修繕費と資本的支出との違いを理解して効果的な節税対策をしよう

老朽化対策

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分 1 秒です。

所有物件に対する修繕費と資本的支出の違いについて、正しく理解できていますか?

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物件のメンテナンスに掛かる費用には何がある?

賃貸経営を長年続けていると、物件に対するメンテナンスが必要になってきます。

物件の購入当初はそれ程意識しないかもしれませんが、5年、10年と期間が経つにつれて内外問わず物件が少しずつ劣化していきます。

物件のメンテナンスには小規模な備品の交換から大規模な修繕工事のように、さまざまなものがありますが、代表的なものには以下のような項目が含まれます。

  • 建物や設備の修理
  • 外壁の塗装
  • 屋根裏の老朽化に伴う防水対策
  • 退去後の部屋のリフォーム

そして、これらの対応に掛かる費用については基本的には「修繕費」として経費を計上する訳ですが、その性質によっては「固定資産の資本的支出」に分類される可能性もあります。

つまり物件に対するメンテナンスや備品の交換(取替え)などについては大きく以下の2点に分けられることになります。

  • 修繕費
  • 資本的支出

出費になることは同じなのでどちらでも良さそうな気もしますが、この2種類のうち、どちらに該当するかによって経費を計上する方法が大きく変わってしまいます。

物件に対するメンテナンスや備品の交換は修繕費と資本的支出に分けられます。
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修繕費と資本的支出の違いは?

修繕費と資本的支出の違いについては、どちらも同じようなイメージなので明確に違いを区別するのは少し難しそうな気もします。ただ、確定申告の時に経費として計上するためには、どちらに含められるのかを正しく分ける必要があります。

修繕費の特徴

修繕費の特徴としては以下のようなポイントがあります。

  • 原状回復するための費用
  • 使えなかったものを使えるよう修理にする費用

比較的小規模な項目については、基本的に修繕費に含められると考えておいても問題無いと思います。具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • 建物や設備の修理
  • 共有部分の蛍光灯の交換
  • 室内のエアコンや給湯器などの交換
  • 老朽化に伴う外壁の塗装
  • 老朽化に伴う屋根裏の防水対策
  • 退去後の部屋の原状回復
小規模な修理や交換は修繕費に含められます。

資本的支出の特徴

一方、資本的支出の特徴としては以下のようなポイントがあります。

  • 建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用
  • 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用
  • 品質向上や性能強化の伴う各設備の部品交換費用(通常交換の金額を超えた分の費用)

こちらは修繕費と比べて、比較的、規模の大きい項目が含まれています。資本的支出に含められるものとしては以下のようなものが挙げられます。

  • 非常階段やエレベーターの新規取り付け
  • 防水機能(耐久性)強化のための外壁の塗装
  • 3点ユニットのセパレート化
  • 退去後の部屋の改装・リフォーム
  • 耐震補強の工事

例えば、同じ「外装の塗装」でも、その目的は以下のようなパターンに分けられるはずです。

  • 老朽化対策のための塗装
  • 機能強化のための塗装

つまり、目的や経緯が違う場合、仮に同じような対応であったとしても、修繕費に含まれるか資本的支出に含まれるかが変わってくる場合があります。

これは中々判断が難しいですね。

また、これらは一つの例であり、金額や改良の周期によっても、修繕費となるか資本的支出になるかはケースによると思います。

上記の例はあくまで参考レベルとして、判断に迷う場合は個別に専門家に確認することをオススメします。

具体的な判断基準は?

