賃貸経営を始めたいけど、物件の価格が高すぎて、中々、購入に踏み切れない方は多いと思います。
特にここ数年の間は、不動産の販売価格が上昇傾向で「一体、いつになったら買い時なのか?」と悩んでいる人もいるはずです。
ですが、地方に目を向けてみると意外と勝算があったりします。
新築の一棟アパートであれば販売価格も高く、リスクだけが大きいかもしれませんが、地方の比較的築年数の経ったアパートであれば、お宝物件に巡り会える可能性は高くなります。
今回は地方の築古アパート(ボロ物件)でも、高利回りを狙えるような価値のある物件の探し方についてまとめてみました。
- 賃貸経営を始めたいけど価格が高騰していて購入に踏み切れない人
- ボロ物件でも構わないので高利回りを狙える物件を見つけたい人
- 短期間で一定の賃貸収入を得たい人
地方アパート経営の魅力とは?
投資用の物件は主に以下の3種類に分けられます。
- 分譲のワンルームマンション
- 戸建て物件(一軒家)
- 一棟マンション、一棟アパート
ワンルームマンションが「ローリスク・ローリターン」であることに対して、地方の築古アパートなどはリスクが高いと言われています。ただ、その分、投資対象としては魅力的な部分も多く、短い期間で保有資産を増やしていく上では是非検討したいタイプの物件でもあります。
高利回りが狙える
ワンルームマンションの表面利回りが5%〜8%程である事に対して、一棟マンションの表面利回りは10%を超える事も多く、地方のアパートに至っては15%以上の物件も珍しくありません。
理由はシンプルで、それは「地方の築古アパートの販売価格が安いこと」です。
ちなみに、ワンルームマンションや戸建て物件などの利回りを評価する場合は、より具体性を高めるために「表面利回り」では無く「実質利回り」をもとに利回りを算出します。それは1%の利回りの差が経営に大きな影響を与えてしまうからです。
一方、地方の築古アパートについては、建物により修繕費用やリフォーム費用が大きくなることもあり、また家主の腕やアイデア次第で必要となる経費が大きく変わるため、2%〜3%程の利回りの違いは誤差の範囲として、まずは「表面利回り」に注目して物件選びを進める方が、合理的な判断に繋がるかもしれません。
資産拡大のスピードが早い
賃貸経営において利回り以上に大切とされているのが「キャッシュフロー」です。
キャッシュフローとは賃料として得られる家賃収入から金融機関への返済やさまざまな経費を差し引いた「実際に手元に残るお金」です。
当然ですが、利回りが高い物件を所有すると、自然とキャッシュフローも大きくなります。
キャッシュフローが増えると、その分、手元にお金が溜まっていくので、次の物件を購入し、保有資産を拡大していくための期間も短くなります。
ワンルームマンションの場合は、安定した家賃収入が得られるかもしれませんが、そもそもの想定利回りが低いため、手元にお金が貯まるのにある程度の時間が掛かってしまいます。少しずつならお金が貯まる(貯まらない物件もあるが…)のですが、それでも10年〜20年という膨大な時間が掛かるため、資産拡大のスピードを考えると、やはり不利です。
一方、地方の築古アパートの場合は、期待できる利回りが大きいため、どんどんキャッシュが貯まっていきます。と言うよりも「積極的にキャッシュが貯まっていくことを目指す考え方」であるため、上手く運営できれば、1棟目の物件を購入し、数年後にはまた次の物件の購入を検討することができます。
減価償却費による節税効果が大きい
賃貸経営で高い収益を目指すには、家賃収入を確保することも大切ですが、それと同様に「如何に経費として計上できるお金を生み出すか?」も重要です。
そして、経費計上できるお金の中でも特に大きな割合を占めるのは「減価償却費」です。
築古物件の場合、既に法定耐用年数を超過している物件も珍しくありません。
減価償却の法定耐用年数物件の種類 | 耐用年数 |
---|---|
鉄筋コンクリート(RC) | 47年 |
重量鉄骨(鉄骨材4mm超) | 34年 |
軽量鉄骨(鉄骨材3mm超〜4mm以下) | 27年 |
軽量鉄骨(鉄骨造3mm以下) | 19年 |
木造 | 22年 |
法定対応年数が超過している場合でも減価償却費は計上できます。しかも法定対応年数が超過した物件は減価償却期間が4年と極端に短いため、年間での節税効果はとても大きくなります。
空室を下げることは言うまでも無く大切な取り組みですが、減価償却費を上手く活用することも、とても重要なポイントです。
努力次第で競合物件を制圧できる
地方物件の場合、都心とは違い「余りやる気のない年配の大家さん」が多いです。
都心の場合は若い投資家や勉強熱心や大家のコミュニティなども多く「如何に競合物件と差別化するか?」「どうやって価格低下圧力に対抗するか?」というような悩みも多いです。
