外観塗装は美観を良くするため、空室対策や入居率UPに繋がるとイメージされるかもしれませんが、最も重要な役割は雨水が建物内に入り込まないようにすることです。
所有物件を守るために大切なこと
もし防水の機能が正しく働いていなかった場合、雨漏りしてしまったり住宅の寿命が短くしたりしてしまいます。
外装塗装をするタイミングは各物件の修繕計画などによりさまざまだと思いますが、塗装する塗料ごとにある程度の耐久年数が定められていています。
一般的に耐久年数が短いものでは7年程、長いものでも20年程となります。
塗装の効果は中々目に見えにくいですが、修繕費をケチって塗装工事を怠ると防水効果が無くなり雨で壁が歪んでしまったり壁がひび割れてしまったりします。
また、そこからさらに浸水が進み木材を腐らせてしまったり、水や空気がコンクリートの内側に入り込んでしまうことで鉄筋を錆びさせてしまいます。
もし鉄筋が錆びて膨張するとその上のコンクリートを圧迫(爆裂)し、さらに劣化を進めさせてしまうため計画的な補強が必要になる訳です。
一般的にマンションの寿命(=コンクリートが中性化するまでの寿命)は60年程と言われますが、このような理由で劣化してしまうと寿命を大きく縮めることになってしまいます。
塗装の必要性についてはこちらのサイトがとても分かりやすく丁寧にまとめられていました。
塗装仕様書の見方と注意点
塗装工事を行う際は塗料メーカーが塗料ごとに定めている塗装仕様書を守る必要があります。一般的には下記の項目が含まれています。
工程 | 「下地調整」、「下塗り」、「上塗り」などの作業工程 |
塗料名 | 使用される塗料の名前 |
塗り回数 | 塗装する回数(2回~3回重ね塗りするため) |
使用量(kg/㎡) | 1㎡ごとに使用する使用量 |
塗り重ね乾燥時間(23℃) | 次工程の塗料を再度塗りはじめるまでの乾燥させる時間 |
希釈率(%) | 原液に対してどれくらい希釈剤を含めるの割合 |
ちなみに工程の「下地調整」とはほこりやカビなどを除去する作業で塗装するための事前工程です。
この仕様書の通りに塗装を行えば経験による品質のブレをある程度軽減できます。勿論、職人の技術力によって仕上がりレベルは違いますが、いわゆる説明書のようなイメージですね。
工程や塗料名などは契約書にも明記されることもあるため正しく守られないことは少ないですが、塗り回数や使用量についてはちゃんと守らない業者もいるそうです。
塗装仕様書の内容は全て厳守して初めて正しい性能を発揮します。どれか一つでも基準値を守らなければ、作業全体のバランスが崩れてしまいます。
工事完了時には綺麗に見えても数年後に不具合が出てくると原因特定や責任範囲が曖昧になりなってしまうので必ず守ってもらうべき大切なルールです。
家主側での確認も大切
家主がずっと立ち会うことができれば塗り回数を少なくされることはないと思いますが、ずっと張り付いている訳にもいかないですよね。
ただ任せっきりにするのでは無く、少しでも現場で立ち会ったり興味を持って(興味のあるふりをして)業者の方とコミュニケーションをとればそのような可能性は少なくなるはずです。
余り話しかけすぎると迷惑(邪魔)になってしまいますが、軽く勉強する意識で聞いてみると良いと思います。
また塗料の使用量についても塗装対象の面積などから缶数が分かるはずなので、作業終わりに確認するだけでもちゃんと必要量を使いきっているのかが分かります。
そもそも塗装対象の面積を正確に把握できていることが大前提ですが、ちゃんと把握できているのであれば「予定よりも余ってしまった」と言うことは無いはずです。
業者側からすると使用量を少なくケチることでその分コストが浮きますが、使用量や希釈率を守らなければ、それはそのまま品質劣化につながります。
本来の耐久性を保てなかったりひび割れなどの原因にもなってしまうため家主側からすればとても致命傷となります。
口頭だけでは中々信じられないかもしれませんが、もし作業の前後で写真などで作業記録を提供してくれる業者であれば一層安心できますね。
また塗り重ね乾燥時間については一番手を抜かれやすい項目だとも言われます。気温や湿度などにも左右されますが決められた乾燥時間をちゃんとあけないと乾燥不良や付着不良などが起こり品質劣化につながります。
業者からすればこの時間もコスト(人件費)が発生しているため少しでも短くしたいところですが、正しく守らないと塗料の性能をしっかり発揮できなくなります。
こちらも作業日ごとの工程表(タイムチャート)などがあれば信憑性が増しますね。
また最後に作業担当者の技術力にもバラついがあるため少しは気に掛ける必要があります。
塗装工事には作業するために必須の資格などはありません。そのためほとんど知識が無い学生アルバイトが特に教育も受けず先輩の見よう見まねで作業することもあります。
ただ、必須の資格は無いにしろ塗装技能士や防水施工技能士などの国家試験制度はあるため、会社として関連資格の保有者をある程度揃えているかで一つの見極めポイントになりそうです。
作業を依頼しているにも関わらず人を疑い過ぎるのは考えものですが、高い費用を支払っても最後にリスクを背負うのは家主自身でもあるので任せ過ぎる(信じ過ぎる)のも考えものだと思います。
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