これらをもう少しシンプルにまとめると以下のようなことが言えます。

  • 修繕は資産を元の状態に戻すための費用
  • 資本的支出は資産を元の状態以上にするための費用

しかしこれらの判断基準では正直、本人の考え方次第でどんなふうにでも解釈できてしまいそうですね。

なのでこれらの判断についてもう少し具体的に定義したルールもあります。

基本的にこれらの要件を満たしていれば修繕費として計上できる目安となるものです。

  • 対策に掛かる費用が20万円以下のもの
  • およそ3年以内を周期として改良されるもの

またそれでも判断が難しい場合は以下の基準が適応される場合もあります。

  • 対策に掛かる費用が60万円以下のもの
  • 前年末の取得価額のおよそ10%以下のもの

どうしても判断に難しい場合は60万円を超えるかどうかを一つの基準にするのも良いと思います。

その他の特例制度

税務上、基本的には10万円を超える備品については資産として扱われてしまいますが、金額に応じて以下のような資産として取り扱うことも可能です。

一括償却資産

20万円未満の備品については一括償却資産として取り扱うことで3年間での均等償却(一括償却)を行うことが可能です。

少額減価償却資産

青色申告適応者(または中小企業者)の場合は少額減価償却資産として取り扱うことで一括で経費にすることができます。ただし少額減価償却資産は年間300万円までしか適応されないので高額の経費を計上する際には注意が必要です。

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見誤ってしまうと大きな損失になってしまう

修繕費と資本的支出とを分ける基準をもとに、それぞれの費用がどちらに含まれるかを判断する訳ですが、修繕費と資本的支出では経費としての計上の仕方が異なるため正しく区別する必要があります。

修繕費はそのまま経費として計上できる

修繕費として計上する場合は修繕を行った年の経費として全額を一括して計上できます。

要するに金額分だけ売上から差し引くことができるので節税効果が大きくなります。

資本的支出は減価償却で計上される

対する資本的支出については、まずその金額を資産として計上し、その後、対応年数に応じて減価償却する必要があります。

実際に出費となった金額がそのまま経費として計上されるのでは無くて、それぞれ耐用年数(減価償却期間)に応じて少しずつ経費として計上する考え方です。

耐用年数(減価償却期間)が長いとその分、経費計上が長期間に分割されてしまうので修繕費との計上の仕方(年間の計上額)に大きな違いがあります。

建物に直接関わってくる項目については耐用年数(減価償却期間)が長期間であることが多いので注意が必要です。

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単年度で評価すると修繕費の方が節税効果が大きい

その結果、最終的に経費として計上できる金額(総額)は同じですが、単年度で考えた場合は修繕費として計上した方が節税効果は大きくなります。

修繕工事やメンテナンスに掛かる全ての経費を修繕費で計上することは難しいと思いますが、「これはどちらの経費に区分される」というのをきちんと把握した上で帳簿を付けることができれば「売上げ」と「支出」のバランスを上手く調整することができます。

逆に本来なら資本的支出に区分されるような項目に対して「これは修繕費として全額計上できる」と勘違いをしてしまうと、確定申告をするタイミング(もしくは申請した後)に資本的支出になることに気付き「想定していたよりも経費計上ができなかった」ということになってしまいます。

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計画的な修繕プランが必要

税務処理を行う上で「経費」は利益を調整するための重要な役割を果たします。

売上げが上がりそうな時にはその分多くの経費を計上することで少しでも利益を圧縮することができます。

なのでこれらの大規模修繕工事やメンテナンスを考えるタイミングとしては、単に投資物件の物件に対して大規模修繕工事やメンテナンスをしたい時に対応するだけでは無く、売上げを圧縮したいタイミングも踏まえて時期を検討する方が節税を考える上では効果的な場合があります。

少しの工夫をするだけで税金が安くなるのであれば是非ともその仕組を上手く利用したいものです。

修繕費と資本的支出の違いについては特に高度なテクニックは必要ありません。知っているか知らないかの問題だけなので、是非頭の片隅に置いておきたいと思いました。

 


この記事は2018年03月26日に日刊不動産投資Libraryにて転載させていただきました。

修繕費と資本的支出と違いを理解して効果的な節税対策をしよう〜不動産投資ライフ
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プロフィール

楽待新聞&不動産投資Libraryのコラムニストです。
普段、不動産投資家として考えていることや体験談などを掲載しています。
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