空き家対策措置法案の完全施行で日本の空き家はどう変わるか?

空室対策

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分 45 秒です。

ここ最近、日本では空き家問題がとても深刻化していています。

日本の空室数の推移としては年々増加傾向ではあったものの、ここ数年は特に社会問題として取り上げられており、加えて空き家問題もより注目されてきています。

  • 日本の空室問題や空き家問題に興味がある人
  • 空き家対策措置法案の仕組みが知りたい人
  • 空き家のようなボロ物件の活用方法を知りたい人
スポンサーリンク

増え続ける日本の空き家問題

「空き家」とは文字通り誰も住んでいない建物、使用されずに放置され続けている建物の事です。

空き家の定義は?

現状、明確な判断基準はまだ固まっていませんが、一般的に以下のように定義されています。管理状況や物件所有者の主張など客観的な視点をもとに「空き家かどうか?」を判断します。

  • 空き家として扱われる物件
    • 長期間(基本的には1年間)使用された形跡が無い
    • 電気・ガス・水道などの公共サービスの利用実績が無い
    • 明らかに長い年数、放置され続けている建物
  • 空き家として扱われない物件
    • 別荘のような二次的住宅
    • 賃貸住宅や売却の対象として何か理由があり無人の状態が続く物件
    • 受け入れ準備が出来ているのに入居者が決まらない空室物件

国土交通省の調査によると平成25年時点での空き家総数は820万戸にもなり、全総住宅数の13.5%を占めると言われます。また、年々増加傾向で、このままのペースだと10年後には20%を超えるとも言われています。

空き家を放置する問題点

例えば以下のような問題が想定されます。

  • 建物自体の危険性
    • 外壁や基礎部分の劣化による倒壊、外壁落下などの被害
  • 防犯面のリスク
    • 不審者、空き巣などの犯罪の誘発
    • 放火による火災の発生
  • 衛生面の悪化
    • ゴミの不法投棄
    • 害虫や悪臭の発生
  • 景観の悪化、地域全体の価値低下
    • 庭の植栽、雑草の手入れの放置

空き家や空室率の問題についてはこちらの記事でより詳しく説明しています。

スポンサーリンク

空き家対策措置法案の完全施行

空き家にはさまざまな問題が潜んでいます。

その対策として施行されたのが「空き家対策措置法案」です。

  • 平成26年11月
    • 「空家等対策の推進に関する特別措置法」が実施
    • 「空き家対策特別措置法」が成立
  • 平成27年2月
    • 「空き家対策特別措置法」が一部施行
  • 平成27年5月
    • 「空き家対策特別措置法」が全面施行

その上で、倒壊や(放火を含めた)火災の危険性が高かったり、不審者の侵入などが予想されるような建物については厳格な対策を行う必要があると考えられていました。

空き家対策措置法の概要

空き家対策措置法には、主に以下のような法的効力が含められています。

  • 空き家の立ち入り調査を含めた実態調査
  • 悪質な「特定空き家」に対する自治体の権限
    • 助言…庭の植栽、雑草の手入れなど
    • 指導…修繕や解体など
    • 勧告…住宅用地特例の解除
    • 命令…罰金(50万円)や強制撤去

本来であれば、例え空き家だとしても、勝手に敷地内に立ち入ると「不法侵入」になりますし、断り無く取り壊したりすると「器物破損」や「財産権の侵害」に問われますが、空き家対策措置法により地方自治体に対して大きな権限が与えられることになります。

納税者情報をもとに自治体の調査が始まる

空き家には基本的に人が住んでおらず、管理や手入れも放置されていることが多いため、所有者の特定が難しい場合も想定されます。

ただし、所有者の把握が困難な物件についても住民票や戸籍、固定資産税納税情報などから所有者を割り出し、情報の一元化(データベース化)を進めていきます。

悪質な空き家は「特定空き家」に認定される

空き家の問題点はさまざまですが、以下のように特に悪質な空き家を「特定空き家」と認定し、より厳しいペナルティが課せられてしまいます。

  • 物理的に倒壊の危険性がある考えられる
  • 犯罪などのトラブルの温床になる恐れがある
  • 衛生面での悪影響が考えられる
  • 景観を大きく損ねている

空き家対策法により特定空き家と認定されたり疑われた場合は、立ち入り調査が行われます。

調査の拒否や妨害などをすると罰金対象になる事もあります。

自治体からの助言と指導

立ち入り調査の結果、空き家に問題があれば、庭の植栽、雑草の手入れなどの「助言」や建物の修繕や解体などの「指導」などを受けることになります。

助言や指導を受けた場合は、一定の猶予期限内に対応が求められ、期間内に対応しない場合は住宅用地の特例(軽減税率)が解除されてしまいます。

住宅用地特例が解除される

猶予期限内に適切な対応をしなかった場合、より強制力の高い「勧告」を受けます。

勧告を受けると固定資産税と都市計画税の住宅用地の特例(軽減処置)が解除されてしまいます。

そもそも、所有者が住宅に需要が無いにも関わらず、さら地にせずに空き家のまま放置している理由として、固定資産税・都市計画税の住宅用地特性(軽減処置)の存在が指摘されています。

