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不動産の囲い込みとは?見抜き方と売主の対策|レインズ登録証明書・取引状況の確認方法と2025年の宅建業法改正

不動産の囲い込みとは?見抜き方と売主の対策・レインズで確認する方法 空室対策・賃貸管理
この記事は約17分で読めます。

専任媒介で売り出したのに内見の連絡が来ない。問い合わせをすると「商談中です」と言われる。3か月経つと「値下げしましょう」と提案される。この流れの裏にあるのが、不動産の「囲い込み」です。売却を預かった仲介会社が、他社からの買主紹介を断って自社で買主を見つけ、売主と買主の両方から手数料を取る両手仲介を狙う行為で、売主は本来より安い価格で売らされます。

2025年1月からは、専任・専属専任媒介で預かった物件について、レインズに登録した「取引の申込みの受付に関する状況」が事実と異なると宅建業法65条1項の指示処分の対象になりました(国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」の改正)。この記事では、囲い込みの手口、売主が自分で見抜く7つのサインと確認手順(レインズの売主専用画面)、2025年改正の正確な中身と限界、通報先、媒介契約の選び方までを、条文と国土交通省・不動産流通機構の資料に沿って整理します。

この記事は以下のような方におすすめです!
  • 専任・専属専任媒介で物件を売り出しているが、内見も問い合わせも少なくて不安な売主
  • 収益物件の売却で、仲介会社が囲い込みをしていないか自分で確かめたい不動産投資家
  • レインズの登録証明書と売主専用画面の使い方、「取引状況」3区分の意味を知りたい方
  • 2025年1月の宅建業法の運用改正で何が処分対象になったのかを条文で確認したい方
  • 物件を買う側として、客付け会社に「商談中」と断られたときの確かめ方を知りたい方
🎯 30秒でわかる本記事の要点
  • 囲い込みの動機は両手仲介。売主・買主の両方から報酬を取れるので、他社の買主を断ってでも自社成約を待つ構造がある。
  • 売主は登録証明書に書かれたURL・ID・パスワードでレインズの売主専用画面に入り、自分の物件の取引状況(公開中/書面による購入申込みあり/売主都合で一時紹介停止中)を確認できる。
  • 2025年1月から、専任・専属専任で登録した物件の取引状況の登録内容が事実と異なれば指示処分の対象。指示に従わなければ業務停止命令もある。
  • 登録証明書の引き渡し、申込みがあったときの報告、2週間(専属専任は1週間)に1回以上の業務報告は宅建業法上の義務。これらが欠けること自体がサイン。
  • 通報先は免許権者。大阪府知事免許なら大阪府建築振興課、兵庫県知事免許なら兵庫県建築指導課、国土交通大臣免許なら近畿地方整備局。
📕 Before(仲介会社任せ)
  • 「商談中です」の連絡をそのまま信じる
  • 登録証明書をもらっていない、見方も知らない
  • 報告書の「反響なし」を疑わない
  • 3か月で値下げ提案を受け入れる
📘 After(自分で確認する)
  • 登録証明書を受け取り、売主専用画面で取引状況を月2回見る
  • 報告書に問い合わせ件数・内見数を数字で書かせる
  • 別ルートの照会と画面の表示を突き合わせて記録する
  • 兆候が重なれば3か月の更新で媒介契約を切り替える

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🎯 1. 囲い込みとは何か:仕組みと動機

売主から専任媒介・専属専任媒介で物件を預かった仲介会社(元付け会社)は、指定流通機構(レインズ)に物件を登録し、他社(客付け会社)が買主を連れてくれば、売主側の手数料だけを受け取る片手仲介になります。自社で買主を見つければ、売主と買主の両方から手数料を受け取る両手仲介です。報酬の上限は売買価格400万円超で「価格の3%+6万円+消費税」(国土交通省告示)なので、5,000万円の物件なら片手で約171万円、両手で約343万円と、同じ1件で収入が2倍になります。

