どんなに新しく高スペックな物件でも築年数が経過するにつれて老朽化が進みます。
その結果、物件価格は少しずつ値下がりしてしまいます。
物件価格が下がる仕組み
まず、新築物件の場合は、購入後、すぐに大きな値下がりが起こります。
新築マンションの「新築プレミアム」
それは、いわゆる「新築プレミアム」と呼ばれる価格設定がされているためで、新築じゃ無くなってしまった瞬間に価格が大きく下がってしまうからです。
新築マンションの家賃設定の内訳については以下の記事でもう少し丁寧に説明しています。
土地価格と物件価格がポイントになる
その後は、ある程度まで物件価格が下がりますが、最終的には一定の水準を推移します。
その理由は、一般的に物件価格はその土地価格を下回る事が無いため、販売価格の内訳として土地価格に占める割合が高い物件の場合、値下がりしにくい傾向があるからです。
その地域の衰退や人口減少などにより坪単価が下がってしまう可能性は十分に考えられるものの、基本的に土地は老朽化する事が無いため、極端な値崩れはしないのです。
同じ土地でもフロアによって価値は変わる
例えばタワーマンションなどで考えてみると分かりやすいです。
高層階と低層階では同じ広さの場合、坪単価は同じです。
ですが、販売価格は高層階と低層階とで倍以上の差が出てきます。
つまり、高層階では物件価格に占める建物部分の内訳比率が高く、一方、低層階では土地価格が高いため、一般的には低層階の方が老朽化に伴う値崩れは低いと考えられます。
建物価格と減価償却の関係性
一方、節税効果としては物件価格に占める建物部分の割合が高い方が、減価償却費としてより多く計上できます。
減価償却の対象となるのは販売価格のうち建物価格の部分だけになります。
こちらの理由も先程と同じように土地は老朽化しないからですね。
税金対策として減価償却費は最も重要なポイントです。
売買価格に占める建物価格の割合を大きくできれば、その分、減価償却として沢山計上できる訳です。
減価償却の考え方については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。
建物価格と土地価格のバランス
不動産の価格は売買契約を結ぶタイミングで、建物価格と土地価格の内訳を決めることができます。
勿論、常識の範囲内ですが、売る側と買う側の双方で合意できれば特に問題ありません。
建物価格には消費税が掛かる
ただし販売会社や年間の課税売上高が1,000万円を超える事業主の場合は販売価格に占める建物価格に応じて消費税の納税義務が発生します。
そのため、もし税込みの販売価格が同じ場合、建物価格に占める割合が増すと、その分、売り手である販売会社が納めるべき消費税価格も大きくなってしまいます。
そのため、建物価格と土地価格の内訳によって物件を売る側と買う側の利害関係が真逆になってしまいます。
つまり、買う側に一方的に有利な内訳にする事はなかなか難しいことになります。
ちなみに、消費税が含まれていない税別であれば、販売価格が同じ場合は、売り主である販売会社側としては納めるべき消費税分もしっかりと買い主側から支払われるため、物件価格に占める内訳比率による影響はありません。
また課税売上高が1,000万円以下の個人の売り主さんなどの場合、消費税の納税義務が免除されるため、ある程度は融通を利かせてもらえるかもです。
節税効果を高めるポイント
建物価格の内訳比率を増やし減価償却費による節税効果を高めるポイントとしては、売買契約書に記載する内容を、取引総額だけでは無く、建物価格および土地価格の内訳を明記する事です。
そうする事で、その金額が建物価格の根拠となり、万が一、税務調査の対象となった場合にも非常に有効となります。
上記の内容を良いとこ取りすると販売価格の内訳のうち土地価格に占める割合が高い物件を建物価格の比率を高く設定して購入する事で、老朽化による値崩れリスクを抑えつつ税金対策にもなると言う事になります。
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