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投資や起業など、今までやったことが無いことにチャレンジするには勇気がいります。
未知の世界に一歩踏み出す場合、分からないことが多過ぎて不安になります。
その理由の一つは不確実な要素が増えてくるからだと思います。
不確実な要素が増えてくると、その分、リスクが大きくなります。
今回は不動産経営を始める上での有名な3つのリスクを細かくご説明し、どのような準備が必要かを考えたいと思います。
リスクの定義が変わってきている?
投資や起業にはリスクがあると言われます。
リスクとは何でしょうか?
本来「リスク」とは「不確実性」を意味します。
なので、金融商品などで考えると「資産が減ってしまう」ことでは無く「資産が増えること」も含まれます。もう少し具体的いうと「資産が増える可能性〜資産が減ってしまう可能性の振り幅」のことだと考えられます。
ただし、一般的に「リスク」と聞くと以下のようなイメージが思い浮かぶと思います。
- やり方を間違えると危険な自体に落ちいてしまう
- 失敗すると大きな損失をこうむる
- 想定通りにことが進まないことへの不安
今回はこの一般的にイメージされているリスクについて、どのような解決策があるか考えてみます。
今と昔とでは「当たり前」が違う?
一昔までだと、多額の初期投資を投入して不動産の経営をしたり、相場の変動が大きいと言われる株式投資に手を出すことはリスクがあると言われていました。
経営が上手くいかなかったら膨大な借金が残ってしまいますし、リーマンショックなどの時のように株価が暴落してしまうと、投資したお金が回収できなくなってしまうからです。
つまりリスクを避けるためには投資などには手を出さず、無難にコツコツ貯金をすることが一番有効でした。銀行の定期預金の利子もある程度あったため、お金はコツコツ貯金するのがもっとも堅実で安全な方法でした。
ですが、2012年頃からはアベノミクスによるさまざまな政策により、インフレ(インフレーション)によって物価が上昇していくと予想されています。
物価が上昇していくにも関わらず、資産の多くを全く利子の付かない銀行預金などに預けておくのはとてももったいないことであり、よっぽどリスクのある選択だと言えます。
お金は増えないにも関わらず、そのお金で購入できるモノが減ってしまうからです。
インフレ時代になると貯金をするより借金をしてでも投資をする方が有利になります。
「インフレ」と「貯金」と「借金」の関係性については以下の記事でもう少し詳しく説明しているので、是非、あわせて読んで頂ければと思います。
防衛策と考えてやっていたことが、逆にリスクを招いてしまっている訳です。
不動産投資にもリスクがある!
ただし、勿論、不動産投資にも大きなリスクが沢山あります。
不動産投資は一般的には数十年と言うとても長い期間を掛けて継続して運用する投資です。
また、投資金額も文字通り桁違いです。なので、株式投資や投資信託などと比べるとリスクが目立ってしまいます。
日本では以下のリスクのことを「不動産の3大リスク」と言います。
- 空室リスク
- 老朽化リスク
- 金利変動リスク
ちなみに海外の不動産投資では「夜逃げ」や「人間関係のトラブル」なども想定されるリスクとして上位に挙げられますが、今回は日本の不動産投資に限るとこの3つが大きなリスクと言われています。
一番の不安は空室リスク
不動産投資を行う時、一番頭を悩ますのは空室リスクです。
先程は「不動産の3大リスク」という言い方をしましたが、正直、日本では空室のリスクさえ回避できれば不動産経営は成功したも同然です。
人口減少により空室率が増える?
