平均入居率が信用できない理由をどこよりも詳しく徹底解説します

販売会社

この記事を読むのに必要な時間は約 8 分 46 秒です。

賃貸経営をする上で管理会社の役割はとても重要です。

全ての業務を自分(自社)で対応している専業の自主管理大家であれば管理会社(他社)に業務を委託することもありませんが、会社員のように、普段、柔軟な対応が困難な兼業大家からすれば管理会社のパフォーマンスがそのまま経営成績に直結します。

  • これから賃貸経営を始めたい初心者の人
  • 不動産会社の平均入居率に疑問を持っている人
  • 正しい平均入居率を見極めたい人
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賃貸管理会社を選ぶポイント

賃貸管理会社の業務内容としては主に以下のようなものが含まれます。

  • 入居者の募集と契約手続き
  • 更新手続き
  • 解約手続き
  • 家賃徴収業務
  • 入居者クレーム対応

どれも重要な業務ですが、中でも入居者を募集する業務はその根幹であり、その大きな判断基準の一つが「平均入居率」です。

販売会社系列の賃貸管理会社

投資用物件を新たに購入する場合は、販売会社から紹介される賃貸管理会社に業務を委託するケースがほとんどです。

規模が大きな会社では自社の子会社やグループ会社と自動的に契約する事もあります。

この場合、わざわざ賃貸管理会社を選ばなくても良いことは嬉しい限りです。

ですが、空室が続いたり家賃の値下げ要求が繰り返されると他の管理会社を検討したくなるものです。

なお、賃貸管理会社の役割や業務内容についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

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平均入居率とは?

良くインターネットやセミナーなどで自社の管理物件(または販売物件)の平均入居率を公開していることがあります。

僕の肌感覚としては、95%~98%程が多いような気がします。

この平均入居率が90%を下回ると少し不安感を与えてしまいそうですね。

賃貸経営をすると入居者を確保できるか心配だなぁ…

弊社の物件は平均入居率は98%ですよ。

平均入居率が98%なら、ほとんど空室は出ないから安心なのかな?

だけど、日本の空き家問題も話題になっているし、本当にそんな入居率を維持できるのだろうか???

過去最高の空き家率を更新

総務省が5年ごとに実施している住宅や土地に関する調査では日本の空き家率が継続的に伸び続けていることが分かります。

直近の2014年7月に発表された調査結果の内容は以下の通りです。

  • 総住宅数…6,063万戸
  • 総世帯数…5,246世帯戸
  • 空き家数…820万戸
  • 空き家率…13.5%

全国の空き家率が13.5%であれば、平均入居率は86.5%程になります。

そう考えると平均入居率90%はそれ程悪くない入居率なのでしょうか?

平均入居率の定義は

そもそも平均入居率はどのようにして算出されるのでしょうか。

一般的に平均入居率とは、主に「区分マンション」「アパート」「戸建て」のような賃貸物件ごとに一定期間(例えば1年間)を通してどの程度、入居者で埋まっているか?を数値化したものです。

つまり、先程の「全国の平均入居率」と「賃貸管理会社などが公開している平均入居率」は少し意味合いが違うことが分かります。

  • 全国の平均入居率
    • ある特定の時期に全国の全ての物件(賃貸物件やマイホームを含む)が入居者や所有者で埋まっているか?埋まっていないか?の割合
  • 賃貸管理会社などが公開している平均入居率
    • ある特定の期間に自社が取り扱っている賃貸物件に対して、入居者が埋まっているか?埋まっていないか?の割合

ちなみに、全国の平均入居率は、田舎や人口減少傾向にある地域の物件、または空き家などによって全体数を押し下げられているため、地域ごとに大きな差が出てきます。

なので「全国の平均入居率」と「賃貸管理会社などが公開している平均入居率」は全く別の数字であると考えるべきであり、これらの入居率を比較しても、ほとんど意味は無いと言えます。

空室の定義は

「空室」の定義もしっかりと理解しておく必要があります。

家主側と賃貸管理会社とで空室に対する解釈が違うこともあります。

  • 家主側からした空室期間
    • 家賃収入が発生していない期間
  • 賃貸管理会社からした空室期間
    • 入居者が住んでいない期間
    • つまり清掃期間やフリーレント期間は空室に含んでいない

正確には「解釈が違う」のでは無く、賃貸管理会社が「都合の良いように解釈している振りをしている」訳なのですが…

平均入居期間の重要性

「平均入居率」とあわせて覚えておきたいキーワードに「平均入居期間」があります。

平均入居期間とは「入居者ごとの入居から退去までの期間」のことです。

この期間が短ければその分、修繕費用や入居者募集の費用が掛かるため、賃貸経営を圧迫することになります。

例えば、一人暮らしをターゲットとしたワンルームマンションなどの場合は、ファミリー層と比べて、気軽に引っ越しが可能であるため、平均入居率は3年〜4年程と比較的短くなる傾向になります。

空室期間は平均で1ヶ月

また、もう一つ重要な事実として「現在の入居者が退去後、次の入居者が入居するまでの期間は、仮に入居者募集がスムーズにいったとしても平均で1ヶ月程は掛かってしまう」ことも覚えておく必要があります。

例えすぐに次の入居希望者が見つかったとしても、部屋の修繕や賃貸契約の他、入居希望者の都合などを踏まえると、平均で1ヶ月程は覚悟しておくべきです。

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賃貸管理会社の平均入居率は嘘?

