ここ最近、ビットコインを中心にさまざまな仮想通貨の価値(価格)が高騰しており資産が何十倍にもなった個人投資家(?)の話題を耳にします。
その一方で今年2018年1月には仮想通貨の大手取引所であるコインチェックによる不正流出問題など不安になるような事件も起きています。
僕の投資対象は不動産や投資信託のような長期投資が中心であり、少しずつ成果が期待できるような投資方法を目指しているため基本的には仮想通貨は投資対象外です。そもそも投資とも思っていません。
ですが、ここまで世の中で話題になるからには個人的な趣味の範囲として興味が沸いてきますし、仕組みについても少しは理解したいと思うようになりました。
僕は仮想通貨を購入したことが無いので仮想通貨で儲ける方法は正直分かりませんが、どんな性質があってどのように使われているのかを初心者なりに簡単にまとめてみました。
そもそも仮想通貨とは?
仮想通貨とはインターネット上で送金や決済の手続きをするためのデータ化されたデジタル通貨のことです。
仮想通貨自体は2009年頃から存在していましたが、2016年に「改正資金決済法」が成立したこともあり、その後日本でも徐々に普及していきました。特に2017年から2018年に掛けては投機目的として急激に普及してきています。
仮想通貨とビットコインの違いは?
ちなみに「仮想通貨とビットコインは何が違うのか?」と疑問を持つ方も多いと思いますが、ビットコインは数ある仮想通貨の中の一つです。
またビットコイン以外の仮想通過は「Alternative Coin」(代替コイン)の略語としてアルトコインと呼ばれます。数え切れない程の仮想通貨が存在しますが、日本で比較的有名なのには以下のようなものがあります。
- ビットコイン(BTC)
- イーサリアム(ETH)
- ライトコイン(LTC)
- リップル(XRP)
- ネム(XEM)
仮想通貨で資産を増やしたいと考えている人は「次はどの仮想通貨を購入するのが良いのか?」と虎視眈々と狙っていることでしょう。
仮想通貨の特徴は?
仮想通貨の特徴と一言で言っても沢山あり過ぎて混乱してしまいそうですが、ポイントを整理すると以下のような感じです。
- デジタル通過
- 国際通貨
- 分散型通貨(ブロックチェーン)
- P2P(peer to peer)での取引
- 暗号化通貨
「デジタル通貨」や「国際通貨」については何となくイメージできるかもしれませんが「分散型通貨」や「暗号化通貨」については余り馴染みが無く、正直とても分かりづらいと思いますが、これらはインターネットの仕組みによって実現できる技術です。
余り専門的なことを深掘りしても内容が難しくなってしまいますが、何となくイメージできるようなレベルの表現で一つずつ内容を整理したいと思います。
今までの電子マネーとの違い
今までにも電子マネー(デジタル通貨)はいくつかありました。有名な電子マネーとしては以下のようなものが挙げられると思います。
- Suica
- Edy
- nanaco
- PayPal
これらの電子マネーとの違いとしては「利用範囲の広さ」が挙げられます。
これまでの電子マネーが買い物などの支払いの時にだけ利用できるのに対して仮想通貨はインターネットさえ繋がっていればスマートフォン一つでユーザ間でのやり取りが可能です。
このユーザ間で直接やり取りができる仕組みをP2Pと呼びます。P2Pについては後ほどもう少し詳しく説明します。
2018年現在では仮想通貨に対応した店舗はそれ程多くはありませんが、今後は徐々に増えていくことが予想されます。
ビックカメラなどでは既にビットコインにより商品を購入する仕組みが取り入れられており、1BTCの価格(相場)によって同じ商品でも必要となるビットコインの量が違ってきます。
国際通貨のメリットは?
