投資用投資をする上で金融機関からの融資条件はとても大切なポイントになります。
なぜなら、せっかく良い物件を見つけたとしても、融資をしてくれる金融機関がいなければ、物件を購入することはできないからです。
融資条件はとても大切
数千万円〜数億円の頭金を準備できるようなお金持ちであれば、現金で購入できるかもしれませんが、多くの人は、それ程の資金をすぐに準備することは難しいため、金融機関から融資を受けることになります。
ちなみに、皆さんは、物件を選ぶ時、どのようなことを考えますか?
例えば以下のようなことで、いろいろと悩むんだと思います。
安定した利回りが確保できるだろうか?
こちらの物件の方が将来高く売れるのではないかな?
一方で、金融機関からの融資条件については、余り意識していないのでは無いでしょうか?
ただ、融資の条件によっては以下のような違いが出てきます。
- 融資が下りないとそもそも物件が購入できない
- 物件の返済総額が変わる
- 月々の返済額が変わる
- 団体信用保険の内容が変わる
勿論、どの物件をいくらで購入するかは不動産経営を進める上で最も大切なことです。ですが、どのような条件で融資を受けるかも、実はとても大切な要素の一つです。
なお団体信用保険についてはこちらの記事でとても詳しく説明していますので、是非、あわせて読んで頂ければと思います。
「良い条件」の融資を見極める
それでは良い条件の融資とはどのような融資でしょうか?
皆さんは融資を受ける際、どのようなことを考えられますか?例えば以下のようなことを意識するのではないでしょうか?
返済総額を抑えるために少しでも安い金利で借りたい。
キャッシュフローを確保するためになるべく長期間での融資を受けたい。
融資条件を判断する基準としては主に以下のような項目がポイントになります。
- 貸出金利
- 貸出期間
- 貸出割合
- 貸出基準
これらの意味や考え方についてもう少し詳しく解説してみます。
貸出金利は安ければ安い程良い
まずは貸出金利です。2018年現在、ジャックスやオリックス銀行のような一般的な投資用マンションローンの場合は1%後半〜2%程だと思います。
一方、スルガ銀行のような比較的高金利の金融機関の場合は4.5%程になります。
勿論、貸出金利は安ければ安い程良い条件だと言えます。
まずは自分の属性や信用度などを踏まえて、少しでも安い貸出金利の融資を探すことになります。
貸出期間はキャッシュフローを大きく左右する
貸出期間は融資を受けた資金を返済するまでの期間で、特に貸出期間が長期の場合は35年程になることが多いです。
貸出期間を長くすれば、その分、月々の返済額を抑えることができます。月々の返済額を抑えることができれば、その分、キャッシュフローが確保しやすくなります。
逆に返済期間を短くすると月々の返済負担は大きくなってしまいますが、その分、返済総額を抑えることができます。また当然ですが、返済期間が短いと、その分、ローン完済までの期間が短くなるため、少しでも早くローンを完済し精神的に安心したいという方には合っているのかもしれません。
貸出期間が長い場合のメリット
貸出期間が長い場合のメリットは以下の通りです。
- 月々の返済額を抑えられる
- キャッシュフローを確保しやすい
貸出期間が長い場合、月々の返済額を抑えられるため、キャッシュフローが確保しやすくなります。ただ、その半面、返済総額は大きくなってしまいます。
返済期間が短い場合のメリット
返済期間が短い場合のメリットは以下の通りです。
- 返済総額を抑えることができる
- 完済までの期間が短くなる
返済期間が短い場合、返済総額を抑えることができますし、完済までの期間も短くすることができますが、その分、月々の返済額が増えてしまうため、生活を圧迫しないように配慮しなければいけません。
自分に合った返済期間を考える
一般的に、賃貸経営をおこなう上で重要とされるのは安定したキャッシュフローを出し続けることと言われます。そのため、返済期間は基本的には長い方が良いと言われますが、考え方次第では短い方が好まれる場合もあります。
また、物件をどんどん増やしていくことを想定している場合、借入総額や月々の返済額によって次の融資条件に影響を与える可能性があるので、その辺りも考慮した返済計画を立てる必要があります。
貸出割合は多ければ多い程良い?
