最高の融資を引くには?金融機関の融資基準と評価方法を理解する

融資戦略
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不動産経営をする上で、良い条件で融資を受けることはとても重要です。

最近では不動産投資にも積極的に融資を始めた金融機関が増えてきていますが、マイホームの購入とは違い、投資用物件の場合、融資を受ける側の収入や資産情報だけで融資を判断する訳ではありません。

それ以外にも、対象の物件が想定した通りの運用利回りをしっかり確保できるかなどが、貸出し条件の評価基準に影響を与えます。

  • 投資用物件の融資を受けたい人
  • 金融機関側の評価基準を知りたい人
  • 好条件の融資を受ける方法を知りたい人
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投資用物件に対する融資基準

住居用物件の場合、借入人の収入(年収)により借入可能額が決まります。一般的な目安としては以下のようなものがあります。

  • 年収の5倍〜6倍程までの金額
  • 年間の返済額が年収の30%以下に収まるような金額

一方、投資用物件については、個人の収入などの他に収益物件自体の評価が大きな鍵になります。

収益物件の評価額が重要

一方、収益物件の融資の基準は借入人の属性以上に、その物件の物件評価額をもとに融資条件が検討されます。

また、投資家(経営者)と金融機関では物権評価額、つまり物件の価値に対する考え方も違います。

それは、投資家(経営者)と金融機関では物件を購入する(または物件購入のために融資する)目的が違うからです。

  • 投資家、経営者
    • 入居者を獲得し安定した経営を実現する
  • 金融機関
    • 融資(利息分)によって利息を確保する
    • 融資した事業が失敗すると損失(貸し倒れ)の恐れがある
    • いざとなったら物件を売却することで返済してもらう

投資家側としては入居者が支払う家賃収入をもとにローンを返済するため「いかに安定した家賃収入が得られるか?」が重要です。

一方、金融機関側としては利息分も含めて残債を返済してもらうことで、しっかり利益を確保しなければいけません。ただし、それだけでは不十分であり、万が一、事業が失敗した場合は、その物件を売却してでも融資額を回収する必要があります。

つまり、融資を借り入れる投資家と金融機関とでは、物件を評価する基準が微妙に変わります。

  • 投資家、経営者
    • 利回り、キャッシュフローなどが優先
    • 法定耐用年数が超過していても利益が出せれば問題無い
  • 金融機関
    • 資産性、担保価値などが優先
    • 積算価格、比準価格、収益還元法による評価額
    • 法定耐用年数を超過するような物件は融資が難しくなる

普通に考えれば「不動産投資に向く物件」と「住宅ローンが組み易い物件」はイコールになりそうですが、そうならないケースも珍しくありません。

金融機関から紹介された物件は優良物件?

金融機関から融資が下りれば物件は購入できる訳ですが、そうであれば「金融機関から直接紹介された物件を購入するば良いのでは無いか?」と考える人もいると思います。

ですが、金融機関から紹介された物件だからと言って、必ずしも安定した賃貸経営が実現できるとは限りません。

金融機関(特にメガバンク)は不動産会社と同じ系列であったり協力関係にあることが多いため、必ずしも中立的な観点で物件を紹介してくれるとは限りません。

「融資のプロがすすめる物件だから安心だ」と考えてしまうのは少し軽率です。もし紹介されたとしても本当に優良物件であるかをしっかり精査しなければいけません。

金融機関から紹介された物件を安易に購入してはいけない理由
投資用物件を購入するにはさまざまなハードルを乗り越えなければいけませんが、中でも大きなポイントになるのが「金融機関からの融資」の問題です。 優れた投資用物件を見つけることは「安定した賃貸経営を継続させる」ためにはとても重要なことであり、賃貸...

賃貸経営に積極的な金融機関は?

