株式優待がタダで貰える?クロス取引の魅力と注意点について

雑記
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株式投資で儲けることのの醍醐味は安く購入して高く売却することです。

また、売買益に加えて配当金や株主優待などが手に入れば、その分の儲けを含めて評価することができます。

今回は株主優待を、ほぼリスク無しで手に入れることができる「クロス取引」について、処理の流れや注意点などをまとめてみました。

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株主優待をタダで手に入ることなんてできるの?

株主優待とは株式銘柄を発行した企業が株式銘柄を保有している株主に対して、自社の製品や商品券などを与える優待制度のことです。

それでは、株式優待を手に入れるためには、一体どの程度の期間、対象の銘柄を保有する必要があるでしょうか?

権利確定日に株を所有しよう

実は株式優待を手に入れるためには特定の期間、株式銘柄を保有する必要はありません。

権利確定日と呼ばれる株主優待の権利を得ることができるタイミングに株式を保有していれば良いだけです。

そのため、株式投資や株主優待に興味があり、この事実を知っている人ならば、一度はこのように考えたことがあるのでは無いでしょうか?

権利確定日の直前に対象となる株式銘柄を購入したら良いのではないか?

権利が確定した直後に売却したら最小限のリスクで株主優待を取得することができるはず!

ただ、このような考え方は、上手いやり方のようにも思えますが、残念ながらそう簡単にはいきそうにありません。

もしあなたがそのように考えるのであれば、当然他の人も同じようなことを考えるはずですよね。

権利確定日は株価が上がる傾向がある

実は権利確定日の直前は、一時的に株価が値上がりする傾向があります。

なので「権利確定日の直前に対象の銘柄を購入し株式銘柄取得の権利が確定した直後に銘柄を売却する」ということをすれば、仮に株式優待を手に入れられたとしても、株価の値下がりでそれ以上に損失を出してしまう可能性が高い訳です。

誰だった同じようなことを考えるため、中々抜け駆けは難しいものです。

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クロス取引に専門知識は必要なのか?

ただし、上記の方法は考え方自体はそんなに悪くはありません。

この考え方にもう一工夫加えると、株主優待を限りなくゼロに近いリスクで取得することができます。

それがクロス取引です。

まず大前提としてクロス取引には株式投資を行う上で必要となる「ファンダメンタルズ分析」や「チャート分析」などの専門知識は、一切、必要ありません。

勿論、企業の業績や景気の動向なども一切把握する必要もありません。

先程、「経理確定日の直前は株価が上昇する傾向にある」とお伝えしましたが、クロス取引をする場合、株価が上がろうが下がろうが関係ないのです。

手順とポイントさえ押さえることができれば、株式投資の未経験者でも問題無くチャレンジできる方法です。

ちなみにクロス取引は「空売り」や「つなぎ売り」と呼ばれることもあります。

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クロス取引の2つのポイント

クロス取引を理解する上で重要になるのが以下の2つのポイントです。

  • 権利付最終日のタイミング
  • 信用取引の仕組み

それぞれのポイントについてもう少し詳しく説明します。

これらの仕組みを理解するとクロス取引の具体的な方法がイメージしやすくなります。

権利確定日と権利付最終日

繰り返しになりますが、権利確定日とは株主優待を取得する株主の権利が確定する日のことです。

銘柄ごとに権利確定日は異なりますが、基本的には月末が多く、中でも決算日などの都合上、「3月末」や「9月末」が権利確定日である企業が多いです。

また同じような意味合いの言葉に「権利付最終日」と呼ばれるものがあります。

権利付最終日はその日に株式を保有していることで株主名簿に名前が登録されることで株主優待を取得するための権利を証明することになります。

要するに株式優待を手に入れるためには権利付最終日に株式を保有し株式名簿に名前が登録されている必要がある訳です。

ちなみに権利付最終日は権利確定日の4営業日前です。

4日前では無くて4営業日前なので月末に土日祝日がある場合は計算がずれないように注意が必要です。

権利付最終日を正しくチェックすることが大切です。

株式購入の簡単な仕組み

クロス取引きのもう一つのポイントとして信用取引を理解する必要があります。

ただ、いきなり信用取引の説明をしても少し分かりにくいかもしれないので一般的な取引内容である買い注文や売り注文を中心に簡単に説明したいと思います。

買い注文と売り注文の基本的な流れ

株式売買の取引の際には以下の項目を決める必要があります。

  • どの銘柄を売買するのか?
  • 何株売買するのか?
  • 売買方法(成り行き注文 or 指値注文)はどうするのか?
  • 注文の期限はいつまでなのか?