どんどんと資産拡大を目指すためには借入可能額を大きくできるような工夫が必要です。
物件価格の全額を融資によってまかなうフルローンや、物件価格以外の初期費用なども含めて融資を受けるようなオーバーローンと聞くと、とてもリスクが高いようなイメージがありますが、「その投資対象は正しいのか?」「自分はどこまでリスクをおえるのか?」を冷静に考える必要があります。
フルローンやオーバーローンについての考え方は以下の記事でもう少し詳しく説明しています。
「信用度」で貸出条件は大きく左右する
金融機関によって評価基準はさまざまですが、属性や信用度には主に以下のようなものが含まれます。
- 職業および勤続年数
- 年収
- 年齢
- 対象の融資を受ける前の借入金の総額
- 物件自体の収益性
- これまでの投資実績
誰だって良い条件で融資を融資を受けたいのは当然のことですが、金融機関の立場から見た「自分の信用度」を踏まえた上で少しでも良い条件を目指したいですね。
金融機関の特徴を把握する
残念ながら、全ての人にとってベストと言える金融機関は存在しません。
融資を受ける側(または購入対象の物件自体)の評価によって融資条件は変わりますし、所有物件の規模の拡大を目指す場合には、多少、貸出金利が高かったとしても、より積極的な融資をおこなってくれる金融機関を探すこともあります。
貸出金利が最も低い大手金融機関
貸出金利の低い金融機関はいわゆる大手の金融機関で、主に以下のような金融機関が含まれます。
- 都市銀行
- 地方銀行
- 信用金庫
一般的に、都市銀行や地方銀行のような金融機関は金利が低く、融資上限の金額もある程度大きいですが、評価方法が厳しいため利用できる物件が限られてしまいます。
そのため、基本的な考え方としては、その他の金融機関と平行して融資調整を進めていくようになるはずです。
不動産投資の借入先としてもっとも有名な4つの金融機関
不動産投資の世界で最も有名な金融機関は以下の4つの金融機関だと言われます。
- スルガ銀行
- 静岡銀行
- オリックス銀行
- 日本政策金融公庫(公庫)
それぞれ特徴があるので、金融機関ごとに簡単に説明したいと思います。
スルガ銀行
スルガ銀行は1棟物件を中心に不動産投資用のマンションローンを融資している金融機関です。
物件に対する評価が高い一方、貸出金利が4.5%と、他の金融機関を比較してもかなりの高金利であることが特徴です。
スルガ銀行については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。
静岡銀行
スルガ銀行と並んで、不動産投資では有名な銀行で、静岡県に本店をがある地方銀行です。
貸出金利は3%台とやや高めですが、最長で35年の融資期間を設定できるため、安定したキャッシュフローを目指すにはオススメの金融機関です。
オリックス銀行
貸出金利が1%台〜2%台なので、スルガ銀行や静岡銀行に比べると、かなり低金利での融資が可能です。ただ、融資対象となる物件の大半は新築物件や築浅物件となり、対象エリアも首都圏や一部の都心に限られるようです。
オリックス銀行については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。
日本政策金融公庫(公庫)
公的機関ということもあり、貸出金利は1%台ともっとも低いです。
また上記の金融機関が求める属性として年収500万円〜700万円であることに対して、日本政策金融公庫の場合は300万円と属性に対する条件が緩いことも魅力です。
日本政策金融公庫については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。
自分の属性を客観的に把握しよう
金融機関によってどの属性を優先するかは微妙に異なりますが、各金融機関から見た一般的な評価としてはやはりある程度の基準があります。
職業によっても評価が変わる
一般的に高属性と呼ばれる医師や弁護士などは、融資を受ける上ではかなり有利です。
また公務員や有名な企業の会社員なども属性的には比較的良い印象を与えられます。また同じ年収としても転職して入社してからの期間が短いよりも、入社期間が長い方がより安定感があると考えられる場合も多いようです。
