11/7(土)13時から、サンワード証券の無料オンラインセミナーで講師を務めます(詳細・お申し込みはこちら)

家・マンションを売ったら確定申告は必要?税金ゼロでも要る理由と、申告を忘れた時の3000万円控除

家を売ったら確定申告は必要?税金ゼロでも申告・忘れた時の3000万円控除 税務・節税・確定申告
この記事は約14分で読めます。

家やマンションを売って利益(譲渡所得)が出たら、確定申告が必要です。3,000万円の特別控除で税金がゼロになる人も例外ではありません。この控除は確定申告書に書いて初めて使える制度だからです(租税特別措置法35条12項)。逆に、売って損が出ただけなら、原則として申告は要りません。

もう一つ知っておきたいのが、申告を忘れたときの扱いです。申告そのものをしていなければ、期限を過ぎても、税務署が税額を決定する前なら期限後申告で3,000万円控除を使えます。一方で、ふるさと納税や医療費控除の確定申告だけを済ませ、家を売ったことを書かなかった人は、後から修正申告や更正の請求で3,000万円控除を付け足すことが原則できません。この記事では、この分かれ目を条文と国税庁の資料で確かめながら整理します。

❓ 先に答え:家を売ったら確定申告は必要?
  • 利益が出た → 必要。3,000万円控除で税金ゼロでも、申告しないと控除が使えません
  • 損が出た → 原則不要。ただし損失を給与などと相殺する特例を使うなら必要
  • 申告を忘れた(何も申告していない) → 期限後申告で3,000万円控除を使えます。納める税金がゼロなら、加算税・延滞税もかかりません
  • ほかの理由の申告だけ済ませた → 後から3,000万円控除を付け足すのは原則不可。例外は税務署長が「やむを得ない事情」を認めた場合だけです
この記事は以下のような方におすすめです!
  • 家やマンションを売って利益が出て、確定申告が必要かどうか知りたい方
  • 3,000万円の特別控除で税金がゼロになるのに、申告が要るのか迷っている方
  • 家を売った年の確定申告を忘れてしまい、今から控除を使えるか知りたい方
  • ふるさと納税や医療費控除の申告だけを済ませ、家の売却を書かなかった方
  • 住み替えで、旧居の3,000万円控除と新居の住宅ローン控除の関係を確かめたい方
🎯 30秒でわかる本記事の要点
  • 家を売って利益が出たら確定申告が必要で、3,000万円控除は確定申告書に書いた場合に限って使えます(租税特別措置法35条12項)。損が出ただけなら原則不要です。
  • 申告の時期は売った年の翌年2月16日から3月15日で、「売った日」は原則として引き渡した日ですが、契約の効力が生じた日で申告することもできます。
  • 何も申告していなければ、期限を過ぎても税務署が税額を決定する前なら期限後申告で3,000万円控除を使え、税金がゼロなら加算税・延滞税もかかりません。
  • ふるさと納税や医療費控除などの申告だけを済ませて売却を書かなかった場合は、後から修正申告や更正の請求で3,000万円控除を付け足すことが原則できません。
  • 3,000万円控除で税金がゼロでも、合計所得金額には控除前の売却益が入るため、配偶者控除・配偶者特別控除などの判定に影響します。
📕 Before(読む前)
  • 3,000万円控除で税金がゼロになるなら、確定申告はしなくてよいと思っています。
  • ふるさと納税などの申告を済ませた後でも、修正申告をすれば3,000万円控除を付け足せると思っています。
  • 税金がゼロになれば、配偶者控除などの判定にも影響しないと思っています。
📘 After(読んだ後)
  • 利益が出たか損が出たかで、確定申告が必要かどうかを判断できます。
  • 申告を忘れたときに、期限後申告で3,000万円控除を使えるケースと使えないケースを見分けられます。
  • 売った翌年に別の理由で申告するときに、同じ申告書へ売却と3,000万円控除を書く準備ができます。

11/7(土)13時〜 セミナーの詳細・お申し込み(参加無料)

📊 家を売ったら確定申告が必要な人・不要な人

申告が要るかどうかは、売った値段ではなく利益が出たかどうかで決まります。利益(譲渡所得)は「売った金額 −(取得費+譲渡費用)」で計算します(国税庁 No.3202)。取得費は買ったときの代金や手数料で、建物は所有していた期間の減価償却費相当額を差し引きます。取得費の計算の細かい決まりは不動産売却の取得費と減価償却の計算にまとめています。