不動産の世界には融資に積極的な金融機関がいくつか存在します。例えば以下のような金融機関が挙げられます。

  • スルガ銀行
  • 静岡銀行
  • オリックス銀行
  • 日本政策金融公庫(公庫)

勿論、都市銀行や地方銀行などの方が、比較的、低い金利で融資を受けられることが多いですが、もし潤沢なキャッシュフローが期待できるのであれば、多少、金利が高かったり、返済期間が短くなったとしても、積極的な金融機関に融資を依頼するのも有効です。

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融資審査のための3つのポイント

銀行やローン会社から融資を受ける場合、不動産投資会社が仲介対応をしてくれるため借入人自身は必要書類を提出するだけで意識する事は少ないですが、金融機関としても審査のポイントがあります。

  1. キャッシュフロー
  2. 純資産
  3. 個人の属性

言うまでもなく借入人本人の属性は重要なのですが、それ以外にも融資したローンの元利金をきちんと回収できるかを判断するために、これらのポイントが大切になります。

キャッシュフロー

キャッシュフローとはお金の流れのことです。

専業大家の場合、家賃収入から経費や借入金返済を差し引いたキャッシュフロー。

副業の場合は、さらに本業の給与所得なども考慮されます。

純資産

融資対象物件の評価です。

銀行の評価価格から借入金残高を差し引き、いざと言う時に資産を処分(売却)することでローンを回収できるかを判断します。

中古物件の場合は耐用年数残存期間なども重要な判断基準です。

個人の属性

最後にもっとも大切なのが融資を受ける本人の属性です。

金融機関によって評価基準はさまざまですが、属性や信用度には主に以下のようなものが含まれます。

  • 職業および勤続年数
  • 年収
  • 年齢
  • 対象の融資を受ける前の借入金の総額
  • 物件自体の収益性
  • これまでの投資実績

ちなみに、僕が初めて投資用物件購入のため金融機関に対して融資のを相談した時「年収は400万円程です」と伝えたところ、「399万円以下ですか?400万円以上ですか?」とかなりしつこく聞かれました。

「年収399万円」と「年収400万円以上」の差は、お金を借りる条件としてとてもとても大きな差がありました。

その他に大切なのは「人柄」です。例えば以下のようなものがあります。

  • 必要なやり取りを期限内に対応する
  • 必要書類を一定の精度で提出する
  • 社会人としての振る舞い、人間性、考え方
  • 返済の滞納歴など

キャッシュフローに問題があったり純資産がマイナス(債務超過)な場合は難しいのは勿論ですが、余りに横柄な態度だったり上目目線の人も敬遠されることも。

それはただ単に「嫌なヤツ」と言う感情論では無く、元々そのような人は後々、トラブル(理不尽なクレームなど)に繋がる可能性が高くなるからだそうです。

やっぱりお金を借りるのですから、謙虚な気持ちは必要なのです。また、ある程度大規模な融資の場合、過去の不動産投資歴も影響するそうです。融資金額が大きくなると経営者としての手腕が問われる訳です。

金利の仕組みを理解しよう

そもそも好条件での融資とはどのような融資でしょうか。

一般的にはこのような融資が好条件と言われます。

  • 低金利での融資
  • 返済期間が長期の融資
  • 借り入れ額が大きい融資

まず、金利については間違いなく低ければ低い程良いです。

また、返済期間が長ければ月々の返済額を抑えることができキャッシュフローが生みやすくなりますし、借り入れ額が大きければその分、レバレッジを利用した効果的な投資が可能になります。

なお、細かな金利の仕組みについてはこちらの記事で丁寧に解説しています。是非、あわせて読んで頂ければと思います。

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融資条件が不利になる要因は?

融資を受ける上で「○○であれば不利になる」と言われる項目がいくつかあります。

勿論、ケースバイケースであるため、どれも断言はできませんが、中には絶対的に不利になるような致命的な問題もあります。本人は余り気にしていなくてもちょっとしたことが融資条件に大きな影響を与えてしまうことがあります。一つ一つ解説していきます。

賃貸経営が赤字だと影響はある?