この差が囲い込みの動機です。他社から「紹介したい」「内見したい」と連絡が来ても「商談中」「一時紹介停止中」と断り、自社で買主が付くまで物件を抱える。売主には「反響が少ない」と報告し、時間が経てば値下げを提案する。売主は適正価格で売れたはずの機会を失い、仲介会社は値下げ後でも両手で片手の2倍近い手数料を得ます。両手仲介そのものは違法ではありません。違法性を帯びるのは、他社の紹介を断るために事実と異なる説明や登録をする部分です。

手口 売主から見える形
他社の照会を「商談中」「申込みあり」と断る 売主には申込みの報告がない。レインズの取引状況は「公開中」のまま、または根拠なく「一時紹介停止中」
内見の日程を合わせない・図面を渡さない 内見の連絡がほとんど来ない
レインズ登録を遅らせる・登録内容を薄くする 登録証明書が渡されない、渡されるのが遅い
報告を形式化する 「反響なし」「継続して募集中」だけの報告書
値下げ誘導 数か月で「相場より高い」と値下げを勧め、値下げ後に自社買主で成約

📜 2. 仲介会社の法律上の義務:ここが欠けたら疑う

専任・専属専任媒介を結んだ仲介会社には、宅建業法34条の2で次の義務があります。囲い込みのサインは、この義務のどれかが欠けている形で表れます。

義務 内容(宅建業法34条の2・施行規則)
レインズへの登録(5項) 専任媒介は契約日から7日以内、専属専任は5日以内(休業日を除く)に指定流通機構へ登録
登録証明書の引き渡し(6項) 指定流通機構が発行する登録を証する書面を、遅滞なく依頼者(売主)に引き渡す
申込みの報告(8項) 売買の申込みがあったときは、遅滞なく売主に報告
業務処理状況の報告(9項) 専任媒介は2週間に1回以上、専属専任は1週間に1回以上
成約の通知(7項) 売買契約が成立したら遅滞なく指定流通機構へ通知(2024年7月の運用改正で徹底が明記)
取引状況の登録(施行規則15条の11) 登録事項に「取引の申込みの受付に関する状況」が含まれる

これらに反する特約は無効です(34条の2第10項)。「登録証明書は当社で保管します」「報告は成約時にまとめて」は通りません。専任・専属専任媒介の有効期間は3か月を超えられず(同3項)、更新は売主の申出が要るので、3か月ごとに契約を続けるかを判断できるのが売主の側の権利です。

🚨 3. 囲い込みを見抜く7つのサイン

1つ当てはまるだけでは断定できません。3つ以上が重なったら、次章の確認手順で事実を突き合わせます。

サイン なぜ疑うか
① 登録証明書が渡されない、催促しても遅い 6項の義務違反。登録自体を遅らせているか、売主に画面を見せたくない
② 内見の連絡が極端に少ない 他社の内見依頼を断っている可能性。相場どおりの価格で1か月に内見がゼロなら確認
③ 売主専用画面の取引状況が「一時紹介停止中」になっている、または「申込みあり」なのに報告がない 売主が停止を頼んでいないのに停止表示なら虚偽登録。申込みの未報告は8項違反
④ 報告書に数字がない 問い合わせ件数・内見数・他社からの照会数を書かない報告は、活動の空洞化を隠しやすい
⑤ 早い段階で値下げを提案される 相場資料と反響データの提示がないまま値下げを勧めるのは、自社買主向けの価格づくりの可能性
⑥ 「他社からの問い合わせは断っています」と言う 売主の利益に反する説明そのもの。理由を書面で求める
⑦ 一般媒介を強く嫌がる、専属専任を過度に勧める 1社独占が囲い込みの前提条件。断る理由が「レインズ登録と報告があるから安心」だけなら、それは専任でも義務

