年金を払うのは得か?損か?ずる賢く制度を使いこなすための知識

老後資金

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分 22 秒です。

昨今、年金保険料の未納問題が話題になっていますが、将来、自分がどれ程の年金が貰えるのか分からなくて不安に感じる方も多いと思います。

今回は「年金保険料はちゃんと払う方が得なのか?実は払わない方が得なのか?」に注目した上で国民年金と厚生年金の仕組みについてまとめてみました。

「そもそも年金を払うことは国民の義務だ!」という声も聞こえてきそうですが、今回はあくまで「自分が支払った分が戻ってくるか?戻ってこないのか?」に着目したいと思います。

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年金を払うことは得か損か?

身も蓋も無い話ですが、結論を先にお伝えすると「長生きできれば得しますし、長生きできなければ損してしまう」ということになります。

年金の保険料を支払うことは国民の義務なので「損か?得か?」という考え方自体、余り適切ではありませんが、その疑問に敢えて答えるとやはり「得です」という回答になります。

保険料支払い額と年金受給額のバランスは?

年金制度は若い現役時代にコツコツと保険料を支払い、現役を引退後に年金としてお金を受け取ります。

ただし年金制度は自分が納めた分をそのまま自分で使えるような制度では無いため「保険料の支払い額」と「年金の受給額」は一致しません。

保険料の支払い額や年金の受給額などは一定期間ごとに変動してしまうため、正確な数字を算出するのはかなり難しいです。なので今回の計算では基本的には現時点(平成30年度)の数値をベースにそれぞれの計算を進めていきたいと思います。

国民年金の支払い額と受給額のバランス

平成30年度の国民年金の支払い保険料は月額16,340円です。

仮に20歳〜60歳までの40年間(全期間)しっかり払い続けると以下のような支払い総額になります。

  • 16,340円✕12ヶ月✕40年=7,843,200円

この場合、65歳以降に受け取れる国民年金の受給額は年間779,300円になります。

つまり65歳から76歳までのおよそ11年間で現役時代の支払い分を取り戻せることになります。

厚生年金の支払い額と受給額のバランス

国民年金の支払い額と受給額は全ての人にとって同じ計算方法で算出することができますが、厚生年金については会社員時代の収入によって大きく変わります。

仮に20歳〜60歳までの40年間(全期間)の年収がずっと5,000,000円だった場合、構成年金の支払総額は9,003,360円になります。

  • 等級(厚生年金保険)…24
  • 標準報酬…5,000,000円÷12ヶ月=410,000円
  • 月々の厚生年金保険料…37,515円÷2(会社との折半分)=18,757円
  • 40年間の厚生年金保険料…18,757円✕12ヶ月✕40年=9,003,360円

次に受給額を確認します。

厚生年金を支払っている場合、国民年金と厚生年金の両方が受給対象となるため、年間の受給総額は以下のとおりとなります。

  • 国民年金の年間受給額…779,300円
  • 厚生年金の年間受給額…1,315,440円
  • 合計の年間受給額…779,300円+1,315,440円=2,094,740円

厚生年金の場合、40年間での支払い総額は9,003,360円となり、一方、受給額は年間2,094,740円になります。

つまり65歳から70歳までのおよそ5年間で現役時代の支払い分を取り戻せることになります。

支払った保険料は老後数年で取り返せる

これらのことから国民年金の場合はおよそ11年程で、また厚生年金に至ってはおよそ5年程で現役時代に支払った分の保険料を年金受給として取り戻せることが分かります。

国民年金と厚生年金の保険料支払額と年金受給額の細かな仕組みについては以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

いくらもらえるか把握してる?年金制度の仕組みを徹底解説!
少子高齢化が進む日本において年金問題は重要な課題です。ただ年金が支給される仕組みや計算方法については余り語られていないような気がします。今回は年金制度の特徴について分かりやすく解説したいと思います。

年金給付は老後だけでは無い

また、ここまでは「老齢年金」についての内容でしたが、公的年金の年金給付は国民年金および厚生年金でそれぞれについて以下の3種類があります。

  1. 老齢基礎年金または老齢厚生年金
  2. 障害基礎年金または障害厚生年金
  3. 遺族基礎年金または遺族厚生年金

年金と聞くと「老後の備え」と考えてしまいますが、その他にも病気やけがなどにより一定の障害を負った時に支給される「障害年金」や、年金受給者(被保険者)の配偶者および18歳以下の子供に対して支給される「遺族年金」があります。

老後に支給される年金額だけに注目して「得なのか?損なのか?」を判断するのでは無く、このような不測の事態も考慮するとより一層年金制度の大切さが分かると思います。

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年金制度で得する人と存する人

ここまでで「年金制度は支払った分以上は戻ってくる」と言う話をしましたが、その中でも年金制度の恩恵を沢山受けられる人と余り受けられない人の違いについても触れてみたいと思います。