特に投資用物件の販売会社は「不動産投資は節税効果がある」と宣伝しています。

節税効果を得るためには、賃貸経営を赤字化する必要があります。

※相続対策として賃貸経営をする場合は赤字化しなくても大幅な節税効果が期待できます。

ですが、追加で融資を受ける場合、赤字経営はマイナス評価になるとも言われます。中には「融資審査に影響を与えるため、多少無理してでも頑張って黒字化するべきであり、そのための納税額は必要経費だと割り切ろう」との意見もあるくらいです。

結論としては「黒字経営の方が好ましいものの必須条件では無い」と考えられます。

勿論、専業家主の場合、賃貸経営が赤字だとかなりネガティブや印象になりますが、会社員や公務員のような兼業家主の場合だと、多少、賃貸経営が赤字だとしても、その赤字分を覆す程の本業での収入が確保できていれば、マイナス評価にならないこともあります。

マイホーム購入に伴う借入金の有無

マイホームの購入によって、投資用物件のアパートローンが通りにくいと良く言われます。

実際にはローン融資の残債額とマイホームの担保評価額により評価が変わります。

ただし、投資用物件のアパートローンは、マイホームを購入するための一般的な住宅ローンよりも融資基準は厳しくなります。

もし、購入する順番に調整の余地があるのであれば、まず最初に投資用物件を購入し、その後にマイフォームを購入するべきです。

連帯保証人の影響

投資用物件に関わらず融資を受ける場合、万が一、本人が返済できなかった時のために、連帯保証人を設けます。もし連帯保証人が確保できない場合、以下の方法を取ることで融資を受けることができます。

  • 団体信用保険を利用する
    • 貸出金利が03%〜05%程上乗せされるためローンの負担は重くなる
  • 資産管理法人を設立する
    • 法人を主債務者とし、代表者である自分自身を連帯保証人に設定することが可能

基本的にワンルームマンションなどの場合は団体信用保険の加入が必要になることが多いです。

カードローン返済の事故歴

過去にカードローンの返済遅延があれば致命的なマイナス要因に繋がります。

「短期間の遅延であれば問題無いのでは?」と思うかもしれませんが、問題は金額や期間ではありません。ローン返済が遅延してしまうことのデメリットは「経済的に問題があると疑われる」ことでは無く「人としての信頼性が損なわれる」ことです。

返済遅延の事故情報はブラックリストとして5年間保存されます。

金額の大小に関わらず、絶対に返済遅延は起こしてはいけません。

信用毀損はゲームオーバー

「信用毀損」とは借入金が個人の与信と保有物件の担保価格の合計を超えてしまっていて、金融機関から「債務超過」と判断されることです。

信用毀損になる判断されるとその金融機関からの融資はほぼ不可能です。

特に区分マンションの場合は物件自体に担保価値がほとんど無く、借入人の属性自体が与信として差し引かれています。特に上場企業の会社員や公務員などは最大限の与信の価値があります。

つまり自分の将来価値の先食いであり、投資家自身がバランスシート内に組み入れられるイメージで、不動産投資用語では「はめ込み」とも呼ばれます。

たまに調子に乗って、キャッシュフローの生まれない投資用の区分マンションを2部屋、3部屋と買い足していく投資家がいますが、個人の与信としては3部屋〜4部屋辺りが限界ラインです。

どんどん借金を増やして事業規模を拡大することは投資家としては魅力的に感じるかもしれませんが、適切な物件を購入し続けなければ、遅かれ早かれ信用毀損に陥ってしまいます。

ある程度、純資産を準備しなければ、次の融資に辿り着けなくなってしまします。

書籍「少額現金ではじめる! 「中古1Rマンション」堅実投資術」では、融資に過剰に頼りすぎずに、自己資金をもとに堅実に資産を拡大していく方法が詳しく解説されています。基本的には区分の1Rマンション投資を推奨していますが、不動産投資全般に対してとても役に立つ内容がまとめられています。

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アプローチ前に理解しておくべき情報

事業実績がしっかししており経営者として成功していると判断されれば、その分、良い条件で融資を受けることができます。

ですが、例え経営者としての実績が乏しくても、ちょっとした工夫で融資を有利に進めることもできます。例えば、以下のような対応方針が効果的です。

  • 先輩大家や家族などから紹介を受ける
  • 提出を求められる資料を事前に準備する
  • 融資基準が緩くなるタイミングを把握する

融資戦略は、自分の実績を過剰に大きく見せたり、何か不正をする訳ではありません。正しい対応ができれば、将来の事業規模の拡大に向けて、効果的にスタートダッシュを決めることができます。

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