ですが、地方の場合は「とりあえず親から相続した物件を持ち続けている家主」や「対して生活には困っていないのでそれなりの収入があれば満足できる経営者」が多い傾向にあります。
勿論、地方と言えども、新築の一棟アパートが乱立していたり、そのような計画が想定される場合は、苦戦を強いられることも想定できますし、そもそも地域全体が衰退していて入居者のニーズが極端に少ないエリアではライバルの有無に関わらず空室率を下げることは難しいかもしれません。
ですが、ある程度、事前に情報を収集することで、リスクを最低限に抑えることはできるはずです。
築古物件の注意点
安い物件を購入することができれば自然と利回りは高くなり、キャッシュフローも潤沢になりますが、当然、築古ならではの注意点も沢山あります。
修繕対応や入居者募集の手間が掛かる
安い物件を購入できること自体はとても大きなチャンスなのですが、安い物件にはそれなりの理由があり、空室率が高い物件も多いはずです。
ただ、そもそも築古のお宝物件を狙う意図としては「ポテンシャルは秘められているものの前任の家主が疎かな運営をしていた物件を自分の力で蘇らせる」ことでもあるため、デメリットというよりかは「大家の腕の見せどころ」と割り切ることもできます。
なので、例え建物管理会社や賃貸管理会社に業務を委託していたとしても、経営が安定してくるまでは、家主側も「時間」「お金」「知恵」を集結して努力する必要があります。
金融機関の評価が低い
築古物件の場合、仮にキャッシュフローが確保できていても、金融機関からの評価額は築年数とともに低くなります。
特に木造アパートなどでは、法定耐用年数も短いため、節税効果が高いというメリットがある反面、金融機関からの融資がほとんど下りないデメリットもあります。
金融機関からの融資が期待できない場合、その分、現金が沢山必要になりますし、もし売却したくても「現金で一括購入できる経済力のある家主」しか購入できないため、売却価格が下がる恐れもあります。
買ってはいけないボロ物件とは?
当然、投資用物件の中には個人の努力では改善が見込めない「買ってはいけない投資用物件」があります。
- 収益性と比較して販売価格が割高過ぎる物件
- 常にキャッシュフローがマイナスになる物件
- 地域全体で入居者の需要が見込めない物件
これらの物件は築年数や物件の品質に関わらず買ってはいけない投資用物件だと言えます。
さらに、ボロ物件の場合は新築物件や築浅物件などと比べて品質自体のリスクも沢山潜んでいます。つまり通常の投資用物件と比べて「ボロ物件ならではの懸念点」も考えられます。
例えば、絶対に手を出してはいけない「買ってはいけないボロ物件」には以下のような物件です。
- 軟弱地盤の上の傾いた物件
- 湿気が高く通気性の低い物件
- 雨漏りが長期間放置されていた物件
- 擁壁倒壊の危険性のある物件
「買ってはいけないボロ物件」の特徴としても、やはり「個人の努力では改善が見込めなるか?見込めないか?」がポイントになりますし、仮に改善できたとしてもそのために数百万円規模の支出が伴うのであれば、当然、利回りやキャッシュフローは悪くなります。
「買ってはいけないボロ物件」については「まずはアパート一棟、買いなさい! 資金300万円から家賃年収1000万円を生み出す極意」でとても詳しく解説されています。
高利回りを狙えるボロ物件の探し方
「高利回りを狙えるような地方のボロ物件を探す場合」と「都心の区分マンションや一棟マンションを探す場合」とでは、物件選びの基準が少し異なります。
つまり「地方の特徴」と「築古の特徴」を踏まえた上で物件探しを進めることになります。
地方ならではのニーズを把握
都心などの市街地に住んでいると、電車やバスのような交通インフラに頼った生活が中心になる人が多く、立地の面では以下のようなポイントはとても重要です。
- 最寄りの駅やバス停までの距離
- 徒歩、何分掛かるか?
- 1時間の運行本数はどうか?
- 最寄り駅の規模
- 特急電車や快速電車の停車駅か?
- 都心までの移動時間は何分か?
一方、地方や田舎だと交通インフラが充実していない場合もあり、地域によっては完全な「車社会」です。都心の場合だとカーシェアリングが普及していたり、若者の車離れなどが指摘されていますが、交通インフラが充実していない地域では「一家に車一台」や「一人に車一台」の家族も多いです。
そのため、最低でも全世帯数以上の駐車場が確保できることはとても大切なポイントになります。
築古物件を選ぶポイント
新築物件や築浅物件と比べ、築古物件の場合、やはりリスクは大きいと言えますが、その分、チャンスも大きいです。
大胆な値下げ交渉は可能?