日本は今後、人口の減少に伴い空室率が高くなる事が予想されています。
っと言うより、既に人口の減少は進んでいて空室率も高くなってしまっています。これから先はさらに急激にこの傾向が大きくなります。
また2020年からは日本の総人口だけでは無く「世帯数」も減っていくと予想されています。
より影響を受けにくい地域を検討する
ただ世帯数で考えると一人暮らし世帯は、そこまで人口減少の影響を受けません。また地域によっても人口の推移は変わるので、東京圏・名古屋圏・関西圏のような、将来的にも比較的人口を維持できる(減少したとしても緩やかに減少する)ような地域をターゲットにすると空率リスクは最小限に回避する事が出来ます。
例えば関西圏で人口の維持が期待できる地域としては、主に以下のようなエリアです。
- 大阪府大阪市
- 中央区、北区、西区、天王寺区、鶴見区、浪速区、淀川区
- 兵庫県神戸市、西宮市、尼崎市
- 京都府京都市
関西の人気の地域としてはオフィス街や大学などの近くが多く、安定した人口増加(人口維持)が見込めます。
将来の老朽化に備えた準備が必要
資産価値を維持するためにしっかりメンテナンスをする事で、最近は100年以上もつ物件もあると言われております。
計画的な修繕工事がポイント
定期的な修繕計画があり、それに必要な修繕積立金を準備して適切な修繕工事ができれば、より長い期間、建物を維持できるはずです。なお、大規模修繕工事についてはこちらの記事でとても詳しく解説しています。是非、あわせて読んで頂ければと思います。
また倒壊のリスクを少しでも軽減するために新耐震基準の物件を購入することも大切です。
建物の老朽化よりも地域の活性化が大切
また建物自体の老朽化と同じように街自体が老朽化しない事も大切です。
むしろ街自体が老朽化し治安が悪くなってしまったりゴーストタウンになってしまう方が個人の力ではなかなか手の打ち用が無いため個人的にはよっぽど大きなリスクに感じます。
将来的にも活性化し続けれるような街を選びたいですね。
金利が高くなると返済負担が増大する
空室リスク、老朽化リスクなどと比べるとそれほど大きいリスクではありませんが、投資用物件を購入する場合、金融機関から融資を受けることになります。
金利の種類を理解しよう
金融機関から融資を受ける場合、金利の種類は大きく3種類に分けられます。
- 固定金利型
- 変動金利型
- 固定金利選択型
基本的にはもっとも金利の低い変動金利型を選択することになりますが、将来の金利上昇が心配であれば固定金利型を選択すればローン返済額が一定になります。なお、それぞれの金利の特徴についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
将来的に金利は上昇傾向?
金利については2015年〜2016年頃は史上最低の低金利時代と言われていました。2019年の時点では少し金利が上がってきていますが、それでもまで十分に低金利時代です。
つまり、今後、返済途中で金利が上がる可能性が極めて高いです。なので、金利が上がっても安心して十分支払いを維持できるような返済計画が必要であり、そのためには金利が上がる仕組みや金利上昇の上限などを正しく理解しておかないといけません。
ローン返済は前倒しで支払う事で返済期間を早める事は出来ますが「今月は出費が多く厳しいので返済を少なめにして欲しい」と言う事は基本的に出来ません(出来たとしても信頼を無くしてしまいます。)
対策をすればリスクは怖くない
一般的に言われるリスクはいくつかありますが、やっぱり個人が物件の購入を検討する場合は皆さん一人一人に不安や心配がありますよね。
リスクに対する4つの対策
それでもリスクにはそれぞれ対策があります。例えば賃貸経営の場合、次のような対策が考えられます。
- リスク回避
- 金利上昇に備えて現金による一括購入する
- リスク低減(リスク最適化)
- 老朽化に備えて修繕積立金を準備する
- すぐに入居者が見つかるような立地の物件を購入する
- 震災に備えて新耐震基準の物件を購入する
- リスク転移(リスク共有)
- 空室による損失に備えサブリース契約を結ぶ
- 火事に備えて火災保険に加入する
- リスク保有
- 地震発生の可能性が低い地域なので地震保険には加入しない
結果はすぐには分からない
ただ普通の会社員が数百万もの大金を動かすと言う事はやはり大きな出来事であり僕も最初に投資用物件の購入を決めた時も「この営業(販売会社)は大丈夫なんだろうか」とか「この書類に印鑑を押して本当に良いのだろうかぁ」などと土壇場になり迷っていました。
購入時の判断が正しかったかどうかを数十年先にならないと分かりませんが、それでも少し前向きに考える事が出来れば数十年後、自分の資産形成に少し違いが出ているかもしれませんね。
失敗から逃げないために
これは投資に限った話では無く、損することを心配していてはなかなか行動できなくなってしまいます。仮に成功が見込めるような契約でも「損してはいけない」を基準にすると少しハードルが高すぎます。
あくまで考え方の問題ですが、例えば「損をする可能性もゼロではないが許容できるレベル」だったり「500万円以内だったら不測の事態が起きても大丈夫」など少しハードルを下げれば良いと思います。
また一つの物件にだけ焦点を当てて考えるととても窮屈な考え方になってしまいますが、複数物件を保有するようになると「この物件としては多少リスクがあっても残りの物件と相殺するとむしろリスクヘッジになる」と考えるようになるかもしれませんし、より広いリスク分散の観点で考えると「不動産投資だけで必ず勝たないといけない」状況では無く資産運用全体で考えれるようになります。
勿論、不動産経営をする以上、不動産投資だけで勝つにべきですが。
「失敗の定義」は人それぞれ違いますが、細かい勝ち負けにこだわり過ぎずに「仮に負けても次は改善しよう」と考える人の方が、全体的には大きな成功を手にしているように思います。
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