住宅ローンや投資用マンションローンと関係の深い「団体信用保険」についてまとめました。
この記事を読んで頂くだけで団体信用保険の基本的な考え方や注意点、また生命保険との関係性などがすべて分かる内容になっています。
不動産投資をする以上、必ず知っておいた方が良い知識なので、是非、最後まで読んで頂ければと思います。
投資用マンションには団体信用保険が必要
投資用マンションを購入する場合、一般的には投資用のマンションローンを組んで購入することになります。
現金で支払える程のお金持ちの人であれば一括キャッシュで購入できるかもしれませんが、多くの人はマンションローンに頼りながら物件を購入することになります。
そして住宅ローンや投資用マンションローンを組んでマンションを購入すると、それと同時に団体信用生命保険に加入することになります。
団体信用保険は「団信」と略されることもあります。
そもそも団体信用保険とは?
不動産投資は株式投資やその他の投資と比べて必要となる資金が圧倒的に大きいです。
物件の購入後に事故や病気などにより自分にもしものことがあれば、その借金は誰が支払うのでしょうか?
普通に考えたら遺族やその他の家族が支払うことになりそうですが、現実問題、それはなかなか大変なことです。万が一、自分にもしものことが起こり借金の支払いが残された遺族に重くのしかかるんだとしたら、誰も不動産経営なんてやりたがらないですよね。
そしたら貸出元の金融機関が泣き寝入りするのでしょうか?
勿論、そんなこともありません。
金融機関側としては購入者が死亡しようが病気になろうがしっかりとお金を返してもらわないと困ります。
そしたら誰が負担するのか…?
そこで団体信用保険が役に立ちます。
団体信用保険に加入すると自分(購入者)が返済期間中に事故や病気で死亡してしまったり、重い症状になってしまった場合、団体信用保険を提供している生命保険会社が残りのローンを全額返済してくれます。
つまり、購入者側(遺族側)としては返済の進捗に関わらず残りの住宅ローンを全額免除してもらえる訳です。
※画像は住宅ローン比較館の「7項目で解説!住宅ローンと一緒に入る団体信用生命保険とは」からです。
投資用ローンには団体信用保険の加入が必須?
団体信用保険の保険料は月々のローン返済に対して、およそ0.2%〜0.5%ほど上乗せされて支払う仕組みになっています。
0.2%〜0.5%ほどの上乗せであれば「それくらいなら大きな負担にはならないじゃないか?」と思われるかもしれませんが、数千万円もする物件を30年〜35年ローンなどで購入すると、意外と大きな負担になります。
ちなみに、最近では投資用物件を購入する時に「連帯保証人」を付ける必要は無くなってきています。ですが、その分、団体信用保険への加入は原則として必須になっている場合が多く、加入しなければローンを借入れる事ができません。
※フラット35のように団体信用保険への加入が義務付けられていない金融機関もあります。
マイホームの購入には団信への加入は必須では無い
ちなみに住居用の住宅ローンの場合は団体信用保険への加入は義務はありません。
もし団体信用保険以外の生命保険が十分な備えになっている場合は、団体信用保険を外すことで、ローン返済額を抑えることも可能です。
僕もマイホームを購入した時の住宅ローンでは団体信用保険には加入しませんでした。
団体信用保険に加入できないこともある?
逆に団体信用保険に加入できないケースはあるのでしょうか?
例えば以下のようなケースでは団体信用保険に加入できません。
- 法人として投資用物件を購入する場合
- 借入金の合計金額が上限に達している場合
まず、団体信用保険の加入条件の一つが「個人」であることです。
そのため「法人」では団体信用保険に加入できません。
法人として投資用物件を購入する場合もあると思いますが、その場合でも契約者は「法人」では無く「個人」にする必要があります。
また団体信用保険には「上限金額」が設けられています。
金融機関によって上限金額が異なりますが、1億円〜3億円であることが多いです。
ローン残高の合計金額が高額になる場合も団体信用保険に加入できないため事前に上限額を把握しておく必要があります。
生命保険の変わりになる?ならない?
団体信用保険は、加入後、購入者にもしものことがあった場合、ローンの返済を免除されます。
そのため、不動産販売会社としてはこの事を理由に「不動産投資は生命保険の代わりになる」と言うことがあります。
団体信用保険が適応される症状は?