課税標準の特例が適応されることによって、もし誰も入居者が入らなくても空き家の状態を維持することによりさら地のままよりも安い税金で済む仕組みになっています。

  • 1戸あたり200㎡までの小規模住宅用地
    • 固定資産税評価額…1/6に軽減
    • 都市計画税評価額…1/3に軽減
  • 1戸あたり200㎡を超える模住宅用地
    • 固定資産税評価額…1/3に軽減
    • 都市計画税評価額…2/3に軽減

ですが、特定空き家と認定された場合、その軽減処置についても解除されてしまい、その結果、200㎡までの小規模住宅用地の場合、固定資産税評価額は6倍、都市計画税評価額は3倍になってしまう訳です。

なお、実際の負担としては評価額の70%が課税対象額となるため、固定資産税は4.2倍(6倍✕70%)になります。

要するに所有者としては大きな負担増を強いられる形となります。

そのため、今まではさら地のまま保有するよりもボロ物件でも建てておいた方が軽減税率の都合上お得だった訳ですが、今後は特定空き家と認定された場合、この減免措置が廃止され、所有者としてはより大きな負担増を強いられる事になります。

なお、固定資産税や都市計画税についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

最終的には強制撤去も!

勧告を受けたにも関わらず、その後もずっと対応を怠る場合、自治体から厳しい「命令」が下されます。

命令には「ペナルティとして50万円以下の罰金」が課せられたり、地方自治体の権限により「行政代執行(建物の強制撤去)」されることもあります。

当然ながら解体費用は所有者の負担となります。

結構、ガチです。。。

迅速な対応が必要

対応次第では軽減税率の継続や解体費用の一部補助などのフォローも検討されるようですが、詳細は情報はまだ分かりません。

「空き家を無くす」と考えると少し気が遠くなりますが、それでも改善に向かえば間違いなく街全体としてもプラスになります。

市町村の方や費用等の負担もかなり大きいはずですが、自分の住んでいる街が少しでも良くなるように期待したいですね。

スポンサーリンク

問われる空き家の活用法

空き家対策措置法案をチャンスと捉えるかピンチと捉えるかはそれぞれ考えがあると思いますが、これからはより良い(中古・築古)物件を識別する力がより一層大切になります。

また、今後、空き家を放置しずらい環境になると「空き家をどのように処理するか?」も重要になります。

例えば以下のような対応策が考えられます。

空き家バンクの活用

空き家の有効活用方法の一つとして「空き家バンク制度」があります。

空き家バンクの目的は、使われていない空き家や空き地を蘇らせ、有効活用することで、景観の悪化を抑制すると共に、地域の活性化や定住者の促進などを目指すための制度です。

空き家バンクは以下のような特徴があります。

  • 空き家や空き地を有効活用するための制度
  • 空き家を「貸したい人」「売りたい人」が情報を提供する
  • 空き家を「借りたい人」「買いたい人」が利用の申込をする
  • 各地方自治体ごとに独自に運営・管理されている
    • 解体や修繕のための補助金(上限あり)や支援制度が備わっていることもある
    • 全ての自治体で空き家バンクが運用されている訳ではない
    • 現地視察や契約等は個人間で調整してすすめる
    • 地方自治体は仲介はするが契約の締結には関与しない
  • 民間(LIFULLとアットホーム)に委託された「全国版の空き家バンク」もある
  • 地域活性化や過疎化対策にも期待される

問い合わせ窓口としても、不動産仲介業者のように営利目的の手数料ビジネスを目的とした営業担当では無く、地方自治体の職員が対応してくれるため、何となく安心感も得られるはずです。

住宅診断士による調査でリスクを軽減

不動産経営者の方の中には「宅地建物取引主任者」を保有されている方も多いですが、今後はむしろホームインスペクター(住宅診断士)のような物件そのものの価値を評価できるスキルを持つ事も面白いかもしれませんね。

スポンサーリンク

空き家が解消するとライバル物件は増える?

固定資産税を適正に納めてもらう事に加え、地域の景観・治安も良くなり活性化が期待できるのは良い事です。

ですが、その結果、空き家の所有者としては物件を放置し続ける理由(メリット)も無くなり、高額な修繕費が必要となるのであれば安値でも良いから売却を検討せざるを得なくなります。

今まで問題視されてきた高い空室率の原因は空き家を放置し積極的な不動産経営を行ってこなかった家主(物件所有者)の割合いが多かった事が一つの理由ですが、今後はそのように放置された空き家の数は減っていくはずですし、誰も住みつかなかったような空き家に対して実力(ノウハウや人脈)のある家主や不動産業者が修繕やリフォームによって健全な物件に蘇えらせる事になります。

と言う事は、既存物件を所有している一般の家主からすれば「ライバル物件が増える」訳なので、それは脅威になるかもしれません。

今まではしっかりとした管理や修繕を怠り放置され続けてきた物件が空室物件の一部をしめていた訳ですが、今後はしっかりとしたメンテナンスと行っても空室になってしまうと言うリスクも増えてきます。

こうした可能性を秘めた物件(土地)を見極められる経営者からすれば魅力的な投資対象物件はどんどん増えていきます。当然、不動産業者としても空き家ビジネスに積極的に取り組む事になると思います。

プロフィール

楽待新聞&不動産投資Libraryのコラムニストをしています。
普段、不動産投資家として考えていることや体験談などを掲載しています。
これから不動産投資を始めたい方や、賃貸経営初心者の方に対して、分かりやすい内容を心掛けています。

西本 豪をフォローする
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。
空室対策
スポンサーリンク
不動産投資ライフ

コメント