あなたのケース 確定申告 理由・根拠
利益が出て、3,000万円控除を使う 必要 控除は確定申告書に書いた場合に限って使える(措法35条12項)
利益が出て、特例を使わない(使えない) 必要 利益に税金がかかる
損が出た 原則不要 課税される所得がない
損が出て、給与などと相殺したい 必要 マイホームの譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例(措法41条の5、41条の5の2)は申告が条件

※給与を1か所から受けて年末調整を受けている会社員は、売却益を含む給与以外の所得の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要です(国税庁 No.1900)。ただし住民税にはこの基準がないため、所得税の申告をしない場合は、住所地の市区町村に住民税の申告が必要です(地方税法317条の2)。

申告の時期は、売った年の翌年2月16日から3月15日です。「売った日」は原則として家を買主に引き渡した日ですが、売買契約の効力が生じた日(通常は契約した日)で申告することもできます(国税庁 No.3102)。年末に契約して年明けに引き渡した場合は、どちらの年の申告になるかをここで確かめてください。

💴 税金ゼロでも申告が要る理由――3,000万円控除は「申告して初めて使える」

3,000万円控除の条文は、確定申告書にこの規定の適用を受けようとする旨などを書き、譲渡所得の計算明細書などを添付した場合に限って適用すると定めています(租税特別措置法35条12項)。つまり控除は自動では付きません。申告しなければ、利益の全額が課税の対象として扱われます。

💡 計算例(所有期間5年超・10年以下の場合)
  • 売却益(譲渡所得):2,000万円
  • 申告して3,000万円控除を使う → 課税される所得0円 → 税金0円
  • 控除を使わない扱いになった場合 → 2,000万円 × 20.315%(所得税15%・復興特別所得税・住民税5%)= 約406万円

※税率は国税庁 No.3208。所有期間は売った年の1月1日時点で判定します(5年超が長期)。

3,000万円を超えた部分には税金がかかる

控除の上限は3,000万円です。利益が3,000万円を超えると、超えた部分に課税されます。売った年の1月1日時点で家と敷地の所有期間がどちらも10年を超えていれば、軽減税率の特例と重ねて使えます(国税庁 No.3305)。

  • 例:売却益3,500万円・所有10年超 → 3,000万円を控除した残り500万円に課税
  • 税率14.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%)→ 500万円 × 14.21% = 約71万円

軽減税率の14.21%は、控除後の課税所得が6,000万円以下の部分に適用されます(住民税4%は地方税法附則34条の3)。

3,000万円控除を使える主な条件(国税庁 No.3302)

  • 自分が住んでいる家、または住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売った家(とその敷地)であること
  • 売った年の前年・前々年に、この特例やマイホームの譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例を使っていないこと
  • 売った年・前年・前々年に、マイホームの買換えや交換の特例を使っていないこと
  • 収用等の特別控除など、ほかの特例を同じ家に使っていないこと
  • 親子・夫婦・生計を一にする親族・同族会社など「特別の関係がある人」に売ったものでないこと

この特例を受けるためだけに入居した家、建て替え中の仮住まい、別荘は対象外です。自宅を賃貸に出してから売る場合の「住まなくなってから3年」の数え方は、ヤドカリ投資は違法?住宅ローン返済中に自宅を賃貸に出すと契約違反になる条件|転勤・区分マンション・3000万円控除の注意点で扱っています。

住み替えで新居の住宅ローン控除を使う人の注意

旧居で3,000万円控除(または軽減税率の特例)を使うと、新居の住宅ローン控除が使えなくなる期間があります(国税庁 No.3302/措法41条21項・22項)。

  • 新居に入居した年、その前年、前々年に旧居で3,000万円控除を使った → 新居の住宅ローン控除は使えない
  • 新居に入居した年の翌年から3年目までに旧居を売って3,000万円控除を使う → 新居の住宅ローン控除は使えない

後者の場合、すでに受けた住宅ローン控除の年分について、期限後申告または修正申告が必要になります(国税庁「マイホームを売却した場合の特例チェックシート(令和7年分用)」)。どちらが得かは、旧居の利益の大きさと新居の借入額で変わるため、両方の税額を出して比べてから決めてください。

⏰ 確定申告を忘れた・期限を過ぎたとき――3,000万円控除は使える?