ビットコインには中央銀行のような発行主体が無く国家や政府から価値が保証がされたお金ではありません。後ほど説明するブロックチェーンの技術によりインターネット上で価値が保証されているデジタルなお金です。
「仮想通貨は国家や政府から価値が保証されていない」と言われると少し心配な気もしてしまいますが、言い換えると国境が存在しないため、海外の人(または法人)を相手としたやりとりにも大きなメリットがあります。
国境が無いということはわざわざ円をドルに換金したりすることも不要なため海外へ送金も容易になります。そのため今までの方法と比べても送金の手数料(コスト)をかなり安く抑えられることもあり、そのため今後は世界共通の通貨として大いに期待されていくはずです。
仮想通貨を支える技術
仮想通貨を支える技術としてブロックチェーンとマイニングが挙げられます。
仮想通貨はあくまでもブロックチェーンの技術を活用した一つの方法でしかありませんが、ブロックチェーンの技術はITの分野でも今後、最も期待されている技術の一つです。
集中管理と分散管理の違い
一般のお金のやりとりは銀行やクレジットカード会社のような第三者機関が中央管理しているのに対して仮想通貨の場合はそのような管理者はいません。
P2Pとは主にITの世界で利用される用語ですが「peer to peer」の意味で「買い手側と売り手側が対等な関係で直接取り引きを行うこと」のできる仕組みのことです。
そのため銀行やクレジットカード会社などの第三者機関が介入せずに済むため余分に手数料などを支払う必要もありません。
ブロックチェーンは分散管理
例えばAさんの銀行口座から現金1万円をBさんの銀行口座に振り込む場合、銀行側で集中管理されているデータベースでは以下のような処理が行われています。
- Aさんの銀行口座から1万円を減らす
- Bさんの銀行口座に1万円を加える
仮にどちらかの処理が失敗するとデータに不整合が起きるため、これらの処理はセットで行われる必要があり、この一連の処理のことをトランザクションと呼びます。
仮想通貨の場合、それぞれのトランザクションを10分ごとにまとめ、それを1ブロックとして一括して承認していきます。これを時系列に(数珠つなぎに)繰り返すことによって取引の履歴を形成していくので「ブロックチェーン」と呼ばれています。
ブロックチェーンとマイニング
マイニングを日本語で訳すとは「採掘」と言う意味になります。
ブロックチェーンを構築する際、前のブロックに次の新しいブロックを付け加える処理を繰り返して正しい時系列で履歴を形成する訳ですが、この新しいブロックには一つ前のブロックのデータを暗号化(ハッシュ化)して取り入れることになります。
※このため仮想通貨は暗号通貨と呼ばれています。
そして、この正しい取引の履歴をブロックとして形成するために膨大なハッシュ値の計算を手助けするのがマイニングです。言い換えるとブロックチェーンの技術はマイニングによって支えられていることになります。
専門の業者やパソコンに詳しい個人などが協力して運用する仕組みになっていて、その報酬としてビットコインなどの仮想通貨を手に入れることになりますが、必要となる技術や環境を構築するための時間(工数)の他、コンピュータを稼働させるスペースや消費電力を考えると、そう簡単にお金儲けができる訳では無さそうです。
ブロックチェーンの技術によりP2Pでのやり取りを実現
今までの取引の仕組みでは銀行やクレジットカード会社などに設置された一部の大規模なサーバー(情報を管理するコンピュータ)で情報を集中管理をしていた訳ですが、ブロックチェーンの仕組みでは世の中に沢山ある小規模なコンピュータで分散管理して情報を担保することで「世の中の皆で過去の取引履歴を相互認証する仕組み」を実現します。
集中管理の場合は対象となるサーバーがハッキングされてしまうと情報の整合性が取れずにおかしくなってしまいますが分散管理の場合は対象となるコンピュータの数が多すぎて同時にハッキングし不正にデータを書き換えることは不可能ですので通貨の偽装や二重払いの心配もありません。仮に分散管理されたコンピュータの一部に対してハッキングやデータの偽装が成功したとしても、それ以外に世の中に分散されている他のコンピュータとの整合性が合わなくなりすぐにバレてしまいます。
なのでセキュリティ面や管理面(運用コスト)では集中管理の方が優れていると考えられています。
仮想通貨を投資対象として考える
仮想通貨のそもそもの目的は価格上昇による売買益で資産を増やすための手段では無く、本来の役割はあくまでも生活を便利にするための通貨のはずでしたが、現状は残念ながら(?)投機目的の手段になっています。
現実問題として仮想通貨は投資対象として有効なのでしょうか。
どんな仕組みで儲けにつながるのか?
仮想通貨の価格が変動する理由は需要と供給のバランスです。
株式投資などの価格変動については需要と供給の他にも企業ごとの業績や経済状況などが起因しますが、仮想通貨の価格変動については業績や経済状況などは反映されず(そもそも業績などは無いため)純粋に需要と供給のバランスで決まります。
「仮想通貨を売却したい」と考える人よりも「仮想通貨を購入したい」と考える人が増えると、結果的に仮想通貨の価値(価格)は高騰します。
「既に仮想通貨バブルだ」と言う専門家もいれば「仮想通貨の需要は今後も増えるのでまだまだこれからだ」と言う人もいます。
あくまで仮想通貨初心者の僕としてはこれだけ話題になって知名度が高くなっている以上、アホでも簡単に儲けられる時期は既に終わっていて投資家(投機家?)としてしっかりとした先見性のある人にとってはまだうま味のある分野なのかなと思いますが…これは仮想通貨に限った話では無いですね。
また需要と供給を考える上でもう一つポイントとなるのが仮想通貨の発行数です。
例えばビットコインの発行上限数は2,100万枚と上限が定められています。このためビットコインを手に入れることができる人に制限が設けられるれるため、これも価格高騰の一因だと考えることができます。
仮想通貨の購入方法は?
