やっぱり難易度が高い?投資対象としてのシェアハウスについて考えてみました

不動産市場

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個人でモノを保有する時代から、それぞれがモノを共有(シェアリング)する時代になってきました。シェアリングエコノミーと呼ばれる言葉も生まれ、乗り物や住居、家具、家電などさまざまなものがシェアされています。

特に最近では以下のようなものについてのシェアが比較的実用化されているような気がします。

  • シェアハウス
  • 民泊、Airbnb(エアビーアンドビー)
  • シェアオフィス、レンタススペース、会議室
  • カーシェアリング

その中でも、もっとも歴史が長くメジャーなシェアリングの仕組みとしてシェアハウス(ルームシェアリング)があります。

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シェアハウスの特徴は

シェアハウスとは複数の入居者が一つの建物の中で一緒に生活をするための共同住宅です。

自分の部屋(個室)の他にリビング、台所、浴室などを入居者同士で共有することになります。

自分だけの時間を過ごすプライベート空間とその他の入居者と一緒に過ごすオープンなパブリック空間を持ち合わせています。

入居者側としては主に以下のどちらか(またはその両方)を見据えてシェアハウスと選択しているような気がします。

  • 区分マンションと比べて賃料が安い
  • 既に家具家電が備え付けられていることもあるため初期費用を抑えられる
  • 入居者同士で交流を楽しみたい

ちなみにシェアハウスの数は2015年の時点で約3,000件程で、そのうち7割程が東京に集中しておりますが、ここ数年は全国的にも急激に件数が伸びてきているようです。

また、最近だと共通の趣味を持った入居者同士で住めるようなシェアハウスもあります。

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シェアハウス運営のメリット

入居者側からすると何となく楽しそうな雰囲気のあるシェアハウスですが、不動産経営として運営する側(家主側)としてどのようなメリットおよびデメリットがあるのか調べてみました。

一部屋辺りのコストを軽減できる

多くの設備を共有できるため一般のワンルームと比べるとコストが掛かりません。そのため各種備品などの購入費用や経年劣化や破損時などの修繕費用を抑えることができます。

中でも老朽化の早い水回り(お風呂、トイレ、水道など)の設備の数が抑えることができるのは大きなメリットです。

多くのシェアハウスでは、入居前から家具や家電が備え付けられていることも多いです。

ただ共有して利用する備品については入居者全員の人数分を準備する必要が無いため、購入コストや保管スペースなどを軽減することができます。

勿論、共有する備品については(初期の)購入コストや保管スペースについては節約できるものの、利用者が多いためその分だけ利用量も多くなります。そのため1人(または少人数)で使用し続けるものに比べると備品(例えば洗濯機や電子レンジなど)の寿命が短くなるため買い替えのサイクルは早くなってしまいますが、その辺りを考慮したとしてもやはり一人に対して一つずつの備品を準備することに比べると、かなりの節約に繋がりますね。

空室リスクを分散できる

入居者一人辺りからの賃料は低いですが、上手く運用することでトータルとしては利回りの高い不動産運用が期待できますし、仮に一つの部屋で空室が出た場合も経営に与えるインパクトが小さく、リスク分散の観点から考えても効果的な仕組みになっています。

この点についてはシェアハウスに限らず一棟物件などでも同じことが言えますね。

ただ、一棟物件の場合はどうしても部屋(区分)ごとに入居者を確保するため、入居者を一人確保するための手間は区分所有同様、結構大きな負担になります。それに比べてシェアハウスの場合は、入居者が新たに住むための準備として個室の清掃(クリーニング)等は必要になるものの、共用スペースについては大きな修復は必要ありません。つまり修復範囲(面積)を局所化できるため、より早いサイクルで入居付けを行うことができます。

人気のシェアハウスの場合、午前中に前の入居者が退去し、午後から新たな入居者が住み始めると言うこともあるそうですが、一棟物件(区分所有)の場合はどうしても数日間の準備期間が必要になるはずです。

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 シェアハウス運営のデメリット

一方、一般的な区分マンションと比べてデメリットもあります。

初期費用が高額になり借り入れのリスクが増える

まず最初に購入費用が高額なことです。

区分マンションの場合は部屋ごとに所有者が異なる場合が多いですが、シェアハウスの場合は一棟を丸ごと所有することになるためどうしても購入費用が高額になってしまいます。

金融機関からの融資も困難

また、金融機関からの評価が得られないことも多く、銀行などから融資を受けることが困難になることもあります。

金融機関からの融資が付きにくいと言うことは、同様に買手がつかない(買いたくても融資を受けられない)ため、売却時にも苦労する可能性があり、一般的な区分マンションと比べ出口戦略が大切です。

場合によっては更地にして売却したり土地の広さ次第では戸建て物件に建て替えるようにより一層明確なイメージが必要になります。

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かぼちゃの馬車問題を振り返る

シェアハウスについて今年(2018年)に入ってからの一番の大きな話題は何と言っても「かぼちゃの馬車」の問題です。

本来であれば物件に対して一定の評価が付かないと金融機関からの融資は難しいはずですが、「かぼちゃの馬車」の問題では、適切に物件の価値を評価せずにスルガ銀行などの金融機関が簡単に融資を行ってしまったために、さまざまなトラブルになっています。

「かぼちゃの馬車」の問題については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

「かぼちゃの馬車」問題で考える 〜甘い言葉の罠に騙されない最低限の知識〜
今年(2018年)に話題になった「かぼちゃの馬車」問題をうけて自分の投資判断や被害に遭わないための考え方を見つめ直してみました。今後、賃貸経営を検討している人にも役に立つ情報です。
「かぼちゃの馬車」問題で考える誤った投資物件購入後の対策は?
今話題になっている「かぼちゃの馬車」の問題を受けて「物件の購入後、もしも想定外の自体が起こり正常な不動産経営を継続できない場合、どのような対策があるか?」について考えてみました。
賃貸経営者なら絶対に覚えておきたい!スルガ銀行スキームの利用法!
スルガ銀行は不動産投資の世界で最も有名な金融機関です。貸出金利は4.5%と高めですが、融資枠が大きく審査機関も短いため、上手く活用することで保有資産の拡大にとても効果的です。

一極集中のリスクをどう考えるか?