築古物件の場合、物件のさまざまな箇所に不備や不具合が残っているので、その部分を指摘することや、その部分を修繕するために必要となる費用を証明することで、論理的に価格交渉をすることができます。
また、築年数が長期間経過した物件だと、金融機関からの評価額(つまり融資可能額)が低くなることも珍しくありません。それはそれで残念なことなのですが、それを逆手に取ることで価格交渉を有利に進めることもできます。
融資が十分に受けれない物件ということは、その分、購入できる家主も購入できる金額も少なくなります。「手元の現金が○万円で金融機関からの融資が○万円なので販売価格は○万円までが限界だ」と交渉することで、より効果的な価格交渉に繋がると思います。
さらに「所有者が物件を売却する背景」に注目することで、大幅な価格交渉に繋がる可能性もあります。例えば、所有者側に「何か現金化したい理由」がある場合、現金化しなければいけない「期限」があるはずです。もし、販売会社から「何故、現金化したいのか?」「何時までに現金化したいのか?」などを聞き出すことができれば、交渉を有利に進められるかもしれません。
不透明要素を軽減するには?
築古物件の場合、どうしても品質面での問題は付き物です。
勿論、購入前に可能な限りの確認をし、なるべく懸念点を潰し、許容範囲だと判断できた上で購入することになります。ただ、それでも購入前の現地調査には限界があり、後から問題点が出てくる可能性は十分にあります。
特に建物の強度やシロアリ被害のような壁や床の内部の調査などは素人には難しいため専門の住宅診断し(ホームインスペクター)に調査を依頼することで不安を解消できます。
また築古の物件の中には瑕疵担保免責物件もあり、その場合は、後で不備や不具合が見つかっても保証してもらうことができません。
ただ、地方の築古アパートの場合、「完全にリスクの無い状態で購入する」ことよりも「万が一の自体が発生してもそれをカバーできるだけの利回りを確保する」という考え方の方が現実的です。利回りの低いワンルームマンションだと、そのようなリスクヘッジはできません。高い利回りが期待できる地方のアパートだからこそ、このような大胆な考え方ができる訳です。
情報収集はどうすれば良い?
参考書やブログを読んで、優良な投資用物件が理解できたら、実際に情報を入手するための行動に進みます。
インターネットの優良サイト
入居希望者がお部屋探しを探す場合、SUUMO(スーモ)やアパマンショップのような賃貸住宅の専用サイトから情報を集めますが、投資家が投資用の物件を探す場合も、やはりインターネットの専用サイトから情報収集するのが一般的です。
投資用物件を探す場合、主に以下のようなサイトが有名です。
- HOME’S不動産投資
- アットホーム
- Yahoo!不動産
- 楽待(らくまち)
- 健美家(けんびや)
専用サイトを利用することで、物件そのものを探すこともできますが、販売元となる不動産会社を探すことも重要です。
もし気になる物件が見つかった場合、販売元の不動産会社に問い合わせをすることで、同じような特徴の物件を紹介してもらえる可能性も増えるはずです。
また、仮に高利回りの物件を探す場合でも「利回りが○%以上の物件を探す」のでは無く「専用サイトに掲載されている価格より○万円安く購入することで利回り○%を実現できないか?」と考えると、選択肢は広がります。
もともと利回りが高い物件が見つけられればそれで問題は無いのですが、利回りが十分とは言えない物件に対して価格交渉することで、高利回りを目指すこともできるかもしれません。
先輩大家から得られる情報
実際に物件を選ぶ場合、販売会社からの情報をもとに購入可能かどうかを判断します。
ただし、販売会社はその名の通り「物件を販売することが目的」なので、中立的な立場で客観的に考えることも必要になります。
そう考えると、利害関係者以外からの情報が欲しくなる訳ですが、その中でも最も強い見方になってくれるのが「同じ地域の先輩の大家さん」です。
例えば、僕の住んでいる関西では「がんばる家主の会」という家主のコミュニティがあり、毎月200人以上の家主が集まり情報交換をしています。
「がんばる家主の会」の場合、コミュニティへの参加条件が投資用物件を所有していること(だったはず?)であるため、これから不動産投資家を目指したい人の場合、参加は難しいかもしれませんが、それ以外にも情報を収集する方法は沢山あります。
最近ではTwitterでも投資家や不動産関係者のアカウントがとても多いですし、Facebookにも不動産投資家などのグループが存在するので、一昔前と比べても、先輩大家から情報を得られるチャンスは年々増えています。

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