「何も申告していない人」と「ほかの理由で申告だけは済ませた人」とで、結果が正反対になります。

ケース1:何も申告していない → 期限後申告で使える

3,000万円控除の条件にある「確定申告書」には、期限後申告書も含まれます(所得税法2条1項37号。租税特別措置法2条1項10号がこの定義を使っています)。そのため、申告期限を過ぎていても、期限後申告書に3,000万円控除を書けば控除を使えます。期限後申告は、税務署が税額を「決定」するまでは提出できます(国税通則法18条1項)。

加算税と延滞税は、納める税金にかかるものです。3,000万円控除で税金がゼロになるなら、どちらもかかりません。控除しきれずに税金が残る場合は、次の無申告加算税がかかります(国税庁 No.2024)。

期限後申告のタイミング 無申告加算税
税務署の調査の事前通知より前に、自分から申告 納める税金の5%
事前通知の後、調査による決定を予知する前に申告 10%(50万円超の部分15%、300万円超の部分25%)
調査を受けた後に申告、または税務署の決定 15%(50万円超の部分20%、300万円超の部分30%)
期限から1か月以内に自主的に申告し、期限内に申告する意思があったと認められる場合 かからない

※300万円超の部分の割合(25%・30%)は令和5年分以降(令和6年1月1日以後に申告期限が来るもの)。1か月以内の特例は、納める税金の全額を法定納期限までに納付していることと、過去5年以内に無申告加算税などを課されていないことなどが条件です(国税庁 No.2024)。延滞税は、期限後申告で納める税金について納付の日までかかります。

ケース2:ふるさと納税・医療費控除などの申告だけ済ませた → 後から付け足せない

売った翌年に、ふるさと納税の寄附金控除や医療費控除、住宅ローン控除1年目のために確定申告をする人は多いはずです。その申告書に家の売却を書かなかった場合、後から修正申告や更正の請求をしても、3,000万円控除は原則として使えません。修正申告書や更正の請求は、条文が求める「確定申告書」ではないためです(租税特別措置法35条12項)。

読者
ほかの申告だけを済ませてしまったら、もう3,000万円控除を使う方法はないのですか?
著者
例外は、確定申告書に書かなかったことについて、税務署長が「やむを得ない事情がある」と認めた場合です。このときは、必要な書類を出せば控除が認められることがあります。「やむを得ない事情」の中身は条文に書かれておらず、税務署の判断になります。

税理士法人の解説では、ふるさと納税の寄附金控除だけを申告していた人に税務署から売却の申告漏れの連絡が入った相談(相談者の見込みで税額約300万円)について、3,000万円控除は使えず、税金を納める必要があると回答しています。同じ解説は、申告をまったくしていなければ期限後申告で3,000万円控除を使えた、と説明しています(東京メトロポリタン税理士法人「居住用財産の3,000万円控除と修正申告」2025年7月8日)。

例外は、確定申告書に書かなかったことについて、税務署長が「やむを得ない事情がある」と認めた場合です。このときは、必要な書類を出せば控除が認められることがあります(同条13項)。「やむを得ない事情」の中身は条文に書かれておらず、税務署の判断になります。

🚨 家を売った翌年に確定申告をする人へ

ふるさと納税・医療費控除・住宅ローン控除のために申告するなら、同じ申告書に家の売却と3,000万円控除も書いてください。売却を書かずに提出すると、税金ゼロで済んだはずの売却に課税される恐れがあります。

📋 確定申告で提出する書類と、手元に用意するもの

提出する書類

  • 確定申告書(売却の利益は分離課税なので第三表を使います)
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】
  • 売買契約日の前日時点の住民票の住所と、売った家の所在地が違う場合:戸籍の附票の写しなど、その家に住んでいたことが分かる書類(国税庁 No.3302)
  • 10年超の軽減税率も使う場合:売った家と敷地の登記事項証明書。「譲渡所得の特例の適用を受ける場合の不動産に係る不動産番号等の明細書」に不動産番号を書けば省略できます(国税庁 No.3305)

手元に用意するもの(計算と保存のため)