やっぱり高齢者問題は大きなポイントになる

今後も年金は縮小傾向になると予想されます。

受給年度(現在は65歳から)が繰上げられる可能性も高いですし、受給額も減っていきます。

今の現役世代は現時点で年金を受給している高齢者と比べると受け取れる年金額は比べ物にならないくらい減少されてしまいます。

ただしだからと言って不満を並べても仕方無いはずなので、少しでも自分の老後の生活にゆとりが持てる方、いろいろな手段を検討することが大切です。

厚生年金と国民年金

先程の説明でも触れた通り厚生年金と国民年金とでは老後の受給額に倍以上の開きが出てきます。

加入期間や所得水準により大きく変動するものの両者を比較すると厚生年金の方が断然お得だと言うことがはっきりと分かる情報になっていると思います。

現在、会社員の方が個人事業主(フリーランス)を目指すのであれば年収などの収入面だけでは無く、将来受け取れる退職手当や年金受給額の違いなどもちゃんと理解して選択しないと「リスクの高い働き方であるにも関わらずリターンも少ない…」ってことになってしまいます。

※会社員と個人事業主(フリーランス)のどちらがハイリスクかについては一概には言えないためここでは触れません。

専業主婦は年金を払う必要が無い?

年金を支払う人のことを被保険者と呼び以下の3種類に分けられます。

被保険者被保険者年金の種類保険料
第一号被保険者国内に住所のある(外国人を含む)20歳以上60歳未満の全ての人国民年金定額(その年によって異なる)
第二号被保険者被用者年金(厚生年金・共済組合)の加入者国民年金、厚生年金標準報酬月額をもとに算出
第三号被保険者第二号費用保険者の被扶養配偶者で20歳以上60歳未満の人国民年金保険料負担無し

この中でも記載している通り、厚生年金に加入している第二号被保険者に扶養されている第三号被保険者(20歳以上60歳未満の配偶者)については年収が130万円未満(平成28年10月からは106万円)の場合、年金保険料を負担しなくても良いとされています。

これはその扶養者(第二号被保険者である配偶者)が年金保険料を負担しているのでは無く、厚生年金に加入している全ての第二号被保険者で第三号被保険者の年金保険料を負担していることになります。

一生独身の第二号被保険者は第三号被保険者として保険料の負担が無く年金を受給できるチャンスが無いだけでは無く、他人の配偶者(第三号被保険者)分の年金まで払わされていることになります。

つまり、ここだけに着目してみると一生独身の厚生年金加入者(第二号被保険者)と早々に結婚をし保険料の負担をしなくても良い配偶者(第三号被保険者)の間には大きな経済格差が生まれる訳です。

3年間限定の後納制度を活用しよう

通常、国民年金の未払いについては過去2年間まではさかのぼって納めることが可能ですが、逆にその期間を過ぎてしまうとその分はさかのぼって納付することができなくなってしまいます。

ただし、平成27年10月から平成30年9月までの3年間に限り「後納制度」を利用することで
過去5年分までさかのぼって未払いだった国民年金保険料を納付することができます。

  • 通常は過去2年間までしかさかのぼっての納付ができない
  • 平成27年10月〜平成30年9月までの間は過去5年間までさかのぼっての納付ができる

この制度を利用することで年金受給資格を得られたり、年金受給額を増やしたりすることができるので、もし長期の未納期間がある場合はせっかくのチャンスなので是非検討してみてはいかがでしょうか。

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年金と税金の関係性について

年金を支払うとその分に応じて税金の控除が受けられます。

逆に年金を受け取るとその分の取得に応じて税金が掛けられてしまいます。

ここまで説明してきた内容の中には計算を簡略化するために税金に関する情報は一切含めていませんでしたが、実際には税金が発生するためその辺りを考慮して考えると(大きくは変わらないと思いますが)、また少し違う結果が出るかもしれません。

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年金制度は崩壊しない

日本はこれから少子高齢化を迎えます。

当然、子供(若者)が減り、さらに年金を受取るお年寄りが増えるとと年金をどのように捻出するかの問題が出てきます。

ただそれでも年金制度が簡単に崩壊する可能性は極めて低いと思います。

年金制度を支えているのは個人の同労力だったり税金だったら企業の社会保険だったりとさまざまですが、少しでもこの制度を良い形で維持しようと考えている人が沢山います。

勿論、悪いシナリオを想定して若い時代から備えることはとても大切ですが、年金を一切当てにしないで全ての老後資金を自力で準備するのは現実的ではありませんし、それができるような人はそもそも年金不安なんて感じないはずです。

確かに備えは大切ですが、余り過剰な不安を抱えてむやみに保険や個人年金などに加入したりし過ぎないように「自分には後どれ程のお金が必要なのか?」「このペースだとどれくらいの年金受給までは見込めそうなのか?」を冷静に考えて対応を進めれたら良いと思います。

プロフィール

楽待新聞&不動産投資Libraryのコラムニストです。
普段、不動産投資家として考えていることや体験談などを掲載しています。
賃貸経営初心者にも分かりやすい内容を心掛けています。

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