🔍 4. 売主が自分で確認する手順:登録証明書と売主専用画面

囲い込みを疑ったとき、売主が仲介会社に聞かずに確かめられる仕組みがレインズにあります。

  1. 1
    登録証明書を受け取る
    媒介契約から専任は7日・専属専任は5日以内に登録され、登録証明書が遅滞なく引き渡されます。証明書には売主専用画面のURL・ID・パスワードが記載されており、2025年1月からは二次元コードも付いています。渡されなければ「宅建業法34条の2第6項に基づき登録証明書を引き渡してください」と書面で求めます
  2. 2
    売主専用画面で取引状況を見る
    レインズの売却依頼主用物件確認画面にログインすると、登録内容と取引状況が表示されます。取引状況は3区分で、「公開中」=他社からの問い合わせを受け付けている状態、「書面による購入申込みあり」、「売主都合で一時紹介停止中」。この機能は2016年1月に導入されたもので、専任・専属専任媒介の物件が対象です(一般媒介は画面での確認はできませんが、流通機構の事務局に本人確認のうえ登録状況を照会できます)。反映には2日程度かかることがあります
  3. 3
    表示と事実を突き合わせる
    自分が停止を頼んでいないのに「一時紹介停止中」なら虚偽。「申込みあり」なのに8項の報告が来ていなければ未報告。「公開中」なのに他社が「商談中と言われた」と言うなら、口頭での囲い込みです。画面の表示を日付入りでスクリーンショットに残すのが、後の通報や媒介契約解除の材料になります
  4. 4
    別ルートで照会する
    知人や、別の仲介会社に依頼して、自分の物件を「紹介できるか」問い合わせてもらいます。「商談中」「紹介できない」と返ってきたのに画面が「公開中」なら、その回答の日時・担当者名・内容を記録します。記録する項目は、照会日時・照会した会社と担当者・照会先(元付け会社)の回答者と回答内容・同時刻の売主専用画面の表示、の4点です。買主として物件を探している人が同じ手順を使うのが8章の「覆面の照会」です
  5. 5
    報告書に数字を要求する
    「今週の問い合わせ件数、内見数、他社からの紹介依頼の件数と対応」を書面で求めます。9項の報告は義務なので、書式を指定する権利は売主にあります
読者
画面が「公開中」なのに、知人が問い合わせたら「商談中」と言われました。これだけで通報できますか?
著者
材料としては足ります。ただし1回の食い違いは「担当者の勘違い」で片づけられやすいので、次の3つを揃えてから動きます。

  • 画面の表示(日付入りのスクリーンショット)と、断られた日時・担当者・回答内容の記録
  • その週の報告書に申込みや問い合わせの記載が無いこと
  • 仲介会社に「他社からの照会をどう扱ったか」を書面で質問した回答

3点が揃えば、登録内容の虚偽か、取引の公正を害する行為かのどちらかに当たる形になります。

登録証明書の見方と、取引状況の3区分ごとの読み方はレインズ登録証明書の見方・確認方法で1画面ずつ解説しています。

⚖️ 5. 2025年1月の改正:何が処分対象になり、何がなっていないか

国土交通省は令和6年6月28日付で「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」を改正し、令和7年1月1日から次の一文を34条の2関係に加えました。

「宅地建物取引業者が専属専任媒介契約及び専任媒介契約に基づき指定流通機構に登録した物件について、当該物件に係る取引の申込みの受付に関する状況等の登録内容が事実と異なるときは、法第65条第1項の指示処分の対象となる。」

— 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」第34条の2関係 9(1)(令和7年1月1日施行)

正確に読むと、処分対象になったのは「レインズの取引状況(申込みの受付状況)の登録内容が事実と異なること」です。「囲い込み」という言葉は解釈・運用の考え方には出てきません。申込みがないのに「申込みあり」や「一時紹介停止中」にする、申込みがあるのに「公開中」のままにする、といった登録上の虚偽が直接の対象で、登録は正しいまま電話で他社を断る行為は、この一文の直接の対象ではありません。ただし宅建業法65条1項2号は「業務に関し取引の公正を害する行為」を指示処分の理由にしており、断りの記録と画面の表示を揃えて通報する意味はここにあります。

