損傷しますし、必要に応じて壁に画鋲を挿すことだってありますよね。
これは「自然損耗」として扱われます。また、壁のクロスや畳などは、どれだけ丁寧に扱っても年数の経過と共に劣化しますし、色も変わるかもしれません。
これを「経年変化」と言います。
このような人間が普通に生活していて発生してしまう劣化の修繕費用については月々の賃貸料に含まれるため、退去時の請求対象にはなりません。
清掃やクリーニングも基本的には家主負担となります。
だけど、本来やるべき通常の掃除を怠りカビを発生させてしまった場合や、明らかな不注意による損傷の場合は善管注意義務に違反したとして、損害賠償の請求対象になることがあります。
入居期間によって負担率は変わる
また、普通に生活している入居者なら入居期間が1年の場合と10年の場合では、10年住んだ場合が劣化・損傷が大きくなるはずです。
それなのに10年住んでくれた方に対して、多額の請求をするのは不平等です。
なので退去後の部屋の状況が同じでも、入居期間により負担割合は変わり、このようなこともある程度ガイダンスにて定められています。
請求する側の目線で考えると…
最後に修繕費用を請求する側、つまり家主側の目線で考えてみます。
これは若干複雑な心境ではあるのですが…
入居者の方が綺麗に使ってくれた場合、クリーニングなどを含めた修繕費用は少ない金額で収まります。
これはとても嬉しい事なのですが、この場合入居者の方からに負担頂くお金はほとんど(または全く)請求できないです。
と言う事はクリーニングや修繕費用は全て家主負担になります。当然と言えば当然の話ですね。
一方、入居者の方がかなり汚い使い方をされていた場合は修繕費用は多めに掛かってしまいますが、その分、退去時に修繕のための費用をきちんと頂くことになるため、むしろ家主側の負担は小さくなることがあります。
勿論、退去者が請求金額に納得せずに支払いが行われなかった場合や支払い期間が遅くなってしまった(徴収するための時間・コストが大きくなる)場合もあるかもしれないので、綺麗に使って頂けるに越したことは無いのですが、もし適切な修繕費用を頂くことができれば、あくまで損得勘定で考えると退去時の部屋の状態が悪い方が家主個人としての出費は減るのかもしれません。
結局はトラブルが無いことが一番良い
部屋を綺麗に保ち追加の修繕費用が掛からないように注意する方が請求する側としても支払う側としても一番気持ち良く処理を進められます。
自分のお金を守るためにも少しでも多く敷金が返還されるような暮らし方を目指したいですね。
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