仮想通貨を購入したり売却するには取引所を利用するか、販売所で取引所が所有する仮想通貨を購入するかの2パターンがあります。
取引所は「売りたい人」と「買いたい人」のバランスによって価格が決まるため、比較的安値で仮想通貨が購入できる一方「売りたい人」が少ない場合は必ず購入できる保証はありません。
対する販売所の場合は取引所に比べると若干高値になってしまいますが、取引所が予め保有している仮想通貨を購入するため購入できる可能性は高くなります。
取引所を選ぶ基準は?
国内でも沢山の取引所があります。
選ぶ基準としては手数料の安さや取引銘柄の種類(数)などがありますが、セキュリティ面の
問題も以外と重要です。例えば以下の取引所などは比較的有名です。
- bitFlyer(ビットフライヤー)
- bitbank(ビットバンク)
- Zaif(ザイフ)
- Coincheck(コインチェック)
bitFlyer(ビットフライヤー)、bitbank(ビットバンク)、Zaif(ザイフ)などは仮想通貨交換業の登録済業者ですが、Coincheck(コインチェック)はみなし業者(登録申請中業者)となります。
コインチェックの問題は?
今年の大きな話題の一つにコインチェックが保有する仮想通貨「ネム(XEM)」580億円相当が不正流出してしまった事件があります。
決算システムに問題が発覚したためサービスを停止したため、決算システムを利用していたお店(飲食店など)では決算ができないトラブルが起こっていることに加え、まだ仮想通貨の所有者に対しての返金の目処が立っていないため、大きな問題になっています。
原因については金融庁が推奨するセキュリティ項目に対して技術的な問題や人材不足などを理由に十分なセキュリティ対策を施さなかったことが報道されています。
金融庁が推奨する安全対策は以下のセキュリティ要件を満たすことでした。
- コールドウォレット(インターネットと隔離された環境)での運用
- マルチシグ(3種類の暗号化)での運用
一方、コインチェックの安全対策は以下のような仕組みとなっていました。
- ホットウォレット(インターネットと繋がった環境)での運用
- 暗号化は1つだけでの運用
ウォレットと言うのはいわゆる仮想通貨のお財布のことで通常はインターネットと隔離されたコールドウォレットと呼ばれる環境で保管されるべきなのですが、今回の件ではインターネットに繋がったホットウォレットで保管されていたためハッキングの被害にあったとされています。
仮想通貨が乱高下する理由
この記事の冒頭でも記載しましたが仮想通貨を購入し短期間で資産が数十倍になった投資家もいる一方、短期間で暴落してしまう可能性もあります。
株式投資と比べ仮想通貨がこれ程乱高下してしまう理由の一つに値幅制限が無いことが挙げられます。
例えば株式投資には株価が極端に値上がりし過ぎたり、逆に極端に値下がりし過ぎるのを防ぐ仕組みとして以下のような値幅制限が設けられています。
- ストップ高
- ストップ安
一方、仮想通貨にはこのような値幅制限が無いため一夜にして価値が高騰することもあれば逆に大暴落することもあります。
仮想通貨でお金を儲けて「億り人(資産が1億円超え)」になる人達を見ているととても羨ましい限りではありますが、僕のような長期投資でコツコツと稼ぐ考え方からすればやはり仮想通貨はギャンブル的な的な要素が大きいと思います。
リスクを分けて考える必要がある
仮想通貨とリスクを紐付ける話題はいろいろありますが、何がリスクなのかを整理して考える必要があります。
例えば以下のようなリスクが考えられます。
- 仮想通貨が暴落してしまうリスク
- 仮想通貨を支えるブロックチェーンのリスク
- 仮想通貨取引所のセキュリティのリスク
- 仮想通貨の取引が停止してしまうリスク
- 仮想通貨取引所が倒産してしまうリスク
現時点では仮想通貨を支えるブロックチェーンについてはとても素晴らしい技術でありセキュリティ上の大きな欠陥(脆弱性)などは僕の知る限り特に心配されていませんが、一方でコインチェックの不正流出問題で仮想通貨取引所へのセキュリティリスクや不信感などの問題が浮き彫りになりました。
何か問題があった時に何も調べずに「仮想通貨はリスクが大きい!」と騒ぐだけではただの思考停止です。「仮想通貨の何が問題でどこにリスクがあるのか?」を少しだけでも考えられるようになれば不安要素を取り除くことができると思います。
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