中規模企業共済を活用した効果的な節税方法と退職金制度について

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一般的に会社員の場合は定年による退職後には退職金を受け取ることができます。

退職金制度については会社ごとに仕組みが違いますし、そもそも退職金制度が無い会社もありますが、退職金が支給される場合は、一度に数千万円以上の大金を手に入れることになります。

一方、個人事業主やフリーランスのような事業主には退職金と言う制度はありません。なので、老後の不安を解消するためには自分で退職金に相当する仕組みを準備しておく必要があります。

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小規模企業共済の仕組み

小規模企業共済とは小規模企業の経営者や個人事業主に対して退職金の代わりとして設けられている積み立て制度のことです。

小規模企業共済の掛け金はその全額を小規模企業共済等掛金控除として、課税対象額から控除できます。

小規模企業共済のパンフレットには以下の6つののポイントが紹介されています。

  1. 設定された範囲内で掛け金を自由に設定できる
  2. 共済金は退職時また廃業時に受け取ることができる
  3. 共済金を一括で受け取ると「退職所得扱い」になる
  4. 共済金を分割で受け取ると「公的年金等の雑所得扱い」になる
  5. 共済金等の受給権は差し押さえが禁止されている
  6. 納付した掛け金の範囲内で事業資金の貸付けができる

また小規模企業共済の簡単な概要は以下の通りです。

項目概要
加入資格従業員が20人(商業とサービス業では5人)以下の個人事業主と会社経営者
掛け金1,000円〜70,000円までの範囲内(500円単位)で選択可能
共済金の支給時期事業を廃業した時、役員を辞めた時など
加入の申込先金融機関、商工会連合会、商工会、中小企業団体中央会など
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小規模企業共済のポイントについて

小規模企業共済のポイントをもう少し詳しく説明します。

掛け金自由に設定可能

小規模企業共済の掛け金は月々1,000円〜70,000円の範囲内です。実際に掛け金をいくらにするのかは500円単位で加入者が任意に設定することが可能です。

また加入した後に掛け金を変更することも可能です。掛け金は増額することもできますし、一定の要件を満たすことで減額することもできます。

また業績が悪くて掛け金を収めることができない場合は掛け金の掛け止めもできます。

なお掛け金は前納することが可能で、1年以内分の前納だとは全額支払った年に控除することが可能です。例えば年末に月々7万円の掛け金で加入すると前納✕12ヶ月分の84万円の所得を控除することができます。

共済金は退職時また廃業時に受け取り可能

共済金を受け取ることができるのは原則として退職時また廃業時なります。

そのため満期や満額などはありません。

事業を廃止する場合は納付期間が3年以上あれば掛け金の総額以上の共済金を受け取ることができますが、事業を継続したまま任意解約の場合、掛け金の納付期間が240ヶ月(20年)未満であれば元本割れしてしまう恐れがあります。

ちなみに納付期間が1年未満での解約の場合は掛け捨てになってしまいます。

受け取り方によって税金の計算方法が異なる

なお共済金の受け取り方は以下の3点から選択可能です。

  • 一括による受け取り
  • 分割による受け取り
  • 一括と分割を併用した受け取り

受け取り方法によって税金の計算方法が変わってきます。

共済金を一括で受け取ると「退職所得扱い」になる

一括受け取りの場合は退職所得として所得税を計算することになります。

給与所得や事業所得と比べ退職所得に対しては控除額が大きく、節税効果がより大きくなります。

退職所得の金額の計算方法は次の通りです。

  • 退職所得の金額=(収入金額ー退職所得控除)✕1/2

なお、退職所得の金額は分離課税され、退職所得金額に区分されます。

共済金を一括で受け取ると「退職所得扱い」になる

また、分割で受け取った共済金は公的年金等の雑所得の扱いになります。

公的年金の計算方法は以下の通りです。

  • 公的根金の雑所得の収入得金額ー公的年金等控除額

公的年金等控除額の計算方法は基本的には給与所得控除などと同じようなイメージですが、65歳以上か65歳未満で微妙に計算方法が異なります。

公的年金等控除額速算表(65歳以上)
公的年金等の収入金額公的年金控除額
330万円未満120万円
330万円〜410万円未満収入金額✕25%+37.5万円
410万円〜770万円未満収入金額✕15%+78.5万円
770万円以上収入金額✕5%+155.5万円
公的年金等控除額速算表(65歳未満)
公的年金等の収入金額公的年金控除額
130万円未満70万円
130万円〜410万円未満収入金額✕25%+37.5万円
410万円〜770万円未満収入金額✕15%+78.5万円
770万円以上収入金額✕5%+155.5万円

また雑所得の金額は原則として総合課税とされ事業所得、給与所得、不動産所得などと合算され、総所得金額として計算されます。

共済金の受給権は差押禁止

仮に事業に失敗してしまい自己破産などに陥った場合、保有している資産は差し押さえになってしまいます。

ただし中規模企業共済の共済金は年金や退職金の役割を果たします。詳細の安心を保証するための大切な老後資金となるため、例え自己破産したとしても受給権を差し押さえられることはありません。

なお自己破産については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

不動産経営で自己破産するとどうなるのか調べてみました
自己破産という言葉を良く聞きますが、実際に自己破産をするとどのようになってしまうのかがイマイチ分からない方も多いと思います。今回は不動産経営を中心とした自己破産について簡単にまとめてみました。

納付した掛け金の範囲内で事業資金の貸付けが可能

掛け金の7割から9割程度を限度にした貸付制度があります。

運転資金として活用することができるため、余裕のある時は小規模企業共済としてお金を積み立てておき、もし何かの事情で資金が必要になった場合に貸付制度を利用するのも良い方法だと思います。

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とても大きな節税効果が期待できる

小規模企業共済への加入に伴う節税効果は想像以上に大きいです。

もし小規模企業共済の掛け金を毎月70,000円積み立てたとしてら年間84万円になりその全額が控除の対象となります。小規模企業の経営者にしても個人事業主にしても年間で84万円を非課税にするのは結構大変なことです。

年間84万円の節税効果は?