シェアハウス一棟レベルで考えると入居者数が多いだけ仮に空室が出たとしてもリスク分散ができます。

ただしもう少し広い視野で考えると一極集中のリスクも考慮する必要があります。

物理的には一つの物件であるため、地域全体が衰退したり災害(地震や津波など)や液状化などの問題が起こった場合には区分所有と比べると影響範囲が大きくなります。

結局は確率論ではありますが、地域の将来性や災害規模や頻度などの事前調査が大切になります。

※勿論、区分マンションのような小規模経営でも事前調査は必要ですが。

地震のリスク?液状化の仕組みと被害に遭わないための備えについて
液状化現象とは地震の揺れにより地面が液体状になってしまう現象のことです。地下水位が浅く地盤が緩い地域で発生することが多く、建物の資産価値や安全性に大きな影響を与えます。

想定外の改築費用が掛かるケースも…

最初からシェアハウスを想定して建築された建物であればそれを想定した上で設計が勧められるため特に問題はありませんが、元々は戸建て住宅だったスペースなどをシェアハウス化する場合は、消防法や旅館業方などの基準が異なるため、それぞれのルールを適応しなければ法律違反(脱法ハウス)となってしまいます。

建築基準法の動向把握が大切

2013年には国(国土交通省)の規制も強化され、その結果、建築基準法上は「寄宿舎」として登記登録する必要があります。「寄宿舎」として登記登録をする場合は当然その基準をクリアする必要があり、これらの問題点を放置したまま運営を続けると行政指導などの処置を受けてしまう可能性も出てきます。

また対金融機関として考えた際も、適切な登記登録はしていない場合は物件の評価にも影響してしまうため融資を受けることが難しくなります。これも上記で記載した「シェアハウスに融資がにくい」理由の一つになります。

法令遵守に掛かるコスト

シェアハウスの運営費用については賃貸経営を円滑にすすめるための物理的な改築費用が掛かるだけでは無く、建築基準法などの法令遵守のためのコストも意外と掛かってしまうため、物件購入後の資金計画についても認識に抜け漏れが無いかなどさまざまな課題を考慮する必要があります。

人間関係のトラブルも起こる

同じ共同空間の中で他人同士が共同生活を行うため、入居者間のトラブルはつきものです。

そのためさまざまな面において管理の複雑化が予想されるため、区分マンションなどと比べると管理会社を探す際も条件によっては断られてしまう可能性があります。また、一般的な賃貸物件と比べると当然管理委託料も割高になってしまいます。区分マンションの管理委託料が5%〜10%なのに対してシェアハウスの管理委託料は20%〜30%程とかなり割高になってしまいます。

考え方次第ではありますが、逆に自主管理にて運営できるような専業大家で場合はその分の委託料が不要になるため、利回りが高い分だけ高い利益が期待できます。

ただその分、一部の迷惑な入居者が原因となって近隣トラブルになったり、最悪、他の入居者が退去してしまっては賃貸(売上げ)に直結するようなそれなにの苦労はあると思います。

最低限の規則や生活におけるルールを設けることで入居者間同士のトラブルを軽減することができそうですが、最近の傾向としては敢えて(トラブルに繋がりやすそうな)リビングやダイニングのような共有スペースを無くしている物件も多いです。

入居者目線で考えるとせっかくシェアハウスに住んでいるのにちょっと寂しいような気もしますが、家主側としては設備を揃えたり管理するコストを減らせられる上に、入居スペース(入居可能な人数)も確保できるため経済合理性だけで考えると悪くない判断かもしれませんね。

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シェアハウス運営はより事業性の高い経営

これらの理由から考えると一般的なワンルームマンションと比べるとより事業的な位置づけになります。

上記でも述べた通り、自主管理で自分なりの事業方針を持って試行錯誤を試していけるのであればとても面白い事業だと思います。ただ管理会社に割高な管理委託料を支払って運営をするに高額な初期費用を投入し大きなリスクを負う程のリターンは無いような気もします。

 

区分マンションでも税金や最低限の法律などについて理解する必要がありますが、シェアハウスを運営する場合はそれ以上の(特に建築基準法などの法律関係の)知識が必要になります。

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最後に個人的な感想

シェアハウスの経営にはさまざまな要因が含まれるため、正直、不動産事業としての難易度はかなり高いように思いますが、ただ「かぼちゃの馬車」の話題を耳にしたり、今回の記事を書いたりする中でシェアハウスについても少し興味が湧いてきました。

近い将来、機会があれば(もしくは機会を作って)、入居者としてシェアハウスに住んでみたいと思いました。

 


この記事は2018年04月11日に日刊不動産投資Libraryにて転載させていただきました。

投資対象としてのシェアハウスについて考えてみました〜不動産投資ライフ
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