団体信用保険が適応される症状としては加入するプランによって多少異なりますが、一般的には以下のようなものが含まれます。
- 死亡または高度障害状態(要介護状態などの重い障害)
- 3大疾患
- がん、急性心筋梗塞、脳卒中
- 8大疾患
- がん、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧性疾患、糖尿病、肝硬変、慢性腎不全、慢性膵炎
ただし3大疾病や8大疾病については、保険会社ごとにより詳細な条件があるため、その条件を満たして初めて保険が適応されます。
8大疾病付きのプランに加入している場合は「たくさんの病気がサポートされているから何かあってもすぐに保険は下りるだろう」と浅はかに考えてしまいそうですが、約款などの契約内容については加入するプランによって多少異なる上にどこの保険会社でもかなり厳しめに設定されていることが多いです。
条件を正しく把握しておかないと、後でトラブルになってしまうかもしれません。
なお、僕が過去に融資を受けたジャックスとオリックス銀行の団体信用保険の補償内容についても分かりやすく解説しています。参考になるはずなので、是非あわせて読んで頂ければと思います。
生命保険のプラン見直しのきっかけにはなる
もし団体信用保険に入る事で既に入っている保険と重複する部分があるのであれば、一度見直しを検討してみるのも有効です。
死亡保険などに対して高めの保険料を支払っているのであれば、保障額を少し減らして月々の支出を下げることもできますし、いっそうのこと死亡保険部分を無くしてしまうのもありかもしれません。
生命保険とは別で考えるべき?
団体信用保険が適応されると残りの住宅ローンが全額免除になります。
そのため、団体信用保険によって補償されるハードルは想像以上に高いです。
残念ながら、ちょっとした怪我などでは保険は下りません。
つまり、団体信用保険に加入していたからといって、必ずしも通常の生命保険の変わりになる訳ではありません。なので、それだけで現在加入中の生命保険を解約するのは軽率だと思います。
当然、保険範囲が広くなればなるほど、保険料は高額になるため補償が手厚ければ良い訳ではありませんが、自分にとってどの程度の保険が必要なのかは冷静に考える必要があります。
特に投資用物件の販売会社のHPやパンフレットなどでは「団体信用保険は生命保険の変わりになる」と題材的に取り上げていますが、あくまで従来の生命保険の補完的な役割だと考えるべきだと思います。
団体信用保険の保険料は年齢に左右されない?
ちなみに団体信用保険は通常の保険とは異なり年齢による保険料の違いはありません。
一般的な生命保険だと高齢になればその分生命保険料が高額になってしまいます。
20代の頃は安かった保険料も50代〜60代頃になってくると若かった頃の何倍もの保険料になってしまいます。また、だからと言って若い時期からずっと生命保険に加入するのも(支払い年数が長い分)トータルでの支払い保険料も高くなってしまいます。
ですが、団体信用保険だと年齢によって保険料が変わることがないため、年をとってからの加入も安心です。一定の年齢以上になると、一層効果が大きくなる訳ですね。
団体信用保険の注意点について
実は団体信用生命保険にはいくつかの注意点があります。
物件購入には団信に加入できるかどうかが重要
それはローンの借入れを審査する場合、年収、年齢制限に加え「健康である事」も重要な判断基準になってきます。
そのため通常の住宅ローンよりも審査基準のハードルが上がってしまい、経済面では問題無くても健康面を理由に借入れが却下される事もあります。
健康上の問題があっても「ワイド団信」なら加入できる
ただし、健康上の理由で団体信用保険に加入できない場合は、適応金利を上乗せすることで加入条件が緩和された「ワイド団信」に加入することも可能です。
適応金利0.2%〜0.3%ほど高くなってしまいますが、健康上の問題がある人にとっては嬉しい救済処置だと言えます。
年齢によって返済期間に影響が出る
先程もご説明しましたが団体信用保険は年齢による保険料の違いはありません。
ただし、多くの団体信用保険が加入時や完済時に年齢制限を設けています。
例えば多くの団体信用保険で返済時の年齢制限が80歳までに制限されています。
金融機関からの融資が35年ローンで契約できたとしても、団体信用保険加入の条件として「返済時の年齢制限が80歳」の場合、そこから逆算した年数でしか融資を受けることができなくなってしまいます。
「告知義務違反」には要注意!
団体信用保険に加入するには契約申し込みの際に「病歴や健康状態を正しく告知する義務」があります。
健康状態に関わる問題を故意に伝えないのは当然ダメですが、仮に悪意が無かったとしても、きちんと漏れなく申告していなければ保険料が支払われない可能性があるので要注意です。
もし不安要素などがある場合は契約時に正直に話しておいた方が後々トラブルになることも無いため、安心できると思います。
物件選びの前に融資が下りるかが一番重要
始めて不動産物件を購入する時は、どの物件を購入するか本当に悩むと思います。
だけど、悩んで悩んでやっと巡り合えた最高の物件でも、契約を進める過程で団体信用保険が却下されローンを組めないため購入を諦めないといけない事もあります。
もし不動産物件の購入を前向きに考えている場合は、まだ欲しい物件が決まっていなくても、早めに一度審査を受けてみる事で安心して物件探しに専念できると思います。
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