利益を出すためには「株式銘柄を安く購入して高く売却する」ことによる売買益を狙うことになります。

例えば100,000円で購入(買い注文)した株が110,000円で売却(売り注文)することができれば10,000円の利益になります。

  • 株式銘柄の購入金額…100,000円
  • 株式銘柄の売却金額…110,000円
  • 売買益…10,000円

厳密には株式銘柄の販売手数料や配当所得に掛かる税金などが必要になるため、別途費用が発生しますが、大まかに説明するとこのようなイメージになります。

勿論、株式銘柄の売却金額が購入金額よりも下がってしまった場合はその分、損失が発生してしまいます。

信用取引は株式銘柄を保有していなくても売り注文ができる

一方、信用取引は上記の売り注文を株式銘柄を保有していない状態で行うことです。

保有していなくても取引ができてしまうため自分の資産以上のお金を動かすことも可能です。このことからも信用取引はハイリスク・ハイリターンと言えます。

100,000円で信用取引(売り注文)した株が90,000円で買い戻す(買い注文)することができれば10,000円の利益になります。

  • 株式銘柄の売却金額…100,000円
  • 株式銘柄の購入金額…90,000円
  • 売買益…10,000円

信用取引の場合は売却時よりも株価が下がればその分が利益になります。

信用取引には事前準備が必要

株式取引のするためには売買をするために利用したい証券会社に口座を開設する必要があります。以下のような流れになります。

  1. 証券会社に総合口座を開設する
  2. 口座に株式購入のための資金を振り込む
  3. 口座に準備した資金を使って株式銘柄を購入する

一方、信用取引をする場合は信用取引用の口座を別途開設する必要があります。

信用取引用の口座開設については証券会社ごとにさまざまだと思いますが、信用取引は一般の株式売買に比べてリスクが大きい分、資産状況や投資経験などのいくつかのポイントをもとに審査が行われます。

信用取引をするためには信用取引用の口座を開設する必要があり、その審査の手続きには一定の時間が掛かってしまうため、クロス取引をする場合には前もって事前に準備をしておく必要があります。

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クロス取引の具体的な手順

それではクロス取引の具体的な方法について説明します。

これまでにお伝えした通り、まず前提として以下の条件が満たせている必要があります。

  • 証券会社に総合口座が開設されていること
  • 証券会社に信用取引用の口座が開設されていること

そしてクロス取引をするタイミングは以下の通りとなります。

  • 権利付最終日の前営業日の株式市場の取引時間終了後から翌営業日の開始前まで

これらの条件がそろえばクロス取引を進めることができます。

取引手順は以下の6ステップとなります。

  1. 証券会社のサイトにログインする
  2. 対象の株式銘柄を買い注文する
  3. 対象の株式銘柄を売り注文(信用取引)する
  4. 権利付最終日を迎える事で買い注文と売り注文が確定する
  5. 権利付最終日の取引時間終了後に現渡の注文をする
  6. 権利付最終日の翌営業日に現渡し注文が確定する

6ステップのうち、「対象の株式銘柄を買い注文する」のと「対象の株式銘柄を売り注文(信用取引)する」のは順番が逆になっても大丈夫です。ただし最初のうちはイメージをつかみやすくするためにも上記の順番通りに処理を進めることをオススメします。

証券会社のサイトにログインする

まずは権利付最終日の前営業日の株式市場の取引時間終了後から権利付最終日までの間の時間帯に証券会社のサイトにログインします。

株式取引のできる時間帯は以下の通りの通りです。

  • 前場…平日の朝9時から11時30分まで
  • 後場…平日の昼12時30分から15時まで

なので実際に処理を行うのは権利付最終日の前営業日の15時から権利付最終日の9時までの時間帯になります。

買い注文と売り注文(信用取引)を連続して処理する

その後、株式銘柄の買い注文と売り注文(信用取引)を連続して行います。

先程お伝えした通り、これらの順番はどちらが先でも良いのですが、慣れるまでは買い注文の後に売り注文(信用取引)をした方がイメージしやすいと思います。

仮に対象の株式銘柄を100株購入した場合は、必ず同じ100株を売却する必要があります。そうすることで次に説明する「現渡」によりそれぞれの株式銘柄を相殺することができます。

そして翌日(経理付最終日)にこの処理が確定することによって「対象の銘柄を保有しすぐに売却した」と言う記録が残ります。つまり株主優待を手に入れる権利を得たことになります。