仮に小規模企業共済の掛け金を月々70,000円(年間84万円)とした場合の節税効果を表にまとめてみました。

節税効果は年収(課税対象額)によって大きく変わるため、今回は以下の3パターンを元に実際にどれくらいの節税になるのかを表にしてみました。

  • 課税対象額が200万円の場合
  • 課税対象額が400万円の場合
  • 課税対象額が600万円の場合

計算内容は概算なので正確な金額を算出した場合は個別で計算したり問い合わせることをオススメします。

なお以下の計算は独立行政法人である中小企業基盤整備機構の加入シュミレーションサイトによる計算をもとに結果を算出しました。

課税対象額が200万円の場合

以下の表は課税対象額200万円の場合、小規模企業共済の掛け金を毎月70,000円(年間84万円)積み立てたことによる節税効果となります。
税額所得税住民税合計
加入前104,600円205,000円309,600円
加入後59,200円121,000円180,200円
節税額45,400円84,000円129,400円

課税対象額が400万円の場合

以下の表は課税対象額400万円の場合、小規模企業共済の掛け金を毎月70,000円(年間84万円)積み立てたことによる節税効果となります。
税額所得税住民税合計
加入前380,300円405,000円785,300円
加入後223,000円321,000円544,000円
節税額157,300円84,000円241,300円

課税対象額が400万円の場合

以下の表は課税対象額600万円の場合、小規模企業共済の掛け金を毎月70,000円(年間84万円)積み立てたことによる節税効果となります。
税額所得税住民税合計
加入前788,700円605,000円1,393,700円
加入後617,100円521,000円1,138,100円
節税額171,600円84,000円255,600円

所得税と住民税の計算方法について

所得税の計算方法は超過累進税率を元に算出します。

超過累進税率は課税対象額が高くなればなる程、その分、所得税の負担率が高くなる仕組みです。

超過累進税率による所得税の速算表
課税対象額税率控除額
~195万円以下5%0円
195万円超~330万円以下10%97,500円
330万円超~695万円以下20%427,500円
695万円超~900万円以下23%636,000円
900万円超~1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超~40%2,796,000円

一方、住民税は所得割率と均等割額の合計で計算します。

住民税の負担率は一律なので課税対象額が高くなってもずっと10%のままです。

  • 所得割率…一律で10%
  • 均等割額…一律で5,000円

課税対象額や所得税などの計算方法については以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

給与所得の課税対象額と所得税の計算方法についてどこよりも詳しく解説します
所得税算出の基準となる課税対象額についてどこよりも分かりやすく説明します。給与所得と課税対象額の違いや各種控除額の計算方法を踏まえ誰でも簡単に所得税の仕組みがわかる内容になっています。
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小規模企業共済への加入方法

小規模企業共済への加入方法ですが、僕が加入した際には以下のような手順でした。

  • 小規模企業共済のホームページから資料を請求
  • 後日郵送されて来た資料に昨年度の確定申告を含めて返送
  • 小規模企業共済への加入可否の審査

公式ページからの資料請求

まずは小規模企業共済のホームページから資料を請求します。

申請フォームに必要事項を記載して資料請求することもできますが、僕の場合は、仕組みなどについていろいろ聞きたいこともあったため、電話して不明点を確認しました。

その後、数日後に小規模企業共済に加入するための申請書が届きます。

確定申告書か開業届を同封する

事業内容や小規模企業共済の掛け金のための金融控除情報などを記載し、以下のどちらかの資料を併せて提出します。

  • 昨年度の確定申告書
  • 開業届

すでに確定申告を提出している場合は確定申告書のコピーを提出します。一方、まだ開業して日が浅く、確定申告を作成した経験が無い場合は、開業届けを提出します。

僕の場合は既に何度か確定申告書を提出していたので、昨年度分(今年提出分)のコピーを同封することにしました。

提出先については、商工会議所まで持参するよう記載があったので、電話して確認してみましたが、提出方法については持参でも郵送でも大丈夫とのことだったので、郵送で提出することにしました。

加入審査のためのヒヤリング

提出後、数日経ってから商工会議所の方から加入審査のための電話が掛かってきて事業内容などについて簡単な説明をすることになりました。

具体的にどのような審査をされたのかは分かりませんが、当日のうちに審査が完了し、無事小規模企業共済に加入することができました。

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個人事業主ならすぐに検討しよう

小規模企業共済は退職金制度の無い個人事業主にとってはとても嬉しい制度です。

手続き等、若干めんどうなこともありますが、現役時代の節税効果のために、また老後資金のためにも今すぐに検討しても良い制度だと思います。

個人事業主の場合、税理士から勧められることも多いようなので、もし興味を持たれた方は、一度、担当の税理士に相談してみても良いと思います。

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