まず前提として、販売会社や賃貸管理会社が公開している平均入居率には法的に明確な定義がされておらず、各賃貸管理会社ごとに独自の(と言うより都合の良い)基準で算出しています。

それでは販売管理会社や賃貸管理会社はどのような算出方法ともとに、自社にとって都合の良いいい加減な入居率を叩き出しているのでしょうか。

戸数を基準とした平均入居率の算出

ある特定の日に空室が何件あるかで平均入居率を算出方法です。

例えば区分数50戸のワンルームマンションにおいて、4/1のタイミングで1室だけ空室で残りの49戸が埋まっていた場合、以下のような計算ができます。

  • 49戸÷50戸✕100=98.0%

この計算をものに「この物件の平均入居率は98%です」と宣伝できます。

ですが、例え4/1のタイミングでは空室は1室だけだったとしても、5月〜8月辺りのオフシーズンでは、空室はもっと増えているかもしれません。仮に空室が5室で残りの45室が埋まっている場合だと、平均入居率は90%になります。

つまり、販売会社や賃貸管理会社が「過去1年間の間で一番入居率が高かった日の情報」をもとに宣伝したとしても「厳密には嘘では無い」と言える訳ですが、実際にそんな情報は何の役にも立ちません。

なお、繁忙期とオフシーズンでの賃貸経営に与える影響の違いについてはこちらで詳しく説明しています。

特定期間を基準とした平均入居率の算出

特定期間の間で空室期間が何日あるかによって平均入居率を算出する方法です。

例えば、2015年1月1日〜2015年12月31日まで365日間で入居者の入れ替わりが一度も無ければ、当然、平均入居率は100%になります。

  • 365日÷365日✕100=100%

ですが、先程もお伝えした通り、空室期間は最低でも1ヶ月程は覚悟しておくべきです。そのため、一度、入居者の入れ替わりが発生すると、最低でも30日間は空室期間になるため、入居期間は335日になり、平均入居率は一気に91.7%にまで落ちてしまいます。

  • 335日÷365日✕100=91.7%

そして、この結果を踏まえると「1戸の住宅(区分マンション)で年間入居率が98%になることは、ほぼありえない」ことが分かります。例えば、この計算方法で98%の入居率を算出するためには空室期間を7日以内にして、残りの358日の入居期間を確保する必要がありますが、入居者入れ替わりによる空室期間を7日以内に抑えることは、一部の例外的なパターンを除いて難しいです。

「絶対に無理!」とまでは言えませんが、運良く偶然が重なるようなケースを除き、1戸の住宅(区分マンション)で年間入居率98%を実現することは難しく再現性も低いため「自社の物件ごとの平均入居率が98%」という広告は、少し疑った方が良いです。

より悪質な平均入居率の算出方法

これまで説明してきた平均入居率は、やや現実的では無いものもありますが、一応、一定の算出根拠を満たしています。

ですが、より悪質な平均入居率の算出方法もあります。

例えば以下のような方法が考えられます。

  • 月単位で可動統計を計算し1日でも入居すればその月は稼働月としてカウントする
  • サブリース(一括借り上げシステム)物件を全て入居者ありとしてカウントする
  • フリーレント(一定期間、賃料を免除する)物件として無理やり入居者を確保する

注意点としては、どこの賃貸管理会社も「平均入居率の具体的な算出方法を明記していない」ということです。

「平均入居率は○○%です」と伝えられた場合は、その数字だけを評価するのでは無く「具体的な算出方法」を確認しなければ、全く意味がないと言えます。

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正しい平均入居率の算出方法は

それでは妥当性のある平均入居率の計算方法はあるのでしょうか?

平均入居率の明確な定義が無い以上「この方法が正しい」と断言することはできませんが、以下の2つのポイントを考慮すると、かなり信憑性の高い数値が算出できると思います。

  • マンション、アパートごとの、全ての部屋を算出対象とする
  • 平均入居率を考慮した適切な調査期間をもとに算出する

全ての部屋を算出対象とする

分譲マンションなどの場合、部屋ごとに大きな差別化を図ることは中々難しいです。

例えば「同じ間取り」「同じ階数」「同じ賃料」「同じ仲介手数料」のように、ほぼ同じような条件の物件、101号室と102号室があった場合、どちらに入居者が付くかはほぼ運の問題です。であるにも関わらず、入居者付に成功した物件と入居者付けできなかった物件では空室率に大きな差が出てきます。

なので、マンションやアパートのような集合住宅の場合、特定の部屋だけで平均入居率を評価するのでは無く、マンションやアパートごとの全ての部屋を算出対象にしなければ意味のある入居率とは言えません。

平均入居期間をもとに調査期間を決める

入居者の入れ替わりが発生すると、すぐに次の入居希望者が見つかったとしても、平均的な空室期間は1ヶ月程掛かってしまいます。

つまり、調査対象期間は1年では不十分であると言えます。

例えば、平均入居期間が4年のワンルームマンションでその間で1ヶ月(30日)間だけ空室期間が発生した場合、4年間の平均入居率は97.9%になります。

  • 対象期間…365日✕4年間+閏年(1日)=1461日
  • 入居期間…1461日ー30日=1431日
  • 1431日÷1461日✕100=97.9%

このような算出方法だと、比較的妥当性の高い平均入居率だと言えるはずです。

なお、マンションやアパートごとの全ての部屋を算出対象にしているのであれば、調査対象期間は1年でも十分かもしれませんが、区分マンションのうち1部屋だけを評価するには、1年間では短すぎます。

対象物件と対象期間の両方が大切

適切な調査対象物件を定義しても、調査対象期間に偏りがあれば意味がありません。

同様に、調査対象期間が適切でも一部の物件だけを対象に分析しても意味がありません。

両方大切な訳です。

つまり「適切な調査対象物件をもとに適切な調査対象期間内で平均入居率を算出する」必要があります。

現実問題として、どこまで適切な情報を提供してもらえるかは提供元の賃貸管理会社により違いますが、可能な限り、その根拠となる算出方法を理解して利回りを計算しなければ、絵に描いた餅です。

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