現渡の注文をする

上記で少し触れた通り、現渡しとは購入した株式銘柄と売却した株式銘柄を相殺する処理のことです。

買い注文と売り注文を処理しただけであれば「株式を購入した状態」と「株式を信用売りした状態」が残ってしまいますので、これらの状態をクリアするようなイメージですね。

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クロス取引の注意点

冒頭で「クロス取引はリスクが無い」と説明しました。

勿論、上記の方法であれば株価変動によるリスクはありませんが、それでも注意しなければいけない点が幾つかあります。

最大の落とし穴?逆日歩を理解する

クロス取引をする際、もっとも中止しなければいけないのが逆日歩(ぎゃくひぶ)です。

逆日歩とはクロス取引が集中し、一時的に株不足になってしまった際に請求されるレンタルコストです。

少し仕組みが複雑ですが、一般信用取引を利用することで逆日歩のリスクを無くすことができます。

一般信用取引と制度信用取引

一般信用取引は返済期限を自由に設定できる制度でが、

制度信用取引は取引は銘柄の返済期限などが取引所の規定によって定められている制度です。

そのため一般信用取引が選択可能な銘柄の場合は逆日歩が発生しない仕組みとなりますが、制度信用取引の場合は逆日歩によるコストが発生してします可能性があります。

※あくまで「可能性」なので必ず逆日歩になる訳ではありません。

過去の実績をもとに判断するしかない

逆日歩は実際に取引をおこなってみないとどのような結果になるかは分かりません。また仮に逆日歩が発生してしまった場合、どれ程の金額になるかも分かりません。

つまり、制度信用取引を利用する場合、逆日歩を正確に把握した上で銘柄を判断することはできない訳です。

一般信用取引が可能な銘柄であれば何も心配いりませんが、制度信用取引の銘柄でクロス取引をする場合、最終的には過去に実績を参考にした上で人気が集まりそうな銘柄を避けるような対処をすることになりそうです。

扱う金額がとても大きい

正しい手順をもとに正確に処理を進めれば特に心配する必要はありませんが、それでも株式銘柄を購入するには普段使わないある程度大きな金額を取り扱えようになります。

しっかり手順を確認してオペレーションミスをしないように注意する必要があります。

事前準備が意外と大事

処理当日のオペレーションミスも気を付けなければいけませんが、それ以上に入念な作業が必要となるのは事前準備です。

初心者で良くあるのは、いざ処理を進めようとしたタイミングでいろいろと事前準備が漏れているためにその日(その月)はクロス取引ができないと言うことが良くあります。特に以下の項目については要注意です。

  • 信用取引用の口座は開設の確認
  • 対象の銘柄をリサーチする
  • 処理日をしっかり把握する

慣れてくるとそれ程意識する程のことではありませんが、最初のうちは意外と漏れてしまうことがあるので最低限押さえておくべき事項となります。

信用取引用の口座は開設の確認

信用取引をするためには信用取引用の口座開設が必要になりますが、この処理には一定の時間が掛かってしまいます。処理当日に着手したとしてもすぐに開設できなので始めてクロス取引に挑戦する際は、まずは信用取引用の口座が開設されていることは必ず確認しておきましょう。

対象の銘柄をリサーチする

クロス取引を進めようとしても実際に対象となる銘柄をリサーチする必要があります。対象の銘柄を選ぶ条件としては以下のような項目が挙げられます。

  • 権利確定日(権利付最終日)が当月である銘柄
  • 株主優待が支給される銘柄
  • 制度信用取引では無く一般専用取引ができる銘柄

権利確定日(権利付最終日)と株式優待についてのチェックは必ず必要になります。株式優待を貰うことができない銘柄を選んでも何の意味も無いですからね。

また、逆日歩のリスクを考慮すると一般専用取引ができる銘柄の方が安心できますが、必ずしも見つけられるとは限らないので、その場合は逆日歩のリスクを理解した上での自己判断となります。もし選択の余地があるのであればなるべく逆日歩のリスクの無い一般専用取引が可能な銘柄を選びましょう。

基本的にクロス取引を実施するのは平日の夜となるため多くの方が仕事終わりの疲れた時間帯になるため、それから対象となる銘柄を探し始めるのは正直少ししんどいです…

せっかく株主優待を手に入れるのであればわくわくした気持ちで探したいものですね。

処理日をしっかり把握する

クロス取引の処理を実施するのは権利付最終日の前営業日の株式市場の取引時間終了後から権利付最終日までの間の時間帯です。

権利付最終日が権利確定日の4営業日前なのでその前営業日と言うことは権利確定日の5営業日前ということになります。

ここを良く勘違いしてしまい「これからクロス取引をしようと思っていたら1日遅かった…」なんてことがたまにあります。

こちらについてはある程度クロス取引に慣れてきてもうっかりタイミングを逃してしまうこともあり、僕も過去に何度かやってしまったことがあります。

クロス取引ができるタイミングは基本的に月に1度だけなのでそのタイミングを逃さないように予め手帳やカレンダーに予定をメモしておくなど工夫が必要です。

せっかく対象となる銘柄をリサーチしていてもタイミングが過ぎてしまえばとても勿体無いですよね。

一部、株式銘柄によっては月末日以外が権利確定日になっている場合もあるため、まずは「経理確定日はいつか?」をしっかり把握することが大切です。

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上手く利用すれば節約効果はとても大きい

慣れないうちはいろいろと意識することも多く、また取り扱う金額も大きいため少しストレスになってしまうかもしれません。そう考えると費用対効果は良くないかもしれません。

ですが、慣れてくるとそれ程ストレス無く対応できるようにもなってきます。

そうなると定期的に株主優待が送られてくるため節約術としてはかなり心強い味方となります。

最初は大変ですが上手く使いこなすと絶対にお得な方法なので是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

プロフィール

楽待新聞&不動産投資Libraryのコラムニストをしています。
普段、不動産投資家として考えていることや体験談などを掲載しています。
これから不動産投資を始めたい方や、賃貸経営初心者の方に対して、分かりやすい内容を心掛けています。

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