段階 根拠
指示処分 宅建業法65条1項(取引状況の虚偽登録・取引の公正を害する行為 等)
業務停止命令(1年以内) 同65条2項3号「指示に従わないとき」、5号「不正又は著しく不当な行為」
免許取消し 同66条(業務停止処分に違反した場合など)
行為 2025年改正の直接の対象か それ以外の根拠
申込みがないのに「申込みあり」「一時紹介停止中」と登録 対象(専任・専属専任) 65条1項
申込みがあるのに「公開中」のまま・売主に報告しない 対象(登録内容が事実と異なる) 34条の2第8項の報告義務違反
登録は正しいまま、電話で他社に「商談中」と断る 直接の対象ではない 65条1項2号「取引の公正を害する行為」として指示の余地。記録が要る
登録の遅れ・登録証明書を渡さない 対象外 34条の2第5項・6項の違反(処分例あり)
一般媒介の物件で他社を断る 対象外(一般媒介は登録義務がない) 売主側の対策は他社への並行依頼
内覧の日程を合わせない・図面を渡さない 対象外 報告書と照会記録で「公正を害する」側に積む

あわせて同じ改正で、業者が登録証明書を交付する際に「売主専用画面で最新の登録内容を確認できること」を分かりやすく説明することが望ましいとされ、依頼者側にも登録証明書の受領と画面での確認が求められています(同1(4))。つまり売主が画面を見ることが、制度の前提として組み込まれたのが2025年改正の実務上の意味です。監督処分の基準(国土交通省)は2011年改正のままで、取引状況の虚偽に固有の処分基準はまだ書かれていません。運用の蓄積はこれからで、通報の積み上げが基準をつくる段階です。

📞 6. 通報先と持っていくもの

宅建業者の指導・監督は免許権者が行います。免許番号の「国土交通大臣(○)第○号」「大阪府知事(○)第○号」で分かります(免許番号は国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで確認できます)。

免許 窓口(国土交通省の案内ページより)
国土交通大臣免許(近畿2府4県+福井) 近畿地方整備局 建政部 建設産業第二課 不動産業第一係(大阪市中央区大手前・大手前合同庁舎)06-6942-1141
大阪府知事免許 大阪府 都市整備部 住宅建築局 建築指導室 建築振興課 06-6210-9734
兵庫県知事免許 兵庫県 まちづくり部 建築指導課 土地対策班 078-362-3612
レインズの登録内容について 物件を登録した指定流通機構(関西は近畿圏不動産流通機構)。東日本流通機構には消費者相談室(03-5296-4113)がある

他府県の窓口は国土交通省の宅建業担当課一覧にあります。持っていくのは、媒介契約書、登録証明書、売主専用画面の表示のスクリーンショット(日付入り)、報告書、他社が断られた記録(日時・担当者・内容)です。「画面は公開中、他社は商談中と言われた、報告に申込みは無い」の3点が揃うと、虚偽か公正を害する行為かのどちらかに当たるので、通報として成立します。

🛡 7. 売主の対策:媒介契約の選び方と切り替え

媒介契約 他社との同時契約 レインズ登録 報告 囲い込みへの耐性
専属専任媒介 不可(自己発見取引も不可) 5日以内・義務 1週間に1回以上 1社独占=囲い込みの前提条件になる。売主専用画面と報告義務で監視できる
専任媒介 不可(自己発見取引は可) 7日以内・義務 2週間に1回以上 同上
一般媒介 可 任意 任意 1社が囲っても他社経由で売れる。代わりに登録・報告の義務がなく、各社の熱量は下がりやすい

選び方は二者択一ではありません。信頼できる会社が決まっているなら専任にして画面と報告で監視する、決まっていないなら一般媒介で2〜3社に並行依頼する、が基本形です。専任・専属専任の有効期間は3か月以内なので、3章のサインが重なったら更新せず、別の会社に切り替えます。期間中に解除したい場合は、媒介契約書の解除条項と、業者側の義務違反(登録証明書の不交付・報告の欠落・虚偽登録)の記録を並べて申し入れます。

売却価格が800万円以下の物件では、2024年7月から「低廉な空家等」の特例で、媒介報酬の上限が売主・買主それぞれ33万円(税込)まで引き上げられています。適用には契約前の説明と合意が必要なので、説明なく上限を超える請求があれば、それも報酬規定違反です。手数料の計算と交渉の考え方は不動産の値引き交渉と仲介手数料の設計で扱っています。

🏢 収益物件の売主が加えて見る点

アパートや区分の収益物件は、買主が投資家に限られるぶん、客付け会社の広さが売却価格に直結します。囲い込みで買主の母集団が自社顧客だけに絞られると、利回りで買う投資家層に届かず、値下げ圧力が強まります。専任にするなら、その会社が投資家向けの客付けルート(投資系ポータルへの掲載、他社への図面配布、レントロールの開示体制)を持っているかを媒介契約前に確認します。仲介会社の見極め軸は仲介会社見極めの4軸にまとめています。

🕵️ 8. 買主側の確かめ方:同じ物件を別の会社から照会する

買主として物件を探しているときに「商談中」と断られたら、囲い込みかどうかは自分で確かめられます。

  1. 1
    元付け会社を特定する
    ポータルの物件詳細で「取引態様」と掲載会社を見ます。元付けと客付けの見分け方は元付業者と客付業者の違いで解説しています
  2. 2
    客付け会社Aに紹介を依頼する
    「商談中」「紹介できない」と返ってきたら、日時・担当者・回答内容を記録します
  3. 3
    別の客付け会社Bに同じ物件を依頼する
    Bがレインズを確認して「公開中です」と言えば、Aへの回答との食い違いが証拠になります。Bが元付けに照会して同じく断られたなら、元付けは全社に対して断っている=売主に紹介の事実が伝わっていない可能性が高い
  4. 4
    元付け会社へ直接申し込むかを判断する
    元付け経由なら買えることが多いですが、その会社は売主側の代理でもあるので、価格交渉で買主の側に立ちません。買主にとっての実害は「選択肢が狭まる」ことなので、無理に買わず、記録を残して6章の窓口へ情報提供する選択もあります

投資家が客付け会社を選ぶときは、レインズの物件を広く扱えること、融資の段取りに慣れていること、購入後の管理・リフォームの紹介先を持っていることの3点を見ます。地場の中堅仲介を複数使い分けるのが、囲い込みの影響を受けにくい買い方です。

✅ 9. まとめ

囲い込みは、両手仲介の手数料が片手の2倍になる構造から生まれます。売主にできることは3つで、①登録証明書を受け取って売主専用画面で取引状況を確認する、②報告書に数字を書かせる、③別ルートの照会と画面の表示を突き合わせて記録する。2025年1月からは、専任・専属専任で登録した物件の取引状況の登録内容が事実と異なれば指示処分の対象になり、指示に従わなければ業務停止命令に進みます。処分対象は「登録内容の虚偽」であって「囲い込み」という言葉ではないので、証拠は画面の表示と断りの記録の突き合わせで作ります。

媒介契約は、信頼できる会社が決まっているなら専任で監視、決まっていなければ一般媒介で並行。3か月の有効期間ごとに続けるかを判断し、サインが重なれば切り替えます。通報先は免許権者で、大阪府・兵庫県の知事免許なら各県の宅建業担当課、大臣免許なら近畿地方整備局です。仲介会社は敵ではありませんが、報酬の構造上、利益が売主とずれる場面があります。ずれを埋めるのは、売主が自分で画面を見る習慣です。

❓ よくある質問

Q1. 囲い込みは違法ですか?

