先日のがんばる家主の会で一般社団法人みどり未来サポートの方から賃貸物の修繕義務等に関する規定が改正するとのお話を伺いました。
みどり未来サポートは相続や事業承継のコンサルティングを中心としたビジネスサポート事業が中心ですが、この日は民法改正や税制改正などについて内容でした。
改定内容としては以下の通りです。
【現行】
賃貸物の修繕等
①賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
②賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。
【改正案】
賃貸人による修繕等
①賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
②賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。賃借人による修繕
①賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
・賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
・急迫の事情があるとき。
最悪の想定は…
現状でも部屋の備品などが壊れてしまった際、家主に修復を依頼して対応されない場合は入居者が直して良い訳ですが、緊急時は「入居者の判断で」家主に連絡しなくても直して良いことになります。
この「入居者の判断」と言うのが本当に難しい。そして怖いです。
僕個人の感覚として「家主に一報するこのも難しい程、緊急性の高い修繕」なんて基本的に無いような気がしますが…「急迫の事情」ってどんな場合なんでしょうね?
最悪のケースとしては、それ程緊急性も高く無いのに入居者の判断で何かを修復する。
そしてそれが現実的に高過ぎる費用の請求でも家主はそれを支払う義務を負ってしまう訳です。
これ本当に怖いですよね。
どうすれば良いのか?
それではどうやってこのような自体から自分を守れば良いかです。
普段からコミュニケーションが取れていて、一定の信頼関係が築けていればそれ程心配はいらないかもしれませんが、万全を期すためにはやはり契約書に明記する事が重要です。
例えば「このようなケースは緊急時とは認められない。必ず家主に一報して下さい。」と言うふうに。
完全に防ぐ事は理論上不可能かもしれませんが、トラブルになった時に、少しでも自分を守れるはずです。
「緊急時の定義」と「修繕範囲の定義」は可能な限りはっきりさせておくことが大切ですね。
入居者側に責任がある場合は、家主側の修繕義務が無いことなど、しっかりと賃貸借契約書の中で明記しておかないと本当に怖い話だと思いました。
悪意を持って過剰な修繕費用を取り立ててくるようなことは滅多に無いと思いますが、理論上、「権利」として認められてしまってるってことです。
改定時期についてはまだ確定していませんが、改定してから対応するのでは無く、これから契約を交わす際には可能な限り配慮しておくべき点とのことでした。
トラブルを疑ってばかりでは少し悲しいですが、自己保全のためには大切なことだと思いました。
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