中小企業の経営者や個人事業主については、公務員や会社員などよりも低評価となります。中にや医者や弁護士以上の収入を得ている人も沢山いますが、安定感を評価基準とした場合は、残念ながら会社員よりも低評価となってしまいます。
もし会社員の方が転職や独立などを考えている場合は、退職する前に今の属性を最大限に活用して融資先を探すのも有効かもしれません。退職した後だと、融資先を探すのに予想以上に苦労してしまうかもしれません。
年収によっても融資条件は違う
属性を評価する際、職業と同じように、年収も大切なポイントになります。
金融機関としても融資をするのに一定の貸し倒れリスクを負うことになるので、年収が少ない人よりも年収が多い人の方が良い条件での融資が受けやすいです。
年収が700万円以上ある場合は都市銀行や地方銀行などから、比較的、低金利で融資を受けられる可能性もありますが、500万円を下回ると、選択できる金融機関も限られてくるかもしれません。
ただ、上記でもご説明した通り、日本政策金融公庫であれば年収が300万円程でも融資を受けられる可能性も十分にあります。
個人の属性以外に融資条件を左右するものは?
個人の属性以外に融資の条件として大切なものとしては以下のようなものが考えられます。
購入対象物件の担保評価
不動産経営は事業として判断されるため、対象の物件がちゃんと想定した通りの収益を確保できるかが客観的に評価されます。逆に金融機関からの評価が担保できないような物件は収益物件として何か問題があると疑うべきかもしれません。
自己資金や保有資産があると有利になる
その他にも頭金として準備できる自己資金や保有資産(不動産、株式、預貯金など)によっても個人の属性をカバーすることができます。
投資家としての資質も問われる
既に物件を所有しており賃貸経営の実績がある場合は、収支のバランスやこれまでの成果など、投資家としての資質を評価されることもあります。個人の属性が良くて充実した資産を保有していても、これまでの賃貸経営が失敗続きである場合は融資が不利になる可能性があります。
人間性は意外と見られている?
そして最後に意外と大切なのは、その人の人間性です。具体的には以下のようなものが考えられます。
- 手続きに支障をきたさないように連絡が取れる
- 必要な書類を期日内に提出する
- 人として最低限のマナーを持っている
個人の人間性なんで、事業をする上では余り関係無いような気がするかもしれませんが、金融機関の担当者は意外と人間性も見ているようです。
タイミングや運によって変わることもある
職業や年収、保有資産などの情報はあくまで一般的な評価基準です。
金融機関によっては個人の属性に重みを置いて評価するところもあれば、個人の属性では無く購入対象の物件に対して評価をするところもありません。
また、融資の基準にはタイミングや運の問題もあります。金融機関側としても年度ごとに予算や目標があるため、たまたまそのタイミングに融資を依頼すれば運良く融資を受けることができるかもしれません。
金融機関の融資基準や評価方法については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。
繰り上げ返済や借り換えも有効
不動産投資は物件を購入したら終わりでは無いように、金融機関からの借り入れも借りたら終わりではありません。
滞りなく返済することは大前提ですが、繰り上げ返済や借り換えを上手く活用することで、返済を楽にしたり返済総額を抑えることに繋がるかもしれません。
自分にあった金融機関はずっと一緒じゃない
自分にとってベストな金融機関は常に一緒とは限りません。
保有資産の規模や自己資金額によって、どの金融機関を利用するかは変わるはずです。
まだ融資額がほとんど無く、比較的融資が受けやすいタイミングでスルガ銀行からお金を借りる必要は無いと思いますが、もう「もうこれ以上は都市銀行や地方銀行では借りられないけど、どうしても手に入れたい高い利回りを期待できる物件がある」と言う時には一つの選択肢として有効だと思います。
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