  • 売ったときと買ったときの売買契約書
  • 仲介手数料・印紙代・測量費などの領収書(譲渡費用)
  • 買ったときの諸費用の領収書と、建物の減価償却費相当額の計算

売買契約書や領収書は、3,000万円控除の申告で提出を求められている書類ではありません(国税庁 No.3302の提出書類に含まれていません)。ただし利益の計算に使い、税務署から問い合わせがあったときの根拠になるので、保存しておきます。

🧾 税金ゼロでも影響が出ること――「合計所得金額」は控除前で判定

3,000万円控除で税金がゼロになっても、扶養や控除の判定に使う「合計所得金額」には、控除前の売却益がそのまま入ります。国税庁は、申告分離課税の所得がある場合は「長(短)期譲渡所得については特別控除前の金額」を合計所得金額に加えると説明しています(確定申告書等作成コーナー「合計所得金額とは」)。

  • 例:妻名義の自宅を売って利益1,000万円 → 3,000万円控除で妻の税金はゼロ。しかし妻の合計所得金額は1,000万円になるため、夫はその年の配偶者控除・配偶者特別控除を受けられません(配偶者控除は配偶者の合計所得金額62万円以下、配偶者特別控除は133万円以下が条件。令和8年分の基準で、令和7年分は58万円以下、令和6年分以前は48万円以下。国税庁 No.1191)
  • 売った本人の基礎控除などの判定も、特別控除前の金額で行います(国税庁「マイホームを売却した場合の特例チェックシート(令和7年分用)」)

住民税については、所得税の確定申告書を出せば、住民税の申告書を出したものとみなされます(地方税法317条の3)。住民税の申告を別に出す必要はありません。

❓ よくある質問

Q1. 家を売って損が出ました。確定申告は必要ですか?

A. 課税される所得がないので、原則として不要です。ただし、マイホームの譲渡損失を給与などの所得と相殺し、翌年以降に繰り越す特例(措法41条の5、41条の5の2)を使う場合は、申告が必要です。3,000万円控除と違い、損失を翌年以降に繰り越すには、損失が出た年分の確定申告書を期限内に出し、その後も続けて申告していることが条件です(各条5項)。

Q2. 税金ゼロだと思って申告していません。税務署から連絡が来たらどうなりますか?

A. ほかの申告を何もしていなければ、税務署が税額を決定する前に期限後申告をして3,000万円控除を書けば、控除を使えます(国税通則法18条1項)。控除で税金がゼロなら、加算税・延滞税もかかりません。

Q3. ふるさと納税の申告だけしました。後から3,000万円控除を足せますか?

A. 原則として足せません。修正申告や更正の請求は、3,000万円控除の条件にある「確定申告書」に当たらないためです(措法35条12項)。例外は税務署長が「やむを得ない事情」を認めた場合だけです(同条13項)。まずは税務署か税理士に事情を説明して相談してください。

Q4. 住民税の申告も別に必要ですか?

A. 所得税の確定申告をしていれば不要です。確定申告書を出した日に、住民税の申告書も出したものとみなされます(地方税法317条の3)。

Q5. 年末に契約して、引き渡しは年明けでした。どちらの年の申告ですか?

A. 原則は引き渡した日の年です。ただし契約の効力が生じた日(通常は契約した日)の年で申告することもできます(国税庁 No.3102)。所有期間が5年・10年の境目にある場合は、どちらの日を使うかで税率が変わることがあるので、両方で計算してください。

📝 まとめ

家やマンションを売って利益が出たら、3,000万円控除で税金がゼロになる場合も確定申告が必要です。損が出ただけなら原則不要です。申告を忘れても、何も申告していなければ期限後申告で控除を使えます。一方、ふるさと納税などの申告だけを済ませて売却を書かなかった場合は、後から付け足すことが原則できません。売った翌年に何かの申告をするなら、同じ申告書に売却も必ず書いてください。

📖 この記事の根拠(出典・参照日2026年9月30日)

🔗 あわせて読みたい関連記事

執筆者 西本豪
執筆者:西本 豪(楽待新聞コラムニスト)

関西の不動産投資家。賃貸経営の体験と、法令・公的機関の資料をもとに、税務・融資・賃貸経営・法人運営の実務ガイドを発信しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました