2016年9月より国土交通省が賃貸住宅管理業者登録制度に参加する3735社に対してサブリース契約時の減額説明を義務付けるようルールを改正しました。
家賃が下がる可能性を伝えなければいけない
登録制度に登録する企業はサブリース契約締結時には貸主(家主)に対して「将来的には借上げの家賃収入が減額になる可能性があることを書面に明記し、重要事項として説明する必要がある」ものとして2018年7月からは違反業者名を公表するとのことです。
ただ登録制度自体は任意なので微妙に抜け穴があるような気もしますが…それでも販売元とのトラブルや家主からの相談を抑える意味では大きな前進だと思います。
※画像元は下記サイトからお借りしました。
勘違いしがちな一括借上げ制度
そもそも長期間の一括借上げ制度は「借上げしてくれることを保証」するものであって「新築時から一貫して同額の家賃収入を保証する」訳ではありません。
少し考えたら分かりそうなものですが、言葉のマジックなのか一生安泰だと考えてしまうのかもしれませんね。だからこそ家賃が少しでも下がってしまうと「話が違う!」と業者との間でトラブルになってしまうことも結構あります。
逆にこれだけトラブルがあって問題として取り上げられているからこそ「家賃なんて下がるに決まっているのに…」とすぐに違和感に気づく訳ですが、当初は一括借上げ制度と言う言葉だけを聞いて都合良く解釈してしまうんですね。
ただ悪質な場合は「家賃収入が下がる可能性があるのでは無いですか?」と確認しても「大丈夫ですよ」と答える業者もあるようで確かに大丈夫だと言われればそれ以上疑うこともしないので…自己責任ではあるものの「詐欺だ!」と言う気持ちも何となく分かるような気もします。
基本的に設置設備を改善したり物件をリフォームして綺麗にしない限り家賃収入は築年数や老朽化の影響で下がります。例外的にその地域が爆発的に活性化するようなことになれば何もしなくても当初の家賃収入よりも一時的に上がるかもしれませんが、今後人口減少と空室率が問題視されている環境の中で現実的にはあまりイメージしづらいです。僕個人的には手を打たず勝手に家賃が上がる可能性はほぼゼロだと思います。
家賃減少の対策は対象物件によって変わる
基本的に家賃は下がるを前提に考えた上で将来的にどんな手を打てるのかは所有物件や自分のコントロールできる範囲で大きく変わります。
ワンルームの一室だけの場合は設備選定を充実させたり滞納などの回収漏れを徹底的に無くすなど、正直打てる手は結構限られていますが、一棟物件を所有している場合は自分の裁量で改善できる範囲が広いので間取りを変えたり外壁を今風に塗り替えたりなど上手くニーズを把握できれば色々と打てるが増えてきます。
不動産以外にほかに本業がある場合や環境によってはなかなか難しいかもしれませんが「いざとなったら自分で運営する」と言う意識(と言うより準備)ができていれば対応できる範囲は増やせるかもしれませんね。
販売会社は守ってくれない
冷静に考えて空室が出たりして長期間家賃収入を得られない物件(物件所有者)に対して管理会社が喜んで家賃を支払ってくれるはずがありません。
管理会社によって若干変わりますが一括家賃収入を代行する場合は入居者から得られる家賃のうち10%〜20%程が管理会社の取り分となります。
なのでしっかり入居者を獲得できていて家賃収入が得られている時期は問題無いですし一部家賃収入を得られない物件があったとしても、その他の物件が順調に入居者を確保し続けれていたらそのお金を上手く運用(ストック)して上手く資金繰りできるかもしれません。ただしそれでも限界はくるもので必ずいつか見殺し(?)にされる物件(家主)が出てきます。
※もしくはサブリース会社が倒産します。
だからこそ自分で「この物件は大丈夫だ」と納得できる物件を購入する必要があります。
家賃収入一括保証は親切や利益還元の精神では無く、ブランディングであり戦略です。また飼い主目線で考えると一つのただのツールに過ぎません。責任を丸投げするには余りに貧弱なツールです。
どちらにしても、販売会社の中には30年一括借上げを最大の売り文句として謳っている業者も一定数いる訳なのでこれらの販売会社には少なからず影響は出るんでしょうが…それでも業界全体が少しでも透明化することは良いことだと思いました。
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