A. 両手仲介そのものは違法ではありません。処分の対象になるのは、専任・専属専任で登録した物件の取引状況の登録内容が事実と異なる場合(2025年1月からの運用)と、業務に関し取引の公正を害する行為(宅建業法65条1項2号)です。他社の紹介を断った事実と、レインズの表示・売主への報告内容を並べると、どちらかに当たることが多いので、記録を残して免許権者に通報します。

Q2. レインズの登録状況はどこで確認できますか?

A. 専任・専属専任媒介なら、仲介会社から引き渡される登録証明書に記載のURL・ID・パスワード(2025年1月から二次元コードも)で、レインズの売主専用画面にログインします。取引状況は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3区分で表示され、反映に2日程度かかることがあります。一般媒介は画面で見られませんが、指定流通機構の事務局に本人確認のうえ照会できます。

Q3. 登録証明書をもらっていません。

A. 宅建業法34条の2第6項で、仲介会社は登録証明書を遅滞なく売主に引き渡す義務があり、これに反する特約は無効です。専任は契約から7日以内、専属専任は5日以内(休業日を除く)に登録されるので、その後すぐに請求します。渡さない会社は、それだけで3章のサイン①に当たります。

Q4. 専任媒介を途中で解除できますか?

A. 専任・専属専任の有効期間は3か月を超えられず、更新には売主の申出が要るので、期間満了で更新しないのが最も確実です。期間中の解除は媒介契約書の解除条項によりますが、登録証明書の不交付・報告の欠落・取引状況の虚偽登録は業者側の義務違反なので、その記録を添えて解除を申し入れます。

Q5. 買主として「商談中」と言われたら諦めるしかないですか?

A. 別の客付け会社から同じ物件を照会してもらい、レインズの表示(公開中か)と回答を突き合わせます。表示が公開中なのに紹介を断られたなら、記録を残して免許権者に情報提供できます。元付け会社に直接申し込めば買えることもありますが、その会社は売主側でもあるため価格交渉で買主の味方にはなりません。

Q6. 収益物件でも囲い込みは起きますか?

A. 起きます。買主が投資家に限られる分、客付けの母集団を自社顧客に絞られると利回りで買う層に届かず、値下げ圧力が強まります。専任にするなら、投資系ポータルへの掲載・他社への図面配布・レントロールの開示体制を媒介契約前に確認し、売主専用画面で取引状況を見る習慣を持ちます。

📖 この記事の根拠(出典・参考)

  • 宅地建物取引業法(e-Gov法令検索)34条の2(媒介契約:3項 有効期間3か月、5項 指定流通機構への登録、6項 登録証明書の引き渡し、7項 成約通知、8項 申込みの報告、9項 業務処理状況の報告、10項 特約の無効)・65条(指示及び業務の停止)・66条(免許の取消し)/同施行規則15条の10(登録期間7日・5日)・15条の11(登録事項=取引の申込みの受付に関する状況)
  • 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」令和6年6月28日国不動第31号改正(令和7年1月1日施行)新旧対照表:第34条の2関係 1(4)・9(1)/令和6年7月1日施行分(成約通知の徹底)/消費者向け案内(ステータス管理機能は平成28年1月導入・3区分・売主専用画面・令和7年1月から二次元コード)/近畿地方整備局の窓口・都道府県の宅建業担当課/宅地建物取引業者の監督処分の基準(最終改正平成23年10月)
  • 国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることのできる報酬の額」(令和6年6月21日告示第949号・令和6年7月1日施行)第七(低廉な空家等=800万円以下・報酬は30万円の1.1倍まで)
  • 公益財団法人東日本不動産流通機構「売却依頼主物件確認 案内書」(3区分の定義・反映2日程度・一般媒介は事務局照会)/近畿圏不動産流通機構 媒介契約と登録証明書の案内

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執筆者 西本豪
執筆者:西本 豪(楽待新聞コラムニスト)

関西の不動産投資家。賃貸経営の体験と、法令・公的機関の資料をもとに、税務・融資・賃貸経営・法人運営の実務ガイドを発信しています。

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